これからきくのは、2005年に発見された「すべては神とともにあり 神によらざるものはなし」。BWV1127という番号が付されたバッハの自筆譜は、ヴァイマール公ヴィルヘルム・エルンストの52歳の誕生日(1713年10月30日)祝賀のために作曲された、ソプラノ、2部のヴァイオリン、ヴィオラ、チェロと通奏低音のためのアリアです。作詩はヨーハン・アントン・ミューリウスで、12節からなる詩の各節は、ヴィルヘルム・エルンストのモットーである「Omnia cum Deo et nihil sine eo」のドイツ語訳にはじまり、おわります。
自筆譜には、「Aria Soprano Solo e Ritornello」と表記され、アリアは「Adagio」とされています。音楽は、アリアに弦楽と通奏低音によるリトルネッロが続き、これがくり返されていきます。52歳の誕生日を祝うにあたり、前奏が52個の音符でできていたり、詩にヴィルヘルム・エルンストの名が織り込まれていたり、と凝ったしかけも。ここできくのは、ドイツのソプラノ歌手ドローテー・ミールズ(1971年生)の歌唱で、全節ではなく第1、第4、第8、第12節のみ歌われます(この録音では15分ほど)。アンサンブルは、オルフェオ・バロックオルケスターで、録音は2014年です。
CD : Carus 83.309(Carus)