日本チェンバロ協会の年報、『日本チェンバロ協会 年報 2022 第6号』が今年も5月に発行されました。第6号の特集のひとつは「レクチャー・コンサート:ルッカースのチェンバロの世界」(渡邊順生/聞き手:鴨川華子)。ちょうど、アンドレアス・ルッカースのチェンバロを弾く、トン・コープマンとモニカ・ハジェットとのヴァイオリン・ソナタ集をききはじめたということもあり、遅ればせながら紹介しておきます。ルッカース関連では、「ルッカース・ファミリーの歴史と楽器(その1)」(野村滿男)という研究論文も掲載されており、日本チェンバロ協会の年報にふさわしい、充実したものとなっています。個人的におもしろく読めたのが、渡邊温子の「講演:故国をはなれて活躍した音楽家たち」です。メキシコや中国に赴いた2人の音楽家が紹介されていますが、織田信長が天下統一していたら、日本にもすぐれた音楽家が派遣されることになっていたかもしれません。