アジアと小松

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小松基地問題研究会

20210520『なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか』(田口理穂著2015年)

2021年05月20日 | 金沢市ガス・発電事業譲渡問題
20210520『なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか』(田口理穂著2015年)

 本書は、石川県立図書館の「おすすめコーナー」に並んでおり、金沢市の電力・ガス民営化問題に関係がありそうなので借りてきた。SDGs(持続可能な開発目標)は斎藤幸平によれば、「SDGsは企業にとっては消費を促すPRの道具」とこき下ろされているが、気候変動は200年前の産業革命以降の資本主義的再生産システムが生み出した滓(おり)であり、資本主義下で「SDGs」などと叫んでみても、解決できない問題である。

 それ故、本書にはそれほど期待していなかったが、それでもその資本主義の下で、気候変動問題に接近している実例は示唆に富むものである。大上段に、革命なしには解決できないと切り捨ててもよいが、マルクスが「恐慌は新しい社会への陣痛」と言っていたような記憶があるが、「気候変動も新しい社会への陣痛」として捉え、資本主義が生み出す諸矛盾の一つとして、この問題に正面から取り組むことこそが、助産師(労働者階級)の役割ではないだろうか。

 本書で、電力を市民の手に取り戻すために送電線を買い取るということまでやりきったドイツ人民の行動力に驚嘆する。ましてや、今、金沢市民の手中にある電力とガスを金沢市長・山野が手放そうとしているが、なんとしても止めねばならないだろう。

 新聞報道(5/22)によれば、金沢市の譲渡プランは市民の力とコロナウイルスによって、ズタズタ・ボロボロになっている。6月議会での「決着」は破産しつつあり、9月議会にもつれ込むようだが、これからの3カ月間をたたかいぬいて、なんとしても廃案に追い込みたい。

<抜き書き>
第三章4 市民がつくった電力会社
(131)シェーナウ市=2500人ほど
   シェーナウ電力会社は、1986年チェルノブィリ事故+反原発運動をきっかけにして設立された組合制の会社
   →1997年7月より電気を届けている
(132)1990年、40人でシェーナウ送電線買収組合(GbR)をつくった。1994年有限会社シェーナウ電力会社を設立
   →2度の市民投票で市内の電力供給権獲得―送電線買取が必要→資金集めが困難
   →やっと1997年に送電線を買い取った
(133)2009年以前、組合員620人=100万ユーロ出資→新組織→220万ユーロの出資
  →2013年1億4000万ユーロ(186億円)の売上→2014年組合員4500人3500万ユーロの出資
(134)シェーナウ電力会社=送電線・ガス網の管理、電力・ガスの販売
(135)顧客=1997年=1700戸→1998年(電力自由化)→2015年=16万戸
  →使えば使うほど料金単価が上がる→省エネ推進の仕掛け
(136)地域分散型発電←電力は再生可能エネルギーのみ(ノルウェーの水力発電+ソーラー+風力+バイオマス)
(137)2010年~ガス(バイオガス100%、天然ガス+バイオガス)供給=約1万人の顧客
   ドイツでは、電力、ガス、水道の毎月検針がない→自己申告制=市民の意識的参画
(138)計画段階から市民が発電に係わる(市民参加)→発電・供給・消費への責任自覚
  →電力を他人任せにせず、企業の利益追求の手段にさせない=民主主義




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