思い出のあの場所へ

アクセス解析無料期間に、うちのブログに「レトロ自販機　三国峠」で飛んできた方がいらっしゃった。
で、結論から申し上げれば、レトロ自販機マニアが喜びそうな自販機(麺類、トーストサンド、ハンバーガーあたり)は三国峠にはない。
では何故こんな検索があったかというと、三国峠に自販機コーナーは2010年頃まではあったからではないかと思う。ただ、ぬたりが最後に立ち寄ったときには、ジュースの自販機以外はせいぜい汎用自販機(こんなのね)とカップラーメン自販機があったくらい。そしてぬたりが最後に立ち寄った2010年頃に営業をやめている。ホント、数ヶ月振りくらいで通ったら閉鎖されていたんだもん。
実はグーグルのストリートビューには建物がまだ残っている。隣接の工事を見るに、どうもここを直線化したいような思惑も見えるので、工事の進捗によってはもう建物はないかも知れないね。
建物の屋根には、見えにくいが「三国峠Ｔ．Ｓ」と言う文字が見える。ＴＳはトラックステーションの略で、主にトラック運転手が峠を越える前の小休止をすることを主眼に置いた施設と言える。今でも各地の国道沿いに設置されている。
群馬と新潟の県境は実に険しい。21世紀の今現在に至っても、直接車で行き来できる道は、この国道17号の三国峠と、関越道の関越トンネルの2つしかない。関越道開通前は三国峠が唯一の車道だった。
当然大型トラックも三国峠を通るわけだから、それ相応の交通量があった。なにしろ国道17号は東京からの幹線国道の一つなわけでね。新潟だけでなく、その先の東北地方日本海側への行き来もここを使うわけで。このためか、自販機コーナー自体はそんなに大きくないのに駐車場スペースはかなり広く取られていた。
だが、今や自動車交通の主役は高速道路。峠部分だけに関して言えば、群馬県側月夜野インターチェンジから湯沢インターチェンジまで、三国峠なら1時間はかかるが高速使えば30分かからない。しかも高速使えばウネウネグネグネと峠道を走る必要も無い。同乗者が酔う心配もないってもんだ。
高速は県境が長大トンネルだから特定危険物積載車両は走れないし、山岳路線は高速代金が割高なので、今でもトラックを中心に関越道を避ける人はいるにはいる。ぬたりのように純粋にドライブを楽しみたい人もわざわざ峠に入ってきたりはする。ただ、その絶対数は少なく、ここに自販機コーナーあっても元が取れないんでしょうな。自販機ってのは案外電気代食うからね。言ってみれば巨大な冷蔵庫なわけで。
さて、この自販機コーナー。ぬたりにはとても思い入れがある。子供の頃、父親の運転する車で新潟側から三国峠を越えてきたとき、何かを売ってる施設で最初に目にするのはここだったのよね。人里離れた、山また山の峠を越えてきて、やっと人里に帰ってきたんだなあ、とほっとできる場所だった。記憶によればここに立ち寄った記憶は無いんだが、まだ関越道が前橋までしか開通していない時代のこと、そこには多くのトラックが止まっていて、そのライトも華やかだったなあ、なんてのが子供時代の記憶なわけだ。
だから、大人になってからは通りかかると何とはなしに寄っていた。ぬたりとても新潟への行き来には関越道を使うのが基本であり、三国峠を使う頻度はそれほど多くなく、繰り返し寄れたとは言いがたいのだが、それでも新潟県からの帰りに通りかかると、「ああ、群馬県に帰ってきたんだなあ」と缶コーヒーでも買ってしみじみする時間を設けていた。これが実にのんびりまったり、心地よかったのよねえ。もうあの経験は物理上できないなあ。
寂しくないと言えばもちろん嘘になるが、今ではそれほど遠くない場所にコンビニがあり、自販機コーナーなんか無くても別に困らない。そもそも三国峠に行くこと自体ほとんどないしな。結婚してからは行ってないんじゃないかな。
要は、そういう子供の頃に記憶に残っていた場所が、大人になってからは自分だけのお気に入りスポットになって、今こうして誰かに語ることができている、というのはとても幸せな事じゃあるまいかという事なのよね。語っているだけでもなんか幸せな感じするもんな。

まあ、他人の意味不明な思い出語りにつきあわされる方はたまったもんじゃないだろうがな(わかってんならやめろよ)