フィヨルドの変人 ~Odd person in fjord~

ぇいらっしゃ~い!!!

山に行くべえ そのに

2019年01月20日 13時51分08秒 | 旅行&おでかけ
さて、ここからは少し歴史のお勉強になるが、徒歩道時代の碓氷峠は幾度かルートの変遷をたどっている。現在「旧碓氷峠」と一般に言われるルートは、文久元年に行われた皇女和宮降嫁の際に整備されたルートで、通称「和宮道」とも呼ばれる。毎年5月に行われる、最近では名前も売れてきた仮装OKのマラソン大会「安政遠足(あんせいとおあし)」もこのルートを辿り、軽井沢側最後の急な上りだけを迂回するルートになっている。ちなみに明治期にもあと1回大規模なバイパス工事が行われているのだが、これは次回で記す。
が、ぬたりがこの日辿った陣城跡はそれより時代が遡る。陣城の場所も和宮道から分かれて少し旧中山道を進んだ位置にある。和宮道は難所を避けた、言ってみればバイパスで、歩くのなら少し戻ってそっち行った方が楽なのは分かっていたのだが、せっかく少し旧道を来たし、城跡巡りの観点からも当時使っていたルートである旧道を歩いた方が相応しかろうと、そのまま旧道を進むことにした。下りなら急であってもそんなに関係ないし。

こんな感じで最初は普通の歩道っぽかったしね。


ま、5分後には後悔してるんですけどね。
V字に切れ込まれた道は、底には落ち葉がたまっていてその下が分からないし、少し上の斜めのところに足を置こうにも霜柱でグズグズで踏ん張りがきかない。地味に体力を使わされるので、ちょっと後悔。下りで良かったよ。

とは言え、歩きやすい場所でふと振り返ると、歩道にうっすら積もった雪にはぬたりの足跡しかないという、それなりに気分の良い経験をしてたりして気分も晴れますけどね。前には一切足跡がなく、後ろには自分の足跡だけ、ってのは実に気分が良いわ。

その後、沢を渡ったりもしますけども、

道は往時の姿を思わせる感じが続くので、こと下りであればトレッキングとしては基本気分の良い道ですね。和宮道は一度は途中まで車道転用されてますから、道の雰囲気とするとこっちの方が断然いいと思うな。まあ、和宮降嫁なんてイベントをするのに遠回りのバイパスを設けたくなるのは、この旧道歩いていると痛いほどよく分かったけれどもね。下りは結構急だったもの。
そう言えばこのあたりでぬたり以外の足跡もありましたね。

人間のじゃないけどな。これはカモシカですね多分。結局この日、峠道では誰とも会わなかったな。

陣場ケ原、というところで、和宮道と合流。写真は振り返って撮影。右が和宮道。左が旧中山道。和宮道は写真のとおりだらだらと登って行くのに対し、旧中山道はしばらく平坦で(少し下りすらもある)最後一気に上る。そら大規模な行列通過させるのなら避けるわな。

これから歩む旧中山道は車道転用が一時期なされてもいるので、こんな感じで広くなる。けれども幅とすれば車一台がせいぜい。すれ違いは全くできないまま続く。ほとんど消えてはいたが(そして雪の上にはもちろん皆無)、車の轍も見える。まあ、ジムニーあたりが入ってくるんでしょうな。軽クラスじゃなきゃとても怖くて入ってこれないわこの幅。

とか言ってると、旧碓氷峠では有名な廃物件、廃バス車体にコンニチワ。道幅なんてギリギリいっぱいだろうに、よくもまあ、という感じ。

まあ、このあたりはかつて別荘分譲が行われた場所。もちろん、こんなすれ違いも出来ない車の幅ギリギリしかない未舗装道路を数キロ走ってくる山の中を好き好んで買う奴は少なく、当時としても人気は皆無だったんだろうけれどもね。

今でもいくつか別荘の廃墟が建っているがね。写真だとそんなにヤバく見えないだろうけれども、どれもこれも数十年放置されてますから、近づきたいとすら思わないな。
この元別荘地を過ぎると道の下りが増す。旧碓氷峠はそんな感じで坂があってなだらか、坂があってなだらか、という形を繰り返す。この坂は山中坂という、まあ名は体を表す山の中の坂で、下りきると道はなだらかになる。そしてそこにはやはり旧碓氷峠では有名な看板がある。

わざわざ赤い側線が引いてあるのがミソ。実際にはこの先でもジムニークラスならUターンできなくもないんだけども、この看板を境に車の轍がほとんど見られなくなる。

そしてここにはかつて茶屋集落があったそうな。ここの学校には明治初期に25人の児童がいて、御巡幸で小休止した明治天皇が「この様な山中(実際相当な山奥)でも熱心に勉学に励むは関心である。」と25円の奨学金の下賜が、供奉者からはさらに10円の寄付があったそうな。そんな山中の茶屋も、御巡幸の数年後に現在の車道が通る場所のルートに碓氷峠が移ると、一気に無人化したそうですけどもね。

山中茶屋跡を過ぎると道はいよいよ旧街道っぽくはなる。杉の間を延びる歩道はなかなかの雰囲気だけども、残念ながらこれらの杉は後で人間が植林したもんでしょうね。そんな歩道を歩いていると、一か所だけ視界が開けた。

ソービューティフル。
なんとまあ美しい西上州の山並み。こういうのあるんだから、群馬県が魅力ないとか騒ぐ必要ないんだよなあ。ちゃんと魅力はあるから焦る必要ないし、魅力度を上げようと騒ぐ必要もないんだよね。こういう魅力を知らないで騒いでいる馬鹿がいるだけなんだから。

(あともう1回だけ続くのね。つーかまだ目的地の大道寺堀切に着いてすらいないな)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする