OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

春の歌謡フォーク:其の四

2015-04-20 13:58:37 | 歌謡曲

花のように / ベッツイ&クリス (日本コロムビア)

昭和の歌謡フォーク、それも春篇となれば、忘れちゃ~ならないのがベッツイ&クリスが歌う本日掲載のシングル盤A面曲「花のように」でしょう♪♪~♪

実際、昭和45(1970)年春~初夏の大ヒットでありまして、ご存じのとおり、彼女達は前年にハワイから出稼ぎデビューの鮮やかなメガヒット「白い色は恋人の色」で、当時の人気は爆発的でした。

それはカタコトの日本語の歌、ミステリアスなムードさえ滲むコーラス&ハーモニーの魅力、さらにはその頃の日本男児の弱みであった金髪&グラマーという実在感が、時には不条理なほどの倒錯性を提供してくれましたからねぇ~~~♪

この実質的に2枚目となるシングル盤のジャケ写にしても、彼女達のミニスカ姿、その美味しそうな美脚と魅惑の微笑みには無抵抗で高い実用性を感じる仕様なんですから、たまりません♪♪~♪

そして肝心の「花のように」が作詞:北山修&作曲:加藤和彦という歌謡フォークの黄金コンビの手になれば、そのホノボノとした寂寥感が特有の余韻を漂わせることに加え、青木望のアレンジが流行最先端のソフトロックを追及している事もムベなるかな!

ベッツイ&クリスならではの美しすぎるボーカルコラボレーションは、絶品という他はありません。

実は以前、大いに驚いた事のひとつとして、なんとっ!

ベッツイ&クリスが日本で出していたレコードは海外でも主にソフトロックのマニアから人気があるようで、サイケおやじもそんな彼等の知り合いから頼まれて昭和も末頃、ベッツイ&クリスが我が国で残した諸作品を中古屋で漁っていた時期がありました。

告白すれば、サイケおやじはその時、リアルタイムでは普通に楽しんでいたベッツイ&クリスのヒット曲の魅力の真相にようやく目覚めたのが本当のところです。

もちろん様々に集めた彼女達のレコードのジャケットに表現されていた真意(?)も、存分に納得出来ましたですよ♪♪~♪

ということで、喜怒哀楽、様々な気分が錯綜するのが「春」という季節の個性だとしたら、素直にウキウキする事象に「春」という文字が使われているのも自然の摂理なんでしょうか。

そこには当然ながら悪しきことも含まれてはおりますが、人は決して環境では幸せになれません。

自らの心で決めるのが幸せに違いないと思えば、現在のサイケおやじにとってはベッツイ&クリスの歌声も、またそのひとつというわけです。

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春の歌謡フォーク:其の参

2015-04-19 15:09:29 | Singer Song Writer

心の中の / 丸山圭子 (エレック)

AOR歌謡曲というか、元祖ニューミュージックの大ヒット「どうぞこのまま」があまりにも有名すぎる丸山圭子は、しかし昭和47(1972)年の公式デビュー時には女性フォークシンガーの輝ける新星という注目もされていました。

なにしろ当時の芸能界は歌謡フォークのブームが真っ盛り!

その恩恵からアマチュアでも優秀なシンガーソングライターがメジャーデビューはもちろんのこと、所謂インディーズだったエレックレコードからは吉田拓郎や泉谷しげる、古井戸やケメ等々、なかなかの人気者がレコードを出しては売れていた頃でしたから、某ラジオ局主催の「唄の市」なぁ~んていうプロアマ同時出演のイベントも大盛況だったんですねぇ~。

ラジオの深夜放送では、そうした同企画から特にライブ音源もオンエアする番組があったほどです。

で、丸山圭子も件の「唄の市」出身という経歴があるようなんですが、個人的には前述したラジオ番組の中での紹介が、丸山圭子との出会いでした。

それは確かアコースティックギターかピアノだけのシンプルなバックで歌われたものでありながら、サイケおやじとしては、とにかく彼女の声質や節回しの和洋折衷感覚にグッと惹きつけられましたですよ、一発で♪♪~♪

どうやら丸山圭子は近々最初のシングル盤を出すとの話もあり、掲載したのが件のブツというわけなんですが、驚くべきは彼女は単なるボーカリストではなく、持ちネタのほとんどを自作自演するシンガーソングライターであったという事実です。

失礼ながら公式プロフィールでは、この時は18歳だったそうですから、殊更A面曲「心の中の」での初々しくも老成した不思議な歌の世界は、既成のアングラフォークやシャリコマな歌謡フォークとは微妙に異なる感じでして、それこそが後に当たり前となるニューミュージックの概念に重なるものかもしれません。

具体的には、本人自作の楽曲に附された田中正子のアレンジがオーケストラの豪華な使用もあって、正直幾分の暑苦しさを覚えるのとは逆に、丸山圭子のハートウォームな声質や洋楽ポップスをナチュラルに意識させられるメロディ展開がクセになっちまうわけでして♪♪~♪

勇んでレコード屋の店頭で現物に邂逅すれば、おぉぉ~、そこにはサイケおやじのフェチ魂を刺激してくれる「白いセーター姿」の彼女がねぇ~~~♪

しかし残念ながら、売れたとは言えません……。

それでも聴くほどに妙に味わい深くなるのは、田中正子のアレンジには基本的にハリウッドポップス調のキモがある感じで、極言すれば演奏パートに重厚なエコーを施し、リードボーカルを細めにミックスすれば、その頃から大滝詠一が密かに(?)提唱実践しようとしていたフィル・スペクターの音の壁に準拠するポップス歌謡に仕上がっていた可能性さえ、ここにはあるんじゃ~ないでしょうか。

発売されたのは晩秋でしたけど、このライトタッチのラテンビートがニクイばかりの仕上がりは、春真っ盛りにもジャストミートですよぉ~~♪

ということで、ご存じのとおり、丸山圭子の自作曲には最高にオシャレなフィーリングから時代錯誤に陥ったかのような歌謡曲がど真ん中な作品まで混在している中で、既にデビュー翌年に出した最初のLP「そっと私は」には、そうしたものがテンコ盛りでした。

だからこそデビュー曲となった「心の中の」には、様々なエッセンスが入っていて当然!?

機会があれば、皆様にも「心の中の」も収録された前述のアルバムをお楽しみいただきたいと願っておりますが、そこには他にもボサノバ歌謡の名品「お願い」が入っていますので、代表曲「どうぞこのまま」にシビレた皆様であれば、ぜひっ!

う~ん、丸山圭子の声って、せくしぃ~~~♪

本日は、好きだと素直に告白させていただきます。

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春のアイドル歌謡ポップス:其の弐

2015-04-18 13:46:15 | 歌謡曲

いつも片思い / 小林千絵 (キャニオン)

今となっては大阪弁で喋りまくるオバチャンタレント!?

なぁ~んていうイメージが焼き付いている小林千絵ではありますが、昭和58(1983)年春の公式デビュー時にはバリバリのアイドル歌手であり、しかもボーカリストとしての実力が抜群の存在だったと思うのはサイケおやじだけでしょうか。

掲載したのは、その最初のシングル盤なんですが、とにかく作詞作曲:藤田久美子&編曲:大村雅朗によるA面収録の「いつも片思い」を聴けば納得!

如何にも当時のアイドル御用達というライトタッチのシンセサウンドに泣きのギターを絡ませたアップテンポの曲調は言わずもがな、弾むビートをナチュラルに意識した小林千絵の歌の上手さは巧みな節回し共々に天晴の一言だと思いますねぇ~~♪

また、彼女の声質がちょっぴり河合奈保子に似ているところも気にならず、加えて発音が微妙に松田聖子しているあたりは、まさにリアルタイムのアイドルシンガー流行最前線と言えなくもありませんが、それを言ったらミもフタモありゃ~しません。

むしろ幼少期から歌が上手かったらしい彼女が自然に持っていた個性と思いたいわけですよ、サイケおやじは。

しかし、それでも現実は厳しく、結局はアイドルとして大きなブレイクも無いままに、小林千絵は何時しかバラエティ番組の花(?)となり、人気を集めるのですから、これまた何も言えません。

確かレコードはアルバムを含めて、それなりに作られていたんですが、特段のヒットが出せなかったがゆえに、彼女の歌の実力が忘れられている感があるのは悲しいですよ……。

あぁ、願わくば今でも歌い続けていて欲しい!

ということで、個人的に春になると聴きたくなるアイドル歌謡ポップスのレコードを続けて出してみると、ジャケ写ポートレートは矢鱈にカメラ目線のアップが多いという、それもまた所謂80年代アイドルの美しい「しきたり」でありました。

そして当然ながら、それはアナログ盤7吋シングルに特有のピクチャースリーヴゆえのお楽しみ♪♪~♪

例え小さな正方形の世界でも、アイドルにはジャストミートの仕様だったと思うばかりです。

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春のアイドル歌謡ポップス:其の壱

2015-04-17 15:35:59 | 歌謡曲

ときめきTouc Me / 渡辺めぐみ (SMS)

この季節に聴きたいアイドル歌謡ポップスは!?

なぁ~んて、今となっては中高年の酒飲み話のネタかもしれませんが、サイケおやじ的には所謂典型的な80年代アイドルだった渡辺めぐみの歌手デビュー作、つまりは昭和57(1982)年に発売された本日掲載のシングル盤A面曲「ときめきTouc Me」を外すわけにはまいりません。

説明不要かと思いますが、彼女はモデルが本業でしたから、そのスレンダーで男好きのするルックスと性格の良さが滲み出た存在感は、今も忘れられていないはずで、というよりも、現在は会社経営にも携わっているというあたり、周囲から暖かく見守られ続けているんじゃ~ないでしょうか。

何を隠そう、サイケおやじは彼女がアイドルデビューという時期に、ちょっぴりですが仕事で接したという幸運がありまして、こんなに輝きながら、決して気取らずにいられる性格の良さに驚いた印象があります。

逆に言えば、だからこそ芸能界なんていうドロドロした世界でやっていられる彼女の自信の裏打ちにも、なかなか驚いていたわけですが、まあ、それはそれとして、その頃は言うまでもなくアイドル業界が活性化していましたから、数多のライバルの中で生き残っていくには、相当な覚悟があったと思われます。

で、この「ときめきTouc Me」は作詞:竜真知子&作曲:小杉保夫、そして編曲: 馬飼野康二という、まさにリアルタイムのヒットメーカートリオが会心の仕上がりでしょう。

もちろん、彼女の歌唱力に些かの問題点は否定出来ませんが、それゆえに愛着が増しているというのは、贔屓の引き倒しではありません。

う~ん、なんというか、憎めないんですよ、渡辺めぐみ、その人がねぇ~~♪

名曲ゆえに昔ならば競作もあり、また後発のアイドルにカバーされても完全OKのはずが、実は誰が歌っても、彼女ほどのイメージの勢いは演じられないと断じてしまいそうですよ、僭越ながら♪♪~♪

ということで、世の中には性格が悪くて印象深い異性は夥しくも、逆の場合は稀有な幸せでありましょう。

そういう人との出会いは、例えブラウン管の中からであっても、絶対的なものを感じてしまうのでした。

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誰も辞めさせてくれんじゃ~ないの…!

2015-04-16 15:46:08 | Weblog

仕事とはいえ、なんでこんなに監視が厳しいのか……。

映画「仁義なき戦い」における打本組長みたいなもんですよ、今のサイケおやじは!?

本日の1枚の休載も心苦しいばかりです。

あぁ、今週さえ乗り切れば……。

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ゆう子と一緒に月光のグルーヴ

2015-04-15 15:06:42 | 歌謡曲

ムーンライト・タクシー / 浅野ゆう子 (RCA)

1970年代中頃からのディスコミュージックは同時期にブームとなっていたジャズフュージョンと相関関係があり、そのシンプルに踊れないビートが逆に面白かったあたりは、やはり我が国のポップス歌謡にも積極的に転用されていました。

例えば浅野ゆう子が歌う本日掲載のシングル盤A面曲「ムーンライト・タクシー」も、まさにそのひとつとして、発売された昭和51(1976)年にヒットして以降も今日に至るまで、そのイカシたフィーリングはカッコE~~~!

その一言が全てという仕上がりです。

なにしろ作詞:橋本淳&作曲:筒美京平という黄金コンビからの提供は言わずもがな、アレンジに関わったのが筒美御大に加えて萩田光雄とレコーディングの現場で演奏を担当していたであろうサディスティックスであれば、テンションが高く、さらにスマートなイントロから中盤でのお約束のブレイク、そして全篇加速する流れの良さは最高の極みですよ♪♪~♪

とにかくギターのリズムカッティングやベースのブッ飛び、ドラムスやパーカッションの的確な暴れ、おまけにキーボードやコーラスパートの和声感覚のセンスは、まさにプロの技でありましょう。

ちなみに説明不要とは思いますが、サディスティックスとは加藤和彦が結成していたサディスティック・ミカ・バンドから分離独立したグループで、メンバーの変遷が数次あった後、この頃には高中正義(g)、今井裕(key)、後藤次利(b)、高橋幸宏(ds) という顔ぶれだったと推察しておりますが、もちろん各々は凄腕のミュージシャンですから、グループ活動と並行してスタジオの仕事や多くの歌手のバックメンバーに助っ人参戦等々、業界内での評価と信頼も高かったはずです。

サイケおやじは幸運にも当時の彼等の生演奏に何度も接することが出来ましたが、決められた譜面と柔軟なヘッドアレンジの使い分けが本当に上手く、それはアドリブ云々というよりも、暗黙の了解に基づくグループ表現だったとしか思えません。

ですから浅野ゆう子の歌いっぷりも迷いが無いわけで、結果的に「セクシー・バスストップ」「恋のハッスル・ジェット」と続いてきた所謂ディスコ歌謡三部作の最終頂点に相応しい傑作じゃ~ないでしょうか。

ということで、こ~ゆ~浮かれた調子の歌謡曲はサイケおやじの現状には必要不可欠!

皆様からのコメントにお返事も儘ならない不義理を反省しつつ、今しばらくは目の前の享楽に身を委ねる我儘をご容赦下さい。

 み~じかぁ~い 人生ぃぃ~
 楽しみたいのおぉぉぉ~

失礼致しました。

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そりゃ~もう、ブガッティは素敵ですよ♪

2015-04-14 15:58:25 | 歌謡曲

■恋のブガッティ / 沢チエ (RCA)

ここんとこ、ちょっぴりネクラっぽいレコードや嘆き節が多かったので、本日は気分一新!

オシャレに浮かれても許されるご紹介を♪♪~♪

それが昭和46(1971)年に発売された掲載シングル盤A面曲「恋のブガッティ」で、これはもちろんフレンチポップスのシンガーソングライターとして根強い人気のミシェル・フーガンのオリジナル「Balade en Bugatti」の日本語カバーなんですが、とにかくボサロックとフレンチ系ボサノバの素敵な融合を我が国の歌謡ポップスに転用変換した企画の見事さだけでも、これは決定版と思います。

なにしろ訳詩は安井かずみ、そして編曲が馬飼野俊一ですからねぇ~~♪

しかも歌っている沢チエが、キュートなジャケ写のイメージ、そのまんまの声で演じてくれるとなれば、高鳴る心はエクスタシ~♪

てなもんでしょう♪♪~♪

あぁ、幾つになってもサイケおやじは、それで若さを見つけ出してしまうわけですよ、恥ずかしながら。

ちなみに主役たる沢チエについては、それほど知るところもありませんが、当時はテレビのバラエティ番組や雑誌のグラビア等々にもチラチラと出ていた記憶がありますし、一応は元祖グラビアアイドルっぽい活動を展開していたのでしょうが、歌の実力もそれなりにジャズっぽい節回しが感じられたり、リズム感やノリの良さもなかなか好ましいので、しっかりした基礎や素質があると思われます。

なによりも自らのルックスの魅力を活かしきった歌の世界が演じられているのは、その証じゃ~ないでしょうか。

それとこの機会に書いておきたいのが、前述したミシェル・フーガンのあれこれでして、今となっては我が国で昭和53(1978)年にコーラスグループのサーカスが大ヒットさせた「ミスター・サマータイム」の作者として有名でしょう。

しかし、それ以前、例えばデビューした1960年代半ばからのハッピーポップス時代、あるいは1970年代前半のフレンチポップス的解釈によるラテンフュージョンロックをやっていた頃の諸作は、虜になる危険性(?)に満ちていますよ。

告白すればサイケおやじは、ミッシェル・ポルナレフが日本でも爆発的な人気を集めていた昭和40年代後半、その流れの中で洋楽マスコミに紹介された事でミシェル・フーガンに邂逅したのが本当のところですから、前述の履歴は後追いで楽しんだとはいえ、まさかその日本語バージョンのカバーレコードが作られていたなんてのは、驚き以外の何物でもありません。

つまり沢チエの「恋のブガッティ」はリアルタイムでは決して大きなヒットにはなっておらず、それゆえにサイケおやじが掲載の私有盤をゲットしたのは昭和50年代に入っての中古市場、それもジャケ買いだったのが真相です。

ということで、沢チエのレコードが当時、何枚ぐらい作られていたのかは勉強不足で把握出来ていませんが、手元には彼女のLPも1枚ありますし、なんだか今日ではそれが異常とも思える高値で取引されている実状も……??!?!

以下はサイケおやじの推測に過ぎませんが、おそらくは彼女のレコードには山下達郎が参加しているという価値もあるんじゃ~ないか? と思うのですが、いかがなものでしょう。

そして個人的な感想では、沢チエといえば「恋のブガッティ」で決まりっ!

それだけでも満足しているのでした。

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春にはイノセントなフォークも、ねっ!

2015-04-13 13:12:00 | Singer Song Writer

もう春だね / 友部正人 (URC)

「春」は歌謡曲だけじゃ~なくて、アングラフォークでさえも歌いたくなる衝動に満ちた季節なのでしょう。

本日掲載のシングル盤A面曲「もう春だね」は、まさにそのものスバリッ!

ちなみに「アングラ」というのは現代で言うところの「インディーズ」とは似て非なる、ネクラとかマイナーとか、ある意味では表舞台に出られない印象を逆手に活かした状況の中で、それなりに自由な展開がリアルタイムの若者中心に受け入られていた面白さがありまして、もちろんやっている本人達の自己満足と言われれば、それまででしょう。

お金に縁があるとは言い難い厳しさも同様です。

しかし、少なくもと、このレコードが発売された昭和47(1972)年では、我が国の芸能界が空前の歌謡フォークブームで湧いていた頃という好環境ゆえに、それまで局地的にしか知られていなかった優れたシンガーソングライターが挙ってマスコミに紹介され、本日の主役たる友部正人も「詩人」という冠が自然というイメージの自作自演曲がウケていたことは忘れられません。

というよりも、その頃にフォークを志していた者ならば必然として、また自らの音楽を確立せんとしていた者も含めれば、例えば佐野元春が友部正人からの影響を公言していたりするのですから、流石に侮れない存在と思います。

ただし、サイケおやじは当然というか、やっぱり積極的に友部正人を聴くという姿勢は持ち合わせておらず、それでもどうにかラジオの深夜放送で幾つかの歌を聞いていた程度……。

ところがノーテンキな学生生活も終わりを告げる年の春先、例によってロマンポルノを鑑賞しに出かけた映画館のロビーで知り合った仲間のひとりが、友部正人の熱烈な信奉者であり、半ば強引に聴かせられたのが件の「もう春だね」でした。

しかも、それはレコードじゃ~なくて、どっかで隠密録音してきたというプライベートなカセットテープ音源だったのですから、熱の入り方が尋常ではありません。

おまけに自分でもギターやハーモニカを習得し、友部正人のコピーに勤しんでいたという現実まで知ってみれば、その信心には敬意を表する他はなかったほどです。

さて、そこで「もう春だね」は友部正人の自作自演で、当然の如くボブ・ディランっぽい節回しとシンプルなギタースタイルが絶妙の説得力に満ちているのは、やはり歌詞の魅力かもしれません。

諸事情から、一節も歌詞を書いておくことは出来ませんが、不思議なほどホノボノした春のイメージとギスギスしそうな人間関係がミスマッチ的に調和したような感じにサイケおやじは聴いてしまいますし、そこには友部正人ならではの自然体を装った情熱が蠢いていると思えば、おそらくは熱烈なファンからの顰蹙とお叱りは覚悟せねばならないでしょうか。

これまでも度々拙ブログで書いてきたとおり、サイケおやじは基本的にアングラ系のフォークソングは積極的に好きになれませんが、友部正人には妙に心を惹かれてしまうことを告白させていただきます。

ということで、最後になりましたが、掲載の私有盤は最近になってネットオークションで纏め売りされていたシングル盤の山の中から発見したブツで、恥ずかしながら胸が熱くなりましたですよ。

なにしろ、ここまで書いていながら、友部正人のレコードが手元にやって来たのは、これが初めてでしたからっ!

おぉ~、ジャケ写は出番前の控室の様子でしょうか、おそらくはギブソンをチューニングしている姿がシブいですねぇ~~♪

なんだか友部正人のレコードを集めたくなっている自分が怖くなっているのでした。

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さすらいの心に滲みる歌謡曲

2015-04-12 13:59:54 | 歌謡曲

さすらいのバロック c/w 日曜日の朝落ち葉が / 范文雀 (クラウン)

何時になっても漂泊していると感じるのはサイケおやじの僻みなんでしょうが、だからこそ、気分にジャストミートのレコードを選んだり、鑑賞したりする楽しみは倍加すると書けば、やっぱり妙なレトリックを用いてるにちがいないわけですが……。

それを承知でご紹介させていただくのが、本日掲載のシングル盤です。

まずはジャケ写ポートレートに登場している范文雀のクールビューティな面立ちにシビレるでしょう♪♪~♪

発売されたのは昭和47(1972)年ですから、彼女のファッションが当時の梶芽衣子の代名詞として流行した「さそりファッション」をど~しても想起させられるのは賛否両論かもしれませんが、范文雀にもオリジナルが如き相応しさが感じられのですから、たまりません♪♪~♪

そして聞かせてくれるのが、彼女ならではのアンニュイなヘタウマ歌唱なんですねぇ~♪

しかも収録両面2曲とも、ヨーロピアン調のセミクラシック風ポップス歌謡に仕上がっておりまして、特に作詞:ちあき哲也&作編曲:三木たかしが提供のA面「さすらいのバロック」は、せつなくも哀しい喪失感が四季の移ろいに重なる漂泊の傷心、それが心に染み入りますよ。

もちろんここでは「おんな心」ではありますが、しかし、さすらう心象風景に男女の境目は不要でありましょう。

とにかく聴いているうちに感傷に溺れそうなる現在の自分が怖くなるほどです。

また、その意味でさらに素晴らしいのが作詞:伊勢正三(!)&作曲:値一滴、そして編曲:小山恭弘による「日曜日の朝落ち葉が」のクールな捨て鉢フィーリング♪♪~♪

当然というか、こちらもイージーリスニングなヨーロピアンサウンドに彩られている中、感情を抑えた范文雀の棒読み台詞歌唱が冴えまくりとあっては、自ずとその世界に惹き込まれてしまうのもムベなるかな!?!

なにしろ間奏では、媚びる寸前ギリギリの語りまで披露してくれるのですから、これぞっ! 女優レコードの真価真髄と思うばかりです。

ということで、何かと身辺が落ち着かないサイケおやじにすれば、こ~ゆ~刹那の音盤に縋る時こそが、今は至福です。

近況報告としては昨夜、旅から帰宅し、今朝も各所に出向くスケジュールに追いまくられている中、もしも好きな音楽や映画、エロスの楽しみが持てなくなったとしたら、それこそ断末魔でしょう。

そうした時間を捻り出すことに腐心するのが、生きている証なのかもしれません。

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のたりのたりと旅してます

2015-04-11 15:10:38 | Weblog

移動中のため、本日の1枚の休載、ご理解下さいませ。

今年は桜が目にしみる……。

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