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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

昨日の続きのマイルス箱

2007-12-11 15:22:24 | Weblog

連日、理解不能な事件が多発する世相とはいえ、朝青龍のレイプ事件報道には……。誰だって多かれ少なかれ、過去にはキズがあるわけですが、4~5年前の事を持ち出されるというのは、よっぽど人望がなんでしょうか……。

ということで、本日は昨日に引き続き、マイルス・デイビスのライブ箱から、「Disc 2」をご紹介致します――

The Complete Live Recordings 1956 - 1957:Disc 2 / Miles Davis (united archives)
 

1956年7月21日、セントルイスからの放送録音
 01 Oleo
 02 Airegin - The Theme
 03 The Theme

 「Disc 1」の続きで、もちろん「at Peacock Alley(VGM)」にも収められていた演奏ですが、そこでは誤記されていた曲名が訂正されています。音質は両者の比較でも五分五分で、チャチな雰囲気ですが、演奏そのものは極上♪ フィリー・ジョーのブラシが冴える「Oleo」には熱くさせられます。
 ちなみにメンバーはマイルス・デイビス(tp)、ジョン・コルトレーン(ts)、レッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) というオリジナルクインテットです。

1956年11月12日、JATP欧州巡業
 04 Tune Up
 05 What' New
 ノーマン・グランツが主催したJATPの欧州巡業に参加したマイルス・デイビスが、現地調達されたリズム隊と共演した演奏です。メンバーはマイルス・デイビス(tp)、Rene Urterger(p)、Pierre Michelot(b)、Christian Garros(ds) というワンホーンセッション♪
 リズム隊もビバップっぽい熱気があり、マイルス・デイビスも快調に吹きまくる「Tune Up」、得意の思わせぶりが良い「What' New」と好演です。
 ちなみに音質は良好で、普通に聴けます。
 06 How High The Moon
 これが凄いメンバーによる演奏で、ジョン・ルイス(p)、ミルト・ジャクソン(vib)、パーシー・ヒース(b)、コニー・ケイ(ds) というMJQにレスター・ヤング(ts) とマイルス・デイビス(tp) が加わっています。
 ただしレスター・ヤングがボロボロのヨタヨタですから、先発のアドリブなんか正直、聴いていられません。
 しかしマイルス・デイビスが登場すると、がぜん演奏は白熱! 観客からも大拍手です。MJQの活躍がほとんど無いのが残念です。
 07 Lester Leaps In
 これまで記載したメンツが全員集合し、さらにオーケストラまでも加わった大合奏ですが、主役のレスター・ヤングが……。
 しかしマイルス・デイビスは、それなりの熱演ですし、ミルト・ジャクソンとMJQが良い仕事をしています。正体不明のトロンボーン(?)やアルトサックスも熱演です。

1956年11月19日、JATP欧州巡業
 08 Four
 09 Walkin'
 10 Lady Be Good

 これもJATP欧州巡業からの音源で、メンバーはマイルス・デイビス(tp)、レスター・ヤング(ts)、Rene Urterger(p)、Pierre Michelot(b)、Christian Garros(ds) という正統派クインテットですが、レスター・ヤングが相変わらずヨタヨタですから、最後の「Lady Be Good」にしか入っていません。ですから、「Four」と「Walkin'」はマイルス・デイビスが独壇場のハードバップ! 実に良い雰囲気です。いずれも3分に満たない演奏なのが勿体ない!!!
 また「Lady Be Good」でもマイルス・デイビスは好調で、レスター・ヤングも刺激を受けたのか、なんとか面目を保ったような……。
 気になる音質は普通に聴けるレベルです。

1956年12月8日、フィラデルフィアからの放送録音
 11 Tune Up
 12 Walkin'
 欧州から帰米したマイルス・デイビスが、再びクインテットを率いて出演した「ブルーノート」からのライブ音源で、メンバーはオリジナルクインテット♪
 音質は、まあまあですが、演奏全体の勢いは流石で、マイルス・デイビスも安心してやっている感じです。またジョン・コルトレーンはウネウネクネクネ、レッド・ガーランドは手慣れた雰囲気で……。
 そして「Walkin'」はバンド全体のグルーヴが秀逸! ジョン・コルトレーンは問題のシーツ・オブ・サウンドの片鱗を聴かせてくれますし、レッド・ガーランドは十八番のブロックコード弾きが冴え、ポール・チェンバースのベースソロはド迫力です。

1957年7月13日、ニューヨークからの放送録音
 13 Four
 14 Bye Bye Blackbird
 15 It Never Entered My Mind
 16 Walkin'

 御馴染み「カフェ・ボエミア」に出演した時の音源で、メンバーはマイルス・デイビス(tp)、ソニー・ロリンズ(ts)、レッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds) という物凄さ! 実はこの時期、ジョン・コルトレーンとフィリー・ジョーは悪いクスリの所為で、バンドをクビになっていたのです。
 そして演奏は素晴らしい出来で、緊張感と熱気に満ちています。録音も決して良くはないのですが、不思議な迫力があり、如何にもハードバップという音になっているんですねぇ。
 もちろんソニー・ロリンズは豪快に縦横無尽の大活躍♪ アート・テイラーもパワー派の面目躍如という大車輪ドラミングですから、たまりません♪ あぁ、何度聴いても熱くなります。最初の「Four」から、グッときますよ。
 リズム隊もブレスティッジでは常連の「レッド・ガーランド・トリオ」になっていますから、グルーヴィなのはお約束♪
 肝心のマイルス・デイビスは完全にソニー・ロリンズに押されていますが、「Bye Bye Blackbird」ではミュートの魅力、「It Never Entered My Mind」では繊細な感性を存分に発揮した名演です。
 ただしオーラスの「Walkin'」は、実は「12」と同じ演奏なので要注意! 何故か音質は向上しているんで、まあ、いいか……。

ということで、この「Disc 2」も様々な問題を含んではいるのですが、最終セットのクインテット演奏を聴けるだけで価値があると思います。

もちろん収録演奏は全て既発ばかりですが、リマスターが相等に良いので、安心感があるのです。

とにかくトラック「13」の「Four」は絶対に聴いていただきとうございます。

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マイルス・デイビスのライブ音源箱 part 1

2007-12-10 16:26:53 | Weblog

おやじバンドの疲れが出たわけでもありません。ただ、なんとなくノリが悪い1日でした。注意力が散漫散漫……。

ということで、本日もプライベート音源集です――

The Complete Live Recordings 1956 - 1957 / Miles Davis (united archives)
 

マイルス・デイビスのクインテットを中心とした放送音源やプライベート録音を纏めた4枚組CDで、紙製の箱に入れられています。

資料的には、既発音源ばかりですが、新たにリマスターされて聴きやすくなったところもありました。

とりあえず本日は「Disc 1」をご紹介致します――

☆1956年2月18日、パサディナ公会堂
 01 Walkin'
 02 Max Is Making Wax
 03 It Never Entered My Mind
 04 Woody‘n’You
 05 Salt Peamuts
 2005年に出た「ラウンド・ミッドナイト / レガシーエディション(Columbia)」のボーナストラックと同じ演奏かと思われますが、そこにあった司会者のMCはカットしてありますし、曲順も一部異なっています。
 しかし音質的には同等で聴き易く、しかも演目の流れは、こちらが自然だと思うのですが……。
 ちなみにメンバーはマイルス・デイビス(tp)、ジョン・コルトレーン(ts)、レッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) という所謂オリジナルクインテット♪ ジョン・コルトレーンが必死の頑張りで好感が持てますし、リズム隊の纏まりも流石だと思います。
 神妙な「It Never Entered My Mind」では、イントロから観客の笑い声が聞こえますねぇ。なにがあったんでしょう? しかしマイルス・デイビスは最高!

1956年7月14日、セントルイスからの放送録音
 06 Ah-Leu-Cha
 07 All Of You
 08 Woody‘n’You
 09 Walkin'
 これも既に「at Peacock Alley(VGM)」というブートCDに収められていた音源をリマスターしたものです。タイトルどおり、セントルイスにあった店からの放送録音なので、音質は良くありません。団子状の音の中から各楽器が聞き分けられる程度なんですが、演奏は熱気満点! 僅かながら前述したCDよりは音質が改善されています。
 ただしプログラムの中からリズム隊だけの演奏、つまりレッド・ガーランド・トリオの部分が、ここには収められていませんので、「at Peacock Alley(VGM)」の価値は落ちませんね。
 ちなみにメンバーは前述したオリジナルクインテットで、演奏は不安定になりがちです。しかし「The Rhythm Section」と賞賛されていたリズム隊が、このバンドの生命線だったことが痛感されます。

1956年7月21日、セントルイスからの放送録音
 10 Two Bass Hit
 11 Well, You Needn't
 12 All Of You
 これも前述したセッションの続きで、エアチェック音源ですから、音質は良くありません。「at Peacock Alley(VGM)」との比較でも五分五分でしょうか。演奏も相等にバラケた部分があります。
 まあ、こんな団子状の音から、それが分かるというのも凄いわけですが……。

ということで、この「Disc 1」は、それほど内容的には良いとは思えません。スバリ、マニア向けでしょう。

しかし、このセットには他に凄い演奏が入っていますので、明日も続けます。

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プライベート録音

2007-12-09 16:41:06 | Weblog

昨日のおやじバンドのライブは、散々でした。が、しかし、演じている本人達が楽しければ、それで良いじゃないか! と開き直っています。

それでもライプ録音した演奏を聴いていると、額に汗が滲みますねぇ……。

ということで、本日はプライベート録音の傑作盤を――

The Early Show / Art Pepper (Xanadu)

アート・ペッパーが花形プレイヤーだったスタン・ケントン楽団を辞め、1952年に自己のバンドを結成した頃のライプ音源を発掘したアルバムです。

それはボブ・アンドリュースという熱心なジャズファンによって録音されたプライベートなテープが元ネタになっていますが、発売されたのは1976年頃でしたから、それなりに音の補正や編集が加えられています。特に拍手の部分は完全にフェードアウトされていますので、ライブ盤という趣が無くなっているのは、賛否両論でしょう。

録音は1952年2月12日、ハリウッドにあった「サーフクラブ」という店のセッションで、メンバーはアート・ペッパー(as,cl)、ハンプトン・ホーズ(p)、ジョー・モンドラゴン(b)、ラリー・バンカー(ds,vib,per) という素晴らしいカルテットです――

A-1 How High The Moon
A-2 Suzy The Poodle
A-3 Easy Steppin'
A-4 Tickle Toe
A-5 Patty Cake
A-6 Move
B-1 All The Things You Are
B-2 Don't Blame Me
B-3 Surf Ride
B-4 Rose Room
B-5 Suzy The Poodle

結論から言うとアート・ペッパーは、このセッションの翌月にオフィシャルな初リーダーセッションをディスカバリーレーベルに録音していますが、すでにそのレパートリーの一部として「Suzy The Poodle」「Tickle Toe」「Surf Ride」が演じられているのは興味深いところ♪

アート・ペッパーの演奏は、後年の陰影に彩られた繊細な表現はイマイチながら、猛烈なドライブ感と独特のノリ、さらに溌剌とした歌心が眩しいほどです。チャーリー・バーカーの語法を使っていながら、所謂パーカーフレーズがほとんど出ないのも凄いと思います。

共演者ではハンプトン・ホーズが熱気あふれる好演ですし、ラリー・バンカーはドラムスの他にヴァイブラフォンが実に良い味わいで、「Patty Cake」は名演でしょう。

ということで、実は金色インクを使ったジャケットは、ザナドゥというレーベルの持ち味でした。そして新録音は銀色を使っていましたですね。

そこでアート・ペッパーには、もう1枚、「The Late Show」という続篇アルバムもありますから、合わせて楽しみませう。

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今日は・・・

2007-12-08 08:31:55 | Weblog

ジョン・レノンの命日、合掌。 

そしていよいよ、おやじバンドのライブです。不遜にもジョン・レノンを追悼して「Satnd By Me」を演奏致します。他にもイーグルスの「2人のクリスマス」とか、季節物を♪

朝からテンションを高めるために「イマジン」聴いています。

ジョン・レノンは決して聖人君子ではないし、人並みの煩悩と欲望に苦しめられていたと思いますが、素直に自分を吐露した生き様は羨ましいです。

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こんなにギターが弾けたらなぁ~

2007-12-07 16:39:05 | Weblog

朝から仕事に追われ、対人関係もゴタゴタが多く、さらに夜には2つほど宴会に顔を出さねばならないし……。

しかし、明日はいよいよ、おやじバンドのライブイベントが予定されています!

ということで、本日はテンションを高めるために、これ聴きました――

Elegant Gypsy / Al Di Meila

アル・ディ・メオラは1974年にチック・コリアのバンド、新生リターン・トゥ・フォーエバーのレギュラーに抜擢され、一躍注目を集めたギタリスト! そのスタイルはロック系ながら、超絶技巧による猛烈な早弾きフレーズの嵐は、フュージョン全盛期の象徴でもありました。

もちろん本人の幅広い音楽的な視野も評価されるべきなんでしょうが、中でもチック・コリアと共通するラテン志向は、単なるハードロックギタリストにはない魅力を備えていました。

このアルバムは2枚目のリーダー作品で、ラテンロックのフュージョン的展開に加えて、進化したエスニック志向とハードなビートの融合が歓喜悶絶の仕上がり♪ 忽ち「ギターの聖典」になっています。

録音は1976年12月~1977年1月頃とされ、メンバーはアル・ディ・メオラ(g,per) 以下、ヤン・ハマー(key)、アンソニー・ジャクソン(el-b)、スティーヴ・ガッド(ds,per)、レニー・ホワイト(ds,per)、バリー・マイルス(key)、ミンゴ・ルイス(per,key) という超絶技巧集団を中心に、特別ゲストとしてパコ・デ・ルシア(g) が参加しています――

A-1 Flight Over Rio
 甘美な思わせぶりから情熱のラテンビート、そして激烈なロックフュージョンへと劇的に盛り上がっていく演奏には、サンタナやジェフ・ベック、そしてチック・コリアやジョン・マクラフリンといった先達がやってきたことへの敬意と挑戦が感じられます。
 ディ・メオラのギターからは、めくるめくフレーズが連発され、それが果てることの無い奔流となっていきますから、鬼のようなリズム隊も圧倒され気味……。しかしヤン・ハマーの鋭角的なツッコミ、暗く蠢くアンソニー・ジャクソン、ガッチリと根底を支えるミンゴ・ルイスは流石だと思います。スティーヴ・ガッド、頑張れっ!

A-2 Midnight Tango
 これまた甘く、せつないラテンロックですから、たまりません♪ 哀愁のメロディを奏でるディ・メオラのギターには透明感があって、しかも幾分エキセントリックな音色にグッときます。
 ミディアムで躍動的なラテンビートを出してくるリズム隊も流石で、中盤での仕掛けも難無くこなし、特にシャープで重心の低いレニー・ホワイトのドラミングは最高ですねぇ。
 あぁ、この曲あたりはサンタナとの共演が聴きたくなります。

A-3 Mediterranean Sundance / 地中海の舞踏
 このアルバムのハイライト!
 フラメンコフュージョンとでも申しましょうか、その道の巨匠であるパコ・デルシアと生ギターで炎のデュオを聞かせるディ・メオラの物凄さ! その前段として用意されている打楽器による短いイントロも良い演出です。
 このアルバムが発売された1977年はフュージョン全盛期で、それなりに批判も渦巻いていましたが、この演奏だけは万人をKOしています。
 右チャンネルのディ・メオラ、左チャンネルのパコ・デルシア! 哀愁のテーマメロディを超絶技巧で過激に変奏していく展開は、まさに情熱の嵐! どこまでがアレンジか即興か、全く不明な恐ろしさが凄いですねぇ~~~♪
 告白すれば、私はこの演奏でパコ・デルシアを知りました。そして忽ち虜になったというわけです。

B-1 Race With Devil On Spanish Highway
 激烈なハードロックフュージョンですが、ミンゴ・ルイスのパーカッションが暴れまくりというラテンビートが恐いところ! 徹底したキメは一糸乱れず、レニー・ホワイトのドラミングは大技・小技の乱れ打ち!
 聴いていてスカッとしますが、カーステレオでは危険ですよ。暴走注意! ディ・メオラのギターは左右に飛び、テンポは自在に変化していくのでした。

B-2 Lady On Rome, Sister Of Brazil
 ディ・メオラが生ギターで短く演奏する、まあ次曲への繋ぎなんですが、魅惑のメロディばかりですから、たまりません。もっと長く聴きたい……。

B-3 Elegant Gypsy Suite / エレガント・ジプシー組曲
 と思ったところで始るのが、この組曲です。
 重厚なテーマメロディと凝ったアレンジ、ハードな演奏には疲れる瞬間もありますが、シャープなリズムのキレがありますから、ついついノセられてしまいます。
 ディ・メオラのギターは甘美な音色、ドライヴしまくったフレーズの連射、怖ろしいキメ、そして変幻自在の存在感が強力です。もちろん多重録音を使っているんでしょうが、それでも圧倒的なスリルがいっぱい! 胸が熱くなるような展開です。

ということで、アルバム全体が物凄い完成度! そして全てのアレンジ&プロデュースをディ・メオラ本人がやっているんですねぇ。全く仰天させられます。

またエレキばかりでなく、生ギターも存分に聞かせてくれるところにも、リアルタイムで驚かされました。そして後にはパコ・デルシアとジョン・マクラフリンを加えた生ギタートリオまで結成し、驚愕のライブをやってしまうのでした。

あぁ、こんなにギターが弾けたらなぁ~~。

まずは「地中海の舞踏」を聴け!

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激烈フィリー・ジョー!

2007-12-06 17:53:55 | Weblog

今日は疲れる暇も無いほどに忙しかったです。それは土曜日に予定されているバンド演奏への序奏というか、どーしても本日中に片付ける仕事が多く……。

まあ、今夜もちょっと練習行きますけど、その前に、こんな激烈盤を聴きました――

The Fabulous Slide Hampton (Pathe / EMI)

スライド・ハンプトンは黒人のトロンボーン奏者で、アレンジにも秀でているところからビックバンドでの活動も多く、また同業者には J.J.ジョンソンという偉大な先輩名人がいますから、いまひとつ人気がパッとしません。

しかし、このアルバムは決定的な大名演として、長らくジャズ喫茶の定番になっているはずです。

録音は1969年1月6日、フランスでのセッションで、メンバーはスライド・ハンプトン(tb)、ヨアヒム・キューン(p)、ニールス・ペデルセン(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) という豪傑揃い! 結論から言うと、烈しく突っ込んだ豪快な演奏ばかりが繰り広げられているのです――

A-1 In Case Of Emergency
 いきなりバンドが一丸となった爆発的な演奏が始り、大団円に向かって疾走して行く勢いに圧倒されます。それは野太いベースワークのニールス・ペデルセン、ウラウラと唸りながら厳しいコードをブチ込んでくるヨアヒム・キューン、そしてスピード感満点のシンバルワークで襲い掛かってくるフィリー・ジョーという、ド迫力のリズム隊が原動力!
 そしてスライド・ハンプトンの爆裂トロンボーンが歌心も下心も隠せないという豪快なアドリブを聞かせてくれますから、これを聴いて悶絶しないジャズ者はいないでしょう!
 続くニールス・ペデルセンのベースソロも恐さがいっぱい! その背後では、一切の妥協を許さないドラミングでフィリー・ジョーが睨みを効かせています。
 さらにそこへ斬り込んで来るのがヨハヒム・キューンの支離滅裂でスジの通ったメチャピアノですから、たまりません。しかし絶対にフリーにはならないんですよねぇ~~♪ ヒェェェェェェ~♪ 物凄いスピード感で絡み合うリズム隊の恐ろしさ!
 演奏はこの後、リフを挟んでフィリー・ジョーが渾身のドラムソロ! ハードバップも新主流派も超越した、当にフィリー・ジョーが一代の名演を聞かせてくれるのでした。歓喜悶絶!!! 

A-2 Last Mimute Blues
 おっ、これは♪ そうです、ダスコ・ゴイコビッチ(tp) が、あの人気盤「アフターアワーズ(Enja)」で演じていた白熱のハードバップブルース! そのオリジナル演奏が、これだと思われます。
 もちろん、ここでの演奏は前曲の熱気を引き継いだ凄まじい展開で、恐いリズム隊の直線的なグルーヴに煽られながら、スライド・ハンプトンが一気呵成に突進するのです。バババババハァ~~、と吹きまくるんですから、聴かずに死ねるかっ!
 そして唸りながらピアノを極限まで鳴らすヨハヒム・キューンには、発狂寸前に追い込まれます! 我関せずとしてウォーキングするニールス・ペデルセンの冷静さと、烈しく襲い掛かってくるフィリー・ジョーのコントラストも凄いですねぇ。
 ちなみにフィリー・ジョーはハードバップのドラミングより一歩進んだスタイルになっているんですが、本質は独自のクッションを失っていないという素晴らしさ! ここでのドラムソロはヤケクソ寸前の潔さで、見事に場を盛り上げています。

B-1 Chop Suey
 これまた恐いフィリー・ジョーのシンバルワークが最高のイントロとなってスタートする爆裂演奏です。それは当時の流行だったアフロ系のモード曲なんですが、意外に親しみ易いテーマメロディが憎めません。
 しかしアドリブパートは、またまた猛烈な勢いでブッ飛ばしです。なにしろヨアヒム・キューンの指が動いて止まらず、楽想が泉のように湧きあがってくる様子が、見事に録音されています。あぁ~~、こんなアドリブ、ありですかぁ~~。
 するとスライド・ハンプトンが、全く疲れ知らずの全力疾走! それを支えるベースとドラムスが痛快過ぎる4ビートを送り出しているあたりにも、心底、シビレます♪

B-2 Lament
 先輩のJ.J.ジョンソンが書いた哀愁の名曲に敢然と挑んだという、勇気ある演奏です。
 しかしヨアヒム・キューンは、相変わらず既成の伴奏から逸脱し、好き勝手にやっているんですねぇ~。これにはフィリー・ジョーも苦笑いというか、必死にビートを維持していく様が微笑ましく、ニールス・ペデルセンが両者を取持つ感じです。
 肝心のスライド・ハンプトンは、リズム隊の熱気に押され気味とは言え、独自の歌心を大切にしていると思います。

B-3 Impossible Waltz
 オーラスはタイトルどおりにワルツテンポなんですが、フィリー・ジョーのドラミングが強烈に自己主張していますから、演奏は和みを排除して、烈しい方向へ!
 う~ん、それにしても、このリズム隊は強力過ぎて……。こんなに先鋭的なフィリー・ジョーには、ちょっと既成概念を覆されるほどです。またヨアヒム・キューンの我侭なピアノにも眩暈を誘発させられますねぇ~。
 突如としてブチ切れで終わる演奏が、かえって潔い感じです。

ということで、アルバム丸ごとが烈しく盛り上がった内容ですから、ジャズ喫茶の大音量で聴けば、必ずや悶絶されるでしょう。心地良い疲労感も保証付き♪

こういう遠慮の無い作品も、ジャズには必要だと痛感しています。

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愛の苦しみ

2007-12-05 17:05:34 | Weblog

いよいよ忘年会のシーズンで、本日は若い者のパーティへ景品提供を頼まれたり……。

そんなことにエネルギーを使わないで、目の前の仕事に集中してもらいたいんですが、私も若い頃は仕事より娯楽でした。そして、今もそうなんですから、黙っている他はありません。

ということで、本日は――

Look Out For Evans Bradshaw ! (Riverside)

所謂「幻の名盤」の中で、特に私的には長い間、鑑賞する機会に恵まれなかったのが、このアルバムでした。

主役のエバンス・ブラッドショウはフィニアス・ニューボーン系の凄腕ピアニストで、2人は共にメンフィス育ちの幼馴染! ですからテクニックも感性も似た者同志なんでしょうが、フィニアス・ニューボーンが様々な障害によって演奏活動を中断されつつも、常に第一線にあったのとは逆に、エバンス・ブラッドショウは僅か2枚のアルバムを残しただけで表舞台から消えています。

結論から言えばエバンス・ブラッドショウには、フィニアス・ニューボーンのような輝かしい天才性よりも、その場限りの刹那の凄みみたいな印象を感じます。

この作品はデビュー盤で、録音は1958年6月9日、メンバーはエバンス・ブラッドショウ(p)、ジョージ・ジョイナー(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) という真っ黒なピアノトリオ! 特にベースとドラムスの強力な存在感は、ハードバップの真髄といって過言では無いと思います――

A-1 Georgia On My Mind
A-2 Hallelujah !
A-3 The Prophet
A-4 Love For Sale
B-1 Coolin' The Blues
B-2 Blueinet
B-3 Angel Eyes
B-4 Old Devil Moon

――しかし、それゆえなのか、聴いていても、ちっとも和めません。というよりも、私はすっかり疲れてしまうんですねぇ……。

例えばド頭の「Georgia On My Mind」は激烈なテンポでガンガン弾きまくるエバンス・ブラッドショウのバカテクに驚愕させられるのですが、原曲の美しい雰囲気が蔑ろにされていると感じます。

ちなみにエバンス・ブラッドショウのピアノスタイルには、既に述べたようにフィニアス・ニューボーンと同様、両手ユニゾン弾きのアドリブとか派手なコードの使い方、さらに強弱のはっきりしたタッチ等々、相等に説得力があるのですが、イマイチ様式美に落ち込んでいるような……?

またブルースフィーリングがハンプトン・ホース直系というか、ほとんど同じアドリブフレーズでの歌わせ方が特徴的! それはハンプトン・ホースのオリジナル曲「Coolin' The Blues」で完全なる告白になっているほどです。それと自作の「The Prophet」を聞き比べるのも一興かと思うほどなんですねぇ~。

しかし全体を貫く真っ黒な演奏は、やはりハードバップの醍醐味がギッシリ! 強靭ベースワークでビンビンブリブリと暴れるジョージ・ジョイナー、奔放に敲きまくるフィリー・ジョーは大いに魅力です。

そしてエバンス・ブラッドショウは、どちらかと言えば次作「ピーセス・オブ・エイティ・ナイト(Riverside)」の方が人気盤として認知されているとおり、あまりにも生真面目です。それゆえに生硬な歌心が面映い「Love For Sale」とか「Angel Eyes」が……。

ちなみに1970年代後半のある日、知人がこのアルバムを入手したとの朗報から、礼を尽くして聞かせてもらった時には、やはり感動がありました。あぁ、自分は幻の名盤を聴いている!

という私ですから、これが我国でCD化された時には速攻で入手したわけですが……。

けっして悪いアルバムではなく、如何にもハードバップという音の魅力も存分に楽しめます。ただ、自分の感性からチョイズレなんでしょうねぇ。

ジャズを愛するって、苦しい……。

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結果オーライ

2007-12-04 15:56:20 | Weblog

またまた昨夜は五輪野球の予選で熱くさせられましたですねぇ。一時はヒヤヒヤでしたが、終わってみればメデタシ♪

実はバンド練習で集ったメンバーも、とてもリハなんか出来る精神状態ではなく、テレビにクギヅケだったのです。

もちろん今日も朝から、そんな話題ばっかりですね。

ということで、本日は――

Jackie's Bag / Jackie McLean (Blue Note)

ジャズのアルバムは瞬間芸の記録だけに、たった1日だけで作られたものが少なくありません。そして逆に言えば、録音年月日が離れている演目が収められた作品は、何らかの裏事情が推察出来たりします。

これは、じっくりと製作期間が長いポビュラー&ロック系のアルバムとは異なる、ジャズの世界の決まり事かもしれません。

で、そうした1枚が、本日のアルバムです。

内容は黒人アルトサックス奏者の人気者というジャッキー・マクリーンのリーダー盤ですから、熱いハードバップは「お約束」と思わせながら、実は???という演奏も含まれています。

もちろん参加メンバーは名門ブルーノートらしく、魅惑の面々が揃っているのですが、既に述べたように録音年月日が大きく離れた2つのセッションから仕立上げられているのです――

A-1 Quadrangle
A-2 Blues Inn
A-3 Fidel
 以上3曲の録音は1959年1月18日、メンバーはジャッキー・マクリーン(as)、ドナルド・バード(tp)、ソニー・クラーク(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) という、夢のようなクインテットですが……。
 結論からいうとソニー・クラークが絶不調! 全く精気が感じられない「Blues Inn」なんかは、もう耳を覆いたくなります。アドリブソロはおろか、伴奏もビート感が全く無いんですねぇ……。同じく「Fidel」もインスピレーションの欠如とミスタッチが……。
 しかし流石は超一流のメンバーが揃っていますから、演奏そのものはガッチリと纏まっており、特にフィリー・ジョーが熱演! 唯一無二という独自のクッションが冴えまくりですし、ホーンの2人も良いフレーズと情熱の発露が見事だと思います。
 それが如実に現れたのがド頭の「Quadrangle」で、なんとソニー・クラークが入ってないピアノレスのカルテットで、幾何学的なテーマと演奏を構築しているのです。それはスピード感に満ちたボール・チェンバースと鋭いツッコミを入れるフィリー・ジョーの素晴らしさ! 擬似フリーの緊張感をはらんだジャッキー・マクリーンとドナルド・バードの意気込みが強烈で、ズバリ名演だと思います。
 このあたりはケガの功名なのか? 真相は不明ですが、あえて不完全なセッションを公にした会社側の思惑は、この「Quadrangle」の凄さに集約されているのではないでしょうか。

B-1 Appointment In Ghana
B-2 A Ballad For Doll
B-3 Isle Of Java
 このB面はガラリとメンバーを換え、ブルー・ミッチェル(tp)、ジャッキー・マクリーン(as)、ティナ・ブルックス(ts)、ケニー・ドリュー(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds) という、ワクワクさせられるセクステットです。ちなみに録音は1960年9月1日ですから、A面のセッションからは、かなり時間の隔たりがあるのです。
 しかしジャッキー・マクリーンの情熱は狂おしいまでに素晴らしく、しかも新しい感覚を入れてクールに吹きまくり! ちなみにこのセッションは本来、ティナ・ブルックスが主役だったという噂もありますが、そんなのカンケーねぇ~!
 ちょっとモードが入った「Appointment In Ghana」は思わせぶりなイントロから過激なテーマが印象的ですし、神妙に黒っぽさを追求していくバンド全員の潔さ! 特にブルー・ミッチェルが良い味だと思います。
 また「A Ballad For Doll」はケニー・ドリューが、ちょっと勿体ぶったミステリアスなテーマからアドリブを発展させていく、新主流派の演奏! 続く「Isle Of Java」はモードを使っていながらハードバップの味わいが失われていません。リズム隊のシャープな切れ味は特筆ものかと思います。

ということで、両面ともに新しい感覚が滲み出た仕上がりです。恐らく発売されたのは1961年以降だと推察しておりますが、ならば時代にはジャストミートの1枚だったはずです。

ブルーノートという会社の製作は、録音セッション前には必ず綿密な打ち合わせとリハーサルがあったというのが今では定説ですから、A面の演奏がリアルタイムではボツっていたのは納得でしょう。

それが偶然か否か、新感覚の演奏となり、上手くB面のセッションと抱き合わせとなったのは、流石だと思います。ちなみに本来は6曲完成していたB面のセッションからは、「ストリート・シンガー(日本キング)」という幻のアルバムが日本優先で発売される事件もありましたですね。これはいずれ、取上げたいと目論んでおりますが……。

それはそれとして、A面のセッションでは、もしソニー・クラークが絶好調だったら、どんな演奏になったのか? 興味はつきません。

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終りは始まり

2007-12-03 15:50:59 | Jazz

昨夜の野球、日韓戦は凄かったですねぇ。凄い緊張感と真剣勝負の醍醐味に眩暈がするほどでした。

日本選手達も通常のペナントレースより、ずっと気合が入っていたように見えました。勝てたから言うわけでは無いのですが、やっぱり一発勝負に賭ける男意気は、気持ちが良いですね。

ということで、本日は一期一会の――

The Beginning And The End / Clifford Brown (Columbia)

音楽史上、極めて劇的で貴重なドキュメント盤のひとつが、このアルバムだと思います。

主役のクリフォード・ブラウンは、モダンジャズの天才トランペッターとして上昇期に突如、天国へ召されたわけですが、その数時間前に残された演奏に加えて、公式初レコーディングも収められたという出来すぎが、本当に怖いと思います――

A-1 I Come From Jamaica
A-2 Ida Red

 この2曲は、R&Bバンドの Cris Powell & His Blues Band のメンバーとしての録音です。リーダーのクリス・パウエルはボーカリストで、クリフォード・ブラウンはバックバンドの一員として雇われていたのでしょう。ちなみにバンドは2管に4リズムの6人組のようです。
 肝心の演奏は、SPフォームの短いもので、録音は1952年3月21日とされています。
 まず「I Come From Jamaica」はラテンとR&Bが融合した、けっこうカッコイイ演奏で、猥雑な雰囲気が熱気を醸し出す中、クリフォード・ブラウンのトランペットが輝かしいアドリブを聞かせてくれます。また歪みまくったエレキギターも良い感じ♪ バックの掛声にはクリフォード・ブラウンの声も入っているのでしょうか。
 続く「Ida Red」は当時の正統派R&Bですが、チャカポカの打楽器に加えて、クリフォード・ブラウンのミュートトランペットが味わい深いところです。
 う~ん、それにしてもクリフォード・ブラウンは、1952年の時点で自己のスタイルを完成させていたんですねぇ~。ちなみにこの時のセッションでは他に2曲が残されているそうですが、アドリブソロが無いので、このアルバムからは外されたとか……。

A-3 Walkin'
B-1 Night In Tunisia
B-2 Donna Lee

 ここからが死の直前に残された記録です。
 それは1956年6月25日の夜、フィラデルフィアの「ミュージック・シティ」という楽器店で行われた模範演奏のジャムセッションを記録した音源で、参加メンバーはクリフォード・ブラウン(tp) の他、ジギー・ヴィンス(ts)、ビリー・ルート(ts)、サム・ドッケリー(p)、エイス・ティソン(b)、エリス・トリン(ds) という地元組ですが、サム・ドッケリーは後にジャズ・メッセンジャーズに加入しますし、ビリー・ルートはディジー・ガレスピーのオーケストラでは主力だった実力者ですから、熱い演奏は保証付き!
 まず「Walkin'」は、最初のテーマ部分が一部欠落していますが、アドリブ先発のクリフォード・ブラウンが素晴らしいソロを披露くれますから、聴いているうちに何度もゾクゾクしてきます。もちろん現場の観客もアドリブの最中に思わず拍手歓声! 感極まったような掛声も生々しく記録されています。
 ローカルなリズム隊も熱演で必死の4ビートが好ましく、続けて登場する2人のテナーサックスも好演ですが、やはりクリフォード・ブラウンとは役者が違う感じです。
 そしてB面ド頭の「Night In Tunisia」が、これまた凄い! もちろんクリフォード・ブラウンが余裕のテーマ吹奏から、グッとくるブレイクを経て突入するアドリブは、もう完璧な歌心と熱いエモーションの世界です。まさに一期一会の歓喜悶絶♪ これを聴かずして何を聴く! あぁ、こんなん聴いていると、数時間後の悲劇が一層、せつなくなります……。
 さらにオーラスの「Donna Lee」では急速テンポでビンビンに吹きまくるクリフォード・ブラウン! テーマ部分で若干のミスも聴かれるあたりが逆に安心出来るほどで、アドリブパートの勢いと熱いフレーズの連発は「神」の領域に近づく冒涜かもしれません。
 あぁ、そうだっ!
 きっと神様は、このまま行ったんでは、クリフォード・ブラウンが地上で神になってしまうとして、天国へ呼び戻したに違いありません。このギグの後、クリフォード・ブラウンは、僚友のリッチー・パウエル夫妻と共に車で移動中、交通事故で夭折するのですから……。
 演奏が終わった後、短く感謝の言葉を述べるクリフォード・ブラウンの声からは、誰からも慕われた人柄が感じられるのでした……。

ということで、このアルバムは確か1973年頃に発売されたと思いますが、けっこう専門誌でも事件扱いだったと記憶しています。

気になる音質も当時のプライベート録音にしては良好ですし、前半2曲はスタジオレコーディングですから、納得出来るでしょう。ただしアナログLPの輸入盤は、何故かエコーが強いような感じで、??? ですから逆にちょっと音が曇り気味の日本盤のほうが、個人的には素直に楽しめます。ところでCDは、どんな音になっているのでしょう。

やはり世の中は一期一会ですね。

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ハードバップ王道派

2007-12-02 16:50:03 | Weblog

勤務地へ戻ってみれば、どしゃぶりの雨! 雪でなくて良かったとはいえ、先が思いやられます。

そして今日は、これからバンド練習♪

その前に気合を入れるために、こんなん聞きました――

Byrd's Word / Donald Byrd (Savoy)

野球なら剛速球勝負、相撲な立合い一気の寄り! それが魅力と感じるならば、モダンジャズでもアドリブ一直線が美しいと思います。

このアルバムは、特に凝った仕掛けを排除した正統派ハードバップの1枚ですが、気合の入ったアドリブと熱気に満ちた演奏のバランスが秀逸で、密かに愛聴しているファンも多いのではないでしょうか。

録音は1955年9月29日、メンバーはドナルド・バード(tp)、フランク・フォスター(ts)、ハンク・ジョーンズ(p)、ポール・チェンバース(b)、ケニー・クラーク(ds) という王道派が揃っています。

ちなみに時期的には、ドナルド・バードとポール・チェンバースがジョージ・ウォーリン(p) のバンドレギュラーとして活躍中、フランク・フォスターはカウント・ベイシー楽団に在籍して注目を集めていた頃かと思われますので、新進気鋭の勢いが見事――

A-1 Winterset
 フランク・フォスターが書いたファンキーな名曲で、どっかで聞いたことがありそうなのがミソ♪ そしてドナルド・バードがクリフォード・ブラウン直系の流麗な歌心を披露してくれます。後年に比べると慎重というか、丁寧な吹奏が実に良いですねぇ~♪
 かなりスピードがついていながら、決して乱れないリズム隊の爽快な雰囲気も素晴らしく、特にケニー・クラークの躍動的なドラミングは、この人の過小評価を覆すものかと思います。
 またフランク・フォスターが、これまたワーデル・グレイ系の滑らかにうねるスタイルで、好感が持てます。
 さらにハンク・ジョーンズが、もう最高! 品格漂うアドリブメロディと小粋なノリ、柔らかくてメリハリの効いたタッチ♪ 言う事なしの快演です。
 そしてクライマックスはドラムス対ホーンの対決なんですが、ここでフランク・フォスターが「貴女と夜と音楽と」を引用したフレーズを出せば、ドナルド・バードが吹いてしまうのは、あのジョン・コルトレーンが十八番にしていた「Mr.P.C.」のテーマメロディなんですねぇ~~!!! う~ん、これには元ネタあるんでしょうか!?

A-2 Gotcha Goin' N Comin'
 ポール・チェンバースのベースがリードする真っ黒なハードバッブで、ミディアムスローのグルーヴィな雰囲気がたまりません。ケニー・クラークのドラムスもハードボイルドですし、忍び足で入ってくるハンク・ジョーンズのピアノが、これまた絶品♪
 そしてドナルド・バードがブルースに託して歌い上げるハードバップ賛歌が素晴らしく、何の衒いも迷いも無く、ただ王道を行く潔さ! 何度聴いても飽きませんねぇ~。ズバリ、ファンキー!
 またフランク・フォスターの基本に忠実なスタイルも捨てがたく、ギスギスとしながら、時に冷静なフレーズの積み重ねは、なかなかクールではないでしょうか。
 そしてハンク・ジョーンズが、ここでも素晴らしい限り! 実は最初に聴いた時にはトミー・フラナガン? と思ったほどですが、実は逆ですねぇ~。地味ながら凄いハンク・ジョーンズ!
 あと、ポール・チェンバースが強烈な存在感で、アドリブもバッキングも天下一品です。う~ん、ここまでやられたら、マイルス・デイビスが自分のバンドに引き抜いた気持ちが分かるのでした。
 最終パートでのケニー・クラークの小技にも感心するばかり……。

B-1 Long Green
 シンプルなテーマからフランク・フォスターのテナーサックスが疾走する、アドリブ優先の演奏です。アップテンポで鳴り響くケニー・クラークのシンバル、ポール・チェンバースのグイノリのベースがハードバップの真髄でしょうか。
 もちろんドナルド・バードも大熱演で、淀みないアドリブフレーズの見事な展開、溌剌とした音色、さらにマイルス・デイビスの物真似まで演じてしまいます。
 そこへいくとハンク・ジョーンズの真摯な演奏姿勢は最高で、コロコロとスイングするピアノタッチの素晴らしさ♪ ブルースなのに小粋なフレーズという、流石の実力を披露しています。

B-2 Stareyes
 御馴染みのスタンダード曲がハードバップにアレンジされ、力強く演奏されています。とはいえ、原曲の持つソフトな情感はちゃ~んと活かされており、ドナルド・バードは戸惑いながらも柔らかな歌心を追求♪ 若干、答が出ていない雰囲気もありますが、ビシッとキマるリズム隊のグルーヴがありますから、演奏がダレません。
 するとフランク・フォスターが余裕のアドリブで応戦です。しかしこれも、雰囲気に流されているような……。
 さあ、こうなるとハンク・ジョーンズが本領発揮! 素晴らしい歌心と天才的なピアノタッチを存分に披露してくれます。またポール・チェンバースも実に爽快ですねぇ♪

B-3 Someone To Watch Over Me
 これも悲しみを秘めたようなメロディが印象的な歌物スタンダードですから、ここはジックリとスローな吹奏を披露するドナルド・バードに、心が温まります♪ メロディのフェイクが最高ですねぇ~~~♪
 夢見るようなハンク・ジョーンズの伴奏とアドリブも素晴らしすぎて、涙がポロポロこぼれますよ。
 引き締まったフランク・フォスターのテナーサックスは、キャバレーモードには入らずじまい……。それが賛美両論かもしれません。歌心は最高ですが……。

ということで、数多いドナルド・バードのリーダー盤では目立たない作品ではありますが、一度は聴いて損の無い仕上がりだと思います。もちろん聴くほどに味わいが深まる感じですから、何度聴いてもOKですが♪

それと某ジャズ喫茶でCDを聞かせてもらった時、「A-2」と「B-1」の連続が、ハッとするほど良い感じでした。ジンワリと終わる「A-2」からズバッと炸裂する「B-1」への転換の妙!

う~ん、CDも欲しいなぁ~、と痛感させられた1枚でもあります。未だに持っていませんが……。

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