年金はデタラメ、薬害被害者は救えない、さらにガソリン&物価がガンガン上がっても、何の手も打たない我国政府&全政治家に対し、これで暴動を起こさない国民は神様じゃないか!?
いや、ぬるいだけなのか!?
憤りはあるはずで、と言って、自分だけが殴りこんでも笑い者です。
全く煮え切らない、最近の気分ですよ……。
ということで、本日は――
■Happy Frame Of Mind / Horace Parlan (Blue Note)
名門ブルーノートには、カタログ番号やジャケットデザインまでも決まっていながら、発売されなかったアルバムが幾つかあって、本日の1枚もそのひとつです。
最初に世に出たのは、1970年代中頃に発売されたブッカー・アーヴィンの2枚組未発表曲集「バック・フロム・ザ・ギグ(画像右)」の中のA&B面でした。
尤も当時の私は、そういう経緯は知らなくて、件のブッカー・アーヴィン盤を聴いて、忽ち虜になったわけですが、それにしてもこんな良い演奏がオクラ入りしていた裏事情にも興味深々でしたねぇ。なにしろホレス・パーランは、このアルバムセッションから後、1973年頃まで公式のレコーディングが途絶えているのですから!!! なにか人間関係とかビジネスのトラブルでもあったのでしょうか……?
そしてこのアルバムが単体としてオリジナルに近い形で発売されたのは、1980年代に入ってからだと思います。
録音は1963年2月15日、メンバーはジョニー・コールズ(tp)、ブッカー・アーヴィン(ts)、ホレス・パーラン(p)、グラント・グリーン(g)、ブッチ・ウォーレン(b)、ビリー・ヒギンズ(ds) という、聴く前からワクワクしてくる面々です。
ちなみにコールズ、アーヴィン、そしてパーランの3人はチャールズ・ミンガスのバンドレギュラーとしてブルーノートに乗り込んだ感じでしょうか。それを迎え撃つのがグリーン、ウォーレンにビリー・ヒギンズという、この時期ならではのブルーノートお抱えリズム隊という、味わいの深さです――
A-1 Home Is Africa
重厚なリズムパターンでブッチ・ウォーレンのベースが蠢くイントロの恐さ! そしてアフリカ色のモード節というテーマ演奏が、熱い予感に溢れています。
ただし曲は一応ブルースなので、全員の心意気はクールなエモーションで統一され、ジョニー・コールズがマイルス・デイビス系の好演を聞かせれば、ブッカー・アーヴィンはちょいと下品な持ち味を存分に発揮しています。
粘っこいビートを強調するリズム隊では、ビリー・ヒギンズのドラミングが歯切れ良く跳ねまくり♪ グラント・グリーンのオズオズとしたアドリブソロも、十八番の針飛びフレーズを使って憎めません。
そしてホレス・パーランが黒いファンキー節! 粘っこい音の使い方とホーン陣のリフが絡み合い、その場はグリグリに熱くなっていくのでした。
A-2 A Tune For Richard
これまたビリー・ヒギンズの弾けたドラミングが痛快なハードバップ♪ スピード感満点のテーマ合奏からジョニー・コールズが絶好調のアドリブに雪崩込んでいくあたりも、最高です。
さらにブッカー・アーヴィンが、これでもかという豪快なテナーサックスの乱れ打ち! 下品ギリギリのフレーズと音色が、確実にジャズ者の心を掴んでいきます。続くグラント・グリーンも本音を吐露した熱演で、本当にグッときますねぇ♪
そしてホレス・パーランが十八番の変態ゴスペル節を炸裂させるのです。ビシバシにキメまくるビリー・ヒギンズのドラミングにもゾクゾクします♪ この2人のコンビネーションを裏から支えるブッチ・ウォーレンの地道な活躍も聞き逃せません。
あぁ、何度聴いても、痛快です!
A-3 Back From The Gig
穏やかなメロディとビリー・ヒギンズのブラシが冴えたテーマ合奏が、実に良い雰囲気です。作曲は意外にもホレス・パーランなのも、ちょっと吃驚ですが、作者自身のアドリブは何時に無く軽快な雰囲気で、ハービー・ハンコックのような♪ 厚みのあるハーモニーを聞かせるブロックコード弾きが最高です。
さらにグラント・グリーンの歌心満点のギターソロ、ブッカー・アーヴィンの気楽なブローが味わい深く、ブッチ・ウォーレンのベースソロさえも、ビリー・ヒギンズのブラシがありますから、楽しさに満ちているのでした。
こういうライトタッチのホレス・パーランも、捨てがたい魅力がありますねぇ♪
B-1 Dexi
短いテーマ合奏からジョニー・コールズの擬似マイルス・デイビスというアドリブがスタート! しかしリズム隊の刺激的な働きがありますから、単なるモード地獄に陥っていません。シャープでスピード感に満ちた演奏には、まさに当時リアルタイムの空気が感じられます。
それはブッカー・アーヴィンの熱に浮かされて彷徨うテナーサックス、執拗に粘っこいホレス・パーランの情念弾き、そしてグラント・グリーンのテキパキとしたギターに伝染して、名演を作り出していくのでした。
B-2 Kucheza Blues
ワルツタイムというか、6/8 ビートのブルースですから、ここでもリズム隊の弾ける快演がたまりません。特にアドリブ先発でガンガンに行くホレス・パーランが最高です! 手と指のハンデを逆に活かした情念のブロックコード弾きが、実に個性的で魅力ありますねぇ♪
するとブッカー・アーヴィンも負けじと豪快なブロー! ジョニー・コールズもクールで熱いアドリブで応戦しています。ビリー・ヒギンズも最高のドラミングで、もはやジャズロックもロック・ジャズも関係無い楽しさが横溢していくのでした。
B-3 Happy Frame Of Mind
スマートな感覚の中にもファンキーなブルース♪ まず快適なビートと調子が良いテンポを作り出すリズム隊に乾杯です。
そしてアドリブ先発で飛び出すグラント・グリーンが大名演♪ 続くホレス・パーランも気負わずにスイングした感があり、同時に脂っこさもあって、たまりません。
またブッカー・アーヴィンが、またまた熱っぽい快演! あぁ、この人の持ち味とはいえ、こういうアクの強さが嫌味になっていないのは、ブルーノートの特質なんでしょうか?
さらにジョニー・コールズがビリー・ヒギンズと一騎打ちを聞かせるクライマックスは、何時しかビリー・ヒギンズの一人舞台になるという演出も、本当に素敵です。
ということで、ちょっと何時ものホレス・パーランに比べると軽い演奏に聞こえるかもしれませんが、得意のドロドロした情念から一歩踏み出したような潔い意気込みがあって、私は最初に聴いた瞬間から愛聴盤にしています。
ジョニー・コールズとビリー・ヒギンズの好演も特筆もの!
もちろん最初は、前述したブッカー・アーヴィンの2枚組アルバムで聴いていたわけですが、如何にもというジャケットデザインの単品アルバムも入手♪ それはCDなんですが、車の中でも聴ける幸せに浸っています。