いよいよ忘年会のシーズンで、本日は若い者のパーティへ景品提供を頼まれたり……。
そんなことにエネルギーを使わないで、目の前の仕事に集中してもらいたいんですが、私も若い頃は仕事より娯楽でした。そして、今もそうなんですから、黙っている他はありません。
ということで、本日は――
■Look Out For Evans Bradshaw ! (Riverside)
所謂「幻の名盤」の中で、特に私的には長い間、鑑賞する機会に恵まれなかったのが、このアルバムでした。
主役のエバンス・ブラッドショウはフィニアス・ニューボーン系の凄腕ピアニストで、2人は共にメンフィス育ちの幼馴染! ですからテクニックも感性も似た者同志なんでしょうが、フィニアス・ニューボーンが様々な障害によって演奏活動を中断されつつも、常に第一線にあったのとは逆に、エバンス・ブラッドショウは僅か2枚のアルバムを残しただけで表舞台から消えています。
結論から言えばエバンス・ブラッドショウには、フィニアス・ニューボーンのような輝かしい天才性よりも、その場限りの刹那の凄みみたいな印象を感じます。
この作品はデビュー盤で、録音は1958年6月9日、メンバーはエバンス・ブラッドショウ(p)、ジョージ・ジョイナー(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) という真っ黒なピアノトリオ! 特にベースとドラムスの強力な存在感は、ハードバップの真髄といって過言では無いと思います――
A-1 Georgia On My Mind
A-2 Hallelujah !
A-3 The Prophet
A-4 Love For Sale
B-1 Coolin' The Blues
B-2 Blueinet
B-3 Angel Eyes
B-4 Old Devil Moon
――しかし、それゆえなのか、聴いていても、ちっとも和めません。というよりも、私はすっかり疲れてしまうんですねぇ……。
例えばド頭の「Georgia On My Mind」は激烈なテンポでガンガン弾きまくるエバンス・ブラッドショウのバカテクに驚愕させられるのですが、原曲の美しい雰囲気が蔑ろにされていると感じます。
ちなみにエバンス・ブラッドショウのピアノスタイルには、既に述べたようにフィニアス・ニューボーンと同様、両手ユニゾン弾きのアドリブとか派手なコードの使い方、さらに強弱のはっきりしたタッチ等々、相等に説得力があるのですが、イマイチ様式美に落ち込んでいるような……?
またブルースフィーリングがハンプトン・ホース直系というか、ほとんど同じアドリブフレーズでの歌わせ方が特徴的! それはハンプトン・ホースのオリジナル曲「Coolin' The Blues」で完全なる告白になっているほどです。それと自作の「The Prophet」を聞き比べるのも一興かと思うほどなんですねぇ~。
しかし全体を貫く真っ黒な演奏は、やはりハードバップの醍醐味がギッシリ! 強靭ベースワークでビンビンブリブリと暴れるジョージ・ジョイナー、奔放に敲きまくるフィリー・ジョーは大いに魅力です。
そしてエバンス・ブラッドショウは、どちらかと言えば次作「ピーセス・オブ・エイティ・ナイト(Riverside)」の方が人気盤として認知されているとおり、あまりにも生真面目です。それゆえに生硬な歌心が面映い「Love For Sale」とか「Angel Eyes」が……。
ちなみに1970年代後半のある日、知人がこのアルバムを入手したとの朗報から、礼を尽くして聞かせてもらった時には、やはり感動がありました。あぁ、自分は幻の名盤を聴いている!
という私ですから、これが我国でCD化された時には速攻で入手したわけですが……。
けっして悪いアルバムではなく、如何にもハードバップという音の魅力も存分に楽しめます。ただ、自分の感性からチョイズレなんでしょうねぇ。
ジャズを愛するって、苦しい……。