今日は昼飯食ったら、急に頭痛かしてきて……。なんか毒入れられたのか? なんて思ったほどでした。まあ、1時間ほどで治りましたが、なんだかなぁ。
ということで、本日も昨日に引き続き、マイルス・デイビスのライブ箱から、「Disc 3」をご紹介致します――
■The Complete Live Recordings 1956 - 1957:Disc 3 / Miles Davis (united archives)
☆1957年7月20日、ニューヨークからの放送録音
01 Dear Old Stockholm
02 Bag's Groove
「Disc 2」からの続きというか、「カフェ・ボヘミア」における翌週の演奏で、メンバーは同じくマイルス・デイビス(tp)、ソニー・ロリンズ(ts)、レッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds) という超強力なクインテット!
もちろんエアチェックですから、音質はそれなりですが、演奏はハードバップ全盛期の勢いで、まず「Dear Old Stockholm」はマイルス・デイビスが十八番のミュートで素晴らしい歌心♪ ポール・チェンバースのブンブンベースによるアドリブソロ、リズム隊の完璧なサポートもテンションが高く、ソニー・ロリンズは調子が出ていないように思いますが、やはり自在に飛翔するフレーズ展開には唖然とします。
また「Bag's Groove」はミディアムテンポにおけるバンドのグルーヴが物凄く、マイルス・デイビスの何時もながらのクールなアドリブには、ゾクゾクしてきます。残念ながらソニー・ロリンズが登場したところでフェードアウトしてしまうのですが、なかなか味わい深い演奏だと思います。
☆1957年7月27日、ニューヨークからの放送録音
03 Bye Bye Blackbird
04 Tune Up
これも「カフェ・ボへミア」から1週間後の演奏で、もちろん素晴らしいクインテットによる快演が聴かれます。音質も前セッションより少し良い感じですし、なによりもマイルス・デイビスが「Bye Bye Blackbird」で絶品のアドリブ♪ ソニー・ロリンズも豪快に歌いつつ、強烈なウネリと悠々自適のノリでその場を圧倒的します。もちろんリズム隊も完璧ですから、こんなクインテットを聴けた当時のファンが羨ましいですねぇ~~。まあ、それをこうして聴ける我々も幸せなわけですが♪ 演奏は残念ながら8分半ほどでフェードアウトですが、レッド・ガーランドのリラックスした好演も含めて、必聴だと思います。
そして「Tune Up」が、これまた凄く、ソニー・ロリンズの強烈極まりないアドリブから始まり、3分弱でフェードアウトなんですが、リズム隊のキメも豪快な演奏で、貴重な記録でしょう。
☆1957年10月17日、ニューヨークからの放送録音
05 All Of Me
06 Four
こちらは「バードランド」からの演奏で、メンバーはマイルス・デイビス(tp) 以下、ボビー・ジャスパー(ts)、トミー・フラナガン(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) という、なかなか興味深い編成です。
特筆すべきはリズム隊の動きが自由自在というか、ちょっと新しい雰囲気で、それに煽られたマイルス・デイビスが「All Of Me」では、かなりツッコミの烈しいアドリブを聴かせてくれます。
気になるトミー・フラナガンは、やっぱり素晴らしく、ボビー・ジャスパーはズート・シムズとハンク・モブレーの中間という良い味出しまくり♪ 音質も普通に聴けるレベルですから、実にノセられてしまいます。
そして「Four」はフィリー・ジョーの激烈ドラミングが冴える名演なんですが、録音状態がイマイチゆえに勿体ない……。アップテンポでワルノリ気味とはいえ、熱いマイルス・デイビスが楽しめます。う~ん、フェードアウトが……。
☆1957年11月30日、フランスでの放送録音
07 Bag's Groove
08 Tune Up
09 Four
10 Walkin'
11 No More
前年に続いて訪れた欧州巡業には現地調達のリズム隊が好サポート♪ これが純粋ハードバップで素晴らしいです。
メンバーはマイルス・デイビス(tp)、Barey Wilen、Rene Urterger(p)、Pierre Michelot(b)、ケニー・クラーク(ds) ですから、これは劇伴を担当した「死刑台のエレベーター」からの美しき流れなんですぇ~♪
まず「Bag's Groove」ではマイルス・デイビスが十八番のクールなブルースリックを大放出すれば、リズム隊も実にグルーヴに付き合っています。
全体には、ちょいと古いビバップっぽい選曲なんですが、演奏のキモは明らかにハードバップの黒さとクールな味わいが横溢しています。もちろん Barey Wilen も好演で、時折、露骨なソニー・ロリンズの物真似に走ったりしますが、憎めません。
気になる音質は如何にもエアチェックという感じで、チューニングがズレたれりもしますが、総じて良好なマスタリングになっていますから、当時のジャズに理解があれば楽しめるはずです。
ということで、ここも全て既発音源ばかりですが、最近では入手困難になっていた部分もありますので、こうして纏めて聴けるのはありがたいところでしょう。
なによりも1957年中頃のマイルス・デイビスが、営業用とはいえ、凄いバンドを率いていた実態が楽しめるのでした。