OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ジャズの赤影

2007-11-14 17:23:35 | Weblog

気のせいか、あるいは本当なのか、今場所の大相撲は気合が入った勝負が多いですね。

しかし客の入りは悲惨なようで……。とてもテレビ放送権料がなければ興行が成り立たないような……。

まあ、こうした時期はどんな業界にもあるわけですし、真摯な姿勢を貫くことしか、今は無いでしょう。もちろん自戒も込めて書いています。

ということで、本日は――

Shades Of Redd / Freddie Red (Blue Note)

フレディ・レッドはピアニストとしてよりも、むしろ作曲家としてのほうが好きです。実際、マイナー系のメロディ展開に冴えを感じさせる名曲を幾つも書いていますし、仄かに暗いピアノタッチやアドリブメロディのクセが、自身の書いた曲にジャストミートしているのは、当たり前ですねぇ。

しかし、そこに強力な助っ人というか、本当に感性が似通った仲間が参加してくれれば、鬼に金棒! それがジャッキー・マクリーンという直情型のアルトサックス奏者ですから、たまりません。

そうした作品としては、有名な麻薬劇「コネクション」の劇伴演奏集が有名ですが、もう1枚、如何にもジャズ的な充実を目的として作られたのが、このアルバムです。

録音は1960年8月13日、メンバーはジャッキー・マクリーン(as)、ティナ・ブルックス(ts)、フレディ・レッド(p)、ポール・チェンバース(b)、ルイス・ヘイズ(ds) という、魅力的な面々です――

A-1 The Thespian
 陰鬱で密度の濃いマイナー調のメロディが、どんよりと2管で演奏されますから、煮詰まってしまいます……。しかし行くところまで行くと、次の瞬間、グイッとテンポが上がり、同じメロディがスピートを付けてビンビンに合奏されていく、この快感!
 アドリブパートではジャッキー・マクリーンが、あの「泣き」の音色でギリギリと吹きまくれば、続くティナ・ブルックスは、ちょっと迷い道ながらもハードバップ王道路線を堅持していきます。
 またフレディ・レッドが、これまたちょっと古めかしいというか、ビバップ丸出しで迫ってくるのが、逆に新鮮♪ そのまんまラストテーマの痛快な合奏に流れてこんでいく美しさは、不滅でしょうねぇ~♪
 ルイス・ヘイズのドラミングもビシバシにキメまくりです。

A-2 Blues - Blues - Blues
 タイトルどおり、ブルース真っ只中のファンキーなハードバップ曲です。あぁ、このグルーヴィな雰囲気が、たまりません♪
 そしてアドリブ先発は、こういうムードは俺に任せろのティナ・ブルックス♪ ふくよかな黒っぽさとでも申しましょうか、けっこうヒステリックなトーンも使いますが、本音はR&Bなのが素敵なところです。
 またジャッキー・マクリーンが、ここでも泣きます。ギスギスした音色も唯一無二の素晴らしさ♪
 さらにフレディ・レッドがテンションの高いマイナー節を全開させれば、ポール・チェンバースは終始、安定感と存在感の強さを発揮! もちろんルイス・ヘイズのドラミングも申し分ありません。
 あぁ、テーマメロディのカッコ良さ!!!

A-3 Shadows
 如何にもフレディ・レッドらしいスローなメロディ展開が、分かる人には中毒症状でしょう。陰鬱な旋律の背後で華麗な気分に浸っているピアニストが、本当に憎めないところです。
 やや不完全燃焼のジャッキー・マクリーンに比べ、ディープな歌心を披露するティナ・ブルックスは、ややジョン・コルトレーンになりかかっていますが、なかなかの名演だと思います。

B-1 Melanie
 これがゴキゲンなハードバップ曲で、つい一緒に口ずさんでしまっても全然OKでしょうねぇ♪ ちょっと複雑なようでいて、実は覚えやすくて印象的なメロディを書くのが、フレディ・レッドの良いところです。
 アドリブパートは、意表をついてポール・チェンバースが先発ですが、グッと引き締まった雰囲気を作り出すことに成功しています。
 それゆえに続くティナ・ブラックスが、これまた緊張感溢れる名演! テーマメロディを上手く変奏していくジャッキー・マクリーンも、良いですねぇ~♪ グイノリのベースを要にしたルイス・ヘイズのオカズとフレディ・レッドの伴奏も秀逸だと思います。
 短いながらもピリリと辛い、グルーヴィな名演です。

B-2 Swift
 一転してアップテンポで弾けるハードバップの名曲・名演!
 猛烈な勢いで突進するジャッキー・マクリーンには、本当に熱くさせられます。モダンジャズの基本を大切にしたリズム隊の存在感も最高♪
 ですからティナ・ブルックスも、些か垂れ流し気味ではありますが、ハードバップの真髄に迫る熱演で、一気に吹き飛ばす潔さ!
 するとフレディ・レッドも全力疾走で応えますから、ド迫力の仕上がりになっているのでした。

B-3 Just A Ballad For My Baby
 またまた陰鬱で哀愁味の強いテーマメロディが、なかなか魅力的です。それを分け合うジャッキー・マクリーンとティナ・ブルックスの協調関係も良好みたいです。
 そしてフレディ・レッドがスローなビートを大切にしたアドリブを聞かせてくれますから、気分はロンリーながら、和みます♪
 個人的には朝の一発目に聞いたりすることもある、清々と哀しい名曲・名演なのでした。

B-4 Ole
 オーラスはキャバレーモードが楽しいラテン調の哀愁曲♪
 いゃ~ぁ、恥ずかしいほどにグッときます♪
 テーマが終わる寸前からズバリと斬り込んで吹きまくるティナ・ブルックスは本領発揮の快演ですし、とくれば、ジャッキー・マクリーンはマイナー節の泣きじゃくりですよっ♪ あぁ、辛抱たまらんです♪ もちろんアドリブパートはグイノリの4ビートになっているんですねぇ♪♪~♪
 またフレディ・レッドも一番「らしい」ピアノを存分に聞かせてくれるのでした。
 う~ん、こんな歌謡曲があったような……♪

ということで、ハードバップの人気者が勢揃いしたアルバムながら、オリジナルはウルトラ級の幻盤でした。ジャズ喫茶でも置いてある店では、看板にしていたんじゃないでしょうか。

現在はCD化もされていますが、タイトルどおり、「赤」に拘ったジャケットは存在感も抜群ですから、ついアナログ盤も欲しくなるのではないでしょうか。

コメント (2)
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