OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

マリガン臨編バンド

2007-11-03 15:50:43 | Weblog

昨夜は我国の権力者同士が、なにやら会談したらしいですが、素直になれない苦汁が滲む結果でしたね。決断出来ない人間に権力を与えると、ロクなことにはならないという教訓と感じています。

ということで、本日の私は素直にこれを聴きましたが――

Gerry Mulligan Presents A Concert In Jazz (Verve)

ジェリー・マリガンは天才的なバリトンサックス奏者ですが、最初に認められたのはアレンジャーとしての才能でしたから、そっち方面の活動も素晴らしいかぎり♪

特に1960年からヴァーブに吹き込まれた臨時編成オーケストラによる5枚のアルバムは、いずれも聞きどころの多い名作揃いです。

この作品は、その三番目に発売された傑作で、録音は1961年7月10日とされていますが、これはちょっと諸説あるようです。

そして気になるメンバーはジェリー・マリガン(bs,p,arr) 以下、ニック・トラビス(tp)、ドック・セベリンセン(tp)、ドン・フェララ(tp)、ボブ・ブルックマイヤー(v-tb)、ウィリー・デニス(tb)、アラン・ラフ(bass-tb)、ジーン・クイル(as,cl)、ボブ・ドノバン(as,fl)、ジミー・ライダー(ts)、ジーン・アレン(bs,bcl)、ビル・クロウ(b)、メル・ルイス(ds) という凄腕が集結しています――

A-1 All About Rosie
 現代音楽やモード手法を大胆に取り入れていた進歩的作編曲家=ジョージ・ラッセルの代表曲で、モダンジャズでは優れたバージョンが様々に残されていますが、このジェリー・マリガンの演奏も強烈です。
 それは一応、3部構成的なテーマ部分の複雑で爽快なアンサンブルの妙、オリジナルに秘められた煮え切らない神秘的なものを、真っ向勝負のジャズで解釈した痛快さです。
 パート毎に変化する演奏スピードとリズムパターンを潜り抜けて展開される集団即興演奏っぽいアドリブでは、ジェリー・マリガンが何時もの「節」とリズム感の素晴らしさを発揮! ボブ・ブルックマイヤーはモゴモゴと蠢き、対照的にスカッとしたトランペットや燃えまくるアルトサックス(ジーン・クイル?)に繋いでいきますが、やっぱりこの演奏はアンサンブルの凄さに酔い痴れるのが、最高♪
 ビシッと終わる最終パートの潔さ!

A-2 Weep
 グルーヴィなリズム隊が縁の下の力持ち! という快適な演奏ですが、素材曲は近年のソフトロックブームで俄に再評価されたゲイリー・マクファーランドが書いた汎用度の高い名曲です。
 縦横無尽のアドリブを聞かせてくれるジェリー・マリガンはもちろん最高ですが、彩り豊かでシャープなバックのアンサンブルが、すこぶる気持ち良いです。
 またボブ・ブルックマイヤーとドン・フェララの無機質気味のアドリブも「味」の世界かと思いますが……。

B-1 I Know, Don't Know How
 B面に入ると、今度は一転して親しみやすい演奏が続きます。
 これはジェリー・マリガンが書いた優しいメロディラインが魅力の隠れ名曲♪ ソフトなバリトンにリードされた調子の良いアンサンブルと弾むようなリズム隊のコンビネーションが楽し過ぎます。
 あぁ、ジェリー・マリガンのアドリブは「歌」の宝庫ですよっ♪ 聴くほどに虜です。続くボブ・ブルックマイヤーはオトボケもほどほどにモダンディキシーの世界に入っていくのでした。
 ちなみに私はドライヴ用のソフトには必ず入れる演奏♪ 楽しいですっ!

B-2 Chuggin'
 これまたゲイリー・マクファーランドが書いた名曲で、ちょっとデューク・エリントンを意識したような作風とアレンジには、思わずニヤリとさせられます。
 そこにはクラリネットが上手く使われたディキシー調の部分、あるいはゴッタ煮のようなアンサンブルが表出して、味わい深い仕上がりです。

B-3 Summer's Over
 ジェリー・マリガンが書いた幽玄なスロー曲で、バンドアンサンブルも柔らかいのですが、全体にメリハリが効いていますから、眠くなりません。
 またアドリブパートはジェリー・マリガンの独り舞台とはいえ、バックのアンサンブルとの兼ね合いも素晴らしいと思います。

B-4 Israel
 ビル・エバンスの十八番としても有名なモード系の曲ながら、ここでの溌剌とした演奏にはモダンジャズの醍醐味がいっぱい! 特に格調高いアンサンブルからブリブリ~と飛び出していくジェリー・マリガンのアドリブが圧巻です。

ということで、ちょっと取っ付き難い演奏集かもしれませんが、凝ったアレンジを完璧にこなしていくバンドの凄さ、痛快さは存分に楽しめます。

しかしアドリブパートとの兼ね合いには出来すぎの部分さえあって、それが嫌味に感じられるかもしれません。そしてこういうのを聞いていると、無性にカウント・ベイシー楽団が聴きたくなる私なのでした……。

コメント
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