■Ten Years Of Harmony / The Beach Boys (Caribou / CBS)
A-1 Add Some Music To Your Day:a
A-2 Roller Skating Child:g
A-3 Disney Girls:b
A-4 It´s A Beautiful Day (single edit version):▲
A-5 California Saga / California (single version):d
A-6 Wontcha Come Out Tonight ?:h
A-7 Marcella:c
B-1 Rock And Roll Music (single version):f
B-2 Goin' On:j
B-3 It's OK (single version):f
B-4 Cool, Cool Water (single edit version):a
B-5 San Miguel ※
B-6 School Day (single version):j
B-7 Good Timin':i
B-8 Sail On Sailor:c
C-1 Darlin':e
C-2 Lady Lynda:i
C-3 Sea Cruise ※
C-4 The Trader:d
C-5 This Whole World:a
C-6 Don't Go Near The Water:b
C-7 Surf's Up:b
D-1 Come Go WIth Me:h
D-2 Deirdre:a
D-3 She's Got Rhythm:h
D-4 River Song:k
D-5 Long Promised Road:b
D-6 Feel Flows:b
D-7 'Til I Die:b
a:サンフラワー (1970年)
b:サーフズ・アップ (1971年)
c:カール&ザ・パッションズ (1972年)
d:オランダ (1973年)
e:イン・コンサート (1973年)
f:偉大なる15年 (1976年)
g:ラヴ・ユー (1977年)
h:M.I.U.アルバム (1978年)
i:L.A. / ライト・アルバム (1979年)
j:キーピン・ザ・サマー (1980年)
k:パシフィック・オーシャン・ブルー / デニス・ウィルソン (1977年)
▲:映画「Americathon」サントラ音源 (1979年)
※:未発表アウトテイク
長いキャリアを積み重ねたミュージシャンの場合、それに比例して残された音源の多さ、またヒット曲の有無によって、活動期間毎にベスト盤が編まれるのは必然ではあっても、だからこその面白さや評価の分かれ道が後々に様々なマニア的な視点を生み出してしまう事は避けられないのかもしれません。
例えば本日ご紹介するビーチボーイズの2枚組ベスト盤LPは、1981年晩秋に世に出たところから、つまりはアルバムタイトル「Ten Years Of」が意味するところがキャピトルからワーナー、そしてCBSへと移籍して以降の音源から編まれたという、極言すれば聊か一般的な人気に陰りが滲んでいた頃の傑作集(?)ですから、セールス的には伸び悩んだ時期に製作発売されたオリジナルアルバムや単発的に参加したオムニバス盤に肩透かしを覚えたり、とにかく分かっている楽しみではありますが、素敵な楽曲だけを聴いてみたい新旧のファンにとっては悲喜交々……。
ですから、サイケおやじにしても、所謂「イイ曲」ばっかり入っているなぁ~~♪
と分かってはいても、新譜としては、とても発売時期には手を出せず、どうにか翌年春になって、バーゲンセールの輸入盤をゲットしたんですが、これがある程度は推察してはいたものの、なかなか貴重な編集バージョンや未発表曲等々が入っていたもんですから、嬉しくなった記憶が今も強く残っています。
というか、実はこの頃のビーチボーイズの我が国における人気や評価は全く低くなっており、そんなこんなのレアトラックが入っているベスト盤が出たところで、それほどの大騒ぎにもならなかった現実は、逆に熱心なファンを増やしただけだったんじゃ~ないでしょうか?
で、肝心の収録曲は既に述べたとおり、1970年からの10年間に制作発売した音源ばかりで、オリジナル収録アルバムについては上記で分類しておきましたし、貴重&珍しいトラックについては簡単に注釈してあるんですが、もう少し詳しく記しておけば、まずはここで初出となった「San Miguel」と「Sea Cruise」について、前者は1970年に発売された傑作アルバム「サンフラワー」制作時のオリジナル未発表曲ながら、件のLPに収録されていたとしても、なんらの違和感もありえないほどにナチュラルなビーチボーイズの「節」が出まくった楽しいさが素晴らしく、一方後者は1976年に発売のLP「偉大なる15年」からのアウトテイクで、フランキー・フォードが1959年に放ったヒット曲のカバーバージョンなんですが、如何にも勿体無いっ! それはオリジナルのニューオリンズ系R&Rの味わいを西海岸に移したフィーリングと申しましょうか、ここでの邂逅は幸せの一番星ってところでしょうか♪♪~♪
また映画のサントラ用に提供された「It´s A Beautiful Day」は、如何にもビーチボーイズが丸出しなアップテンポのイカシたウエストコーストロックで、これにはファンならずとも夢中になるんじゃ~ないでしょうか♪♪~♪ しかもご丁寧にシングルカットされていたという所謂シングル編集バージョンなんですねぇ~♪
さらに、こ~ゆ~ベスト盤にはお約束になっているシングルバージョンの収録については「California Saga / California」「Rock And Roll Music」「School Day」がアルバムバージョンとはミックス違い、「It's OK」はアルバムバージョンよりも幾分再生スピードが速い感じですから、あくまでもマニアックな楽しみの範疇と思いますが、「Cool, Cool Water」はアルバムバージョンからコーラスパートを再編集し、はっきりとミックスも変えられているので要注意でしょう。
それと、あえて選曲収録されたと推測出来るのが、1977年に発売されたデニス・ウィルソンのソロアルバム「パシフィック・オーシャン・ブルー 」からの「River Song」で、これはカール・ウィルソンとの共作ではありますが、荘厳なコーラスパートを従えた仕上がりは、一般的なビーチボーイズのイメージとは異なるムードながら、このLPの曲の流れの構成においては、なかなかのジャストミート感が個人的には大好きです。
そのあたりは全篇をとおして、ベスト盤とはいえ、決して場当たり的に作ったアルバムではないと思いたいところです。
ところが、そ~であるからか、それとも気紛れなのか、驚いた事には、なんとっ!
1991年にCD化されてみれば、せっかくシングルバージョンで入れられていた「California Saga / California」「Rock And Roll Music」「It's OK」「School Day」が普通のアルバムバージョンに差し替えられ、「Come Go WIth Me」はイントロにピアノが入った初登場の完全別バージョン!?
いゃ~~、こ~ゆ~事がありますから、やはりベスト盤や再発盤、殊更CD化されてのリマスター盤は罪作りな奥の細道と思うばかりです。
しかし、告白すれば、サイケおやじにしても、問題の「1991年再発CD」をゲットしたのは発売から数年後、車の中でビーチボーイズが聴きたくてゲットしたのが真相ですから、ど~にもビーチボーイズのコアなマニアからは失笑の嵐と自覚する次第です……。
ということで、更なる言い訳になってしまいますが、このアルバムや収録音源各トラック毎の楽曲が現在、どのような形態・バージョンで市場に出回っているのかは、勉強不足で確認出来ておりません。
しかし、それでも、この2枚組アナログ盤LPは明らかに評価が低かった時期のビーチボーイズが、実はそれなりに個性的な存在で在り続けた、その証拠物件となりうる傑作!
虚心坦懐に鑑賞する度に、これはこれで立派な音楽世界を堪能させられると思うのは、決してサイケおやじだけではないと、強く信じているのでした。