OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

アン・ルイス! 歌謡ロック最強の証明!

2019-09-08 19:40:06 | 日本のロック
LOVE & PEACE & ROCK'N ROLL / Ann Lewis w / PINX (ビクター)

  A1 Honey Dripper
  A2 立ちっぱなしのBad Boy
  A3 Cinderlla
  A4 遊女のCrazy Love
  A5 Triangle Blue
  A6 Samisisa's On My Mind
  B1 あゝ無情
  B2 I Love Youより愛してる
  B3 ラ・セゾン
  B4 Luv-Ya
  B5 In Pleasure
  B6 六本木心中
 
現在は引退状態ですが、昭和46(1971)年の芸能界公式デビュー以来、そこで長いキャリアを残したアン・ルイスは歌手活動の他にも、時にはグラビアアイドルでもあり、もちろんテレビや映画等々にも夥しく出演し、同時に卓越したセンスを発揮するファッションリーダーとしても強い印象を残していますので、あらゆる時期において、彼女のファン層の厚さは言わずもがなの存在でした。

そしてサイケおやじは、その様々な時期それぞれに思い入れがあるものの、今となっては中でも特に昭和50年代後期からの歌謡ロックをやっていた頃が一番好きで、本日掲載の1枚は、歌謡ロックの女王としてのアン・ルイスがしっかりと刻み込まれている昭和61(1986)年末に発売された大傑作ライブ盤!

正直、ジャケ写やデザインも含めて、これは日本ロック史の中においても、屈指の名盤! 

と、サイケおやじは断言して、後悔しないほどです。

その収録音源は同年7月26&27日の中野サンプラザにおけるステージからと云われていますが、この年のアン・ルイスは本当に絶好調で、通称がデカパンの依田稔(g,vo)、佐藤明彦(g,vo)、白石幸一郎(key)、海老沢伸吉(b)、茂手木秀明(ds)、ジョナ・パシュビー(vo,g)、中田ゆう子(vo) という実力派が集まったバックバンドのピンクスを従えた「A・A・OH! LIVE' 86」ツアーは過言ではなく、日本全国で狂熱の嵐を巻き起こしていました。

これは実際、ある幸運からこのツアーライブステージに数度接したサイケおやじが、今もって忘れられない鮮烈な記憶になっているほどです。

皆様ご存知のとおり、アン・ルイスは前述のデビュー時にはキュートなハーフの清純派であり、「グッド・パイ・マイ・ラブ」のメガヒットに代表される歌の上手さは、彼女のハートウォームでありながらベタベタした歌謡曲にならない声質とナチュラルな洋楽フィーリングによるものだったと思えば、当時レコーディングされたカバーポップスや所謂ベンチャーズ歌謡のジャストミート感は言わずもがな、殊更ミディアムスローな曲調こそがアン・ルイスのボーカリストとして最大の魅力だと認めるのが業界関係者の定まった意見だったとか!?

ですから、昭和50年代前半からはユーミンや大瀧詠一、吉田美奈子、山下達郎&竹内まりや等々が楽曲を提供し、ニューミュージックスタイルのレコードが作られていた事は今や歴史であり、この時期を一番の輝きとする評論家の先生方が大勢いらっしゃいますが、レコードセールスに関しては、聊か伸び悩んでいたような印象があります。

それはアン・ルイスが、それにハマリ過ぎたと申しましょうか、当時の日本じゃ~彼女のオシャレ度が高すぎて、平たく言えばカッコイイけど敷居が高い!?

しかし、この頃から彼女のファン層には同年代、あるいはそれより少し下の女の子達が急増し、そこにはストレートに厳しくも温かい、アン・ルイスならではのコメントの発信力があったと思われますし、ついには昭和55(1980)年に桑名正博との結婚から出産&育児による休業中にも、逆に「女の自立」というリアルタイムの流行が実践されたところに、アン・ルイスの見事さがありましたですねぇ~~。

ところが、これまたあらためて述べるまでもなく、この結婚は直ぐに破綻……。

その原因は桑名正博の家庭内暴力や浮気等々、今となっては死者を鞭打つようなことは書きたくありませんが、ひとつの要因として、アン・ルイスがロックに傾倒した歌をやりたがっていた事に全くの無理解だったそうで、う~ん……。

ですから、そんな状況の中で本格的な歌謡ロックに挑んだ「ラ・セゾン」が、作詞:三浦(旧姓・山口)百恵&作曲:沢田研二という話題性を凌駕するアン・ルイス熱血の歌いっぷりによって、これが昭和57(1982)年に大ヒット♪♪~♪

以降、離婚が規定事実となっての彼女の勢いは急加速し、「LUV-YA」「I Love You より愛してる」「六本木心中」「あゝ無情」等々のシングルヒットを連発していく中で、敢行されていたライブの現場ではハードロック指数が増大の一途!

それは当時主流になりつつあったキーボード主体のサウンドではなく、まさに「OLD WAVE」とも言うべきギター3本を主軸にしたハードロック路線がド真ん中! パワフルにしてタイトなドラムスとイケイケのベースにキーボードの下支えという、これが歌謡ロックの醍醐味であり、バックコーラスも華麗にして鮮やかですから、アン・ルイスのボーカルもシャウト全開ながら、きっちりコントロールされ、だからこその刹那の境地とロック魂が、これでもかとばかりに弾けまくりだったんですよっ!

また当然ながら、ステージにおける彼女の衣装のキッチュでエグイ感性は絶対に余人の及ぶところではなく、アクションも激烈にして苛烈!

そ~したリアルなライブ感が、このアルバムにはビシッと入っているんですから、既に述べたとおり、この時期のステージにシビレていたサイケおやじにしても、ゲットしたレコードに針を落とした瞬間から圧倒されましたですねぇ~~~♪

なによりもカッコイイのは、収録楽曲各トラックが畳みかけるように連続的に打ち出されてくる編集で、まずはA面ド頭から「Honey Dripper」「立ちっぱなしのBad Boy」「Cinderlla」の三連発で完全KOは必至ですし、英語の短いMCや熱いカウントで煽りまくるアン・ルイスのボーカルが分厚いハードロックの演奏の中にあっても、どひゃ~~っと前に出てくるミックスも最高だと思います。

ちなみにギターでは細かいフレーズを積み重ねて如何にもハードロックでテクニカルなソロを披露するのが佐藤明彦、レスポールならではの野太いリフとパワーコード全開で押しまくるのがデカパンという対比も鮮やかですし、ジョナ・パシュビーと中田ゆう子がメインのバックコーラスもツボを外していません。

そういえば中田ゆう子は当時、なかなかの人気者で、歌は上手いし、ルックスも可愛いので、野郎どものファンがステージでは彼女ばっかり見ている奴も大勢いましたですよ、実際♪

う~ん、彼女は後にプロ野球選手との結婚から引退されてしまうんですが、もしも中田ゆう子名義のレコードが出ていたならば、サイケおやじは絶対に欲しいですよ。

閑話休題。

そしてA面の後半は「遊女のCrazy Love」が終わると、いよいよお待ちかねというバラードの時間として「Triangle Blue」「Samisisa's On My Mind」が、しっとりと、そして力強く披露され、「泣き」を含んだ声質で節回すアン・ルイスの魅力は、これまた大勢のファンが望んでいるものでしょう。

ただし、ここでの彼女はデビュー当時から定評のあった「甘さ」は隠し味ですから、それもハードロック王道の表現として好感が持てます。

こ~してレコードをひっくり返し、B面に針を落とせば、そこからは一気呵成のヒット曲が連発の乱れ打ち! その何れもが耳に馴染んだオリジナルのスタジオ録音バージョンを飛び越えたハードロック歌謡大会になっていますから、本当に血が騒ぎますねぇ~~~。

そのあたりはサイケおやじの稚拙な文章では、ど~しても書ききれませんので、実はこの時には一緒にビデオ作品も製作されていて、同時期に発売されているので、ぜひともそれもお楽しみいただきたいところなんですが正直、やはりメーカーが公式で作ったものだからでしょうか、ちょっぴり落ち着いた感じの映像処理や編集が物足りません。

そこで今回、ネットを探索したら、まさにこれっ!

っていうテレビでのスタジオライブ映像がありましたので、貼っておきます。
 
アン・ルイス - あゝ無情-STUDIO LIVE 1986
 
ANN LEWIS HONEY DRIPPER LIVE 86
 
ど~です、これがロックってもんだと思いますが、いかがですかぁ~~。

アン・ルイスもバンドの面々も、嬉々としてロックしているでしょう。

ご紹介の動画でアン・ルイス自らのMCのとおり、この頃のライブステージでは例えばGFRの「アメリカン・バンド / We're an American Band」とか、ワイルド・チェリーの「Play That Funky Music」、フリーの「All Right Now」等々の往年のロックヒットを堂々とカバーしていましたし、また同時に山下達郎から提供された人気曲「恋のブギ・ウギ・トレイン」等々も交えて、実に激しく盛り上がっていましたから、このアナログ盤LPの1枚だけじゃ~~、本音で勿体なくも、物足りないですよ。

また、アン・ルイスはこの後も同傾向のライブステージを続けていったのですが、個人的にはこの年が頂点だったと思っています。なによりも彼女のボーカルにパワーと情念が張っていて、最高の極み! 失礼ながら、翌年からは徐々にテンションが下がり気味……。

ライブステージを収めたビデオ作品は当然ながら後年にも幾つか作られましたが、それも……。

ですから、ど~か「A・A・OH! LIVE' 86」の音源から未発表テイクを入れた完全版のCDや映像作品を出して欲しいものです。

そしてアン・ルイスの引退が絶対の決定であれば、夥しく残されている映像もたっぷり入れたアンソロジー企画を強く望んでおります。

最後になりましたが、時代的にこのライブアルバムはLPと共にCDも世に出ており、サイケおやじも少し遅れて聴いてみたんですが、ど~にも音質が奇麗過ぎるというか、ミックスも整理され過ぎている印象で、ちょいとリアルタイムの感じが薄いもんですから、皆様には出来うるならばアナログ盤LPでお楽しみいただきとうございます。

ゲッ、そ~書いていながら、現在の市場では、このライブアルバムが絶版・廃盤らしく、特にCDやDVDが異常な高値で取引されている様なんですから、ここはひとつレコード会社各位の皆様には、せつない希望として綴ったとおり、新たなリマスターも施した完全版を出していただけますよう、心からお願い致します。

あぁ、もう一度、昭和61(1986)年のアン・ルイスのライブをっ!
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