■幻想への回帰 / Uriah Heep (Bronze / ワーナーパイオニア)
「心機一転」は常套的に使われる言葉になっていますが、さて、現実的にはどうか?
それは口で言うほど易しい事ではなく、諸々の犠牲や非情な決断が必要とされ、時には裏目寸前の事態も懸念されるのですから、良い結果が導き出された時の達成感も大きいのでしょう。
本日掲載のシングル盤A面曲「幻想への回帰 / Return To Fantasy」は、キーボードメインのハードロックバンドとして今も根強い人気のユーライア・ヒープが、それこそ心機一転! 1975年に出した久々に納得出来るヒット曲♪♪~♪
というのも、その頃のユーライア・ヒープは何かしら勿体ぶったヘヴィな雰囲気のレコードを出し続けていたからで、そりゃ~、確かにバンドの持ち味は重層的なキーボードとジャストミートのコーラスワークが映える幻想的な楽曲にあったわけですが……。
それを煮詰まりと感じられるのはヒープ信者ならずとも、洋楽ファンの本音だったように思います。
さて、そこでこの「幻想への回帰 / Return To Fantasy」なんですが、タイトルどおりに幻想的なキーボードサウンドをイントロにしながら、楽曲本篇はストレートなアップテンポの正統派ロック!
しかも当時、大きな話題になったのが、ジャケ写にも記載されているとおり、キング・クリムゾン解散で浪人(?)していた強力ベース奏者のジョン・ウェットンの新加入で、実はここではシンプルにボトムを固める役割に徹しているだけなんですが、それゆえに結果オーライの新機軸が出来上がったと言われたほどです。
ちなみにユーライア・ヒープはデビュー以来、ここまで数次のメンバーチェンジがあり、ちょいと沈み気味だった当時の状況も、そこに因縁があったのかもしれませんが、とにかくここでデヴィッド・バイロン(vo)、ミック・ボックス(g)、ケン・ヘンズレー(key,vo,etc)、ジョン・ウェットン(b,vo,key)、リー・カースレイク(ds,vo) という5人組になったは、特にコーラスパートの充実が無視出来ないところじゃ~ないでしょうか。
当然ながら、同時期に発売された同名LP「幻想への回帰」も素晴らしい仕上がりで、ユーライア・ヒープは過言ではなく、完全に息を吹き返したのですから!
もちろんメンバー各々が共作する楽曲レベルの高さ、そしてこれまで以上にキーボードが全面に出た音作りは、ハードロックとプログレの幸せな結婚だったかもしれませんねぇ~~♪
後に知ったことではありますが、ケン・ヘンズレーは積極的にムーグシンセを多用するべく、この頃のレコーディングセッションを強引(?)に仕切っていたそうですから、各方面からの反発も予想に易いとはいえ、それこそが心機一転に相応しいと思うばかりです。
ということで、現実社会に立ち返ってみれば、新年度は直ぐ、そこ!
サイケおやじもマンネリに浸ることが捨てきれない体質ではありますが、最近は心機一転を考える事、度々なのでした。