■私もあなたと泣いていい? / 兼田みえ子 (日本コロムビア / Denon)
ちょいと落ち着いた感もありますが、それでも根強く続いているのが所謂女子アナブームでしょう。
もちろんテレビのニュースワイドショウやバラエティ番組での彼女達は、司会やアシスタントとして、話術の部分よりもルックスや仕草に人気のポイントが偏りつつあるのが本質ですから、各局が実力よりも印象でそういう人材を集めてしまうのも無理からんと思います。
そして実際、女子アナをメインに抱える芸能プロダクションが繁盛し、彼女達のカレンダーやキャラクターグッズが売れてしまうんですから、これもまた文化のひとつと認められるんじゃ~ないでしょうか。
で、そのルーツを探ってみると、これは昭和40年代のラジオ深夜放送における女性DJ人気がテレビに転移したように思いますし、確かにそこにはアイドルスタア並みの素敵なお姉さまが何人も活躍されていて、中でもレモンちゃんと呼ばれていた落合恵子は、今や文化人になっていますが、当時はちょいと猫被り系のおしゃべり、そして実年齢よりはキュートなルックスが明らかになるにつれ、爆発的にファンを増大させていましたですねぇ~。
もちろん、それはリアルタイムでのラジオの深夜放送人気と相互作用があっての事ですが、その意味で落合恵子と双璧の人気を集めていたのが、本日の主役たる兼田みえ子でした。
なにしろ当時は文化放送やニッポン放送をメインに彼女の声を聞かない日は無いほどで、特に深夜帯のDJでは、持ち前の落ち着いた語り口と反比例するが如き絶妙の色っぽさを滲ませる芸風(?)が全開♪♪~♪
しかも、ミコたん♪♪~♪
と親しまれるキャラクターもありながら、雑誌掲載の写真や時々の出演もするようになっていたテレビで拝めるお姿は、当時の流行のミニスカファッションに凛とした佇まいがジャストミート! ヘアスタイルがボブってのも、個人的には高得点でしたねぇ~♪
そこでついにというか、自ら歌ったレコードも順次発売され、本日ご紹介のシングル曲「私もあたなと泣いていい?」は昭和44(1969)年の秋から冬にかけて、深夜放送のラジオを中心にジワジワとヒットした、これがせつない歌謡フォーク♪♪~♪ サイケおやじの同世代の皆様にしても、きっと耳にされた事があろうかと思います。
ちなみに兼田みえ子はフリーの立場で活動していたと思われますが、キャリア的には文化放送で前述の落合恵子の先輩格でしたから、尚更に大人のムードが強かったと思います。
そしてサイケおやじが彼女を好きなのも、少年時代から打ち消す事も出来ない「お姉さま好き」という性癖があってこそ!?
リアルタイムの現実では、落合恵子の人気にはイマイチ及びませんでしたが、個人的には本気で好きだった……、と愛の告白をしておきます。
しかし現実は厳しく、このレコードも当時の乏しい小遣いでは買うことが出来ず、ようやく3年ほど後に中古でゲットした時の嬉しさは、天にも昇る気持のはずが!?
全く仰天失望させられたのが、ジャケット裏解説にあった衝撃の文章!
なんと彼女は、やはり当時の人気DJとして洋楽メインに活躍していた「八木誠の妻」だったんですねぇ~~~~!!●▼▲??!?
冗談抜きにして、この事実に接した時、サイケおやじは首のあたりが熱くなった感覚を今も忘れていません。
う~ん、人妻に懸想したところで……。
ということで、それでもミコたんは素敵な憧れの女性なんですよっ!
この「私もあなたと泣いていい?」にしても、真摯に語りかけるような節回しと落ち着いた声質の魅力が、三沢郷の作詞作曲に充分応える仕上がりの重要ポイントだと思います。
なによりも、そういう事を女性から言われて、グッとこない男はいますかねぇ~。ましてや相手は年上のお姉さまならば!?
そして秋の夜長には、兼田みえ子のボーカルが似合うのでした。