OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

栗田ひろみの憎めなさ

2012-10-12 15:21:15 | 歌謡曲

太陽のくちづけ / 栗田ひろみ (ワーナーパイオニア)

世の中に何をやらかしても、決して憎めない人ってのが居ますよねぇ~。

それは人徳でもあり、その人の羨むべき個性ですから、周囲には十人十色の好き嫌いで扱われても当然だと思います。

さて、そういう観点からすると、サイケおやじにとっての栗田ひろみは、まさに憎めないアイドルでありました。

実は結論から述べさせていただければ、失礼ながら歌は上手いとは言えませんし、演技だって、圧倒的な輝きを見せてくれた事は無かったと思います。

またルックスにしても、スタイル抜群のメリハリバディではなく、しかし妙に親しみ易い面立ち、ぶりっ子やってもイヤミにならない存在感は、絶妙のバランスだったと思います。

で、サイケおやじが初めて栗田ひろみを知ったのは、大島渚監督が撮った「夏の妹(ATG)」を観た昭和47(1972)年夏の事で、物語は沖縄を旅する彼女を主役にしたロードムービーでしたから、必然的に現在の諸問題にも繋がる沖縄の実相あれこれを活写した内容です。

つまり大島渚ならではの捻ったエグ味が、この作品の持ち味ですから、本来は些かネクラなムードが優先的に感じられると思いきや、栗田ひろみが登場することによって、そこへ不思議な光が投射されるという感覚に満ちていたんですねぇ~~♪

尤も、それはあくまでもサイケおやじだけの感想にすぎません。

しかし、栗田ひろみという十代の女優さんがアイドル人気を爆発させる予兆であった事は確かと思います。

なにしろ翌年には東宝で初主演映画「放課後(森谷司郎監督)」が作られ、これは井上陽水が本格的に大ブレイクした「夢の中で」という人気曲を主題歌に使った事も話題でしたが、それは本末転倒! 現実的には栗田ひろみが、ここで決定的な人気を得ています。

そして以降、映画やテレビの世界だけでなく、雑誌のクラビアや表紙にも頻繁に登場し、さらに当然の流れで歌手デビューとなったのが、本日ご紹介のシングル盤というわけですが……。

まず、はにかんだ表情と愛くるしい仕草の栗田ひろみ♪♪~♪

サイケおやじが何時もシビれるフェロモン資質とは無縁の佇まいにグッと惹きつけられるんですから、このジャケ写はシンプルでありながら、彼女の不思議な魅力が凝縮されたものと思います。

また、肝心の歌は既に述べたとおり、決して上手くありません。

それでも作詞:山口あかり、作曲:森田公一、そして編曲:馬飼野俊一というヒットメーカートリオの仕事は流石の匠! 栗田ひろみの危うい歌唱力を期待を抱かせて聞かせる技の冴えは、これが発売された昭和48(1973)年のアイドル歌謡ポップスでは王道路線の必中盤でしょう。

同時にテレビの歌番組に出演し、この歌を披露してはヘタレを演じていた彼女が、笑って許してっぽい仕草で微笑む時、それこそが栗田ひろみの真骨頂でありました。

ご存じのとおり、翌年には篠山紀信の撮影によってヌードグラビアに登場してしまう彼女も、この頃は未だ清純派というか、映画やテレビドラマではちょいとネクラな演技を十八番にしていたところと相まっての人気が絶頂でしたから、それを上手く活用(?)出来たものと思います。

ということで、栗田ひろみは1970年代前半の一時期だけ閃光のように輝き、数年の活動の後、結婚を機に潔く引退されましたが、だからこそ、眩いのだっ!

それがサイケおやじの素直な気持です。

皆様には決してオススメ出来るレコードではありませんし、あくまでもファンのためのアイテムではありますが、栗田ひろみという、憎めないほど素敵なアイドルも当時は許されていたという、そんな話を本日は綴ってみました。

ちなみにレコードはサイケおやじが知る限り、シングルが3枚とLPが1枚発売され、数年前にCD復刻もされていますが、中ではセカンドシングルとなった「初恋の散歩道」が一番良いと思います♪♪~♪

あっ、映画「放課後」もDVD化されていますよっ!

これは文句なしの傑作なんで、ぜひっ!

コメント
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