OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ストレートガレージもサイケデリックだったブルース・マグース

2012-01-14 15:07:18 | Rock

Pipe Dream / The Blues Magoos (Mercury / 日本ビクター)

今は歴史の中の人気バンドになってしまったブルース・マグースも、全盛期は最もメジャーなサイケデリックバンドという二律背反を立派に実践していました。

特に1967年に放った代表的なヒットの「Nothin' Yet」は、今やディープ・パープルの「Black Night」の元ネタとして、これは決して忘れられる事はないでしょう。

また「サイケデリック」という言葉を音楽用語として定着させる役割の大きさも、このバンドの功績のひとつかもしれません。それは本日掲載した日本盤シングルのジャケ写にも、「サイコデリック・サウンド」なぁ~んていう、なかなかしぶといウリが載っているほどですからねぇ~♪ また最初のヒットによって出したLP「サイケデリック・ロリポップ」が、その内容よりも、アルバムタイトルによって記憶と歴史に残っている事も皮肉だと思います。

というのも、所謂「サイケデリック」な「ロック」には当時からガレージ系ハードロックの流れと共に、ドロドロしてユルユルな演奏も含む幻想的な表現が求められ、それゆえに凝りに凝ったスタジオレコーディングによる「造り物」といった面白さが、今日では一般的なイメージになっている感があります。

しかし1960年代中頃、明確に勃興して音楽マスコミから「サイケデリック」という輝かしい(?)称号を与えられたロックバンドの多くは前者、つまりガレージ系のギスギスしてシンプルなサウンドを全面に出していたのが本当のところじゃないでしょうか?

もちろん当時、そのジャンルのトップバンドに君臨していたジェファーソン・エアプレインはブルースやフォーク、ジャズやR&Bを大胆に融合させた音楽性とライプステージにおけるライトショウ等々の視覚的イメージを並立させることで、そうした問題提起を企てた側面は無視出来ませんが……。

ただ、それにしても個人的には「サイケデリック」な「ロック」とは、ビートルズ中期の蠢くようなスタジオ録音の楽曲に象徴される人口的なサウンド、あるいはピンク・フロイド等々が演じていた抑揚の少ない空間志向ロック、はたまたグレイトフル・デッドのようなジャムバンドっぽい手法による長尺演奏があってこそ、見事に成り立つジャンルだと思い込んでいた十代の頃、ブルース・マグースの叩きつけるようなエグ味の効いたスタイルは、そこからほとんど逸脱した世界に感じられました。

そして皆様がご推察のとおり、若き日のサイケおやじは、そうした所謂ハードロックの原理主義的展開が大好きですから、後追い中古での入手ながら、相当に気合いの入る探索をやりましたですねぇ。

ちなみにブルース・マグースはアメリカのバンドで、メンバーはラルフ・スカラ(vo,org)、マイク・エスポジット(g)、エミール・シールヘルム(vo,g,b)、ロン・ギルバート(vo,g)、ゲオフ・デイキング(ds) という5人組で、歌と演奏もイケてますが、ルックスやファッションセンスも侮れませんから、我国のGSに与えた影響も相当に大きかったと思っています。

中でも本日ご紹介の「Pipe Dream」は、そのストレートなカッコ良さにおいて、1967年当時としても抜群の本物ロックであり、オルガンのシンプルにしてキャッチーなキメ、大技小技を織り交ぜたリードギター、ビシッとタイトなリズム隊のビート感がたまりませんねぇ~~♪

極言すれば如何にも歌謡曲に接近したヒット狙いのGSへの応用度も高く、絶妙の覚え易さが良い感じ♪♪~♪

それゆえに結論として、グループの人気が長続きしなかったのは不思議なほどなんですが、残されたレコードや音源は全てが蒐集の対象に成り得るバンドだと思いますし、実は一旦解散した後にはアシッドフォークみたいなスタイルに変貌した演奏も残していますから、もしかしたら再結成メンバーで今も活動を継続しているのかもしれません。

ということで、これほどストレートにガレージ系ハードロックの魅力を伝えてくれたバンドは、ブルース・マグースが一番じゃないでしょうか。

残念ながらサイケおやじはやる事が叶いませんでしたが。アマチュアバンドにはジャストミートの演目としての存在価値も、この「Pipe Dream」には確かにありますよ。

そして書きながら、今からでも遅くないよなぁ~、と決意を固めつつあるのでした。

コメント (2)
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