OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

オルガンジャズの闇鍋大会

2012-01-28 14:54:10 | Soul Jazz

Giants Of The Organ In Concert
           / Jimmy McGriff & Richard Groove Holmes (Groove Merchant)

ジャズの世界の人気企画のひとつが所謂バトルセッション物で、これは同一楽器による対決演奏をメインで聴かせるところから、トランペットやサックス、あるいはギターあたりが主軸になっているんですが、本日ご紹介のアルバムは、なんとっ!

オルガンのバトル物で、しかもライプ録音ですから、ギットギトに脂っ濃い熱気が充満する演奏が楽しめますよ♪♪~♪

録音は1973年、ボストンのボールズモールという、ジャケ写からも推察出来るように、それほど大きくはない店での演奏ですから、雰囲気の良さは保証付き!

メンバーはジミー・マクグリフ(org)、リチャード・グルーヴ・ホルムズ(org)、オドネル・レヴィ(g)、マーク・エルフ(g)、レオン・クック(g)、マイク・モス(ds)、クワシ・ジェイウバ(per) という面々なんですが、ジャケット記載の解説によれば、ステレオレコーディングの左チャンネルにジミー・マクグリフとオドネル・レヴィ、そして右チャンネルにリチャード・グルーヴ・ホルムズとマーク・エルフがミックスされているとの注意書きから、どうやらオルガン奏者各々のバンドが揃って出演したものと思われます。

ただしレオン・クック、マイク・モス、クワシ・ジェイウバがどちらのバンドメンバーかは、サイケおやじの勉強不足で定かではないものの、その場の空気を読み切った演奏は手堅く、決して侮れません。

A-1 The Preacher's Tune
 いきなり低い重心でグルーヴしまくりのジャズファンク♪♪~♪
 もう、このコッテリコテコテの闇鍋感は聴いているだけで体の芯が火照るほどです!
 ちなみにここでの主役でアドリブをやるのは先発がセンターに定位したギターで、これがワウワウ等々のアタッチメントも適宜使った「新世代の新主流派」って感じでしょうか、なかなかの鮮度が良い感じなんですが、前述したジャケット記載の解説からすれば、これを弾いたのはレオン・クック??
 しかし、んなぁ~事はど~でも良くなるほど、ここでの合体バンドは双方の自意識過剰が結果オーライで、二番手のギターソロが左チャンネルから聞こえるということは、これがオドネル・レヴィなんでしょう。こちらも従来のソウルギターから逸脱したカッコ良さが、上手くそのあたりを取り持つ仕事をしていますよ。
 また全篇でチャカポコのパーカッションやリズムギターの存在そのものが、こうした演奏を聴く楽しみでもありますよね。オルガンバトル物とは言いながら、初っ端からそれが提示されているのも意味深ではありますが……。

A-2 Bean's
 高速4ビートで展開されるオルガンビバップ合戦で、ちょいとエレクトリックな響きを使うのがジミー・マクグリフ、如何にもハモンドな音色がリチャード・グルーヴ・ホルムズという左右チャンネルの対決も楽しいわけですが、両手両足を全開使用したベースパートの物凄さを楽しむのもオルガンジャズの魅力だと思います。
 ちなみに基本はブルースながら、弱冠のハードロック風味を感じるのはサイケおやじだけでしょうか?

B-1 Mozanvique
 既に当時は一世を風靡していたラテンロック調のグルーヴが展開されるミディアムテンポの演奏ですが、しかし終始濃密なソウルフィーリングが溢れ出ている結果は流石、このメンバーなればこそっ!
 あぁ、聴いているだけ自然に身体が揺れてしまいますし、魂もどっかへ連れ去られてしまうトリップ感がこれまた本当に秀逸で、もちろん行き着く先はソウルジャズの桃源郷というわけです。
 ちなみに、これを聞きながらのセックスはイイッ♪♪~♪
 なぁ~んて、友人が以前にホザいていましたが、分かるような気がしますねぇ~。もちろんサイケおやじはやった事がありませんが、気になる皆様はお試しあれ!

B-2 Closing Theme
 タイトルどおり、ランダムなメンバー紹介もやってくれる短い挨拶ってところですが、これまたアップテンポでの4ビート演奏は痛快そのもの!
 ただしフェードインしての展開なんで、全く短いのが残念……。

C-1 Brown Bread
 う~ん、またまたヘヴィなオルガンファンクが炸裂ですよっ!
 しかもフットペダル併用の蠢き低音パートには本物のエレキベースの助っ人があるような感じなんですよねぇ~♪ ジャケットにそういう人物の記載が無いので、おそらくは誰かギタリストのひとりが持ち替えでやってるんでしょうか?
 いずれにせよ、これはこれで正解だと思います。
 しかしギターは左右と真ん中から3本がきっちり聞こえますし、センター定位でアドリブを披露する誰かさんは怖いほどにアグレッシヴですよ。
 もしかしたら、これがマーク・エルフ?
 とすれば、A面ド頭の「The Preacher's Tune」のアドリブも同じという雰囲気になるんですが、二番手のアドリブをブチかます左チャンネルのギター、おそらくはオドネル・レヴィも大健闘! 実に熱くなりますねぇ~~♪
 そして肝心の両親分が演じるオルガンは言わずもがなのベテランの味、と書きたいところなんですが、良いところでのフェードアウトは減点です。 

C-2 Talk To Me
 粘っこい4ビートで演じられるハードバップのブルース大会ですから、必然的にバックキングのギターが提供するジャスっぽいコードワーク、またテンポを上げてからのドラムスのグルーヴ等々、まさに黒人音楽の醍醐味が堪能出来ますよ♪♪~♪
 さらに左チャンネルで暴れるジミー・マクグリフに対し、右チャンネルのリチャード・グルーヴ・ホルムズが地道に低音部で煽る仕掛も素晴らしく、後半は両者のオルガンでの対話が流石の緊張と緩和を提供してくれますから、心置きなくシビれましょうねっ!

D-1 Boston Whaler
 アナログ盤LPでは大団円とあって、なかなか快適な4ビートにノリまくったオルガンジャズの典型がここにあります。
 ただし、それゆえに当たり前だのクラッカーというか、各楽器のミックスが錯綜している所為もありますが、何か物足りないと贅沢も言いたくなる気分は否めません。
 それでも個人的には各ギター奏者のワザを盗む目的の鑑賞法もあって、かなり勉強のお手本になっている事を付け加えての感謝のぶる~~す!

D-2 Chopper
 なんとっ! これも前曲同様にアップテンポの4ビートで演じられるブルースとあって、些かLP片面を通して聴くのがへヴぃな時もありますが、まあ、いいか……。
 もちろん現場での丁々発止のアドリブ合戦はきっちり入っていますし、「お約束」であるオーラスのメンバー紹介も安心印なのでした。

ということで、些か不満も書いてしまいましたが、これだけのオルガンジャズが記録されたアルバムは聴かずに死ねるか! という真実もあろうかと思います。

ちなみに書き遅れていましたが、演目は全てジミー・マクグリフとリチャード・グルーヴ・ホルムズの共作とクレジットされていますが、もちろん現場で即興的に作ったリフに基づいた曲、あるいはどっかで聞いたことのあるフレーズを発展させただけという場当たり的なものばかりで、しかし、それが如何にもリラックスした結果を導く要素だとすれば、わかっちゃいるけど、やめられないっ!

もちろんファジーなミックスによる各楽器の存在意義の不確かさ、露骨な編集意図への不同意は賛否両論でしょう。

しかしオルガンばかりでなく、ギターが全体の半分以上で主役を演じている事も合わせて、思わず熱くさせれる瞬間は、こういうレコードの醍醐味だと思います。

コメント (4)
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