OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ムーディー・ブルースは爽やかで痛快!

2010-07-29 16:53:00 | Rock

Story in Your Eyes / The Moody Blues (Threshold / キング)

ムーディー・ブルースは、メロトロンというストリングの効果を作り出せるキーボードを主体に、幻想的で壮大な物語世界をアルバム単位で聴かせるという、それが一般的なイメージのプログレグループではありますが、実は紛うこと無きロックバンド!

そういう部分が忘れ去られているというか、メーカー側の特化したイメージ宣伝にもよるんでしょうが、決して勿体ぶった音楽ばかりやっているわけではありません。

むしろ強いロックビートの楽曲を演じてこそ、その対極として例えば「サテンの夜」の如き、こみあげてくるようなスローバラードが活きてくるんじゃないでしょうか。

その意味で本日ご紹介のシングル曲は、ムーディー・ブルースが1971年に発表した最高傑作と言われる名盤LP「童夢 / Every Good Boy Deserves Favour」からカットされた、実にイカシた痛快ロック!

アコースティック&エレキギターが絶妙に作り出すキャッチーなイントロからアップテンポで歌われるメロディは実に覚えやすく、もちろん十八番のメロトロンによる重層的な彩りとソフトロック的なコーラスワークが、まさにムーディー・ブルースを特徴づけていると思います。

しかし同時に魅力的なのが、ニクイほどカッコ良いリードギターのキメとドライブしまくったベース、さらに幾分ドタバタのドラムスです。

極言すれば相当にモヤモヤした音作りは欧州プログレの典型でありながら、演じられている楽曲のノリはウエストコーストロックなんですねぇ~♪

これを聴いて思わずドゥーピー・ブラザーズを想起させられたとしても、それはムーディー・ブルースの企みに補足されたことに他ならないと思うばかりです。

と言うよりも、この時点でドゥーピー・ブラザーズは未だブレイク前でしたから、ドゥビーズの面々はこれを聴いていたのか!?

そこで学生時代のサイケおやじが入れてもらっていたバンドでは、邦題が「愛のストーリー」とされるこの曲を、モロにドゥーピー・ブラザーズ風に演じるというウケ狙いをやっていました。そのキモはメロトロンのパートをオルガンに置き換える裏ワザです。

そして実際、ある日のライプの後でタイバンに出ていたメンバーから、あのドゥーピー・ブラザーズは何のアルバムに入っているの? と尋ねられた時は、生意気にも本当に嬉しかったですねぇ~♪

しかし良い気にばかりもなっていられません。

告白すればサイケおやじは「サテンの夜」が1972年にリバイバルヒットしてから、ほとんど初めてムーディ・ブルースを後追いで聴いたわけですから、この曲が欧米で大ヒットしていたことをリアルタイムでは知る由もなく、もちろん我国でのヒット状況も定かな記憶がありません。

当然、このシングル盤も、後追い鑑賞の途中でゲットしたものですし、デビュー当時のムーディ・ブルースがブリティッシュR&Bの正統を演じていたバンドだった真相も、その過程で知りました。

ですから1973年に発売された「神秘な世界 / Seventh Sojoutn」からのシングルカット曲「ロックン・ロール・シンガー / I'm Just A Singer」が、またしてもゴキゲンに爽やかなヒットになっても、こんなのプレグレじゃねぇ~~! なんて憤るファンの気持が理解出来ず……。

また1980年代、イエスの人気盤「リレイヤー」に参加していたパトリック・モラーツ(key) を迎えてからのライプで、それこそギンギンなハードロック路線を演じていた時も、これがムーディ・ブルースの本質!?! と発言して、周囲から顰蹙を……。

しかし、それじゃ、プログレって、何だ!?

という疑問が打ち消せませんねぇ。

幻想的で壮大な組曲形式の歌と演奏をやるのが、プログレバンドなんでしょうか?

確かにムーディー・ブルースは、それもひとつの表現として演じることがあります。

ただし、そればかりじゃ、無い!

既に述べたように、他に痛快で親しみやすいプログラムがあってこそ、そういうものが印象に残るレコードやステージを作っているんじゃないでしょうか。

結局、プログレという業界の分類と売り方は両刃の剣というか、テクニック的に優れたバンドいうイメージと意味不明の凄みばかりが強調され、最終的には誤解されるミュージシャンが大勢残ってしまう気がしますねぇ……。

そこでムーディー・ブルースは、もっと気楽に聴かれるべき!

というのが、本日の主題です。

近年はソフトロックという解釈もされるムーディー・ブルースは、案外とそれが正解なのかもしれません。

コメント
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