OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ジェラルディンはエレキ歌謡か!?

2009-06-18 10:39:01 | Pops

Geraldine / Boot Walker (Rust / キングレコード)

現代のように海外の情報が簡単に取れなかった昭和の日本では、当然の如く、洋楽でも独自のヒット曲が生まれています。

本日ご紹介のシングル曲は、まさにその代表的な昭和44(1969)年の大ヒット!

歌っているのはブーツ・ウォーカーという男性歌手ですが、驚くべきことには、レコードジャケットの裏解説でさえ、この人に関して、ロクな説明もされていません。なにしろ「一部の情報によると」なんて、わざわざ断りを入れてから、バイオグラフィーが紹介されているほどです。

で、このブーツ・ウォーカーという歌手は、どうやら職業作家であり、プロデューサー業にも手を染めている裏方の人らしく、Lou Zeran のペンネームで幾つかのヒット曲を制作したことになっています。

そしてブーツ・ウォーカー名義では、1967年に「They're Here (Rust)」という小ヒットも出しているそうですが、当然、私は聴いたこともありません。

しかし、この「ジェラルディン」は当時のラジオではウケまくり♪

イントロに使われた暴風のSE、ベンチャーズでお馴染みの「Walk Don't Run」を強く想起させるベースとギターのエレキなサウンドが、まず高得点♪♪~♪ もちろんキャッチーな曲メロと軽快なビートは、当時の洋楽には「お約束」ですし、おそらくは白人と思われるブーツ・ウォーカーのボーカルが実にイナタイ味わいで、如何にもAMラジオのヒットパレードにはジャストミートでした。間奏の肩の力が抜けたオルガンとか、バタバタした素人っぽいドラムスも良い感じ♪♪~♪

ちなみに、これが流行った昭和44年の日本は、既にハード&サイケロックにしても、またR&Bにしても、本格志向のディープなものが主流になりつつありましたから、この曲なんかは古い感じがモロに出ています。

しかし我が国には、昨日も書いたとおり、ベンチャーズの遺産が強くありましたから、それがヒットのポイントだったと思います。イントロからのエレキなノリや覚え易さ優先の曲メロの作り方は、ベンチャーズが作曲した我が国の歌謡曲、所謂「ベンチャーズ歌謡」に通ずるキモが確かにあるのです。

ジャケットの裏解説でも触れられていますが、当時の洋楽を発売企画する我が国のレコード会社は、その担当スタッフの感性がとても重要だったのでしょう。その意味では、この「ジェラルディン」の、どっかで聞いたことのあるような親しみ易い曲調、そしてベンチャーズ歌謡っぽさ等々は、和製洋楽に通ずる魅力だったと思います。

今となっては忘れられた曲かもしれませんし、片思いを歌った中身とは全く無関係の大作映画風なジャケットデザインにも苦笑させられるでしょう。

ただ、それが当時の日本の洋楽の一側面でした。

そして、B面収録曲のタイトルが「誰も知らない」とは、あまりにも出来すぎじゃないでしょうか?

個人的には高校時代の学祭でバンド演奏した、思い出の曲でもあります。

コメント (4)
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