OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ファンキーインストでドライヴ

2009-06-19 11:40:26 | Rock Jazz

Pick Up The Pieces / Average White Band (Atlantic / ワーナーパイオニア)

既に何度も書いているように、洋楽ヒットにラジオが必須だったのが、「昭和」の事情でした。勉強しながら聴いていた深夜放送、車の中ではカーラジオ、そして海辺のラジカセ♪♪~♪ 全てが今となっては懐かしい過去の遺物でしょうか……。

さて、本日ご紹介のシングル曲は、昭和50(1975)年春から夏にかけて、ラジオから流れまくっていた実にカッコ良いファンキーインストの大ヒットです。

演じているのは平均的白人楽団!?

なんていう、やっている事とは正反対の皮肉っぽい名前のバンドで、実際、彼等はイギリスの白人グループでした。メンバーはヘイミッシュ・スチュアート(g,vo)、オニー・マッキンタイア(g,vo)、ロジャー・ボール(key,sax)、アラン・ゴーリー(b,vo)、ロビー・マッキントッシュ(ds,per)、モリー・ダンカン(sax,fl) という6人組! どうやらバンド結成までは各々がロンドンのスタジオで働いていたようです。

それが1972年頃にバンドとして纏まり、翌年にはデラニー&ポニーを解散してソロ活動をスタートさせていたボニー・リンのバックバンドに起用され、そのまま渡米して彼女のアルバムセッションに参加したことになっていますが、残念ながらそれにはクレジットが全くありません。

実はこのあたりの事情は後に推察出来たのですが、アベレージ・ホワイト・バンド=AWBとなった彼等6人組はレコード制作の契約を最初はMCAと結んでいます。しかしメンバーの気持ちは本場のR&Bで偉大なる実績を誇るアメリカのアトランティックへと傾いていたらしく、前述の渡米中に新しい話が進んでいたようです。

そして、とりあえずはMCAからデビューアルバムとなる「Show Your Hand」を1973年に発売した後、アトランティックへ移籍し、このシングル曲を含む名盤アルバム「Average White Band」を作るのですが、プロデューサーが黒人音楽の良き理解者だったアリフ・マーディンですから、その出来栄えは言うまでもありません。

このシングル曲にしても、サックスがメインのソウルインストではありますが、決して往年のジャズロックではなく、あくまでもロックを基本にしたファンキーグルーヴが最高に演出されていますし、もちろんジャズっぽさも自然体なアドリブが痛快♪♪~♪ また、何よりも覚え易いキメのリフが最初っから出し惜しみされずに使われているのも、ヒット曲の必要十分条件を満たしています。

現実的にはAWBはライブバンドだと思いますし、アルバムを楽しむのが基本でしょう。しかし、こういうイカシたシングルヒットがあってこその魅力も最高です。ジャケットに記載されている「全米第1位」というウリに偽り無し!

ちなみにAWBは、このセッションの後にドラマーが不慮の死……。あらたに黒人ドラマーのスティーヴ・フェローンが加入したことでバンド名が純粋では無くなりましたが、しかし尚更に強靭なファンキーグルーヴを獲得したことで、本格的な快進撃が始まり、1970年代後半から1980年代前半にかけてのフュージョンブームがあったにせよ、実に熱い活動を繰り広げてくれました。

機会があれば、皆様にはぜひとも聴いていただきたいバンドのひとつです。

そしてサイケおやじは、どうにか自分の車を中古で買ったばかりの1979年、AWBをカーステレオで鳴らしていたあの頃が、懐かしくなるのでした。

コメント
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