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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

小編成の醍醐味

2007-01-29 16:16:55 | Weblog

それにしても今年は雪がありません。昨年の豪雪が嘘のようなポカポカ天気です。地元の人の話でも、生まれてからこんなに雪の少ない冬は初めてだとか……!

あんまり暖かくて、冬眠のクマが目覚めたなんていうローカルなニュースまでも!

いやはや、なんとも、雪なんか無いほうが良いというのが、外様の意見なんですがねぇ。

ということで、本日の1枚は――

The Swinging Count ! / Count Basie (Clef / Verve)

カウント・ベイシー楽団のファンにとっては、もうひとつの楽しみが、ピックアップ・メンバーによるスモール・コンボのセッションでしょう。

なにしろ超一流の実力者でなければ入団出来ないバンド内から、さらにスタアプレイヤーを選りすぐっての演奏ですから、何時の時代も悪いはずがありませんが、特に1950年代初期にはビバップの影響も染みこんだ、絶妙の中間派ジャズが楽しめます。

このアルバムは1952年のセッションから纏めたものですが、当然、この仕様で発売された演奏ばかりではありません。SPやEPで既に発表されていたもの、そしてこれが初出の演奏もあろうかと思いますが、そのあたりのマニア泣かせがヴァーヴというレーベルの特徴でもあります――

A-1 Extended Blues (1952年7月23日録音)
 カウント・ベイシー(org)、オスカー・ピーターソン(p)、フレディ・グリーン(g)、レイ・ブラウン(b)、ガス・ジョンソン(ds) という、非常に興味深々のメンバーで演奏されたブルースです。結論はもちろん最高!
 まずカウント・ベイシーのオルガンがグビッと出た後は、フレディ・グリーンを中心に「間」を大切にした絶妙のグルーヴが生み出され、オスカー・ピーターソンが音符過多ギリギリの名演を聴かせます。もちろん指が動いて止まりませんが、同時にタメとネバリの芸術までも堪能させてくれます。
 対するカウント・ベイシーは、オルガンでも何時ものピアノと変わり無く、やはり「間」の芸術ですねぇ~、これはっ♪ そこを埋めていくリズム隊とオスカー・ピーターソンの思惑も見事に合致しています。ゲッ、ファンキーまでもっ!?
 あぁ、これを聴けただけで私は満足です!

A-2 I Want A Little Girl (1952年7月23日録音)
 「A-1」と同日の演奏ですが、メンバーは異なり、ルノー・ジョーンズ(tp)、ヘンリー・コーカー(tb)、マーシャル・ロイヤル(as,cl)、ポール・クィンシェット(ts)、チャーリー・フォークス(bs)、カウント・ベイシー(p)、フレディ・グリーン(g)、ジーン・ラミー(b)、バディ・リッチ(ds) の9人編成となっています。
 演奏はムード満点のスローな展開で、テーマをリードするルノー・ジョーンズのミュート、ソフトに絡むマーシャル・ロイヤルのクラリネット、情感たっぷりのアドリブで酔わせるポール・クィンシェットと、本当に役者が揃っていますねぇ~♪
 もちろんフレディ・グリーンを核としたリズム隊も鉄壁ですから、ダレません。
 しかも途中にはキメまで仕込んであるという、ニクイ演奏になっています。これも必聴!

A-3 Oh, Lady Be Good (1952年12月13日録音)
 カウント・ベイシー楽団にとっては十八番の当り曲ですから、ここでもソツが無いどころか、会心の演奏になっています。
 メンバーはジョー・ニューマン(tp)、ポール・クィンシェット(ts)、カウント・ベイシー(p)、フレディ・グリーン(g)、ジーン・ラミー(b)、バディ・リッチ(ds) というセクセットですので、悪いはずがありません。
 メンバーそれぞれに見せ場がありますが、特にバディ・リッチのシャープで躍動的なドラムスは天才の証ですし、レスター・ヤング(ts) の役割を立派に果すポール・クィンシェット、さらにモダンな感覚を披露するジョー・ニューマンが快演です。
 ブギウギ調のカウント・ベイシーのピアノは温故知新♪

A-4 Song Of The Islands (1952年12月13日録音)
 全曲と同日録音ですが、メンバーからジョー・ニューマンが抜けたクインテットの演奏です。しかもカウント・ベイシーが再びオルガンにチェンジして、最高の味を披露しています。爽やかグルーヴとでも申しましょうかっ!
 またアドリブで大活躍のポール・クィンシェットが、ソフトな歌心と情感を存分に聴かせてくれますし、リズム隊のビートのキレも申し分ありません♪

A-5 Basie Beat
A-6 She's Funny That Way
B-1 Count's Organ Blues
B-2 K.C.Organ Blues
B-3 Blue And Sentimental
B-4 Stan Shorthair
B-5 As Long As I Live
B-6 Royal Garden Blues

 この8曲は再びセクステットの演奏で、録音は1952年12月15日、メンバーはジョー・ニューマン(tp)、ポール・クィンシェット(ts)、カウント・ベイシー(p,org)、フレディ・グリーン(g)、ジーン・ラミー(b)、バディ・リッチ(ds) となっています。
 特筆すべきはカウント・ベイシーのオルガンとピアノの二刀流でしょうか、グビクビと響いてくるオルガンのグルーヴィな雰囲気とシンプルで「間」を生かしたピアノの対比が印象的♪ もちろんブギウギ調の強烈なビートも何時もの楽しさです。
 またフレディ・グリーンが、やっぱり良いですねぇ♪ このアルバムは小編成録音ということもあって、何時も以上に、あの天才的なリズムギターが堪能出来ます♪
 さて演目では、まず「She's Funny That Way」や「Blue And Sentimental」といった泣きのスロー物が、心に染み入る名演です。ポール・クィンシェットの優しさあふれるテナーサックスとカウント・ベイシーのオルガンの相性は、これ以上無いほどです♪
 また「Basie Beat」「Count's Organ Blues」や「K.C.Organ Blues」といった、そのものズバリの演奏では、ベイシー楽団が本来持っているドロ臭味が遺憾なく発揮され、しかも嫌味になっていないのは、ジャズの真髄を鋭く突いた証でしょうか!? ポール・クィンシェットが本当に良いですねぇ~♪ もちろんジョー・ニューマンも絶妙です。
 そして「Stan Shorthair」や「As Long As I Live」では小気味良いベイシー・ビートが堪能出来ます。う~ん、フレディ・グリーンは最高だぁ! 当然の如く暴れるバディ・リッチとジーン・ラミーのコンビネーションもバッチリです。
 さらに最後の「Royal Garden Blues」ではデキシーのモダンスイング化に見事成功しています。その立役者はもちろん、バディ・リッチですが、一緒になってグイノリを作り出していくリズム隊全員のグルーヴは素晴らしいの一言♪ あぁ、いつまでも聴いていたいですねぇ~♪

ということで、これは短い曲ばかりですが、密度の濃さは保証付きという名演集です。リズム隊だけ聴いていても十二分に満足出来るはずですし、フロントではポール・クィンシェットが畢生の出来栄えでしょう。嘘、偽り無く最高なんです♪ 必ず泣きます。

コメント (2)
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