OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

調子良い1枚

2006-10-23 18:47:30 | Weblog

本日は流石に疲れていました。

特に朝がヘヴィでしたねぇ……。午前中は完全に調子が出ませんでした……。

そこで昼メシ時に聴いたのが、調子の良いこれ、です――

The Thing To Do / Blue Mitchell (Blue Note)

トランペットで、もう1人、好きなのがブルー・ミッチェルです!

良く知られているように、ホレス・シルバー(p) 全盛期のバンドレギュラーであり、後年は白人ブルースのジョン・メイオールに雇われリ、フュージョン系のアルバムを作ったりしていますが、その魅力は分かり易くてツボを外さないフレーズの妙だと思います。

もちろん一番得意なのはハードバップなんでしょうが、その基本はR&Bで、レイ・チャールズのバンドに雇われていたキャリアもあるのです。

肝心のリーダー盤は、まずリバーサイドと契約していた時期の作品が秀逸とされていますが、続くブルーノートに残されたアルバムも侮れません♪

本日の1枚は、如何にもブルーノートらしい真っ向勝負のモロジャズで、製作時期的にハードバップを一歩進めた新感覚を聴かせてくれます。

録音は1964年7月30日、メンバーはブルー・ミッチェル(tp)、ジュニア・クック(ts)、チック・コリア(p)、ジーン・テイラー(b)、アル・フォスター(ds) という直球勝負の面々ばかりです――

A-1 Fungii Mama
 楽しいラテンビートのハードバップで、ブルー・ミッチェルのオリジナルですが、どっかで聞いたような懐かしさが、たまりません♪
 アドリブパートでは先発のジュニア・クックがソニー・ロリンズとジョン・コルトレーンの美味しい部分を拡大解釈して、リスナーを喜ばせます。
 そしてブルー・ミッチェルも負けていません♪ 分かり易いフレーズの連発は、なんとなくグラント・グリーン(g) のフレーズをトランペットで再現したような趣も感じられます。
 また、ここに参加したチック・コリアは本当に駆け出し時代の記録ですが、十八番のラテン系ジャズとあって、新しめのフレーズを織込みながら、楽しく盛り上げていくのでした。
 ちなみにリズム隊も秀逸で、ドラムスとベース、ピアノがバラバラをやりながら、ひとつに纏まっていく様が、何回も楽しめたりします♪

A-2 Mona's Mood
 幾分、陰鬱なモード系の曲ですが、ブルー・ミッチェルは必要以上に勿体をつけず、明快なフレーズと豊かな歌心を披露しています。
 またジュニア・クックはアトランティック期のジョン・コルトレーンという雰囲気で、これも好ましく、チック・コリアはハービー・ハンコック寄りの新感覚だけを聴かせてくれます。

A-3 The Thing To Do
 アルバムタイトル曲は痛快なハードバップです。
 そのキモはラテンリズムの変形というジャズロックのビートで、リズム隊は何気なく、凄いことをやっていると思います。
 しかもアドリブパートがビシッとした4ビートですから、たまりません♪
 ブルー・ミッチェルは全てが「歌」という楽しさですし、背後で煽るリフとの遣り取りも調子良く、あぁ、ジャズは難しいフレーズなんか出さなくても成り立つもの! という方程式が出来上がっています。
 それはジュニア・クックという盟友を得て、尚更に証明される真実で、ハードな音色でジョン・コルトレーンの物真似をやっても、ハードバップ~ファンキー・ゴスペルを忘れない姿勢は、サービス精神に満ちているのでした。

B-1 Step Lightly
 ミステリアスなモード系のハードバップですが、妙に歪んだブルースという趣がニクイところです。
 しかも作曲が、ジュニア・クックの後釜としてホレス・シルバーのバンドに入ったジョー・ヘンダーソン(ts) という因縁もありますから、ジュニア・クックもじっくりとアドリブを熟成させていくのです。う~ん、この人も、まず音色が私の好みです♪
 そしてブルー・ミッチェルが、また、落ち着いた中にも熱いジャズ魂を全開させ、味わい深いフレーズを綴っています。
 お目当てのリズム隊も重いビートで、がっしりとした土台を作っていますから、ブルー・ミッチェルのトランペットに合わせて、そのフレーズを歌っても、何の違和感もないはずです♪
 特にジーン・テイラーのベースはシンプルながら、ツボを押さえた図太さが良いですねぇ~♪

B-2 Chick's Tune
 オーラスはタイトルどおり、チック・コリアが作曲したアップテンポのモード系ハードバップです。もちろん、その曲調は新主流派丸出しながら、ラテン味が仄かにただよう素敵さがあります。
 そしてアドリブ先発もチック・コリアですから、いきなりジャズにどっぷりの世界に誘い込まれてしまいます。おそらく活動初期では代表的な演奏というところでしょう。このパートを「目隠しテスト」で出されたら、ちょっと……。
 さらに続くジュニア・クックもハードに調子良く迫ってきますし、ブルー・ミッチェルは密かに隠し持っているキメのフレーズを出し惜しみしない姿勢が潔く、本当に分かり易い、楽しい演奏を心がけているので好感が持てます。

ということで、実はブルーノートには、この作品以上に楽しい「ダウン・ウイズ・イット」という人気盤があるのですが、個人的には、こっちの初々しさも捨て難く思ってます。

ジュニア・クックとブルー・ミッチェルの盟友関係も好ましく、またリズム隊の新しい感覚が尖がり過ぎていないあたりに、リーダーの人柄が滲み出ているようにも感じます。

あまりジャズ喫茶でも鳴っていないと思われますが、機会があれば聴いてみて下さい。

コメント (4)
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