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サイケおやじの生活と音楽

追悼・田中登監督

2006-10-05 18:15:56 | Weblog

日活ロマンポルノを代表する田中登監督が急逝しました……。

享年69歳! 実際、驚愕しましたですねぇ……。

最近は映画本編の仕事よりもテレビドラマの演出で頑張っていたようですが、もう一度銀幕作品を作って欲しかったところです。

いみじくも、先月は復刻DVDで田中登監督作品が、幾つか発売されました。

その独自の拘りに満ちた映像美学は、アクが強すぎる時もありましたが、総じて1970年代日本映画のひとつの到達点を示していたと思います。つまり抵抗無く、凄いっ! と思わせられる映像が少なくありません。

ただし、個人的には物語展開が観念的で、取っ付き難いところも感じています。

中でも実在の責め絵画家である伊藤晴雨を描いた「責める!」は、SM物の体裁をとりながら、一筋縄でいかない雰囲気が濃厚でした。しかし中島葵や宮下順子が雪中に氷の池に浸けられたりするハードな責めは強烈で、全く田中登という映像美学が表出していました。

当時のSMの女王だった谷ナオミを、あえて起用しなかったあたりも、印象的です。おそらく虚構の様式美を避けたのでしょうが、それだけ独自の美意識に自信があったのかもしれません。

また田中真理主演の「夜汽車の女」は、暗黙の了解が求められる展開とオチが気になりますが、映像そのもので、そのあたりを納得させようとするイジマシサが、逆に見事だと……。田中真理の存在感も際立つています。

ということで、機会があれば、田中登監督作品をご覧下さいませ。孤高の前衛とか言われていますが、あくまでも正統派だと思います。

合掌……。



 

コメント
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