今日から10月! この季節になると、無性に生ギター、アコギの響きが恋しくなる私です。
そこで――
あのサイモン&ガーファンクルの片割れ=ポール・サイモンはソングライターとしての評価は抜群ですが、同時にアコギの名手でもあります。
このアルバムはS&Gが活動停止した後に発表したソロ・アルバムで、収めたられた曲の雰囲気から、あぁ、アート・ガーファンクルがいればなぁ……、という部分も濃厚ですが、逆にあえてそれを強調しつつも、ポール・サイモンなればこそ、というプロデュースが光ります。
それはシンプルな演奏、つまりポール・サイモン自身のアコギがたっぷりと聴けることです。
この人の演奏スタイルは全く独自に歌とリンクした絶妙なフレーズが多く、正統派フィンガー・アルペジオで迫る「ダンカンの歌」、カントリー・ブルースっぽい「いつか別れが」「休戦記念日」「平和の流れる街」「パラノイア・ブルース」、そしてジャズっぽい「お体を大切に」や「ホーボー・ブルース」「コングラチュレーション」と、本当に聴けば聴くほどに味が出てきます。
中でも「ホーボー・ブルース」はジャズバイオリンのスティファン・グラッペリと共演してのジャンゴ味になっていますし、「パラノイア・ブルース」では、やはりアコギの名手であるスティファン・グロスマンとのコラボレーションが、見事です。
そして「僕とフリオと校庭で」のストロークとカッティグのキレの良さ♪ CDで聴くと、アコギを主体に、右チャンネルでは、電気を通さないソリッドボディのエレキギターを使っているようですね。
ということで、ギターばかり聴いても満足ですが、もちろん楽曲の素晴らしさは言わずもがな!
ちなみにヒット曲として冒頭に入っている「母と子の絆」のイントロは、「喝采 / ちあきなおみ」にパクられているのは有名です♪
さらに現在、紙ジャケット仕様の復刻CDに入っている「パラノイア・ブルース」の別テイクが素晴らしく、生ギター主体で凄いグルーヴを生み出しています。これがボール・サイモンの強みなんですねぇ~♪ 本テイクよりも好きなほどです♪
まあ、アルバム全体の出来としては、次回作「ひとりごと」が格段の素晴らしさですが、この作品だって悪くはありません。むしろアート・ガーファンクルの声が欲しくなる瞬間が極めて愛しく、ついついS&Gの諸作に手が伸びるのでした。