子供の頃、風邪を引いたり何かあった時行く医院が近所にあった。
これを「かかりつけ医」というのだろう。
丸い回転イスに座り、うらおもて3回づつ、トントントンとやる。まるで儀式のように、やることは決まっていた。いつの日か、疑問が浮かんだ。
これで一体、何が分かるというのだろう。
専門が資源開発だったので、フィールドワークで地震探査をやったことがある。今では言える。あれは体の内部を地震探査しているのだと。
これは道具を使わずに出来る、最も簡単で効果のある検診術で、即座に重要な情報が得られるのだ。左の中指の腹を患部に当て、右の中指で叩く。すると例えば肺の場合、空気が詰まっている空間は、コーン、コーンと乾いた音が響く。そして指に振動として伝わる。肺炎や結核で血液や膿がたまると、音は全く違って聞こえる。
腹の場合、おなかが張っているのはガスのせいなのか、便が詰まっているのか、その分布はどうなのか。を知ることができる。
お医者さんは、自分で打診することを勧める。日頃、音を聞いていれば、変化に気が付くこともある。意外と楽しいよ。ただオレは指が細いので、右手の4本をまとめて貫手(ぬきて)突きのように叩く。そうそう、この音がしていたな。
おざなりのように見えたトントントンは、確かな腕と技術が詰まった、お医者さんのワザだったのだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます