松美の言絵(いえ)

私は誤解されるのが好きだ。言い訳する手間が省けるから。

「打診」お医者さんの魔法の手

2020-06-25 12:44:41 | 日記・エッセイ・コラム

 子供の頃、風邪を引いたり何かあった時行く医院が近所にあった。

 これを「かかりつけ医」というのだろう。

 丸い回転イスに座り、うらおもて3回づつ、トントントンとやる。まるで儀式のように、やることは決まっていた。いつの日か、疑問が浮かんだ。
 これで一体、何が分かるというのだろう。

 専門が資源開発だったので、フィールドワークで地震探査をやったことがある。今では言える。あれは体の内部を地震探査しているのだと。

 これは道具を使わずに出来る、最も簡単で効果のある検診術で、即座に重要な情報が得られるのだ。左の中指の腹を患部に当て、右の中指で叩く。すると例えば肺の場合、空気が詰まっている空間は、コーン、コーンと乾いた音が響く。そして指に振動として伝わる。肺炎や結核で血液や膿がたまると、音は全く違って聞こえる。

 腹の場合、おなかが張っているのはガスのせいなのか、便が詰まっているのか、その分布はどうなのか。を知ることができる。

 お医者さんは、自分で打診することを勧める。日頃、音を聞いていれば、変化に気が付くこともある。意外と楽しいよ。ただオレは指が細いので、右手の4本をまとめて貫手(ぬきて)突きのように叩く。そうそう、この音がしていたな。

 おざなりのように見えたトントントンは、確かな腕と技術が詰まった、お医者さんのワザだったのだ。

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