八郎潟町に人気のあんごま餅の店がある。ここは畠栄菓子舗というのだが、畠栄のあんごま餅と聞けば、泣く子も黙る県内有名店だ。
その陰に隠れて土橋開正堂がある。先日、水曜日にうっかり畠栄に行ってしまって、定休日で象潟の母ががっかりしているので、土橋へ向かった。
土橋の場合は、店に商品を並べていない。受注生産みたいなもんだ。突然行ったから、しばらく待った。
家に帰ってから昼飯の後にちょこっと食べた。衝撃的だった。柔らかい上に餅自体が甘い。とろける気がした。米粒の触感を感じた。
あんゴマの甘さは控えめなので、これが飯前だったら止まらなかっただろう。
夜食に取っておいて、寝る前食ったら、理性が崩壊しそうだった。全部行くと妻に悪いので、気持ち残しておいた。
翌日、妻が食べないので残りを食うと、まだ柔らかかった。包装紙には「本日中にお召し上がりください」となっている。二日目も大丈夫だったのでビックリした。多分丁寧な「あんこ」と「ごま」のダブル封印のおかげだろう。
餅が水分を保ったまま固くなることが不思議でならない。チンすれば柔らかくなる。これがどういうことか、調べてみた。デンプンのα化、β化と言う。要は水分がちょっと減るために、デンプンの組織化が起こって結晶構造みたいになるらしい。
たった600円で、石臼と杵で搗(つ)いた本物のもちを食える喜び。これは観光地では絶対にマネの出来ない芸当だと思う。八郎潟町が普通の町で良かった。こういう店は、コロナで潰れて欲しくない。
この味を知ったら、後戻りは出来ないなあ。今度は事前に電話で注文してから行ったら、いいんでないかい。