この10年で滅多に聴くことが無かった曲がある。MATSUMI、いや御免。スペルがね。一字しか違わないんですよ。
被災地では、8年もの間、掛けることが出来なかったそうだ。それはラジオ福島の大和田さん。仲間の一人が娘さんを亡くしたから。その仲間とは女川町のオナガワエフエムでパーソナリティを務める方。
佐藤さんに「TSUNAMI」のリクエストが来るようになったのは、4年が経過した頃。
曲の歌詞自体は、津波と何の関係もない失恋の歌。タイトルだけが津波。佐藤さんは迷います。かけていいのだろうか。スタッフと話し合った結果、見送ることになりました。まだ自身も、そういう気持ちになれませんでした。結局TSUNAMIを流すまで8年の歳月を要しました。
一方福島の大和田さんも、震災の記憶が風化し始めていることを懸念していました。彼は取材で知り合った遺族に意見を聞きました。
すると同じ懸念を持つ人や、息子が好きだった曲だから聴きたいという声が寄せられたのです。ただ、まだ抵抗がある人が居るのも事実です。
去年ですが。20世紀最後の名曲「TSUNAMI」を聴いてビックリしました。一分の隙も無いメロディライン。素晴らしい旋律がびっしり。名曲が3個、つながったような構成です。普通の作曲家ならば、Aメロひとつで1曲出来ます。Bメロも同様。サビでも1曲作れます。この中の一つでも思い浮かんだら、造作もなくヒット曲が作れるでしょう。そんな戦慄すべき旋律です。こんなものを、5分に縮めた桑田佳祐という男は天災、いや天才ですわ。
結局、大和田氏は決断しました。この曲が、風化させないという「シンボル」になって欲しいという気持ちを込めて。
ちなみに桑田佳祐自身も、ライブなどで歌うことは無かったそうです。
今更ながら、自分が意気地なしの卑怯者でうじうじしたエゴイストなのに気付かされました。心も軽く腰も軽く、大丈夫か?何かしてほしいことないか?みたいな、さばさばした心根の良い奴、羨ましい。
危機は心を裸にします。自分の弱い所、やな所、そんなの何も気付かずに、のほほんと生きて行きたかったってのに。(水はギリギリセーフ、道の向こう側までだったそうです。)
松の実でもTSUMAMIにして、お酒、、は飲めないから、お茶にしましょ。