松美の言絵(いえ)

私は誤解されるのが好きだ。言い訳する手間が省けるから。

2001年のK-1で、はしゃぐ藤原紀香。(当時の原文のまま)

2021-01-16 09:16:37 | 日記・エッセイ・コラム
 格闘技というものに特に興味を持つようになったのは私の場合、アントニオ猪木が大きかったですね。モハメド・アリとの異種格闘技戦、異様でした。ルール作りのために譲歩に譲歩を重ねた結果、それでもやりたかったんでしょう。自分が強いと言うことを示すために。その結果出した結論はあの闘い方でした。かっこ悪かったです。怒号飛び交う中、猪木はリングのマットに背をつけたままキックを繰り出すしかなかったんです。たまにカウント数えられたりしてね。それでもアリのか弱い足はミミズ腫れに腫れ何とか体裁を保ったのでした。


 さて今、いろんな方面の著名人が見に来るほど注目を集めているホットな闘いはK-1でしょう。K-1とはグローブをつけて対戦する打撃系格闘技で、目つぶしとひじ打ちと投げ技と金ケリ以外はOKというかなり柔軟なルールです。先日の東京ドームには石原都知事と長島監督が並んで観戦してました。まさか桜ということもないでしょうが、監督はああいうの好きそうですから。あと松阪とか前の席に陣取ってましたね。
 この東京ドームの試合はK1グランプリの決勝戦で、世界各地で行われた予選の優勝者と石井正道会館館長推薦の一名合わせて8人によるトーナメント戦です。優勝賞金は40万ドル、2位は6万ドル。ちょっとした金額でございます。今回注目はアーネスト・ホースト(オランダ)36才の3連覇なるか、というのが開始前の目玉でございました。36才にして世界最強、その褐色の均整とれた体から繰り出すパンチ力、キックとのコンビネーション、完璧なガード、なにより実績からくる自信に裏打ちされた冷静なインサイドワーク。どれをとっても死角なし。あとは優勝が現実となるのを待つだけ、という本人と周囲の盛り上がり方でした。ここまで誉めるとなにか大どんでん返しがありそうでしょう。途中でコケそうな。あなた、いい勘してます。
 準々決勝の相手はステファン・レコ。国籍ドイツ、ヨーロッパ最強の通称伊達男です。それぞれ名前の前に付く愛称があって、ホーストは「王者」アーネスト・ホーストとなるわけです。「ヨーロッパの伊達男」ステファン・レコは「ミスターK1」ピーター・アーツを右ストレート一発でKOしたほど最近強くなっていて油断なりません。3分×3ラウンド制の1ラウンド、互いに様子見か慎重です、しかしレコのストレートは突然やってきてたまにヒットしてます。これで動じるようなホーストではありません。体のバランスのよさをうまく使って慎重に攻めます。2ラウンド、カウンターパンチをよけようと、のけぞったレコがスリップ・ダウンします。これを見た角田レフリー、ダメージあったと判断、カウント始めます。これが運の尽きで判定でレコは破れます。ホーストの順当勝ちです。ところがこのあとドラマは控え室で起こりました。ダメージがないかに見えたホーストの左足の甲が異常に盛り上がっています。痛そうです。骨折しているそうです。いつどこでこうなったのか誰も分かりません。もちろん本人も。これでは準決勝に臨めませんので大会ルールにより、ステファン・レコの敗者復活です。心なしか王者の顔が青ざめて見えます。あなたのカンが当たりましたね。
 準々決勝2組目は「ハイパー・バトルサイボーグ」ジェローム・レ・バンナ(フランス)対「サモアの怪人」マーク・ハント。凄い組合せです。かたやKO率トップを誇る破壊者レ・バンナ。誰にでも噛みつく嫌われ者で特に王者ホーストには敵意剥き出しです。ホーストが過去2年間で一度だけKOされた相手です。厚い胸板で左右のフックをブルンブルン振り回して突進して行く姿と形相は人間並みではありません。相手のマーク・ハントもこれまた強烈です。絶対倒れない男なのです。以前「南海の黒豹」レイ・セフォーとノーガードで顔を打ち合ってケロッとしていた怪物です。笑いながら打ち合ってました。あれも忘れられない試合です。ハントには強力な応援団がおります。小錦です。同じサモアの熱いファイターの血を引く仲間です。破壊者対壊れない者の闘いは2ラウンド残り1分、レ・バンナがひざ蹴りで相手をコーナーポストに追いつめ料理しにかかるかと思った瞬間ハントの左アッパーカットの空振りが来てラッシュできません。空振りの空気でビビッたのでしょうか。逆にコーナーポストを背に「来い来い」と手招きするマーク・ハントに「かっこいいー」と黄色い声が。あれ、藤原紀香やないけ。お前中立やないんか。放送席やろ。残り33秒、レ・バンナの側頭部への右フックをきっかけにハントがラッシュ、もう目が飛んで無防備状態のバンナにトドメのストレートがまともに入っちゃいました。破壊者が虚空を見つめたまま崩れていきます。そこへまた紀香「キャー・スゴーイ」。お前は実況席ですることがあるだろうが、ただの観客になりやがって。それほど興奮のラッシュシーンでした。その時のアナウンサーの実況と言うか絶叫を聞いて下さい。「大本命、ジェローム・レ・バンナ、撃・沈!新しい星の誕生です!ビッグウエーブがジェローム・レ・バンナを飲み込んだ!新しい波!新しい星!新しい力!マーク・ハント、ジェローム・レ・バンナを粉砕!歴史が変わった!ジェローム・レ・バンナ初戦・敗退!」さて、早々と2強が姿を消してしまいました。
 3組目、「青い目の侍」ニコラス・ペタス、日本代表です。彼は19才でカラテにあこがれデンマークから来日、極真会館で辛い修行を繰り返して頭角を現し「アンディ・フグの意志を受け継ぐ者」と言われる、日本語ぺらぺらの「青い目の侍」です。K1の連中は割合まともな顔をした人間ばかりですが彼もまた空手をしてなくても、もてるだろうなあとうらやましい限りの顔してます。サッカーで言えばラモス・留偉みたいな、神様みたいなキリスト様みたいな威厳あるいい顔です。決勝で武蔵を下しての堂々日本代表です。対するは影の優勝候補「東欧のサソリ男」アレクセイ・イグナショフ、23才。背が高い上に必殺ひざ蹴りを得意とするタイ式キックボクシングのやっかいな相手です。1ラウンド、ペタス善戦しますがイグナショフ汗ひとつかいていません。2ラウンドわずかにペタス屈んだスキを突いてひざが飛んできます。気が付いて引くより早くまともに顔に当たり鼻骨骨折で2RKO。ぺちゃんこになった鼻からダラダラ血を流しペタス引き揚げます。悔しそうです。でもこれは勝てないと思いました。日本代表はレベルがちょっと低いみたいです。
 準々決勝最後は「20世紀最後の暴君」ピーター・アーツ。彼を倒せる人間は出てくるんだろうかと思うほど強かった20世紀も終わり、今世紀に入って全く精彩を欠いた落日の日々を過ごし、もう終わりかと言われたミスターK1の復活です。対する「一撃の怪物」フランシスコ・フィリオ。ここだけの話、私大ファンです。99年、極真会館のチャンピオンベルトがついに海を渡りました。ブラジル支部のフランシスコ・フィリオのもとへ。この時対戦した数見肇は負けてがっくり首をうなだれそれでもスックと立っておりました。反対にフィリオは勝って大粒の涙を流し感涙にむせび泣くのでした。それほど空手をやってあこがれたタイトルでした。当時の格闘技通信増刊号のタイトル「ボクらの敗戦記念日、極真カラテ、母国日本陥落!・フィリオが泣くなら日本人はもっと泣け!!」
 しかしチャンピオンを手中にした今、フィリオはさらなる飛躍を期しK1のリングへ上がってきたのです。デビュー戦こそ一撃必殺の突きで勝ったもののボクシングスタイルになかなか馴染めずパッとしませんでした。今回見るからに強くなってます。体つき、腕回り、自信に満ちた態度、期待できます。極真のケリはキックボクシングのそれと根本的に違います。ムエタイ(タイ式キックボクシング)のケリはムチのようなしなるケリ。極真のケリはつま先を刃物のように使う鉈のようなケリ。2ラウンド終了後、コーナーに戻ったアーツの周りが騒々しいです。アーツ立ち上がれません。左足の甲がもっこり腫れ上がっています。どうも自分で放ったケリをフィリオのひじで受けられて骨折したらしいです。ビデオが出ます。まともに足の甲がフィリオの右ひじに当たってます。前チャンピオン二人の曰くありげな降板劇です。 これでベスト4決定。筆者疲れました。残りは来週に取っときましょう。

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2 コメント

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続きあるけど・・。 (松美)
2021-01-16 19:34:01
第二部、あるけど。すごく疲れて、精力使い果たして、大したことないよ。それでも良かったら。
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続き希望にポチッ (〇んま)
2021-01-16 14:45:37
迫真の大作ありがとう。
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