NHKの「こころ旅」は、2011年に始まった。えっ、あの震災の年から。
この番組は、固定ファンも多いらしいが、良く続いていると思う。なぜだろう。ただダラダラと、割とどこにでもありそうな田舎道を、チャリオと共に走る姿を見せられる。主役の正平ちゃんは、俳優としても歌手としても、大した実績があるわけでもない。強いて言えば、NHKのドラマには、端役でちょいちょい出さしてもらっている。
庶民の代表みたいな、若い子好きの冴えないおっちゃんが、結構行く先々でモテるんですよね。畑仕事のおばちゃんから「あら、見たことある。火野正平さん?」すると「良く言われるんですよ」と、とぼける。
あっ、そうか。忙しい俳優さんには無理だ。スケジュールが空いてないと。
で、暇な時(いつも暇で~す)NHKのBSプレミアムを見ていると、「トラムの旅」いうのが流れている。ヨーロッパを行く路面電車から沿線の見どころを含めて紹介する番組で。
あれを見ていると、今は北部の寒そうな風景が続くのだが。街並みがちっとも面白くない。大きな建物が、両側に続くだけの景色が流れる。あれを見て思った。やっぱり日本の風景の方が落ち着く。同じ都会でも、日本はこちゃこちゃしている。統一の取れていない建物群に、カラフルな看板がびっしり。郊外に行けば、箱庭のような景色が、どこに行っても見られる。
最近のオレは、「こころ旅」をガイジンの目で見ていることに気が付いた。そうなのよ。日本は、どこへ行っても自然が豊かで、ありふれた景色があるのよ。それはまるで箱庭のように安心する風景だ。しかしそれでも場所によって少しずつ違う。
自転車の速度でなければ、気が付かないような、何か異変があればすぐに止まって近づけるようなスピードだからいいのよ。居ながらにして日本各地の匂いを嗅いで回っているような。そういう感覚がいいのよ。
自転車の速度でなければ、気が付かないような、何か異変があればすぐに止まって近づけるようなスピードだからいいのよ。居ながらにして日本各地の匂いを嗅いで回っているような。そういう感覚がいいのよ。
してまた投稿者のエピソードによって、その人の話を聞いてあげているような。感情を共有することが出来る。
良く出来た番組だと思う。この頃、少し老化の進んだ正平ちゃんは、坂道が辛そうに見える。マイクロバスが用意してあると、あきらめが早く、素直に従うようになった。なるべく下り坂の多いルートにしてあげて頂戴。
あの「こころ旅」の風景が、実は日本の代表的な風景ではないかと思う。そこに「ガイジン」のオレとしては憧れる。
日本って、いいなあ。
奇跡的に、いいなあ。