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~サッカーを中心に日々の雑感など~

そばにいれば

2012年10月19日 | 音楽

 この間の「クラシック倶楽部」で大好きなフランク作曲のバイオリン・ソナタ イ長調の放送があった。この曲の出だしがいいなあ。ピーンと張りつめたような音が響く。「ピエール・アモイヤル、バイオリンリサイタル」の中の1曲。毎晩友人であるもうすぐ300歳!というストラディバリウスとともにステージに上り演奏するのが至福の時間という。無心で音楽を楽しんでいる境地。肩の力が抜けた自然体の音色が印象的。

もっと円熟した演奏で感動というより、感銘を受けたのは、14日放送の「ららら♪クラシック」~師匠と弟子の幸福な関係~で紹介されていたアナ・チュマチェンコさん。名演奏家にして、ミュンヘン大学で教鞭を執っている名教師でもあるということで、そのお弟子さんである若い女流バイオリニストたちが、次々にチュマチェンコさんの教えを胸に演奏家として活躍している。来日した時にも公開レッスンを行い、演奏する若い女性たち一人一人に短い言葉で温かく指導していた。

お弟子さんの演奏が少しずつ登場。ヴェロニカ・エーベルレさんはプロコフィエフの「無伴奏バイオリン・ソナタ 作品115」から第2楽章。今もミュンヘン大学に通う学生さんで、チュマチェンコさんから直接教えを受けているそうだ。もう一人はアラベラ・美歩・シュタインバッハさん。ドイツ人のお父さんと日本人のお母さんを持つ。日本人の黒髪には難しい緑色のロングドレスには、茶色の髪がぴったり。チャイコフスキーの「バイオリン協奏曲」から第3楽章。二人ともスケールの大きな表現力で、自信に溢れ、堂々たる演奏だった。

そして本家のチュマチェンコさんはシューマン一作曲、唯一の「バイオリン協奏曲」から第2、3楽章。シューマンはピアニストであることから、この曲は「ピアノ的な音型が多く、バイオリンでは実際に弾けないような音型を書いてあるところがある」という難曲。ところが…少しもよどみなく、しかも金属的な音がまったくしない包み込むような音色で、短く切った音の連続も難なく!?演奏していった。情熱的で温かい響き、なんども聴きたくなるような演奏。

若い演奏家へ「”ファストフード”感覚で音楽の栄養を取らないでほしいと願っています。成長するためには時間が必要。育ち方は生徒によって違うのです。今日、あまりにも単純な先入観、つまり若いうちにすべて成し遂げなければならないと考える傾向が強いですが、そんなことは不可能です。深く成熟させるためには時間が必要なのです」

シュタインバッハさんが行き詰って相談したときには「そんなに不安になるのはあなたが繊細だから。繊細だからこそ美しい音楽を生み出せる。それは音楽家にとって大切なこと。自由に心を開いて失敗を恐れないで。不安になっても大丈夫、そのほうが人間らしくていいじゃない?」…すべての若者にこういう大人がそばにいれば…、素晴らしい愛情に満ちた言葉…



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