先日、遠路はるばる来てくださった広瀬隆さんの講演会へ行ってきた。小春日和の陽気のせいか、会場にあてられた会議室は補助椅子を出すほどの盛況、赤ちゃん連れの若いお母さんもいて、女性たちの割合が高かったような気がした。
~福島原発が教えた放射能の恐怖、食品汚染と泊原発と幌延最終処分~というテーマ。広瀬さんのパソコンに収められている画像やら、文言やらを映写のように垂れ幕に拡大して流し、マイクを握った広瀬さんがそれに解説を加えていくという方法。
何しろ、「これから休憩をはさんで3時間話します」とはじめに”宣言”した通り、次から次とぎっしり詰まった内容だった。事前に何冊かの本と「週刊朝日」のコラムを毎号読んでいたので、最初、意気込んで板書のようにノート書きしていったがとても追いつかず、途中で書くのはあきらめてしまった。
民主党政府が福島原発事故が千年に一度の津波によって壊されてしまったという報告書をIAEAにも提出したというように、津波が来る前から実は地震によってシステムが壊れてしまっていたこと、それを認めてしまえば全国すべての原発が危ないことになり、はじめからキチンと検証する気なんてサラサラなかったということを科学的に解説していた。
3号機のメルトダウン、爆発時の映像では、爆発は真上に向かっており、その中に黒いものが一緒に吹き飛び、やがて落ちてきた。広瀬さんは「この黒いものはなんですか」と会場へ問いかける。
この正体不明の黒いものものこそ、使用済み燃料棒が溶け落ちたもの、これこそ幌延に搬入されようとする高レベル廃棄物ですという広瀬さんの言葉には会場に来ていた全員の背筋が寒くなった瞬間。これは崩壊熱といって、ずっと熱を出し続けますと…。
六ヶ所村の3千トン貯蔵プールはもう廃棄物で満杯状態。どうしてもどこかに持っていく場所がほしいのだから、すでに実験と称して坑道が掘られてしまっている幌延最終処分場は危険極まりないことになる。
福島から遠いとのんきな部分もある道民気質、ヨーロッパで流されている放射性物質がどのように風で運ばれていくかというシミュレーション映像では東北ばかりか関東圏はもちろん、北海道全域が覆われていた時間があった。これにも会場には驚きと恐怖の声。
後半は国策である原発再稼働に反対を表明した地方の自治体首長の言葉がいくつか紹介され、田中三彦さんら、御用学者でない方々の事故検証発表もあり、非公開ヒアリングを行った民主党川内博史衆議院議員のような存在も紹介された。こういう希望を託せる動きもあると…。
それに比べて新聞・TV報道はひどすぎるし、北海道の高橋知事はバカ呼ばわり。(いやまったく、全国で一番早く営業運転という形で、原子力エネルギーを認めてしまったのだから、道民としても恥ずかしい)そのほかの推進派もめった切り。このあたり、声がだんだん大きくなり、畳み掛けるように攻撃していく。会場を一つにするアジテーターとして圧巻だった。大学だの、会社だののバックを持たずに一人、反権力を貫いてきた力強さが漲っていた。
東北が食料基地のしての機能を失いかけている今、自給率210%の北海道がいかに大事か。泊原発を皆さんの力で是非止めてください。食料基地を守ってくださいという言葉で最後が締めくくられていた。
今回は原発というのは、核兵器の原料となるプルトニウムを所有したいという潜在的願望、核抑止力によって再び”一等国”の仲間入りしたいというのが元々の国策の動機であって、平和利用などというのは後付けに過ぎない。だからいくらお金をどぶに捨てようとも、純度の高いプルトニウムが作られるはず?の核燃料サイクルを止めようとしないのだ、といった内容までは過激すぎる!せいか触れなかった。講演内容を記録したDVDが近く、本屋さんで発売されるので、それを買ってもう一度勉強しようと思う。