FOOTBALL LIFE

~サッカーを中心に日々の雑感など~

日めくり万葉集(214)

2008年11月30日 | 万葉集
日めくり万葉集(214)は巻3・416、大津皇子(おおつのみこ)の歌。選者は作家の浅田次郎さん。

【訳】
磐余(いわれ)の池に鳴いている鴨(かも)を今日を限りに見て、私は雲に隠れ去って死んでゆくのか。

【選者の言葉】
万葉集を通して読む機会があり、これは僕らが考えていた歌集ではなく、歴史を背景にした壮大な叙事詩であるということに気が付いた。その中で大津皇子はスーパーヒーロー。いい男で身体も立派、文章も良くできて、武道にも巧(たく)みである。

この歌は無念さとはちょっと違うような気がする。無念という《念》を残していない。死を命ぜられたのだから、これは死ぬ他はないという《いさぎよさ》を感じる。この《いさぎよさ》がいかにも大津皇子のスーパーヒーロー像と重なる。この瞬間に大津皇子のキャラクターというのがパッと出来上がる。

小説を書いているとそういう瞬間を模索しながら書いている。どんな美辞麗句を並べても主人公の性格をピッタリ出来ない。でもある1行、あるセリフの一つで主人公のキャラクターがピッタリ確定する。そのときに小説家としてやった!と思うが、そういう感じの1首だろうと思う。

最後のところの《雲隠りなむ》という客観的ないい方が、本人が詠った歌としては適当な表現ではないのではないかとよく言われる。誰かの代作で大津皇子の立場に立って後世に大作されたのではないかとも言われる。万葉集の文学作品の性格を考えるとどちらでもいい。

壮大な叙事詩の中の1首というように考えれば、それはどうでもいいことで、むしろ、この1首によって大津皇子という人の人格が綺麗に表現されたということの方に大きな意味がある。

【檀さんの語り】
この歌の作者、大津皇子(おおつのみこ)は天武天皇の3番目の皇子(おうじ)。人望が厚く、次の天皇にと期待する声も多かったという。しかし天武天皇が亡くなるとまもなく、大津は謀反の疑いで逮捕、処刑された。この歌はその直前に読まれた歌。

【感想】
大津皇子が処刑される前に詠んだ辞世の歌。天武天皇の妻と大津皇子の母親とは姉妹の関係。姉が大津皇子とその姉の大伯皇女(おおくのひめみこ)の母親だが子どもを残して亡くなった。つまり天武天皇という夫を挟んで姉妹が妻だったというのだから、この時代はややこしい。

さらに天武天皇の死後、次ぎの天皇を誰にするかという問題が出て来ると、天武天皇の后で後の持統天皇は自分の息子、草壁皇子をどうしても次ぎの天皇にしたいということで、いかにも人望もあり、能力もある姉の子ども、大津皇子を謀反の罪で殺してしまうというのだから。まるでシェイクスピアの劇のようだ。

そうした権力争いの政争の渦の中に巻き込まれて泡のように消えていった人物。そういう人間もいたことをなんとか形として残したいという、編纂する側の意志が壮大な叙事詩という形になったのだろうと思う。










次々に何試合も

2008年11月28日 | サッカー
チャンピオンズリーグのグループ第5節、週の半ばに行われる試合が次々に何試合も。再放送を調整しながら見るのに忙しい。ちゃんと覚えているかどうかは別として?レベルの高いカップ戦の緊迫感は特別のものがある。

一番気になったのはリーガ・エスパニョーラのリーグ戦で前半のうちに3点も奪われるという敗戦だったビジャレアル。迎える相手はマンチェスターユナイテッド。引き分けると共にグループを通過するという勝点でも、こんな負け方ではどうなるのか。特にGKが不安定だったので大一番で大丈夫かなどと。

試合会場のホームスタジアムでは、人口5万人規模の小都市で40パーセントくらいがソシオというクラブだけあって、町を挙げて応援するスタンドの雰囲気も家族的でとてもいい。男性ばかりの殺気立った空気ではなく、高齢の女性の姿もちらほら。おばあちゃん二人が並んで膝に毛布をかけて試合開始を待っている映像もあった。

この日のピレスはトップ下というポジションらしく、真ん中でFWロッシのすぐ後ろという使われ方。ピレスにとってはアーセナルにいた頃からの宿敵。この対戦には一番燃えていたかもしれない、といういい動きをしていた。

ビジャレアルはこのところ失点が多くどうなることかと思ったが、違うチームになったように集中力を取り戻し、相手のクリスティアーノ・ロナウドやルーニーの攻撃陣を防いでスコアは0-0.の引き分け。

GKも決定的なシュートを何回も防いでチームを助け、試合後にインタビューを受けていたようだ。どちらもグループ突破を決めてまずはホッとする結果。ビジャレアルは怪我人が多く選手層が厚いわけではないので、早く決められて良かった。

バルセロナはアウェイでポルトガルのスポルティング・リスボンと試合。1位通過を狙って勝ちたい試合。アンリも先制ゴールを奪ったし、前後半5得点と大勝した。ただしメンバーがいつもと違うこともあってか、後半相手に2点返されたというおまけが付いた。

この試合ではなんといってもアンリのゴールを久しぶりに見られたのがうれしい。これだけで言う事なし!!バルサはこのグループの中ではダントツの1位通過。今季また力を見せているイタリアのクラブなどとの対戦がない楽なグループなので、これが果たして本物の力なのかどうか、この段階ではわからない。

応援していたロシアのゼニト・サンクトペテルブルクがホームでユベントスと引き分けに終わり、グループ敗退が決まった。ショートパスをつなぐ攻撃的サッカーを見せて、どの試合もおもしろいものにしていた。寒いところの代表格でがんばって欲しかったのに残念で仕様がない。

そのほかではフランスのボルドーのAグループ。ボルドーはチェルシーに1-1と引き分け。ローマがルーマニアのクルージュに3-1とアウェイで勝利し、グループ首位に躍り出た。これでローマ勝点9、チェルシー勝点8、ボルドー勝点7という結果になり、上位2チームの勝ちぬけは最終節までもつれ込む混戦になった。

ボルドーの若い選手、グルキュフはジダンが得意としたプレー、くるりと回るルーレットを見せるなど、体格からもどこかジダンのような雰囲気があり、間違いなくこれからフランス代表の核になる選手。もっとプレーを見たいのでなんとか勝ち抜けて欲しいなあ。

リヨンもイタリアのフィオレンティーナに勝利してベンゼマの活躍を見られたし、バイエルンではリベリーが活躍して勝利に貢献していた。“レ・ブルー”は健在だ。昨季は出場していなかったドイツのバイエルン、イタリアのユベントスなどが入ったことで、いろんな国のクラブのスタイルが楽しめていい。それぞれの文化の違いがわかる。

バイエルンのクリンスマン監督のアクションが躍り上がって喜んだりがっかりしたりと、長くカリフォルニアに住んでいたのでアメリカナイズされてオーバーだと試合の解説者が言っていたが、サッカーはアメリカがしゃしゃり出てこないところで安心して楽しめる。

これがオフサイドは曖昧でわかりにくいから取っ払うとか、ゴールマウスが小さいからもっと大きくしたほうがいいとか、アメリカ流に?大量得点を取れるように変わってしまえば、ヨーロッパで培われたスポーツのよさが消し飛んでしまう。








最大の山場

2008年11月28日 | 雑感
昨日辺りからここまで降り積った雪が解けて国道はブラックアイスバーンの状態。まだ除雪車も出ていないので、住宅街では道路がグチャグチャになった雪にハンドルを取られて危ない。対向車が来るときにはお互いにかなり大変だ。

そんなことで今日予約してある歯医者行きも道路状況がよくなかったらやめようと考えていた。ところが・・・今日になってみると思ったより国道が乾いていたので、これはいい。

なんたって今日は歯医者に奥歯抜歯をすると言い渡されている。来るか来るかと緊張していた待ち時間が長かったなあ。さっさと“執行”してもらいたい。長く悩みの種だったんだから、もうまな板の上の鯉でもなんでも来いだ。

いよいよ麻酔注射に口内工事?と治療が終わって見ると、抜いた歯が金属板の上に二つ転がっていた。歯が割れていたからだ。「ずっと調子が悪かったのは割れていたからでしょうか」と歯医者に尋ねると「そうだと思います」という返事。

治療の“最大の山場”が終わりホッとした。あとは薬を飲むだけ。習慣的に飲んでいる薬はないので、どれもよく効く。帰路の国道の道路は雪もないので運転もいい調子だった。

安心したせいか、車中に流れるモーツァルトの音楽もゆったりと聴こえる。
終わってやれやれだ。万歳を叫びたい気分!!











寒い朝

2008年11月25日 | ガーデニング
今朝は寒かった。今冬一番の寒さでもちろん-の気温。とはいってもまだ根雪になったばかりで、寒さに慣れていないということもあり、これはほんの序の口の寒さではある。

低温のために今朝は枝や葉っぱに雪が張り付いた状態になっていた。ネットを巻きつけた薔薇の株の後ろにはオベリスクに絡まったクレマチス。これはそのまま葉っぱが伸びっぱなし。

四季咲き性のものは剪定が深くてもいいとはっきりしているが、これはちょっとわからないので、そういうものは手を加えていない。クレマチスは花が終わっても葉っぱの緑がからまって、それはそれで楽しい。

今日は歩くときにも滑るので気を付けなければ。キザキザの溝がついている靴を履いているが、転倒事故になったら大変だ。それよりももっと要注意なのは車の運転。アイスバーンの運転は神経を使う。

写真は朝の光を浴びているクレマチスのつるとその前はネットを巻かれた薔薇。






【シルクロード第2部】~第12集草原の王都

2008年11月22日 | ドキュメンタリー
【シルクロード第2部】第12集草原の王都~サマルカンド・ブハラ~。かつてのチムール帝国の古都だったウズベキスタンのサマルカンドには、サマルカンドブルーと言われる青を基調にしたタイルで外壁を覆われた美しい建物がある。この回は憧れの町、サマルカンドを中心にした取材だった。

劇的な攻防を繰り返した町サマルカンドは、紀元前はアレキサンダー大王、13世紀、1220年にはモンゴルの英雄、ジンギスカンに攻め込まれている。二人は大軍団を率いてこの町を侵略し、破壊した。

しかし14世紀、中央アジアが生んだ英雄チムールによって、町はよみがえる。1370年、チムールはサマルカンドを都と定めた。「ジンギスカンは破壊し、チムールは建設した」といわれるようにチムールは遠征の度に職人を連れ帰り、この地に美しい建物【レギスタン広場、シルドール・メドレッセ、チィリャ・カリ・メドレッセ】が立ち並んで、チムール朝文化が花開いた。サマルカンドこそ世界の中心と言われた繁栄の時代。

チムールは生涯ここを根拠地にして遠征を繰り返した。チムール帝国の版図は拡大し、中国の辺境から南ロシアの草原地帯、西はペルシャの都から、バグダッド、ダマスカスまで兵を進めた。小アジアの半島のアンカラで日の出の勢いだったオスマン帝国を破り、南はアフガニスタンからインドにまで勢力を伸ばした。

チムールはサマルカンドを中心としたイスラム帝国を建設しようとする理想をもっていた。自由な往来を保障し、各地から学者や芸術家を呼び寄せ、サマルカンドは国際都市になった。チムールに会うために中国とスペインの使節がその順番を争ったりするほどだったと言う当時の記述が残っている。

しかしチムールは君主になってもどこまでも遊牧民だった。宮殿には住まず、巨大な天幕に住み、毎晩臣下と酒を飲み、食べきれないほどの羊や馬の肉で宴会を催した。ひとたび遠征の命令が下ると周囲のテントに住む数万人の臣下はいっせいに移動した。

死の前年に立てられた【グル・エミール】という青い円塔型の建物に遺体は葬られているが、チムールはドームが低すぎるとこれの建て直しをさせている。

長い間チムールの柩は開封されなかったが、1941年、地下室にある本物の柩をウズベク共和国とソビエト科学アカデミーの学術調査団によって柩のふたが開けられた。頭はメッカのほうを向き、身体は絹の布を纏っていた。

そして何より遺体は巨人のような大男であることがわかった。これを基にロシアの学者によって後にチムールの顔が復元され、この像がタシケント歴史博物館に所蔵されている。

現在(1983年当時)のサマルカンドはおよそ人口50万人。近くにあるコルホーズ(このときにはまだソ連邦は解体していない)の農家が持ち寄ったコルホーズ・バザールが開かれ、これは中央アジアでもっとも大きいという市場。

一日2万人の買い物客で賑わっている。旧市街地の街並みはかつてのオアシス都市を彷彿とさせる緑豊かな雰囲気を残し、豊富な水は家々の間を縫うように灌漑用水として流れていた。

1405年1月、チムールは20万の騎馬軍団を率いて、中国へと向かった。当時の中国は永楽帝が支配している【大国・明】。チムールがどうしても一度は対決しなければならない相手だったが、その対決は実現しないままで終わった。

遠征の途中で急死したからだ。現在のカザフ共和国にあるオトラルという小さな町で、チムールは69歳だった。そんな攻防の歴史が薄れたいま、サマルカンドの町はタイルに飾られた建物が、輝くようにかつての栄華を伝えている。

なんど見てもあのブルーの色は見飽きない魅力がある。空の青、海の青にも似た透き通るようなブルー・・・。










雪かき

2008年11月20日 | 雑感
今朝起きて窓のカーテンを開けると、庭も道路も雪で真っ白になっていた。一夜にして劇的な白い世界に変貌するのが雪国の冬。TVでは日本列島に寒気が入り込んで日本海側には降雪があるという天気予報だった。

今週いっぱいは雪だるまマークがついている。この積雪が続くといよいよ根雪になっていくのかもしれない。早朝のゴミ出しのときにもかなり雪かきをしたが、雪がまだ重くて疲れてしまった。

パウダースノーになるほどは寒くないので湿気を含んでいるからだ。プラスティックの雪かきにもすぐ雪がくっついて、腕にも肩にも負担がかかる。全部やってしまおうかと思ったがなにしろ“朝飯前”。

一通り雪かきするのは結構な力仕事になる。また後で残りをやろうといったん家の中に引き揚げた。一段落した後にまた外に出てみたら、道路のアチコチで雪かきをしている姿があった。

玄関前の薔薇の鉢植えは最後まで残した寒さに強いもの。雪を被りながらも蕾がたくさん付いていて、まだ咲きたい様子。雪が寒風には保温の役目になって、薔薇にとってはお布団のようなものだ。人間には大変でも薔薇には自然の恵みとなる。













日めくり万葉集(209)

2008年11月19日 | 万葉集
日めくり万葉集(209)は巻18・4111の大伴家持(おおとものやかもち)の長歌。選者は菓子の始まりを探求しているという京菓子の店の五代目、太田達さん。
 
【歌】【前半】
かけまくも あやに畏(かしこ)し 天皇(すめろき)の神の 大御世(おおみよ)に 田道間守(たじまもり) 常世(とこよ)に渡り 八桙(やほこ)持ち 参(ま)ゐ出来し時 時じくの 香(かく)の菓実(このみ)を 畏(かしこ)くも 残(のこ)したまへれ
 
 巻18・4111  作者は大伴家持(おおとものやかもち)

【前半の訳】
口にかけていうのも誠に恐れ多いが、天皇のご先祖の神の時代に 田道間守が常世の国に渡っていき、多くの苗木を持って帰ってきた時に、その“時じくの香の木(こ)の実”をかしこくも後の世にお残しになった。

【後半の訳】
雪の降る冬ともなると 霜は置くけれども その葉も枯れないで いつまでも変わることのない岩のように、いよいよ栄輝く。 だからこそはるか神の時代から まことにふさわしく この橘(たちばな)を“時じくの香の木(こ)の実”、すなわち時ならず、香りの良い菓実(このみ)と名づけたのであろうよ。

【選者の言葉】
“時じくの香(かく)の菓実(このみ)”とは時を越えた香りの良い木の実を意味し、【橘(たちばな)】を指すといわれる。【橘】はみかんのルーツといわれる木。菓子という字の草冠(くさかんむり)を外すと“果物”という字になる。

菓子の始まりは何だったのだろうか。狩猟時代に「何も捕れない、ああ、しんど」と座ったときに森を見ると赤いもの、オレンジの色が目立つ。これを手にし、口にすると甘酸っぱい。これはビタミンがあるので元気になる。これが本来の菓子の概念ではないかと思う。

和歌山県には門前町がたくさんある。当然門前の菓子が発達しそうなものだが、あまり発達していない。いっぱい売られているのは“みかん”。菓子とみかん、もともとこの国では”みかんが菓子”だったんだなあと思える歌。

実は京都の丹後(たんご)に橘小学校があり、ここは田道間守が持ち帰って上陸したところ。ここには浦島伝説や羽衣伝説もある。海から来るという【常世(とこよ)】思想、常に変わらぬものとして、葉の青さ、次ぎの実がなるまで実が落ちない、代々実がなっていくという思想が入っている。

【感想】
菓子の起源、そのルーツは橘にあり、古代の頃には菓子は“みかん”だったという。どうしてそうなのかという大事な意味はむしろ長歌の後半にあったので、写真は後半の部分。【訳】のほうも前後半と長くなるが、意味を理解するのはやはり必要と思ったので。

橘が常緑樹で雪が降っても、緑の葉っぱは変わらない色を保ち、実のほうも落ちないでいつもなっているというのが代々栄る、おめでたいことに通じるということだった。

3月に祝う【桃の節句】の【お雛様】にはいつも【橘】が飾られてあるが、これでようやく!どうしてそんなに大切にされ、お祝いにふさわしいかという理由がわかった。








このチームで白熱

2008年11月18日 | サッカー
スペインサッカー、リーガ・エスパニューラ第11節はバルセロナがアウェイでレクレアティボに2-0と連勝を延ばし、アウェイで引き分けた2位ビジャレアルに3差、勝点を伸ばせなかったバレンシア、レアル・マドリードに勝点5差と引き離した。

バルサの試合では勝ってもアンリがいまいちではどうもすっきりしないというところだが、この試合では3トップの3人、センターにエトー、右にメッシ、左にアンリという配置で、アンリのチームでの役割がなるほどとよくわかった。

この試合のアンリは動きも良く、シュートは惜しくもポストかバーに当たってゴールはならなかったが、チームの一員として昨シーズンよりはよほど滑らかな連係になり、ゴールに絡む動きの起点となるなど、チームでの存在感に手ごたえを感じているのだろう。

それでもアーセナルにいた頃の輝きを記憶しているファンとしては、“脇役”に満足することなく、得点ランキングに顔を出して欲しいよ。特に後半はなんどかシュートを打っていたので、“ゴール感覚までもう少し”というところまで来ていた。

先週はビジャレアルの試合放送がなくて残念だった。ロッシとジョレンテという好調なFWで2点奪っているというのに、またまた最後に追いつかれて2-2だからねえ。

3位のバレンシアはホームスタジアムのメスタージャに昇格組で北のチーム,スポルティング・ヒホンと対戦した。ヒホンは開幕したころはバルサとレアル・マドリーに連敗し、しかも6点7点と奪われて散々だった。これじゃまっすぐ降格かと思わせながら?、どっこい、この頃は連勝しているというのだからうれしい。

しかもヒホンのサポーターは、大量失点しているチームに対してブーイングもせずに最後まで熱い声援を送っていたというんだから、寒いところのチームはサポーターが温かいというのは地球規模!かもしれない。

その熱気に応えるように、この日のチームは大健闘し、大きなスタジアムの雰囲気にも気圧されることなく、バレンシアに2-3と競り勝ったのだ。アウェイながらどこまでも攻撃的に点の取り合いに挑み、1点返されてもさらに追加点を狙うと言う素晴らしい戦いを披露した。

この試合は立ち上がりからヒホンのほうが積極的だったが、前半20分にカウンターからの速い攻撃。ボールをつないでディフェンスラインの裏へ抜け出し、これがオフサイドにならず。ルイス・モランという選手がGKの動きを交わして、冷静に右隅へ流し込んで先制点を決めた。0-1.アウェイ席のサポーターは大変な騒ぎ!!

後半、ホームのバレンシアは同点に追いつこうと前がかりになってくる。しかしそれに水をさすように52分、ヒホンに2点目。このときゴールしたFWバラル選手のプレーにも驚いた。ユナイテッドのクリスティアーノ・ロナウドばりにボールの上を何回もまたいでは目の前に張り付いたDFを翻弄し、DFたちの間を通り抜けるようにシュート。これが決まってしまったのだから、大変なことになった。0-2.

このままでは終われないバレンシアにはCK。このクロスボールにヒホンの選手がハンドを取られ、PK.69分これをビジャが決めて1-2とする。後半75分ごろ、バレンシアはベテランのMFアルベルダに代わって、元アーセナルのエドゥが入ってきた。

このチームにはエドゥがいたんだった!!怪我に悩まされていた時期から脱して、こうして復帰してくる姿をみると思わず胸が熱くなる。今でもハイバリーでの最後の試合で、チームメートに推されてPKを蹴ったシーンが目に浮かぶよ。エドゥはCKではボールを蹴ったり、いいシュートを打ったりしてがんばっていたなあ。

76分、ヒホンの監督はFWバラルを下げて、中盤を厚くする為にMFを入れる。そしてそのあと追加点を奪ったのはヒホンだった。80分、後方からのボールに追いついたMFディエゴ・カストロ(名前もいい!)という選手のプレーもバレル以上の驚き。

自分よりはるかに大きな選手に追いつかれたが、足でトラップして高くボールを蹴り上げ、次にそれを頭で前へ押し出し、さらに地上に落ちる前に違う足でシュート。大観衆もあっけに取られるような自作自演を見せ、ダメ押しの3点目を決めたのだが、試合はこのまま終わらない。

ロスタイムになってからバレンシアが2点目を決めて、試合は2-3のスコア。スタジアムもまた熱気を取り戻したようだ。ところがヒホンは監督が後2分と示したらしいが、選手たちはまだゴール前へ飛び出していく。スコアはこのまま動かず、2-3で終了。この攻撃的な姿勢を貫いての勝利が素晴らしい!!







日めくり万葉集(204)

2008年11月15日 | 万葉集
日めくり万葉集は巻8・1512、織物を詠った大津皇子(おおつのみこ)の歌。選者は植物染めで古来の色を追究している染織家の吉岡幸男さん。

【歌】
経(たて)もなく
緯(ぬき)も定(さだ)めず
娘子(をとめ)らが
織(お)るもみち葉(ば)に
霜(しも)な降(ふ)りそね

   巻8・1512  作者は大津皇子(おおつのみこ)

【訳】
縦糸もなく、横糸も定めないで、色もとりどりに娘たちが織る美しい紅葉(もみじ)の葉に、霜よ降らないでおくれ。

【選者の言葉】
この歌はまず縦の糸を張って、横の糸を打ち込んでいくという織物の行程をよく観察した上で、紅葉(もみじ)の美しいときに、自然と言うのは縦糸を定めたり、横糸を打ち込まなくても、こんなに美しい情景を作ってくれたんだよ、という自然に対する賛美がある。

中国で始まった絹の糸は細くてしなやかで光沢があって、植物染料が見事に浸透していくことで美しい色が織れる。それによって染められた細い糸は機にかけられ、縦糸をピンと張り、横糸を打ち込みながら《錦》を作っていく。

《錦》というのは金という金へんを書くが、まさに金に輝くような金に等しいような《帛(はく)》つまり《布》であるということをいっている。すべての人が憧れるものであった。

物を作るというのは、すべて人間の精神が込められている。見えないようだけど、自然にそういうものは人の目に映る。織るとか染めるというのはきちっとした方法、順番、あるいは決められたことがいくつもある。

基本をきちっと守りながら、しかもそこに心を込めて物を作らないと、人々の心を打たない。万葉の時代の特徴というのは自然の産物もあり、華やかな人間の知恵が集積されたような素晴らしい衣装もある。両方を享受できた大らかないい時代であった。

【檀さんの語り】
今から1300年前に人々を魅了した錦が法隆寺に伝えられている。【法隆寺、国宝、~四騎獅子狩文錦】。吉岡さんが中心になってこの退色した錦の復元に挑戦した。

《蚕(かいこ)》からこだわって細い絹糸を作り、当時の《空引き機》も復元した。3人がかりで織っても一日9ミリ。気が遠くなるような作業を経て、鮮やかな錦が完成した。

吉岡さんはこの復元を通して、当時の染織技術がすでに最高の水準に達していたことを実感したという。

【感想】
吉岡さんが中心になって再現した古代の織物のなんと鮮やかなこと。素晴らしい赤い色が復元された。中国で生まれた画期的な絹。それがシルクロードを生み、交易の道が出来て、点だった地域を線にしてつないだ。

日本に渡ってきた絹がこんな風に現代に生まれ変わったとは。吉岡さんは手仕事の大切さをいつも語っている。大量生産大量消費という時代ではなくなってきて、もう一度作り手の誠実さが認められる時代になってきたのだと思う。











日めくり万葉集(203)

2008年11月14日 | 万葉集
日めくり万葉集は秋の七草を詠った巻8・1537の山上憶良(やまのうえのおくら)の歌。選者は東京都世田谷区の船橋小学校・2年1組の生徒さんたち。

【訳】
秋の野原に咲いている花をこうやって指に折り数えてみると、ほら七草の花。

【檀さんの語り】
山上憶良が子どもたちのために詠んだといわれている歌。東京都世田谷区にある船橋小学校。世田谷区は日本語の教育特区に指定され、小学校で日本語の古典を学んでいる。

秋の七草は山上憶良のこの歌によって定着したと言われている。この歌に詠まれている【および】とは【指】の俗語。やさしい言葉を使って、子どもたちと秋の七草を数える憶良の姿が浮かぶ。

七草は・・・萩(はぎ)、尾花(すすき)、葛(くず)、撫し子(なでしこ)、女郎花(おみなえし)、藤袴(ふじばかま)、桔梗(ききょう)。

【感想】
子煩悩な山上憶良の歌はわかりやすく、現代の人間にもその温かさが伝わってくる。胸を打たれる普遍性を持っている。小学校の教室ではこの歌をテーマにした授業が行われ、教壇の前には七草の花が花びんに活けられて、それがこの番組の映像となった。

授業風景を見ているうちに、我が家の子どもたちの姿と重なって見えた。背中のランドセルが大きく見えたようなころがあったんだなあと、なつかしい。

七草の中ではハギやキキョウ、ススキ、ナデシコ、オミナエシはすぐ目に浮かぶが、クズやフジバカマといった花はよくわからなかった。この辺で見かけないせいだろう。

クズというのはどんな花なんだろうと思ったら、教室に飾られてある花びんの中で、一番手前、大きな葉が垂れ下がったものが葛ということだった。マメ科の花なので、花の後に実がつくというお話だった。