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~サッカーを中心に日々の雑感など~

かささぎ

2007年06月20日 | 絵画
今、7月2日まで東京、六本木にある、新国立美術館で催されている印象派の画家、クロード・モネの大回顧展。行きたいけど行けないという人のためには新日曜美術館の「モネ、光を追い続けた男」 ~科学者、西澤潤一が読み解く~。

印象派の画家は日本人には人気が高く、その中でもモネの「すいれん」の絵は有名だ。そういうイメージが強かったモネが西澤さんのお話から、実験を重ねてはこれだという新しい手法を発見したという科学者的な側面が紹介されたり。妻も息子も失い、視力も衰えた中で、また新たな描く対象を模索して行き、晩年にはついにオランジュリー美術館の楕円形の壁面全面に描いた、大作「すいれん」を完成させるという、情熱の人生が紹介されていた。

モネのやわらかなほんわりした絵のイメージとは違って、実は当時の画壇に新風を吹き込む革新的な画家だった。物の質感を描くという従来の西洋画家の手法とは異なる描き方。「書きかけの壁紙でもこれよりいいくらいだ」と酷評を浴びながら、新しい絵画を模索して行った。

建物を描いていても、建物ではなくそこに写る光を影を追求した「ルーアンの大聖堂」の絵は、その後20世紀の画家にも影響を与え、ポップアートの旗手ロイ・リキテンスタイン「ルーアン大聖堂Ⅴ」(1969年)につながっていく。

一番印象深かったのは傑作のひとつといわれる「かささぎ」(1868年~69年)(オルセー美術館蔵)。光を浴びて輝く雪景色の中で、木に止まっているかささぎが描かれている絵。

北国に住んでいるとどの作家でも雪景色をどんな風に描いているのかと興味深いが、一番好きな雪の絵は「雪中の狩人」(ブリューゲル)。この絵の中では時代がもっとさかのぼることもあり、光と影という立体的な描写はない。農民が獲物を持って村に帰ってきたところで、その眼下には凍った水面でスケートのような遊びをしている人々の様子など。この絵には冬の季節の厳しさと当時の暮らしが感じられる。

それに比べるとモネの雪景色は今住んでいるその辺りにもありそうな景色。ただあんな寒いところに出てくる小鳥がいるのか?という疑問はあるものの。太陽の光が明るくさしているのは、春の日差しかもしれない。こういう雪景色を描いたのかとすっかりうれしくなり、モネに対するイメージも変わった。