サッカーが映画になっているということなのでなんの気なしにWOWOWで録画して見てみたら…”ドイツサッカー誕生の秘話”が描かれていた映画「コッホ先生と僕らの革命」(2011年)。こんなに感動したのは久しぶりだなあというほど、サッカーファン必見のいい映画だった。
まだ19世紀のお話、ドイツ帝国意気軒昂の時代、イギリス留学から帰国したコッホ先生(ダニエル・ブルュール)は厳格な教育を施す名門校初の英語教師として採用され着任してみると、体育の授業はまるで軍事教練のようだし、規律重視、絶対服従の教育。資本家階級の息子たちがほとんどのこの学校では教師も生徒たちも反英感情が根強く、英語の授業もうまくいかない。
そこで生徒たちを校庭に連れ出しイギリスから持ち帰ったボールでサッカーの練習をしながら、英語を上達させようとすると、サッカーの面白さに夢中、生徒たちも徐々に英語を覚えるようになる。サッカーの精神はフェアプレイとか、サッカーファンにとってはうれしくなるようなコッホ先生の授業だったが、猛烈な非難を浴びてしまう。
生徒たちのほうはサッカーを授業に取り入れるようになってから大きな変化が表れ、なにかといじめられていた唯一の労働者階級出身の生徒は小柄な体ながら、サッカーでは活躍することから、次第に生徒たちの中で認められるようになっていく。地元の新聞社もコッホ先生のサッカー授業を取り上げるが、学校の上層部の意向を汲んだ批判的な記事ばかり。
とうとう政府の調査団もくることになり、辞めようとするコッホ先生の目の前にはイングランドから留学時代の友人が同じ年頃のサッカーチームを連れてやってくる…
コッホ先生はサッカーを教えるだけではなく、服従には抵抗し、自立して物事を考える人間になるための全人的教育を実践しようとしたのだろう。それが学校だけでなく、当時の社会通念とも衝突することになった。
コッホ先生は1875年、生徒とサッカークラブを設立し、その後サッカーはドイツで広まったが、禁止する区域もあり、なんとバイエルンで解禁されたのは1927年だったそうだ。日本では卒業式などで歌われたかび臭い!?「蛍の光」が素晴らしい歌詞で蘇っていた。特に2番目の歌詞、良かったなあ。
北や南 東や西 君がどこに行こうとも 新しき精神は世界に広がる
だから聞け 機は熟す 友よ 今は昔日のため あの遠き日々のため
友情の杯を酌み交わそう 過ぎ去りし日々を思い