1996年/イギリス映画/107分。1917年に結成された炭鉱夫たちのグライムコープ・コリアリー・バンドの実話を基にした映画。映画の中で流れる音楽は彼らが演奏したものだそうだ。バンドの指揮者ダニーの役を『ロミオとジュリエット』の神父を演じた名優ピート・ポスルスウェイトが重厚に、バンドの一人アンディをユアン・マグレガーが若さで溌剌と演じている。
サッチャー政権になってから、炭鉱閉鎖政策により次々と廃坑になっていくなか、ヨークシャー地方、グリムリーの町のグリムリー・コリアリー・バンドはロンドンで行われる決勝大会を目指していた。会社側と組合側の交渉が行われ、今退職すればといくらいくらと具体的な金額まで提示される。家族や生活を背負う中、組合員同士が揺れ続ける。女たちもテントを張って、会社側の攻勢に対抗していた。このあたり、度胸がすわって彼女たちは実にたくましい。
ダニーは「組合や抗夫が屈してもわれわれは屈しない」と楽団員たちを鼓舞するが、絶望感から自殺しようとするものまであらわれる。演奏される楽曲を聞くだけでも素晴らしいがロイヤル・アルバート・ホールでのダニーの大演説がしびれるほどすごい。
「この10年間政府は産業を破壊してきた。われわれの産業を、さらにはわれわれの共同体、家庭生活を。発展の名を借りたまやかしのために。」「大勢が職を失った上に大会に勝つ意欲まで失いました。生きる意志さえ失ったら悲惨です。」「皆さんはアシカや鯨のためには立ち上がる。彼らは普通の正直で立派な人間です。その全員が希望を失っているのです。」
生きる希望を失うことで人間は内部から破壊されてしまう。政府に抗議する彼の言葉は痛切だ。日本だって、似たような状況が起きている。この作品が彼に託したものは、計り知れないほど重い。人間が人間らしく生きるという、当たり前のことが出来ない社会なんて、どんなに発展しても意味があるのかと問うているからだ。
以前にも見ているのに何回見ても涙が出てしまう作品。
ダニーの言葉とともに管楽器のすんだ音がいつまでも胸に残る。
「アランフェス協奏曲」「ウィリアム・テル序曲」「威風堂々」などよく耳になじんだ曲・・・。
サッチャー政権になってから、炭鉱閉鎖政策により次々と廃坑になっていくなか、ヨークシャー地方、グリムリーの町のグリムリー・コリアリー・バンドはロンドンで行われる決勝大会を目指していた。会社側と組合側の交渉が行われ、今退職すればといくらいくらと具体的な金額まで提示される。家族や生活を背負う中、組合員同士が揺れ続ける。女たちもテントを張って、会社側の攻勢に対抗していた。このあたり、度胸がすわって彼女たちは実にたくましい。
ダニーは「組合や抗夫が屈してもわれわれは屈しない」と楽団員たちを鼓舞するが、絶望感から自殺しようとするものまであらわれる。演奏される楽曲を聞くだけでも素晴らしいがロイヤル・アルバート・ホールでのダニーの大演説がしびれるほどすごい。
「この10年間政府は産業を破壊してきた。われわれの産業を、さらにはわれわれの共同体、家庭生活を。発展の名を借りたまやかしのために。」「大勢が職を失った上に大会に勝つ意欲まで失いました。生きる意志さえ失ったら悲惨です。」「皆さんはアシカや鯨のためには立ち上がる。彼らは普通の正直で立派な人間です。その全員が希望を失っているのです。」
生きる希望を失うことで人間は内部から破壊されてしまう。政府に抗議する彼の言葉は痛切だ。日本だって、似たような状況が起きている。この作品が彼に託したものは、計り知れないほど重い。人間が人間らしく生きるという、当たり前のことが出来ない社会なんて、どんなに発展しても意味があるのかと問うているからだ。
以前にも見ているのに何回見ても涙が出てしまう作品。
ダニーの言葉とともに管楽器のすんだ音がいつまでも胸に残る。
「アランフェス協奏曲」「ウィリアム・テル序曲」「威風堂々」などよく耳になじんだ曲・・・。