FOOTBALL LIFE

~サッカーを中心に日々の雑感など~

映画『スター・ウォーズエピソード3/シスの復讐』

2005年08月15日 | Weblog
共和国と分離主義者の戦いが終わることなく拡大していた。パルパティーン最高議長が拉致され、オビワン・ケノービ〈ユアン・マクレガー〉とアナキン・スカイウォーカー〈ヘイデン・クリステンセン〉は救出に向かい、成功させる。あまりにも長く非常時大権を握っていた元老院のパルパティーン最高議長とジェダイ評議会は不穏な関係になっていた。パドメ〈ナタリー・ポートマン〉と極秘結婚し、妊娠を告げられ、幸せなときにパドメの死を予感する夢を見た。なんとかその幸せを失いたくないと悩むアナキンはシスであるパルパティーンから人を死から救ったというダーク・プレイガスの伝説を知ることとなる・・・

スター・ウォーズの最後の映画。アナキンがいかにダークサイドへ落ちたかという物語。見に行く前にエピソード6を見てからいった。なーるほどという結末から。そうしたほうがいいかどうかはなんともいえないが。愛するものを失いたくないという不安と恐怖の間隙にダークサイドの道があったとする。同情すべき理由があるけれど、それじゃあ、反対を唱えるものや子供を殺してもいいのかと。

全編にアナキンの悩みが覆いつくし、重苦しいトーンのまま終局へと進んでいく。平和や正義や自由を口にしながら、次々と人を殺していくという逆転の発想。アナキンへぶつける解放、正義、自由?というオビワンの言葉にはアメリカの悩みが象徴されているようだった。

ハリウッドの監督たちはもはや喜々としてスペクタクルシーンは取れないんだなあと「アレキサンダー」のオリバー・ストーン監督を思い起こしてしまった。権力の暴走は止められないと悩む姿を垣間見たような気がした。悩めるアメリカ人のやり場のない怒りー。ブッシュの当選が決まった夜、カナダ政府のウェブサイトへのアクセスが通常の何倍かに跳ね上がったという新聞記事をふと思い出した。そう思っても、仕事もあり、家族もあれば、簡単に移住なんて出来ない。せめて頭の中の空想だけでもというところなのだろう。

アナキン役のヘイデン・クリステンセンは目に怪しい光を宿し、もがきながらダークサイドへひた走る人間の弱さと両方を演じられるようになっていた。前作からの役者としての大きな成長に驚いた。いろんな役をこなせるような気がして、将来が楽しみな役者だ。アレック・ギネスの重厚なオビワン・ケノビの印象が強くて、ちょっと深みがないなあと不満だったユアン・マクレガーもようやくなじんで来たと思ったらこれで終わりになってしまった。

解けでる真っ赤な溶岩流の近くであんなに生きながらえることが出来るの?という疑問を封印すれば、二人の執拗な戦いは迫力があった。最後には良く見慣れたダース・ベイダー誕生となる。この3はエピソード4,5、6の単純さとは比べ物にならない。ナタリー・ポートマンは大人になって綺麗なんだけど、ここでは受身の役であまり印象は強くないのが残念。この映画のテーマ曲がもうきかれないのもさみしい。引越しのときほとんどのビデオを処分して、最後まで残したものの一つがこのシリーズなのだ。

エピソード3はシリーズの中で一番見ごたえがある作品だった。



戦後の原点

2005年08月15日 | Weblog
昨日はお盆の人出で、街には人が溢れて混雑し、車も渋滞した。今日はしずかに終戦記念日。戦後の原点でもあり、世界に誇れるものはー。

【憲法の前文】
日本国民は、〔中略〕政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、〔中略〕恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。

われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。〔後略〕

【憲法9条】
①日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない。



変えようとしているのは

2005年08月12日 | Weblog
暑さが続いている。お盆の帰省ラッシュのニュース。都会ではのびのび遊ぶ場所もないからと若い親がこたえていた。そうだねえとニュースに相槌を打ちながらも、今更、海や山でもないから冷房を効かせて室内にひっそりしているほかないなあと。花のみずやりは欠かせないけど、水不足のところではこれも気兼ねしてしまうだろう。

郵政民営化なんて、国民の何番目の関心事かと疑問符だったのが、高揚感で臨戦態勢のワンフレーズ勝負師の仕掛ける脚本・監督・主演劇にメディアも振り回されている。刺客だなんていったって、党をさんざん鞍替えして結局自民党になってしまった女性大臣。改革は必要。でもその中味はいわれているような本物の改革だろうか?

新聞に作家の澤地久枝さんと歌手の加藤登紀子さんの対談が載っていた。

澤地「私ね、いまは戦前より悪いと思う。米国の高官が日本が国連安保理で常任理事国になるには『憲法9条によって戦争できないことが障害になる』といった。かつての日本は日本人によって国の方向を誤らせたけれど、いま起きていることの根本部分で発議して、変えようとしているのは米国政府です。」
「こんな危機的状況にあっても大きな抗議行動が起きない。日本はこの60年の間にどうなってしまったのか。」・・・
加藤「私は、学生運動が突然、急激に終息するのは、やっぱり権力の側からの弾圧のせいだと思うんです。私たちの世代はそれを自分たちの敗北とか挫折とか内面的な問題としてとらえていますけど・・・。」

澤地「満州を極楽浄土とか五族協和の理想郷だったという人がいるけれど、中国人には別の歴史がある。実際、配給の主食に差があり、砂糖は日本人にしか配られないのを変だと思った記憶がある。中国の人たちは道端でよく殴られていましたしね。中国、韓国で反日気運が盛んな理由を冷静に考える必要がある。」

加藤「私の母は戦後、ソ連兵が略奪に入ってきたとき、怖かったけれども私を負ぶいながら『あなたのお母さんも、あなたが無事か心配しているわね』とソ連兵にはなしかけた。私は母から、どんなときも一人の人間として相対しなければいけないといわれて育ちました。」

「憲法を変えて戦争に行こうという世の中にしないための18人の発言」という岩波ブックレットの中での、美輪明宏さんは自分が見た事をこう書いている。

「私は原爆にあっている人間ですし、戦前、戦後の両方の時代を知っています。」
「汽車のデッキに立って出征しようとしている兵隊さんを、『死ぬなよー、帰ってこいよー』としがみついて見送る母親が、憲兵に引きずり倒され、ぶん殴られて、鉄の柱に頭をぶつけて血を流している。それを死地におもむくために出征しながら見ている子供の気持ち、どんなだったろうかと思います。」

「戦時中は、そんなことばかりでした。またそれが始まろうとしているのです。それが戦争です。みんな戦争の正体を知らなさすぎます」と結んでいる。

およそこの世に送り出した子供に死ぬことをすすめる母親なんていない。自分の母親から命を受け継ぎ、また自分の子供にそれを伝える。だから女には玉砕なんて発想がもともとないのだ。生き抜くこと、ひたすら生き抜くこと以外はー。