FOOTBALL LIFE

~サッカーを中心に日々の雑感など~

メディアの魂

2005年01月21日 | Weblog
NHKの番組改編問題が報道されている。自民党議員が圧力をかけて、従軍慰安婦特集番組の内容を変えさせたと問題になっていること。これを朝日とNHKが双方譲らずにお互いを批判している。

一番の発端は、4年間も悩んだ末自分には家族があるが・・・といいつつ、それでも黙ってはいられなかったと内部告発した長井さんという担当のプロデューサーの勇気。政治家に魂を売り渡してしまったという義憤から実名を出して訴えたものだ。

NHKコンプライアンス推進室に通報後、1ヵ月も進展がなく、ヒアリングさえ行わなかった事を理由に会見を開いた。それに対する調査結果は「不当行為は認められない」。長井さんは「まったく信用できない」とコメント。

報道の自由の根幹にかかわるこんな重大な問題なのに、他のマスコミ関係者は黙殺するのかと思ったら、ここにきてようやく、日本マスコミ労組会議が中川、阿部両氏に対して国民が納得出来る説明を求める声明を出した。

長井さんのように現場で抵抗する人がいるというのは、暗闇に向かっていつか来た道を突っ走っているような今の政治の流れの中で、メディアの魂をもっている人がいたのかと一筋の光明をみる思い。様々な事が待ち受けているだろうけど、なんとか頑張ってほしい。

危険なイラクの現場にたって、状況を説明していたアジアプレスの綿井さんは今どうしているのだろうか。
こうしたフリージャ―ナリストが体を張って現地報告してくれていたのに。

映画『殺人の追憶』

2005年01月07日 | Weblog
1980年代後半から。韓国で軍事政権に対する抗議行動が頻発している時代。一つの農村で若い女性が殺される事件が続いた。地元刑事二人が強引な取調べの捜査を続ける中、大都会のソウル市警からソ・テユン刑事(キム・サンギョン)が送り込まれてきた。犯人が捕まらず焦る地元刑事のパク(ソン・ガンホ)はこれに反発して対立するが・・・

田んぼが広がるのんびりした農村の風景とそこに生きる地元刑事たち。およそ科学的でない?捜査をしていく一方、やってきた都会の刑事は知性派で、という対比で笑わせながら、事件の描き方は事実を積み上げていく緊迫感に溢れている。犯人が絞り込めない焦りから、次第に追い詰められていく刑事たちの人間ドラマになっていく。

実際にあった殺人事件を基に作った映画。地元刑事のパク役の俳優は元横綱(名前が思い出せない)にそっくりだけど、とにかく存在感抜群のうまさ。当時は灯火管制があり、必ず雨の日を選ぶという犯人側の用意周到さによって、どうしても証拠を見つけることが出来ない。

ぶんなぐったり、逆さづりにしたりという強引な取調べが続く中、時が経つうちに刑事たちのほうがおかしくなっていく様の描き方が実にうまい。最近見た中で一番面白かった作品。韓国にもこんな力量のある監督がいたのかと驚いた。2時間強の時間を最後まで引き込まれていく迫力は見事と言う他はない。必見の傑作映画。