FOOTBALL LIFE

~サッカーを中心に日々の雑感など~

気迫のゴール

2009年02月26日 | サッカー
チャンピオンズリーグは決勝トーナメントから再開された。24日の試合ではリヨンーバルセロナ戦で前半に1-0とリードされる展開となった後半、アンリが気迫のダイビングヘッドで67分、貴重なアウェイゴール(ホーム&アウェイで同点の場合は、アウェイゴールの数が上回っているほうが勝つ)を奪って1-1とした。

久しぶりのアンリのゴール!!うれしかったなあ。おまけにダイビングヘッドで低い位置から飛び込む姿なんて、アーセナル時代から余り記憶にない。その後のパフォーマンスもアンリには珍しく大げさ!なもので、飛び上がっては喜び、なんだかわからないけど?吼えていたからねえ。

大量得点のうちの一つのゴールというのとは違って、これは次ぎのホームでの試合を有利にした大きな1点だった。後半はかなりバルサが攻勢に出ていたものの、なかなかゴールが奪えなかったから、追いついてよかったよ。

リーグ戦の前節で同じバルセロナを本拠地とするエスパニョールとのダービー戦に負けていた。これでいよいよバルサの勢いも止まるだろうなんて言われていたようだし、2位のレアル・マドリーがずっと負けずに連勝続きで、バルサの背中を追いかけているだけにプレッシャーも圧し掛かってくる試合だった。

そのレアルはホームでリバプールに負けたらしい。これは試合を見ていないのでどういう試合だったのかはわからないが。リーガではビジャレアルーパナシナイコスの試合が一番心配していた。

前節ようやく試合に勝ったとはいえ、やはり失点がなくならないという状況が続いている。CLのようなカップ戦ではリーグ戦のように挽回が出来ないのでこわい。案の定ビジャレアルは攻め続けていたというのに、先取点を許し、その後追いつくという展開。

結局ホームで勝ちきれずに1-1で終了。次ぎはホームで滅法強い、ギリシャでのアウェイ戦でどうなることやら。昨季活躍したニハトが怪我で出遅れて、いまだにまだ本調子でなさそうというのが響いているようだ。FWはロッシ一人で大奮闘しているが、それだけでは足りないなあ。

イングランドではホームでローマを迎え撃つアーセナルがどうかと気がもめて、まっ先に見たのはアーセナルの試合。このところリーグ戦ではさっぱり得点が奪えずに曇天のような試合をしていた。

無敗優勝した頃、ベルカンプ、アンリ、ピレス、ビエラ、それにDFのキャンベルなどが活躍していた頃のチームとどうしても比べてしまう。ゴールがない無得点などという試合は攻撃的なパスサッカーのアーセナルからもっとも遠いイメージだったはず。

この試合ではそれまでの試合と比べてパス回しも早く、流れからゴールを奪えれば一番だったが、それでもPKだろうとなんだろうとファンペルシが決めて1-0で勝利というのでよかった。

この前に見た試合ではエドゥアルドが選手生命に関わる大きな怪我から復帰して、いきなり2得点をあげていた。辛いリハビリを乗り越えて喜ばしい活躍だったが、残念なことにすぐにまた筋肉系の怪我をしたらしい。

このブラジル人でクロアチア代表というエドゥアルドという選手は、いかにもエリア内でフィニッシュを決めるストライカーという表現がピッタリ。FW陣の中でもっとも得点感覚があるように見えたが、はたしてCLには出られるのだろうか。 もし出られるようなら、この選手が次ぎのステージへ進む、勝利への大きな鍵を握っているという気がする。

そのほかではチェルシーーユベントス戦。ヒディンク監督初采配のリーグ戦ではアストンビラに勝利して順位が逆転し、3位に躍り出た。戦い方の浸透には時間が足りないとはいってもいくつか修正していたようだった。

ヒディンク監督はチェルシーのホームスタジアムではリーグ戦のときよりもっと厳しい顔!!(これがまたいい表情なんだよねえ。これでお得意のガッツポーズが決まれば。)ユベントスはやはり白黒のゼブラ模様でないとユベントスらしくないが、調子を取り戻したデル・ピエロをはじめ、やはりイタリアサッカーを代表する伝統のチーム。

しかし前監督のときには1トップ採用でアネルカと並んで出場することはなかったというドログバが、この試合では再びゴールへの嗅覚を取り戻したかのように迫力の決勝点を決めて、本拠地で先勝した。1-0.

スター選手ばかりを集めるというのも、主役が多ければいい芝居が出来るのかというのと同じで、うまく機能しなければ烏合の衆になってしまうが、ヒディンク監督は異なる国や文化のところでも結果を出している監督。チェルシーがどう生まれ変わるのだろうかととても興味深い。








プレシーズンマッチ

2009年02月22日 | サッカー
うれしいニュース!!クラブ公式サイトに寄れば、22日、J2コンサドーレ札幌のプレシーズンマッチは、沖縄・北谷でのJ1・FC東京との対戦。前半は東京の梶山選手に25分、1点を先取されたが・・・。

後半2分、クライトン、キリノとつなげ、それを受けたダニルソンがミドルシュートで同点。さらに15分、ダニルソンがFKで逆転ゴールで2-1の勝利という、試合経過が報告されていた。

最初の1点は外国人トリオの連携から、2点目はダニルソンが個人技で決めたというもので、どうやら、今季は外国人補強もうまくいったということらしい。なんだかホッとする。これで開幕に向けて希望が持てるなあ。

今季は誰がキャプテンを務めるかというニュース。まだ22歳の上里選手が若さで明るくチームを率いて、今季のコンサドーレ札幌を引っ張っていく!!石崎監督は「楽しみながら勝つ」というのがモットー。

グアムキャンプから笑顔が絶えない上里選手はその役割がピッタリということらしい。宮古島出身の上里選手にとって、故郷沖縄でのこの日の試合はきっと思い出に残る試合だったろうね。

開幕戦に向けて調子を上げているのは対戦する《仙台》も同じ。今年こそJ1復帰をと誓っているだろうから、札幌ドームでの初戦は難しいものになりそう。3月8日はなんとか勝って、開幕ダッシュと行きたいもんだよねえ。待ち遠しい!!







なつかしい選手たち

2009年02月21日 | サッカー
夕飯のご飯支度をしながら、なんとなくつけたサッカーのチャンネルで、ミランとユベントスとの試合を放送していた。ユベントスにはジダンが居たのでいったい何年前の試合だろうか。あまりにもなつかしくなって、思わず手を止めていた。

試合はユベントスの本拠地トリノのスタジアム、ジダンは長袖に手袋をしていたので寒いころなのだろう。前半トュドールが先制点を入れ(これは見ていなかった)、後半はインザーギが2点目、ジダンがロスタイム、ふわりと浮かしたファンタスティックなゴールで3点目。ユベントスは終了までミランを無失点に抑え、3-0で勝利。

ユベントスの監督は現ミランのアンチェロッティ監督、ミランはセリエAではおなじみのザッケローニ監督。この頃のユベントスは今も活躍しているデル・ピエロの他に、すでに引退したフランス人のジダン、今はミランのインザーギ、GKは今マンチェスターユナイテッドで無失点記録を続けているオランダ人のファンデルサル。

中盤にはオランダ人のダービッツがいて“汚れ役を”やり、旧ユーゴの栄光からか、東欧からもFWコバチェビッチが交替選手で途中から投入された。(相手ミランにも交替選手ではいって来た10番をつけたボバンという選手がいる。この選手はクロアチアだったかなあ。)

昨季はバルセロナに在籍し、今季はミランへ行ったザンブロッタもユベントスの一員だった。栄枯盛衰の流れが速くなったサッカーの世界でこのころはイタリアのセリエAが“海外”サッカーだと思っていたからね。

映画を見るためにWOWOWを見ていたら、その網に海外サッカー、中田が活躍していたセリエAが引っかかった?という状態で、それからサッカーというのは例えば、ユニフォーム一つとってもとてもお洒落で、プレーも荒っぽいばかりではなくて、芸術的なものだと発見!!

都市国家の歴史的な対立が今もサッカーの試合で燃え盛る発炎筒なんかに表われているんだなあ、などと歴史を学ぶおもしろさもあった。それからはサッカーのおもしろさに捕らわれて?今に至っているんだから、偶然とはいえ不思議な気がする。

そういえばミランのほうにはその後に鹿島アントラーズの選手になったレオナルド選手がいたし、なんといってもいい時期のウクライナ出身シェフチェンコ。サッカー選手の中にも哀愁を漂わせている選手がいるんだねえと驚いたものだ。

名前がアンドレイと聞くと、これは何度も映画化された【戦争と平和】(トルストイ)という小説のなかで、10代のナターシャの婚約者になるアンドレイ・ボルコンスキイ公爵のイメージと重なって見える。

同じアンドレイでもロシアからアーセナルへ移籍してきたアンドレイ・アルシャビン選手ははどう見ても?“哀愁”という感じではないから、先にシェフチェンコに出会ってよかった・・・。

ジダンはユベントスからその後、スペインのレアル・マドリードへ移籍。レアルへ行ってから、攻撃的なサッカーなので楽しいというような発言があった。カテナチオの伝統のあるイタリアでは守備重視、攻撃的な選手はかなり大変だったのかもしれない。

レアルへ行って確か2年目だったか、ジダンはチャンピオンズリーグ決勝でドイツのレバークーゼン相手に、ロスタイムに目が覚めるような半身のシュートを決めてチームを優勝に導いた。

1998年にW杯優勝、2000年ユーロも優勝した栄光のフランスチームだったが、その後の2002年日韓W杯で、フランスは開幕戦に伏兵セネガルに敗れ、早々に敗退。2006年のイタリアとの決勝戦では、相手DFマテラッティに侮辱されたことで、頭突きして一発レッド退場。

ジダンは親世代がアルジェリア出身でフランスへ移民として移り住んできていた経緯がある。複雑な心理的葛藤があって当然だったが、大変な物議をかもしフランスもイタリアに敗れた。(【アルジェの戦い】というアルジェリア独立への戦いを描いたドキュメンタリータッチの映画は、今でもマイベストワン。)

1998年のころはさしてサッカーファンでもなかったから、ジダンのサッカー人生のもっとも輝かしい瞬間を見たのはレアルでの値千金ゴールかなあ。何年経ってもあのボレーシュートは鮮烈な記憶として残っている。





新しい人生にも

2009年02月20日 | サッカー
あたりはまだ一面銀世界だが開幕も近くなってきたので、コンサドーレ札幌の記事は載ってるかなと新聞を買う。大きな記事ではないが“石井ハーフで変身”の見出しがあった。

19日、韓国Kリーグの【浦項】(これなんて読むの?)との練習試合があった。試合は0-1と敗れたが、前半に右サイドハーフに出場した石井謙伍(22)選手が攻守にわたり、献身的にプレーし、石崎新監督が提唱する【複数ポジション制】に積極的に取り組み、定位置奪取にアピールしたという。

この新ポジションにいい動きをしたということなら、昨季はなかなか試合に出られなかった石井選手にとっても、FWにこだわる理由はないのかもしれない。「一回も練習していないシステムなのにうまく対応していた」と石崎監督が及第点を出したというのだから。

J2は51試合もあることを考えたら、試合中でもポジション変更に対応出来る選手が多いほうがいい。DF趙不在の穴を西嶋選手のセンターバック、MF西選手の左サイドバック起用で埋め、主力組みは無失点だったが。

真ん中に位置する上里選手とダニルソンの連携がいまいちだったということで、石崎監督がダニルソンに“プチ注文”(どうしてここでフランス語?)を出したというのだから、連動性はまだまだらしい。

2009年のスローガンは【戦(たたかう)】に決まったのだそうだ。覚えやすくていいスローガンだねえ。頭から湯気、目から火が出る?ほど過激に!!戦って頂戴。キャンプ地では開幕戦に向けて着々とチーム作りが進むコンサドーレ。しかしその陰に隠れるように引退する選手のニュースもあった。

ベテラン組の西澤選手や大塚選手がたしかかつて在籍したクラブの育成コーチになったようで、これはまだサッカーに関われるから新たなサッカーライフになるとして、このところの厳しい不況で、景気回復が見られない影響だろうか。30歳そこそこの西谷選手や相川選手、23歳の若い鈴木選手まで引退とは・・・。

少し前の道新にはかつてキャプテンも務めた和波選手が故郷の三重県に帰り、そこでジンギスカンのお店を開いているという記事が載っていた。コンサドーレ札幌に貢献してきた選手たちの引退は淋しいが、また新たな仕事に目標を見出して、力強く第二の人生を歩んで欲しい。幸多かれと祈りつつ・・・。


















あまりにも違う

2009年02月18日 | 雑感
オバマ新政権の国務長官として来日したヒラリー・クリントンさんの、早朝から深夜まで笑顔を絶やさずにこなす仕事ぶりは、なんと鮮やかなんだろう。それに比べイタリアで開かれていたG7後の記者会見で酩酊状態を披露し、とうとう辞任した中川前大臣の姿。

緊張感が足りないでは済まされない。中川前大臣は父親の中川一郎議員死去によって銀行員から議員になり、十勝王国というその財産を譲り受けた議員2世。なんの苦労もなく連続8期当選という挫折を知らない議員生活だった。

ヒラリーさんのリンとした姿に比べ、共に外交の舞台であまりにも違う。その後には与謝野氏が3大臣を兼任するという。そんなに一人に権限が集中していいのだろうか。ちゃんと仕事が出来るのか疑わしいものだ。

いつになったら選挙で選ばれた議員によって政治が行われるのかと待ちくたびれている。支持率が一桁台になっても、ずるずると自民党と公明党によって長引かせるこの時間の長さ。

デモやストライキもない国民性を横目で見ながら、麻生で駄目なら、今度は誰かという興味でメディアをひき付けては時間稼ぎ。これではいつまで経っても国民の声が反映されない。

ヒラリーさんがアジア歴訪の旅の間、本国ではオバマ大統領が対テロ政策としてアフガニスタンへの兵力増強を決め、1万7千人の増派らしい。実は兵隊の大部分は失業者からなる失業対策?と疑いたくなるほどだ。

そうやってアメリカ兵が押しかけて行ったベトナムやイラクは果たしてどうなっただろうか。抵抗運動はかえって激しくなるだろうし、それによって子どもも含まれる市民たちが犠牲になるのが一番恐ろしい。



ヒディンク監督登場

2009年02月15日 | サッカー
日韓W杯では韓国代表を率いて4位まで躍進させたヒディンク監督は、2006年にはオーストラリアの代表監督として結果を残し、その後にはロシア代表監督に就任し、ユーロ2008ではロシアを印象に残る見事な戦いをする攻撃的なチームへと変貌させた。

・・・と思っていたら、今度は突如ロシアからイングランドに降り立ち、電撃解任されたスコラリ監督の後任として、現在4位にまで順位を落としたチェルシーの監督としてを再び優勝戦線に復帰させることを期待されている。

クラブ監督のほうの詳しい経歴はわからないが、代表監督としては韓国の次ぎはオーストラリア、次ぎはロシアと、これだけ実績を残しながらどこか主流ではない《傍流にたたずむ》というイメージだった。

ところが今度ばかりは金融危機で目減りしたとはいっても、庶民には想像もつかない大富豪のアブラモビッチに招かれてのイングランド入り。アブラモビッチはエリツィン政権時代に軍部とのつながりでしこたま蓄財したようだ。現在はロシアサッカー協会にもかなりの資金援助しているらしい。

ヒディンク監督はアブラモビッチは友人だからということで、契約など見る前から引き受ける腹づもりを決めていたという話。日韓W杯のときからすっかりファンになったヒディンク監督がまさか!イングランドプレミアリーグという中心の渦、しかもロンドンにやってくるとは・・・。

愛称ブルーズというチェルシーは、アーセナルが倒すべき相手の一つという存在だったのが、驚きのヒディンク監督登場。気になってFAカップの5回戦、ワトフォードーチェルシー戦を見る成り行きになった。

チェルシーは短いパスをつなぐようになり、モウリーニョ時代とかなり変わったなあという印象。現在レアル・マドリードへ行って活躍しているサイドのロッベンが一本のロングパスが向かう先へ飛び出し、DF陣がそのスピードに付いていけなくなるという展開だった。そうした手数をかけない攻撃のこわさがなくなっているように見えた。

下部リーグのワトフォードには全員守備で70分ごろまでは抑えられていたが、1点先取されながら相手に疲れが見えるころ、ずっと得点がなかったというアネルカが爆発。同点、逆転とゴールを決め、とうとうハットトリックで1-3というスコアで終了。前監督には使われなかったというドログバも常時試合に出ていれば、調子が戻るのでは?

ベンチにはアメリカの半世紀前の大統領、アイゼンハワーにそっくりなチェルシーの代行監督。スタンドではヒディンクさんとオーナーのアブラモビッチが並んで試合観戦。アブラモビッチは時々チラチラとヒディンクさんのほうを気にしながらもすっかり安心したらしい。それと対照的なのがどっかと腰を下ろし、じっと戦況を見つめるヒディンクさんの厳しい表情。

ヒディンク監督は韓国代表をとことん走らせることで勝利を呼び込んだ。ロシア代表も攻守の切り替えの速い、スピード感の溢れる試合をした。今回はシーズン途中で時間もなく、今までで一番難しい仕事かもしれない。















「平等」の思想

2009年02月13日 | 雑感
昨夜放送された「100年インタビュー」は作家の池澤夏樹さんが登場した。池澤さんは作家としての分筆活動の他に、イラク戦争が始まる前にイラクへ行った体験から、9・11以降、「新世紀にようこそ」というメールマガジンを始め、反戦活動もされてきた。

ブッシュ政権の対テロ政策により、イラク戦争が始まるのではないかという報道がされるようになり、欧米では何十万単位のデモがあったが日本の場合は多くても4万人くらい。あまりにも日本人の関心が内向きになっているのではないかというお話だった。

6歳まで北海道の帯広で両親とは離れ、祖父母、叔母に育てられ、これが自分の人間としての《土台》になっている。防風林がある十勝平野から一望できる山々が原風景となった。列車に乗って東京へ向かう途中、見える景色の山が近いなあ、やはり違うなあと。その後、東京に住んだが、現在はフランス。その前はギリシャに住み、沖縄には約10年間住んでいた・・・。

(9・11について最初の段階では、アメリカの被害者のニュースが延々とTVで放送されていた。朝日新聞でさえ、イラク戦争が始まった頃は記者がアメリカ軍に従軍しそこから記事にするといった、アメリカ寄り?の報道がなされていた記憶がある。)

池澤さんは実際にアメリカ軍によって空爆が始まる前のイラクに行って現地の市民たちの生活を肌で感じてきたことで、それをなんとか伝えたいという気持ちが強かったそうだ。

何年か前にギリシャの映画監督の【テオ・アンゲロプロス全集】のDVD(紀伊国屋)が発売され、池澤さんは日本で最初に公開された映画【旅芸人の記録】の日本語字幕を(1979年から)手がけ、アンゲロプロスと親しい友人でもあり、4巻目のなかの【テオ・オン・テオ】という、アンゲロプロスが直接自分自身を語るというドキュメンタリーにインタビューしていたという映像を見ていた。それで記憶があった。

その生い立ちを振り返ったとき、疎開のために6歳まで住んだ故郷北海道での生活が人間的な土台になった、というお話はとても印象的でうれしいものだった。北海道とのつながりは、母方の曽祖父とその兄が淡路島から北海道へ入植し、その後静内でアイヌの方々と一緒に牧場をやり始めた。しかしその兄は事業がうまくいかないことで亡くなった。そのときアイヌの方々も大変に悲しんでくれたというような記憶が“家庭内伝説”として伝わっているそうだ。

丁度何日か前の北海道新聞夕刊の文化欄に載っていた記事を思い出した。三浦綾子、《その文学の魅力》~風土が育んだ「平等」思想~というタイトルで文芸評論家の黒古一夫さんが書かれていた。小説「氷点」などが有名な作家、三浦綾子さんが77歳で亡くなられてから今年で10年。今も三浦文学の人気は高いという内容だった。

その中で・・・「明治維新後に本格化した北海道開発に関わった人々に植え付けられた《対等・平等》思想は、現代でも北海道人の中に脈々と伝わっており、三浦文学はそのような北海道人の《人間観》を代表するものとして読まれている」

「この三浦文学に現れている《対等・平等》思想は、本質的には資本主義社会が必然的に招来する《格差社会》への批判に通じるもの」・・・。

池澤さんのお話から、入植者だった曽祖父たちから受け継がれてきたもの、言葉として捉えることは出来なかったかもしれないが、どこかでこの人間に対する《対等・平等》の思想といったものが、世界観の《土台》になったのではないかという思いがした。









めまぐるしい変化

2009年02月11日 | サッカー
海外サッカーも冬の移籍市場が落ち着いたと思ったら、先週の試合が終わった後に監督解任のニュースが次々流れては驚かされる。特に巨額のマネーが動くイングランドでは、たしか8人目の監督解任などと言われるほどのめまぐるしい変化。

サッカー界もビッグクラブにお金が集中しすぎて、毎年同じチームが優勝してしまうようでは、またかと面白みに欠けてしまう。そういう意味ではリーガ・エスパニョーラは昨季の覇者レアル・マドリードに勝点12差をつけて、首位のバルセロナがグアルディオラ監督の新体制、ここまではリーガ史上、記録的な勝点で連勝中。

第22節はホームにスポルティング・ヒホンを迎えた。前回の対戦ではアウェイで1-6と大勝し、上昇ムードのきっかけになった試合だったらしい。ヒホンの代行監督はバルサチームの関係者らしく、スタジアムにはお帰り!なんていうムード。これでははじめから懐柔されて?戦う姿勢も半減だ。

選手たちもこの巨大スタジアムのアウェイの選手を取り巻く空気にすっかり気圧されている様子。試合前半、ヒホンのセットプレーの後、イニエスタが果敢にドリブルで飛び出し、同時に併走していた左サイドのアンリへパス。

そこから待っているエトーへ柔らかいパスと、23分エトーがこれを決めてはやくも1-0.さらに前半のうちにエトーが追加点を奪う。2-0.後半66分にはダニエウ・アウベスが3点目。3-1.

ヒホンも後半、選手交代したキケ・マテオという若い選手が1点を返したが、今のバルサは全員が守備にも走り回るというチーム。結局3-1で終了。ヒホンもこの頃は1-0というスコアもあるんだけど、今までの“学習”も通用しなかった。

この試合の1点目をアシストしたアンリの流れるようなパスも素晴らしく、魅力的だった。後半になってから盛んにゴールへの意欲を見せていたが、アーセナルならどんどんパスが集まるところだが、ここはバルサ。その辺が難しいところだ。

前節負けてどうなったかとヤキモキしていたビジャレアルが、ホームでヌマンシアに勝利して久しぶりに勝点3を獲得。良かったなあ。相手が下位チームだろうと、リーガではどうなるかわからないからね。肝心の試合放送はなし。せっかくの勝利試合が見られないとは。

アーセナルはアウェイでノースロンドンダービーのトッテナムと対戦した。いつも火花散る大変なゲームになる相手。今回はトッテナムにロシアのパヴリュチェンコ、クロアチアのモドリッチがいるので、アンリがいたころのようにそう見方が一方的でもない。

アーセナルは前半のうちにエブエが退場、FWアデバイヨルも負傷交代になるなど非常事態。代わって出たベントナーが試合数が少なくまだまだ経験不足。トッテナムも試合終了間際、抜け出たモドリッチがGKと1対1になる決定的場面があったが。

どちらも決定的チャンスを決めきれず0-0のドローで終わった。アーセナルには何とかCL出場権を取れるまで順位が上がってほしいし、一方のトッテナムにもいい選手がいるのだから、降格圏から早く脱出して欲しい。

チェルシーがハル・シテイと0-0に引き分け試合になった後、スコラリ監督を電撃解任した。その後任には現ロシア代表のヒディンク監督と交渉しているらしい。チェルシーのオーナー、ロシア人のアブラモビッチがヒディンク監督の年俸を肩代わりして支払っているという噂があり、密な関係からしてロシア代表監督とチェルシー監督と兼任になるのかもしれない。

ロシア人の選手ということではトッテナムのパヴリュチェンコに、今度はアーセナルにロシア第二の都市、ペテルブルクのゼニトから移籍してきたアルシャビンが加入してきた。ヒディンク監督もあっちこっちと目を光らすのに忙しくなりそうだ。

そういえば日本では代表戦で今晩あるオーストラリアとの試合が注目されて、負けたら岡ちゃん解任かと騒がれているが、フランスのマルセイユでフランス代表とアルゼンチン代表の親善試合が同じ日の今日、行われるらしい。

バルサの選手、フランスのアンリとアビダル、それにアルゼンチンのメッシが対決する。それにアルゼンチンはマラドーナが監督すると言うのだから、ベンチの監督とピッチの選手、どっちを映すんだ?ということになりそうだ。




何世紀もの時間

2009年02月08日 | 雑感
昨日の朝日新聞に作家・落合恵子さんのコラム「積極的その日暮らし」が載っていた。タイトルは「unspoken」。子供のころに言えなかった言葉、10代になってスタンダードナンバーの歌詞の一節にあった「unspoken words」という言葉にドキッとしたという話から始まって。

・・・「女らしさ」という言葉がいやおうなく引き受けざるを得なかった受身なイメージ。それに息苦しさを覚えた女性たちが、異議申し立ての意味も込めて使ったのが「自分らしさ・私らしさ」だった。・・・

たしかに・・・。歴史を遡れば、先駆的な才能ある女性が出てきて、さまざまな縛りを振りほどくのに何世紀もの時間がかかった。今の女性たちの生活や生き方は、そうした女性たちが少しづつ鎖を緩めてくれたお陰なのだろうと思う。

「万葉集」のTV放送を見ていたとき、作者が女の場合はどれもこれも?愛や恋ばかりでウンザリしてしまったが、なんとそれ意外の世界を文章にした人がいた。「枕草子」の作者、清少納言。日本のはるかな時代にもこういう女性がいたんだねえとうれしくなる。

昨夜放送されていた「もう一人のメンデルスゾーン」というメンデルスゾーンの姉、ファニー・メンデルスゾーン(1805~1847年)という女性は最近特に19世紀の先駆的な女性作曲家として評価が高まっているのだそうだ。

当時はそういう才能を持っても職業として発揮するのは疎まれたというのだから、才能ある女性ほど悩みや苦しみが大きかったということなのだろう。弟の名を借りて自分の曲が発表されたこともあるらしい。

同じように姉弟の関係で幼少から同じ音楽的環境にありながら、モーツアルト姉弟の場合はザルツブルクからウィーンに飛び出した弟、すでに母もなく、父の下に残ってずっと老後の世話をし続けた姉ナンネル(1751~1829年)という構図。ただ才能の差というだけでは片付かないような気がする。(モーツァルトの音楽は大好きではあるが。)

もう一人時代に先駆けたばかりに才能をすり減らし、ついに精神が不安定になったのが彫刻家ロダンの女弟子だったカミーユ・クローデル(1864~1943年)。同じように神経を病んでいった作家、バージニア・ウルフ(1882~1941年)のことも思い出した。

もっとも毎日のように人員削減のニュースが報道されるようなこのごろでは、まず落ち着ける住所と長く続けられる仕事が欲しいという事が先に来るだろう。自分らしさとか自分探しという人生の中味を問うのは、日常生活が保たれていればこそ・・・。








負けないのは

2009年02月07日 | サッカー
常夏の地グアムでキャンプを行っているコンサドーレ札幌はヴィッセル神戸と練習試合を行った。試合は45分間×2で、1-1,1-1という結果だそうだ。得点者は砂川選手と横野選手。

いよいよこれまでの“まとめ”になる練習試合。石崎新監督になってまだ完全には動きが浸透していない段階では、結果を出すことで自信が付いてくるのだろうし。

たしかヴィッセル神戸にはオーストリアのザルツブルクというクラブから帰国し、今季からDF宮本選手が入団して主将になったはず。神戸も守備の連係ということではまだまだなんだろうね。

今日買ってきた新聞には大宮戦に出場できなかったMFダニルソンが、神戸戦へ向けて張り切っているという内容だった。FWキリノとの連係もよくなって、“縦への速いドリブル、コンタクトプレーの強さ、左足からの鋭いミドルシュートがあり、3拍子揃ったパワフルなボランチ”なのだそうだ。

昨季にはクライトンに頼る余り、他の選手のFWへの縦パスというのが余りなかったような印象だった。今季はダニルソンという強力な中盤がいるというのは頼もしい。守備に奔走するだけでなく、前線へも飛び出して攻撃参加してほしい。

石崎監督はJ2は51試合もあるということで、選手一人が何役もこなせるようにといろんなポジションを試しているようだ。昨季は怪我人が多くて大変だったからね。今季はフィジカルコーチもいるらしいから、ようやく合理性のある体制になった。

石崎監督は若い選手とのコミュニケーションも自分から話しかけているという。罰ゲームに一発芸をさせるなど、明るい雰囲気作りにも気を配っているらしい。なんにせよ負けないのはいいことだ。この調子で!!