日めくり万葉集(135)は七夕を詠った山上憶良の歌。選者は日本の伝統の色を追究する染色家の吉岡幸男さん。
【歌】
彦星(ひこほし)し
妻(つま)迎(むか)へ舟(ぶね)
漕(こ)ぎ出(づ)らし
天(あま)の川原(かはら)に
霧(きり)の立(た)てるは
巻8・1527 作者は山上憶良(やまのうえのおくら)
【訳】
彦星が妻の織姫(おりひめ)を迎えに行く船を漕ぎ出したようだ。天の川原に霧が立っているのは、この水しぶきに違いない。
【選者の言葉】
七夕伝説は天竜と織姫が仲良く結婚したが、結婚した途端に織姫のほうが織りをやめてしまったので、織姫のお父さんが怒って、自分のほうへ帰し、機(はた)に励むようにといい、一年に一度だけの逢瀬となったという。
七夕は今日の人たちは笹に短冊をかけるという風習があるが、絹の布や糸、時には針も飾るという、染色の歌。もともと七夕伝説を探っていくと、中国の絹の発明と織りを織るという慣わしから来ている。
今のように既製品の服を買ってくるということではなく、みなが織物を織って衣服を作り、美しく装う。そのためには技が上手にならないければいけない。蚕(かいこ)から糸を取るのが綺麗に取れる。機にかけていい織物が織れる。お裁縫が上手になれる。そういうことを願う節句が七夕。
シルクロードは絹の文化が中心となり、東西文化の交流が深まった。それぞれの地域では、奈良の都を中心としたところに、そういう大きな世界の中の、壮大な文明の交流の波が押し寄せてきた、そういう時代。
技術の向上というものに対しても気持ちが込められていた。そういう行事も大事にして、機がうまくなるとか、裁縫が上手になるとか。それがとても大事ですよということが、広まっていったことでもある。そういう創成の時期のいいとき、だったと思う。
【檀さんの語り】
吉岡さんは七夕は染めや織りの職人にとって、大切な行事だという。七夕の日、吉岡さんの工房では中国古代の風習に習って、布を飾る。
自然の五大元素を表す色(水=黒、金=白、土=黄、火=赤、木=青)、に万葉時代に最高の色とされた“紫”を加え、1300年前に思いを馳せる。
【感想】
七夕伝説の由来を探していくと、中国で絹というものが出てきたことと関係があり、さらにそれはアジアとヨーロッパを結ぶシルクロードにも関わってくる。古代の街並みに人々が行き交う姿が、具体的な色彩とともに目に浮かぶようで、俄然興味深いお話になった。
【歌】
彦星(ひこほし)し
妻(つま)迎(むか)へ舟(ぶね)
漕(こ)ぎ出(づ)らし
天(あま)の川原(かはら)に
霧(きり)の立(た)てるは
巻8・1527 作者は山上憶良(やまのうえのおくら)
【訳】
彦星が妻の織姫(おりひめ)を迎えに行く船を漕ぎ出したようだ。天の川原に霧が立っているのは、この水しぶきに違いない。
【選者の言葉】
七夕伝説は天竜と織姫が仲良く結婚したが、結婚した途端に織姫のほうが織りをやめてしまったので、織姫のお父さんが怒って、自分のほうへ帰し、機(はた)に励むようにといい、一年に一度だけの逢瀬となったという。
七夕は今日の人たちは笹に短冊をかけるという風習があるが、絹の布や糸、時には針も飾るという、染色の歌。もともと七夕伝説を探っていくと、中国の絹の発明と織りを織るという慣わしから来ている。
今のように既製品の服を買ってくるということではなく、みなが織物を織って衣服を作り、美しく装う。そのためには技が上手にならないければいけない。蚕(かいこ)から糸を取るのが綺麗に取れる。機にかけていい織物が織れる。お裁縫が上手になれる。そういうことを願う節句が七夕。
シルクロードは絹の文化が中心となり、東西文化の交流が深まった。それぞれの地域では、奈良の都を中心としたところに、そういう大きな世界の中の、壮大な文明の交流の波が押し寄せてきた、そういう時代。
技術の向上というものに対しても気持ちが込められていた。そういう行事も大事にして、機がうまくなるとか、裁縫が上手になるとか。それがとても大事ですよということが、広まっていったことでもある。そういう創成の時期のいいとき、だったと思う。
【檀さんの語り】
吉岡さんは七夕は染めや織りの職人にとって、大切な行事だという。七夕の日、吉岡さんの工房では中国古代の風習に習って、布を飾る。
自然の五大元素を表す色(水=黒、金=白、土=黄、火=赤、木=青)、に万葉時代に最高の色とされた“紫”を加え、1300年前に思いを馳せる。
【感想】
七夕伝説の由来を探していくと、中国で絹というものが出てきたことと関係があり、さらにそれはアジアとヨーロッパを結ぶシルクロードにも関わってくる。古代の街並みに人々が行き交う姿が、具体的な色彩とともに目に浮かぶようで、俄然興味深いお話になった。