FOOTBALL LIFE

~サッカーを中心に日々の雑感など~

もっとひどいのは

2011年02月25日 | 雑感

新聞でもあまり大きな扱いではないが、24日、陸山会公判が続いている。小沢さんの元秘書、衆院議員・石川知裕さんへの弁護側の質問。朝日新聞では…「検事は自分の主張を聞き入れてくれなかった」と主張した。「諦めや絶望感があった」。東京地検特捜部の取り調べで、小沢氏との共謀があったことをほのめかす内容の供述調書に署名した石川議員は弁護人からその時の心境を聞かれ、こう振り返った。

…虚偽記載に関する説明を受けた小沢氏の言葉が、調書では「おう、分かった」だけだったため、検事からは「『表現が弱いので、小沢議員がもう少し話している調書を取れ』と上司に言われた」と聞かされたとも明かした。

…石川議員は、自らの虚偽記載を認める内容の調書にも署名していた。石川議員によれば、検事から「この事件はどう収めるかだ」と言われ、小沢氏の自宅や議員会館の家宅捜査のほか、小沢氏の妻の聴取も示唆されたという。「調べできちんと認めないと操作が拡大していくと思い、ある程度どこかで妥協すべきだと考えた」と語った。

小沢氏について審査した検察審査会の「起訴議決」は、土地購入と同日に小沢氏名義で銀行から融資を受けた4億円を「本来の原資の隠ぺい工作」と指摘。この資金操作についても調書では、数日前に小沢氏の了解を得たと記されているという。石川議員は「そんな事実はない。検事は『どこかで小沢議員に報告した時間を作らないといけない』と言ったと語った。(おわり)

石川さんは密室における長時間の取り調べに疲れ、検事に対していくらそうではないといっても聞き入れらず、その上、小沢さんや小沢さんの妻をも巻き込むことを恐れ、「諦めや絶望感」に駆られ、不本意ながら調書にサインした経過を告白している。

記者会見であれだけしっかりと受け答えをした村木さんがどうして検事の用意した調書にサインしたのかという疑問も、夜も昼もないほどの連続した取り調べを受ければ、追いつめられ、正常な判断の感覚も失われてしまうのだろう。

石川議員のこの供述署名がその後の小沢さんの検察審査会の強制起訴の判断の根拠にもなり、さらにそれが小沢さんの党員資格停止処分にもつながっていく。すべてはここが出発点。村木さん裁判では、弁護人の弘中さんの奮闘だけではなく、担当した裁判長も検察側の調書に対して批判的な見解を述べ、採用しなかったものもあり、そうした姿勢が村木さんの無罪へとつながった。この裁判ではどういった裁判長なのかが気になるところ。

ジャーナリスト江川紹子さんの「江川紹子ジャーナル」2月9日号「同時に裁かれる特捜~石川知裕議員らの初公判を傍聴して」では…(前略)政治資金規正法違反だというのに、検察の冒頭陳述はまるでダム建設の受注をめぐる汚職事件のようだった。嫌疑がはっきりしているなら収賄罪で立件すべきで、それが出来ないものを被告人らの悪いイメージをかき立てる印象操作に利用するというのは、フェアと言えるだろうか…(後略)と。

そもそも検察が仕掛けた小沢さんに対する執拗な悪人のイメージ、それに対して何の批判記事も書けず、むしろ政治とカネという造語でこの動きを補完した主要新聞やTV報道。朝日新聞の社説などは、かつて自分たちが国民を鼓舞し戦場へと駆り立てて行った反省などさらさらないというのがわかる。検察もひどいけど、もっとひどいのはそれを承知で報道している新聞・TV報道…。


季節は春へ

2011年02月24日 | ガーデニング

このところ気温が上がり、道路にもアスファルトの黒い面が見えるようになってきた。家の前の道路にも春を告げる雪解け水が、細くちょろちょろ流れている。送られてきた園芸カタログを見ながら、春の庭を待つこの頃。

しばらく中東の反政府デモの模様に気を取られていたら、突然、ニュージーランドのクライストチャーチというところで、ビルが倒壊するほどの大地震が発生したというニュース。

しかもその現場には日本から留学した方々が大勢おられて、日本からは救助隊が政府専用機で出発したりと慌ただしい局面になっている。

クライストチャーチというところは花が溢れ、イングリッシュガーデンのTV番組でも登場したり、園芸雑誌にも掲載され、花の街として知られているところなので、なおさら驚いた。

外国語専門学校から留学された方々の中には若者だけではなく、40歳前後の女性の例では、海外の医療現場で仕事をしたいとそれまでの職場を辞め、まず語学力をつけるために留学されたという。

なんとか働いてお金を貯めた後、初志貫徹で留学されたのだろう。救出には72時間がタイムリミットなのだそうだ。飛行機がもっと早く日本から飛び立てばと腹が立つが、一人でも多く救出されることを祈りつつ…。


方便

2011年02月16日 | 雑感

今朝の朝日新聞一面見出しは「小沢氏の党員資格停止 民主幹事会決定 判決確定まで」。続いて社説には「鳩山氏の発言 『方便』とは驚きあきれる」。これはまた小沢たたきとセットになっている鳩山批判かと、タイトルだけでスルー。

ネットにも盛んに出ているが詳しい発言内容はわからなかった。たまたま見た午後の国会中継でちょうど「方便発言」の質疑が行われ、ご丁寧にも質問する議員が特大の?鳩山発言TV用パネルを掲げていたのでそれを拝借。(予算委員会というところなのに、どうして予算以外の問題が延々と話し合われるのだろう?というのが素朴な疑問)。

鳩山さんは友愛が過ぎて!?ここでも正直に述べている。「徳之島も駄目で辺野古となった時、理屈付けをしなければならなかった。海兵隊自身が(沖縄に)存在することが戦争の抑止になると、直接そういうわけではないと思う。海兵隊が欠けると(陸海空軍の)すべてが連関している中で、米軍自身が十分な機能を果たせないという意味で抑止力という話になる。それを方便と言われれば方便だが。広い意味での抑止力という言葉に使えるなと思った。」(2月13日共同通信配信インタビュー)

…というものだが、ネットではこれに対する鳩山さんの釈明も出ている。「メディアの方が『それは方便としてですか』と聞かれたもんだから『方便と言われれば方便だった』と。全体としての抑止力という言い方があり得るかなと思って申し上げた」と真意を答えたそうだ。

鳩山さんは当時言えなかったことを今ようやく言えるようになったのだろう。歴代の総理で普天間問題見直しを訴えた首相は鳩山さんただ一人。防衛、外務の官僚たちは辺野古以外には検討の余地なく、まったく聞く耳を持たなかったようだ。それだけに鳩山外交に対しては、アメリカの圧力、官僚に取り囲まれた日本の旧体制の防壁は固く、わずかな期間で達成出来るような問題ではなかったのだろう。

おそらく鳩山さんは、これで終わりではないと、もっと時間が欲しかったのではないだろうか。今の裏切り菅政権を見れば、何も辞める必要などなかったのだ。閣僚の一員である福島さんが、直後の沖縄訪問で、TV向けパフォーマンスを演じたのがトドメになった。政権交代後の高揚感の中で、所信表明演説を聞いた大きな感動を思い出す。

ネットで読んだ「琉球新報」2月13日号~には”不信感噴出”だけではなく、最後の段落に冷静な意見も載せていた。…宜野湾(ぎのわん)市周辺に住む主婦らで作る「カマドゥー小たちの集い」呼びかけ人の国政美恵さんは「官僚の思惑を覆せなかったと正直に表に出し、『抑止力』が意味をなさないことをはっきりさせた」と発言を評価した。今後については「今回の発言に責任を持ち『最低でも県外』と発言した最初の感覚を大切にして、他県に普天間飛行場を引き受けさせるようにと指摘した。(おわり)

今日16日付の「天木直人のブログ」でも、~鳩山「方便」発言騒動の裏で密かに進む官僚主導の対米従属外交~として取り上げている。(詳しくは『天木直人のブログ』を是非ご覧ください。)

…(前略)それはこの国の対米外交が一握りの官僚たちと、それに結託している一握りのメディア関係者で動かされているということだ。国民は何も知らされていない。それどころか、この国は首相も外相も全部は知らされていないのだ。愚かなのは鳩山だけではない。(後略)…

今、もう少しで読み終わろうとしている「昭和天皇・マッカーサー会見」~豊下楢著・岩波書店・岩波現代文庫~には、戦後の始まりにおいて、昭和天皇が展開した驚くべき外交が資料に基づいて厳密に検証されている。タブー視されていたもっとも核心的戦後史であり、対米従属外交がある。開かずの間を開けた豊下さんの長いご苦労には、深い感銘を受けた。この本を沖縄の皆さんが読まれたら、どう思われるだろうか。


まだしばれます

2011年02月15日 | 雑感

東京では積雪があったと、珍しいので大きなニュースになっている。気温が上がると融けた雪がシャーベット状になり、次はつるつるでこぼこ、氷の道になる。転ばないように?下を向いて歩こう!

今朝は放射冷却現象で、いいお天気ながら冷え込む朝となった。日中の温度は少し上がってきたが、週間天気予報のふっくらしたお天気おねえさんはやさしく!「まだしばれます」。

道内各地の冬まつりも終わり、あとは春を待つだけ。もう少しの辛抱だ。大きな雪像は自衛隊が作ったもので、もろ手を挙げて喜べないが、氷の彫像は市民が作った手作り。

折角写真に取ったので、まだ朝なのに!?ライトアップされた夜の彫像を…。タイトルは人だかりでよく見えなかったけど、重い荷物を懸命に運ぶ道産子の馬と開拓時代の人々を掘り込んだものらしい。この彫像がマイベストワン…。


無実プロジェクト

2011年02月12日 | ドキュメンタリー

日本で導入された裁判員制度のお手本となったという、その陪審員制度があるアメリカでも実は冤罪の問題があり、それを打ち破ろうとする無実プロジェクトの活動。BS世界のドキュメンタリー「冤罪から救出せよ~アメリカ無実プロジェクト」(制作NHK/日本電波ニュース社/2011年)。

今、アメリカで起きている冤罪を解明するうねり、死刑囚138人以上を含む無実が明らかにされてきた。その活動に大きな役割を果たしているのが各地に生まれた民間の無実プロジェクト。

大学のロースクールを拠点に弁護士である教員と、法律家を目指す学生が取り組んでいる。ウィスコンシン大学のこのプロジェクトは先駆けの一つ。刑務所で受刑者の相談に乗る活動から、DNAなどの証拠を使い無実の人を見分ける作業。12年前にこれを立ち上げたのがジョン・プレイ准教授とキース・フィンドリー教授。14人を獄中から救い出している。

無実の人が殺人を告白してしまう尋問ビデオを、学生たちに見せる。12歳の少女が自宅で殺害され、14歳の兄に嫌疑がかけられ取り調べを受ける。警察が過ちを認め、公開されたもの。

取り調べ室では、妹の死と自分へ向けられた疑いに絶望感が頂点に達し、頭を抱えて泣き出したところへ、嘘の証拠が出される。「部屋から血痕が出たよ」「そんな…どこで血が…」「分かっているだろう」「知らない、やってないよ、誓うよ」「ナイフのことも話せないのかい?」「なんのことかわからないよ、やったことも覚えてないよ、思い出せないんだ」「それはあり得ることだ」…その後まもなく少年は自白することとなる。

自ら冤罪体験をした人物、オチュアさんの場合。学生が質問する「あなたの経験ではどこまでが尋問だと思いますか」「トイレに行っている間も尋問だ。録画を止めた後、カメラがないトイレで警官が容疑者を殴る。腹を殴れば後は残らない。それから質問を再開する。警官はいつでも録画を止められる。先進地のシカゴではそれは禁止された。すべて録画される。廊下にいてもだ。警官が止めた時は何かを隠している。」

オチュアさんは無実プロジェクト救出第一号。警察が見込み捜査に突き進み、オチュアさんは覚えのない若い女性のレイプ殺人を告白させられる。当時22歳で死ぬのが怖かった。告白すれば死刑を免れると誘導され、裁判では終身刑を求刑される。刑務所に入って8年目、無実プロジェクトに手紙を出し、DNA鑑定では無実を証明された。2000年1月無罪が確定。オチュアさんはその後ロースクールに通い、弁護士資格獲得。冤罪に苦しむ人々を救い出したいと活動している。

もっとも死刑執行が多いと言われるテキサス州では、子供3人が自宅で焼死、父親のシェリンガム死刑囚は無実を訴えながら、2004年死刑が執行された。しかし無実プロジェクトの独自の実験から、これは液体がまかれたのは誤り、放火ではなかったと検証。州政府から依頼された専門家もただの火災という見解。

無実にあるのに死刑になってしまったという衝撃は大きく、テキサス州では検察庁の中に有罪事件の再調査をするセクションが誕生。殺人犯にされていた二人の無実を突き止めるなど成果を上げている。現場の抵抗があったが、ダラス(ケネディ大統領が暗殺された場所として有名)の司法制度の信頼回復を目指して行くことが最終目的だという。

今では無実プロジェクトの取り組みはアメリカ連邦政府を動かし、資金面で援助を始まるまでになった。1995年の強盗殺人未遂事件、1996年禁固刑80年の判決が求刑されたバンデンバーグ受刑者は、1998年人づてに聞いた無実プロジェクトに手紙をだし、最後の望みを託した。その活動が実って15年目にして再審の道が開かれ、保釈されることになった。

バンデンバーグさんの有罪判決は陪審員全員一致によるところ。当時の陪審員「最後まで私は違うのではないかと言い続けましたが、被害者の目撃証言しかなかった。もっと証拠がほしかったが、私たちは被害者のいうことを根拠にしたんです。彼がバンデンバーグがやったというのですから。人一人の人生がかかっているし、間違った判断はしたくないからです。でも間違ってしまった。裁判の後もずっと嫌な気持でした。再審が決まってよかったです。」

ジョン・プレイ准教授「犯していない犯罪について自白させるのはかつて考えたほど難しくありません。それが真実でなくてもDNAが見つかったとか、現場で目撃されたなどという証拠について嘘をつくと容疑者は有罪は免れない、救われる唯一の道は自白だと追いつめられてしまう。自白したほうがまだ楽だと思ってしまう」

キース・フィンドリー教授「制度は人間のものですからあらゆる国で間違いは起きています。私たちは無実プロジェクトの運動を国境を越えて世界に広げます」

冤罪の当事者から弁護士となったオチュアさん「一人の冤罪を避けるためには、例え10人の犯罪者を逃してもやむを得ない。これこそがアメリカの精神のはず。社会が悪人を完全に排除しようとすることで、無実の人がどれだけ投獄されるか考えて見てください。私もその一人でした。」

陪審員やオチュアさんの言葉は実に重たいものがある。日本では有罪無罪だけではなく、有罪の場合は量刑までも市民が決めるという裁判員制度が始まっている。通常より短い期間の審議でもし間違った証拠を基に判断を迫られるのであれば、裁判員はたまったものではない。最近では大阪地検による証拠改ざんという村木さんの冤罪事件があったばかり。功を急ぐあまりの検察による見込み捜査、検察ストーリーのでっち上げ。

すでに裁判が始まった東京地検による小沢さん秘書3人が逮捕された事件、小沢さんの強制起訴もそれと同じ構図だと言われている。日本より進んでいるはずのアメリカでさえ、冤罪から救出する取組が行われていることを考えれば、戦前の特高警察の体質を受け継ぐ前近代的な日本では、取り調べの全面可視化など急がれて当然ではないだろうか。