もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

150215 衆参両院の「テロ非難決議」を非難する!「テロの本質」を真面目に語る政治家はいないのか!

 真面目に「テロの本質」を考えれば、その原因が、決して宗教の違いにあるのではなく、世界的に広がる富の偏在、極端な格差拡大、差別構造の継承、及びパレスチナ問題、それらによる<若者たちの絶望>にあることは、実は誰もがわかっていることだろう! それを「世界には凶悪なテロリストが大勢いて、こいつらを叩き潰せばテロが無くなる」なんて話に無理やりすり替えている。誰も、「テロの本質が、日本・世界の社会構造が抱える富の偏在・格差の拡大及びパレスチナ問題の<野放し状態>にこそある」という本質を語らないし、見させようとしない。そして、凶悪なテロリストへの恐怖ばかりを煽りたてている。これはまさにオーウェルの「一九八四年」の世界と同じだ。今回の国会の「テロ非難決議」に社民党・共産党まで加わっていたのには、あきれ果てた。「誰も本質を見ようとしない。」「武力で世界中の<絶望した若者たち>を封じ込めるべきではないし、不可能だ!」

秋原葉月さん「Afternoon Cafe」ブログから

※(1)「もちろん、普通の人間は戦争を望まない。しかし、国民を戦争に参加させるのは、つねに簡単なことだ。とても単純だ。国民には攻撃されつつあると言い、平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、国を危険にさらしていると主張する以外には、何もする必要がない。この方法はどんな国でも有効だ」byヘルマン・ゲーリング ※(2)いつの時代も大衆をファシズムに煽動する手口は同じ。なのに同じ手口に何度も騙されるのは過去に学んでいないから。格差を広げ、セイフティネットを破壊し、冷徹な自己責任論が横行する社会を継続させるのは簡単だ。今よりもっと格差を広げ、セイフティネットを破壊する政策をとればよい。そうすれば人々に自己責任論がもっと浸透し、草の根から勝手に右傾化してくれる。

辺見庸さんのブログから

・権力をあまりに人格的にとらえるのはどうかとおもう。口にするのもおぞましいドブの目をしたあの男を、ヒステリックに名指しでののしれば、反権力的そぶりになるとかんがえるのは、ドブの目をしたあの男とあまり変わらない、低い知性のあらわれである。権力の空間は、じつのところ、非人格的なのだ。だからてごわい。中心はドブの目をしたあの男=安倍晋三であるかにみえて、そうではない。ドブの目をしたあの男はひとつの(倒錯的な)社会心理学的な表象ではありえても、それを斃せば事態が革命的に変化するようなシロモノではない。権力には固定的な中心はなく、かくじつに「われわれ」をふくむ周縁があるだけだ。ドブの目をしたあの男は、陋劣な知性とふるまいで「われわれ」をいらだたせ、怒らせるとともに、「われわれ」をして社会心理学的に(かれを)蔑視せしめ、またそのことにより、「われわれ」が「われわれ」であることに無意識に満足もさせているのかもしれない。ところで、「われわれ」の内面には、濃淡の差こそあれ、ドブの目をしたあの男の貧寒とした影が棲んでいるのだ。戦争は、むろん、そう遠くない。そう切実にかんじられるかどうか。いざ戦争がはじまったら、反戦運動が愛国運動化する公算が大である。そう切実に予感できるかどうか。研ぎすまされた感性がいる。せむしの侏儒との「ふるいつきあい」がベンヤミンのなにかを決定した。そう直観できたアレントほどするどくはなくても、研ぎすまされた感性がいる。けふコビトがきた。ミスドにいった。(2015/11/11)

5 024 佐藤優・山崎耕一郎「マルクスと日本人 社会運動からみた戦後日本論」(明石書店:2015)感想5

2015年10月31日 15時25分10秒 | 一日一冊読書開始
10月31日(金):   

256ページ   所要時間 5:30     図書館

佐藤優55歳  (1960生まれ)。浦和高校時代、社会主義青年同盟(社青同)参加。

山崎耕一郎75歳(1940生まれ)。佐藤優が学生時代社会主義青年同盟(社青同)委員長。向坂逸郎の甥。:東京大学経済学部中退後、1963年、日本社会主義青年同盟(社青同)東京地本専従になり、1974年から80年まで社青同委員長。1969年より労働大学講師。1980年から社会主義協会専従職員(関東支局)、1998年から2002年まで事務局長、2002年から12年まで代表代行。2002年にNPO労働者運動資料室開設、現在理事長。2003年8月発足の、これからの社会を考える懇談会(コレコン)に参加

著者の対談本の特徴は、対談を該博な著者が多面的な自らの知を表現する手段としていることだ。様々な分野の第一人者と対談することによってその面の自己の認識・考察を引き出してもらうのが目的だ。多くの場合、著者の知は相手を凌駕しており、論がたびたび羽目を外してはみ出してしまい、相手を戸惑わせるが、それも話の幅と奥行きを広げることになり、通常あまり面白くない専門知の議論をダイナミックに面白くすることにつながる。

著者の対談本は、専門家のご高説拝聴にはならず、常に著者の側から議論を仕掛けて著者の考えを遺憾なく出し切る内容になっている。その意味で著者の対談本は、まさに著者の著作と言える。また、対談相手にとってもどんな専門的言葉や内容の球を投げても然りと受け止め、投げ返してもらえる、時には激しく打ち返してくれるキャッチャー(バッター)を得て、普段の殻を破って手加減なしで存分に論じることができる場を与えられたことになる。

本書では、向坂逸郎の弟の子で、かつて社会主義青年同盟の委員長を務めた山崎耕一郎を相手に、ソ連崩壊前後の日本における「労農派マルクス主義」の指導者との真っ向勝負が演じられている。とはいえ、著者も山崎もともに、教条的な講座派の日本共産党や過激な新左翼とは明確に一線をひき、現実を踏まえる目を持つ労農派であることで互いを認め、信頼し合っているので気持ちの良い対談であった。

本書を読んで、著者のマルクス、エンゲルス、レーニン、スターリン、トロツキー、ローザ・ルクセンブルク、カウツキー、リープクネヒト、向坂逸郎、山川均、太田薫、トマ・ピケティ、エマニュエル・トッド他、とめどなく出てくる左派系を中心にした経済学者の思想の紹介・議論に対して、知っていたはずなのに「これほどまでにすごいのか」と改めてマルクス主義をはじめとする社会主義・共産主義に対する造詣の広さ、深さに舌を巻く思いだった。著者の語る言葉がでまかせでないことは、専門家である山崎氏の反応を読めば十分に推察できる。

あまりにも浮世離れした玄人(くろうと)の対話なので、感想自体は”4+”が精一杯で”5”はやれない、と思っていた。しかし、途中からこの対談を通じて、労農派マルクス主義の思考で現代社会が十二分に論じられるのを見て「マルクス主義って、ダメじゃないんだ」と見直すようになった。そして、「第4章 『資本論』と社会主義・資本主義の行方」「第5章 労働価値説の立て直しと労農派マルクス主義の再発見」「終章 日本社会は変えられるか、変革の主体はどこにあるか」で、著者の日本の現状への鋭い認識と指摘を読むに及んで「この本は、社会主義の総括紹介としても貴重だが、日本のあり方・現状認識でも大変ユニークで価値が高い!」と思えてしまった。

思想の細部が解ると、今まで軽い気分でカテゴライズしていた議論が如何に粗雑なものだったかがわかってしまい、今後かえって失語症になりそうな気にもなった。著者の、差別問題や沖縄に対する問題意識の中で、日本共産党の立ち位置が語られる部分では、俺自身が若い時から持っていた強い違和感もしっかりと言葉で説明してくれている。著者の明晰な頭脳は空恐ろしいが確かに物事の本質をしっかりとらえているのを再確認できた。


・著者は労農派マルクス主義者」であり、池上彰さんも「労農派マルクス主義者」であると紹介。
・戦後日本の労働運動で向坂逸郎の存在の大きさ。
・佐藤:この本の中の一番の売りは、日本の中で忘れ去られている、要するに新左翼ではない、非共産党マルクス主義について語ることです。125ページ

【目次】はじめに[佐藤優]
第1章 日本の社会運動と向坂逸郎 : 序――佐藤優と社青同(山委員長)の関わり/向坂逸郎と労農派マルクス主義/向坂逸郎――その人物像/三池闘争への影響力/平和革命論とマルクス・レーニン主義/宇野弘蔵との関係
第2章 日本の戦後社会主義運動の展開 :労農派の労働運動/学生運動と地域闘争との狭間で/運動内部の分派闘争/反合理化闘争と労働者の疎外/加入戦術とは/内ゲバの論理と内部矛盾/三池闘争と反合理化闘争/60年代以降の社青同の分岐/社会党・社会主義協会とソ連との関わり/世界的文脈での非共産党マルクス主義の再評価/ソ連崩壊と日本の社会主義/非共産党マルクス主義の伝承
第3章 ピケティ『21世紀の資本』と『資本論』 :ピケティをどう評価するか/「ピケティ現象」と資本・労働概念/ピケティの読者像とは/ピケティの語らない植民地と民族問題
第4章 『資本論』と社会主義・資本主義の行方 :「国家」と「社会」をどうとらえるか/ソ連における地政学/社会主義と国有化の問題/ソ連内部の実態とは/スターリニズムとトロツキズム/民族問題とスターリン主義/「検証・ソビエト政権」の意義/社会主義国の体験をリアルに総括する
第5章 労働価値説の立て直しと労農派マルクス主義の再発見 :労働価値説を立て直す/資本主義の法則について/「資本主義の終焉」か?/日本労農派マルクス主義思想を継承する/日本の労働運動・社会主義運動の再生/大体平等・大体計画的/中国社会主義をどう見るか/日本人の「思想の鋳型」
終章 日本社会は変えられるか、変革の主体はどこにあるか :日本の人権問題/日本の貧困問題/革命か、システムの転換か
本書をさらに理解するための年表
おわりに[山耕一郎]

・佐藤 あと、労働運動の現場のところで非常に不思議になるのは、なんで出来高賃金制、能力主義みたいな話を簡単に労働組合は呑んじゃうんですかね。年功序列制って、私は全然悪い制度じゃないと思うんですけど。213ページ
・佐藤 日本人の「思想の鋳型」ということなんですけど。結局、知識人たちというのはやっぱり講座派的な鋳型だと思うんですよ。日本的なシステムというのは変わらない、という。略。今、日本の中で僕は非常に危ないと思うのは、相変わらず講座派的な思考が主流で、安倍政権もそうです。要するに、国際的に通用しない議論をいろいろなところでやるんだけども、日本の中では通用してしまう。222~223ページ
・佐藤 今騒動になっている普天間の海兵隊は1950年代までは岐阜と山梨にいた、これは客観的な事実ですから。沖縄にあの海兵隊はいなかったんですから。それだけでも、この沖縄の過剰負担ということに対して、これが構造化された差別なんだということを認めようとしないというのは非常に不思議ですよね。それは自分たちの特殊な型の中に入っているからとしか思えない。225ページ
・佐藤 今回の辺野古の埋め立てのように―あれは普天間の移設じゃないですよね、新基地の建設ですよね。235ページ
・佐藤 共産党の人たちは差別とは決して言いません。沖縄と日本の間に差別があるということになると、プロレタリアート、あるいは勤労者の間に分断線をひいてしまうと。それだから、アメリカ帝国主義とそれに従属する日本の独占資本が悪いんであって、日本と沖縄の間の差別ということは疑似争点だ、というのが共産党の認識だと思います。略 /山崎 沖縄の人が現実に差別を感じていればね、本土側はその現実を認めるしかないと思いますよね。 /佐藤 マルクスの、「プロレタリアートというところから切って構造を見ていく」ということになると、やっぱり民族問題に弱くなっていく。そこの問題があると僕は思うんですよね。236ページ
・佐藤 第三者的に見れば、今、沖縄の異議申し立て運動の中心は、保守勢力が分裂して、沖縄ナショナリズム的な傾向が強い保守派が、今の翁長雄志知事中心に引っ張って、そこに地場の資本家がくっついて、リベラル派、左派がくっついているという構造になっていますよね。237ページ
・佐藤 「格差」と「貧困」については分けて考えないといけないと思うんですよ。略。明治維新以降で初めての「教育の右肩下がり」が起きていると思うんですよ。238~239ページ


紹介文:佐藤優による戦後日本の思想・社会運動論。対話する相手は、彼が十歳代に加盟した日本社会主義青年同盟の指導者・山崎耕一郎。向坂逸郎ら日本の理論・実践家への思い、ピケティへの評価なども交え、資本主義の問題点と、そこからの脱却の可能性について語る。
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151030 一年前:141030 今は、何か狂気の世界に迷い込んだ気分だ。現実感が無い。愚かな独裁者と破滅に

2015年10月30日 22時28分00秒 | 一年前
10月30日(金):    参院選「落選運動」第1位<片山さつき>絶対に落とす!社会保障制度の敵!生きている悪魔!
 
141030 今は、何か狂気の世界に迷い込んだ気分だ。現実感が無い。愚かな独裁者と破滅に向かって驀進中だ。
10月30日(木):この時代は、後世に取り返しのつかない傷を残す。「その時、日本の人々は、なによりおまえは何をしていたのか?」という大きな疑問符を付けられることだろう。ht...
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151030 構造的差別。沖縄(琉球)が独立するのであれば支持する。永世中立国になれば米軍基地をなくせる!

2015年10月30日 22時07分27秒 | 考える資料
10月30日(金):        
朝日デジタル「琉球独立論」現実性は 白井聡さん・松島泰勝さん対談  構成・河野通高 2015年10月30日16時33分
  政治学者の白井聡(さとし)さんがホスト役を務める対談・対論イベント「第4回 関西スクエア 中之島クロストーク」(朝日新聞社主催)が15日、大阪市北区の中之島フェスティバルタワーであった。ゲストに「琉球独立論」を唱える龍谷大教授の松島泰勝さんを迎え、米軍普天間飛行場の沖縄県名護市辺野古への移転問題や“独立”の現実性などを語り合った。

■沖縄に「自己決定権」
  松島さんは、沖縄県の翁長雄志(たけし)知事が9月の国連演説で「沖縄の人々は自己決定権をないがしろにされている」と発言したことに触れ、「自己決定権は国際法上、重要な言葉。独立までを含めて我々は決定権を持っているのだと」「(米軍基地の辺野古移設やオスプレイ配備など)選挙や議会の決議といった民主主義的な方法でも無視される。ならば残された道は独立」と指摘した。
  白井さんは翁長知事による辺野古の埋め立て承認取り消しに触れ、「オール沖縄で『絶対、辺野古には造らせない』という確固たる姿勢を示しているのに、安倍政権は答えていない。独立論が高まるのは当然」とし、沖縄が日本政府ではなく米国との直接交渉に傾いていることに「戦術の高さがうかがえる」との見方を示した。
  松島さんによると、独立論や独立運動は、少なくとも明治政府が琉球王国を廃した「琉球処分」の1870年代から始まった。「琉球国王府の家臣たちは東京や中国・清に亡命し、琉球国復活、復興運動をした。沖縄戦後も独立派政党ができ、連続的に独立運動は続いてきた」
  白井さんは、松島さんの昨年の著書「琉球独立論」について「絵空事と言われてきた独立を現実的なプログラムとして可能だと提示されたことに驚きがあった」と紹介した。
  松島さんによると、本土復帰前、米軍基地には最大6万4千人の「琉球人」が働いていたが、今は9千人。基地関連収入は県民総所得の5%であるうえ、これまでに返還された土地を活用したところ数十倍の経済効果があったという。「経済的に基地依存体質というのは過去の話。産業界でも『早く返せ』という人が増えている」
  松島さんは人口2万人の独立国パラオやグアムの日本総領事館で働き、昨年のスコットランドの独立を問う住民投票などを調査した。「独立論は日本では『ええっ』と思われるかもしれないが、世界では受け入れられている」
  白井さんは基地と原発を、必要もしくは必要と思われているが近くに置きたくない「迷惑施設」に見立て、「迷惑施設が置かれた地域住民は自分が差別された状況だと認めたくないため、逆にプライドに転化することがある」と分析。その例として原発立地自治体の「原子力 明るい未来のエネルギー」という、原発との共存を前向きにうたう看板を挙げた。
  「しかし、沖縄に基地との共存というスローガンを見たことがない。共存させられているが、嫌なものは嫌という精神の構造。そんな沖縄が独立すると、本土の日本人は自らのあり方を深く省みざるをえなくなる」

■「非武装中立国に」持論展開
  会場の約120人からは多くの質問があった。「独立したとして日本、中国、米国との関係を含めてどういう国になるのか」との問いに、松島さんは「非武装中立の国がいい。バルト海のオーランド諸島(フィンランド領)には周辺大国が造る基地の影響で戦争が絶え間なかったが、非武装中立になることで周辺国との関係が平和になった。理想論ではない」と答えた。
  基地の県外移設論について、松島さんは「日米安保体制を認めるけど犠牲は琉球にというこれまでの議論は非常に都合のいいもの。独立後は米軍基地をなくす」。白井さんは「戦後米国には二面性があった。ポップカルチャーなどを日本は大量輸入して楽しく消費してきたが、暴力としての米国は基地という形で沖縄に押しつけたため、日本本土から見えにくくなった。琉球独立は対米従属の日本の体制にくさびを打ち込む」と話した。
  松島さんは質問アンケートの中にあった「日本が沖縄を失う」との表現に触れ、「それはあくまで日本国民の見方。我々が自分たちの人間性を回復する、自分たちで決められる政治空間をつくるという考えに支援、賛同していただけたらありがたい」と述べた。(構成・河野通高)
     ◇
 まつしま・やすかつ 1963年、沖縄県石垣市生まれ。グアムの日本総領事館専門調査員などを経て、龍谷大経済学部教授。専門は島嶼(とうしょ)経済。9月に「琉球独立宣言」(講談社文庫)が出版された。
     ◇
 しらい・さとし 1977年、東京生まれ。京都精華大専任講師。著書「永続敗戦論」を原作にした「マンガでわかる永続敗戦論」(朝日新聞出版)が7月に、「『戦後』の墓碑銘」(金曜日)が10月に出版された。


朝日デジタル「琉球独立」絵空事ではない 松島泰勝・龍谷大教授寄稿  2015年10月15日16時40分
  2014年に沖縄県知事、名護市長、衆議院議員の選挙を通じて、辺野古新基地建設に反対する「オール沖縄」の民意が示された。しかし昨年12月10日に翁長雄志が知事に就任して以来、今年4月17日まで安倍晋三首相は知事との会談を拒否し、琉球の民意を無視した。戦後70年も日本の安全保障のために多大な犠牲を負わせてきた琉球の代表者に、会おうとしなかったのである。日本政府は「丁寧に説明し納得して頂く」と言っているが、それが嘘(うそ)であることは明らかである。
  琉球人は基地の押し付けを「沖縄差別」であると考えている。このまま差別が続くならば、独立しかないと主張する人が増えてきた。ネットの世界で飛び交っている、琉球独立運動への偏見に満ちた言葉によっては、琉球で今起きていることは理解できない。今ほど静かに島の人の声に耳を傾けて、真摯(しんし)に対話することが求められている時はない。

■台湾の空港、電光板に「琉球」
  今年8月に台湾に行ってきた。桃園国際空港の運行スケジュールの電光板を見ると、「琉球(沖縄)」と表示されており、嬉(うれ)しくなった。琉球国という国があったことを思い起こさせようとしているかのようである。1972年に、中華民国(台湾)政府は琉球が沖縄県になるとき日本政府に強く抗議した。
  ログイン前の続き日本政府は「沖縄は日本固有の領土」と認識している。しかし琉球の現在の「県」という政治的地位は必ずしも確定したものではない。琉球が日本の一部になったのは1879年であり、たかだか140年ほど前でしかない。しかもその時日本政府は軍事力を使って無理やり日本の一部にした。琉球国はアメリカ、フランス、オランダと修好条約を結び、清国と朝貢(ちょうこう)冊封(さくほう)関係を有した独立国家であった。三つの修好条約原本は日本政府に奪われ、今も外務省管理の外交史料館にある。

■独立への「実現可能な道筋」
  私は先月「琉球独立宣言―実現可能な五つの方法」(講談社文庫)を上梓(じょうし)し、琉球の現状と歴史を踏まえて独立のための実現可能な道筋を示した。オスプレイ配備や辺野古新基地建設を強制し、宮古・八重山諸島への自衛隊基地設置を進め、集団的自衛権法制化によって日米同盟体制を強化しようとする日本から一刻もはやく離れないと、琉球人の尊厳は踏みにじられ、「沖縄戦」のように琉球は再び戦場になるだろう。
  琉球独立宣言は、日本政府に対する琉球人の怒りのあらわれであるが、けっして机上の空論ではない。国際法、政治経済学、国際関係学、歴史学等さまざまな研究成果と、現場でのフィールドワークに基づいた主張である。2013年には独立を具体的に研究し、世界の独立運動に学びながら実践活動をする琉球民族独立総合研究学会が設立された。本書の中で示した「琉球独立宣言」はアメリカの独立宣言を参考にして考えた。日本の「同盟国」であるアメリカはイギリスから独立したのである。
  今、琉球では歴史上これまでになく独立を求める声が広がっている。琉球は日本から本当に独立できるのだろうか。何のために独立するのだろう。私たちにとって独立とは世界のどこかのことであり、自分とは関係がないと思っている人が日本人の大半ではないか。
  日本ではこれまで大衆的な独立運動が発生したことがない。戦後の日本の「独立」もアメリカによって準備されたものであった。そのような日本の中で琉球では本気で独立を目指す運動が活気づいているのである。どこから独立するのか? この日本からである。琉球の独立は日本や日本人とって他人事でも、絵空事でもなく、自分自身の問題である。(寄稿)
     ◇
 まつしま・やすかつ 1963年、沖縄県石垣市生まれ。グアムの日本国総領事館専門調査員などを経て現職。専門は島嶼(とうしょ)経済。著書に「琉球独立論 琉球民族のマニフェスト」(バジリコ)など。
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151029 東京新聞:【社説】辺野古「移設」 強権ぶりが目に余る

2015年10月29日 23時54分38秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
10月29日(木):
東京新聞【社説】辺野古「移設」 強権ぶりが目に余る  2015年10月28日
  沖縄県民に対して何と冷たい仕打ちだろう。安倍内閣が名護市辺野古に米軍基地を新設するための手続きをまた一歩進めた。政権の方針に盾つくものは容赦しないという強権ぶりが目に余る。
  米軍普天間飛行場(宜野湾市)の県内「移設」に反対する翁長雄志知事が辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消したことに対し、石井啓一国土交通相がきのう、処分の一時執行停止を決めた。
  国交相はきょう知事に対し、取り消し処分を是正するよう勧告する文書を郵送し、知事が応じない場合、知事に代わって国が埋め立てを承認する「代執行」手続きに入る、という。
  安倍内閣の対応は、もはや異常と言うしかない。
  政府は八月上旬からの一カ月間を集中協議期間として、沖縄県側と対話する姿勢を見せていたが、結局、憲法違反と指摘される安全保障関連法成立を優先させる冷却期間にすぎなかったのだろう。
  そもそも知事処分の執行停止の根拠となった行政不服審査法は、一般国民の権利を守るためのものだ。防衛省沖縄防衛局が私人として同じ内閣の一員である国交相に審査を請求したのは、やはり手続きに正当性を欠くのではないか。
  県側は対抗策として、第三者機関「国地方係争処理委員会」に不服審査を申し立てる構えだが、新基地建設に向けた安倍内閣の強権ぶりは、これにとどまらない。
  沖縄基地負担軽減担当相でもある菅義偉官房長官は二十六日、辺野古の新基地予定地に隣接し、条件付きで建設に賛成する地元三区長と会談し、地域振興の補助金を名護市を通さず直接交付する新たな枠組みをつくる考えを伝えた。
  名護市の稲嶺進市長が新基地建設に反対する中、建設賛成の住民もいることをアピールする狙いがあるのだろうが、地方自治に対するあからさまな介入であり、地元分断策以外の何ものでもない。
  国土面積の1%にも満たない狭隘(きょうあい)な県土に、在日米軍専用施設の約74%が集中し、沖縄県民は、日本や周辺地域の安全保障のために騒音や事件、事故など米軍基地に伴う過重な負担を強いられている。
  安倍内閣はなぜ、この本質的な問題に向き合おうとせず、選挙で示された抜本的な負担軽減を求める民意をも無視し続けるのか。
  強権的なやり方で移設を強行しても、県民と政府との溝を深め、日米安全保障条約体制の円滑な運営に支障をきたすだけである。

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5 023 今井和也「中学生の満州敗戦日記」(岩波ジュニア新書:2008) 感想4+

2015年10月28日 02時42分00秒 | 一日一冊読書開始
10月27日(火):  

226ページ   所要時間 2:25     図書館

著者77歳(1931生まれ)。東京生まれ。ハルビンで育つ。東京大学文学部卒業。レナウンで、CMプロデュース、宣伝部長、レリアン社長、専務取締役をへて1993年に退社。帝京大学・文学部非常勤講師、学校法人・桑沢学園理事、帝京平成大学・経営情報学部教授をへて、2003年から同大学非常勤講師、現在にいたる

夕食後、睡魔に襲われ一度寝た後、「どんな形でもいいから一冊見通そう」と考え、11:00から1ページ30秒の眺め読みを始めた。本を付箋でハリネズミのようにしながら、あらすじを追いかけていった。

著者の父親は、ハルビン工科大学の教員(建築学)で著者の家は、貧しい農村出身の開拓団農民ではない。敗戦時、いの一番に逃走した関東軍関係者ではないが、放置され取り残されて中国残留孤児を大勢生んだ開拓団農民でもない。中間層的インテリ・エリートの家である。著者は敗戦時14歳の旧制中学生で、ある意味一生で最も多感で心と体が溌溂と動く状況で敗戦、「無国民」状態を経験する。

本書では、「大地の子」に見られるような悲惨さは見えない。もちろん、自分たちを守ってくれる国家が突然消滅してしまった中で、日本に帰りつくまでの420日間それなりの「厳しい苦労」は経験しているが、一家の誰かが亡くなるわけでもなく無事に日本に帰りついているので「苦難」とまでは言えない気がした。

敗戦後、一家は何故かのんきにハルビンに居残り、ソ連兵、中国国民政府、中国共産党八路軍の支配下で着物や家財を切り売りしたり、花札製造・販売の内職をして食いつないでいる。翌年の7月~8月「残留日本人の日本送還」実施が国民政府と共産党の間で合意され、内戦の一時停止が決まるとおもむろに一家全員でハルビンから葫蘆(コロ)島を経て博多まで60日(通常なら1週間)かけて戻ってきたのだ。

本書から受ける著者の姿は、微温的優等生の「観察者」という印象だった。13年5ヵ月で終わった幻想国家満州国で9年間を生きた著者の満州国、特にハルビンに対するノスタルジー(郷愁)が一貫して漂っている。敗戦から帰国に至る420日間を比較的安全な立場から元気な中学生の目で観察している。むごい話も悲惨な話も出てくるが、それが直接著者に降りかかるわけでもなく、困難な状況の中、一家で精一杯工夫して切り抜ける様子を少し楽し気に振り返ってるようにも感じられた。

悲惨な引き上げの様子を勝手にイメージしていた身からすれば、多少肩透かし感はある。どんな時、どんな場、どんな状況下にあっても人間は自分個人の体験しかできない。百人いれば百人の体験がある。ある程度それをまとめることはできても、すべての体験をまとめきれると考えることはかえって危険である、と感じた。

同じ敗戦であっても、そもそも在満日本人を見捨てて無傷で引き揚げた関東軍や731部隊の人間と、著者のような見捨てられたが上層市民のインテリ・エリート、完全に見捨てられ残留孤児・家族の死をはじめ悲惨な体験をする満蒙開拓団の農民たちとでは、まったく異なる経験となるのだ。

満州国No.2の責任者で、A級戦犯でありながら、戦後日本で政治家として復活し、首相となった岸信介が記憶する満州の経験は、多くの悲惨な犠牲者を出した引揚者の経験とは全く異なるものだ。そして、その孫は反知性主義の愚か者となり、歴史の真実を知らないし、知ることの重大さも理解できないまま、日本人に同じ破滅の轍を踏ませようと躍起になっている。さらに、その事実を多くの日本人が認識できていない。無知の無恥な愚か者に導かれてることを「強い指導力」と勘違いしている日本人のいかに多いことか。歴史は繰り返す。一度目は悲劇として、二度目は喜劇として。バカを支持する国民もバカであり、結果のもたらす甚大な責任を取らされることになる。

【目次】1 王栄廟開拓団 /2 「満州国」とハルビン /3 ハルビンでの暮らし /4 男狩り /5 その後の王栄廟開拓団 /6 街頭露店 /7 七三一部隊 /8 パーロが来た /9 引き揚げ /10 砂上の幻想国家

【内容紹介】いまから63年前の8月,日本はアジア・太平洋戦争に敗れ,連合国に降伏します.このとき,アジア各国に日本軍の兵士たちがいたのはもちろんですが,「満州国」には開拓農民22万,青少年義勇隊10万をはじめとして何十万という民間日本人がいました.そのなかには,子どもも大勢いました.
 子どもたちは,外国での敗戦という異常事態を,どのように受けとめ,どんな風に過ごした(生き延びた)のでしょうか.もちろん体験したことはないので,わからないでしょうが,少しでも想像できますか?
 当時,ハルビンにいた中学3年生の今井くんは,6月から奥地の開拓団に送られて地平線までつづく畑の草刈りをし,同い年の女学生の病死を見,ソ連軍の進攻を聞いて,命からがらハルビンの家に帰り着きました.しかし,それからも大変な暮らしがつづきます.ハルビンに入ってきたソ連軍に父親が連行され,生活費を自ら稼がなくてはいけないことに…….
 その間,開拓団の人たちは,一丁の銃ももたずに中国人の武装集団と戦ったり,集団自決をしたり,逃避行の途中で病死したり,多くの死者・負傷者を出します.
 今井くんは,先生や上級生によるいわれのない体罰の横行と,民間人を置き去りにした日本軍に怒りをおぼえます.63年をへた今も,その感情は変わりません.
 記憶をたどり,生き残った同級生たちに話を聞き,多くの本を読んで,当時の状況と気分を掘り起こしてまとめました.できれば,同世代の気持ちで感情移入して読んでください.
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151027 全く同感!:かっちの言い分「今や自公に対抗して、ブレない共産、生活、社民が軸になるしかない」

2015年10月27日 22時59分40秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
10月27日(火):   参院選「落選運動」第1位<片山さつき>絶対に落とす!社会保障制度の敵!生きている悪魔!

かっちの言い分今や自公に対抗して、ブレない共産、生活、社民が軸になるしかない。 << 作成日時 : 2015/10/26 21:02 >>

  NHKは、正式に総務省に届を出していない橋下新党の「おおさか維新」片山氏(維新除名)を、生活、元気などの政党を出さずにTV出演させた。早速、今日、日刊ゲンダイ紙が1面見出しで、「NHK 維新造反組支援」と出して批判した。他の大手はダンマリである。一体、日本はどうなったのかと言わずにいられない。本当に世の中おかしくなってきた。
  共産党が野党協力をすると言って、自公を政権から引きずり下ろすことを提案しているのに、民主党に今ひとつ熱意がみられない。さらに民主が頼りにしていた維新も分裂し、おおさか維新から松野維新の存立自体を攻撃され防戦している。今や民主との連携を話し合う状態ではなくなってきている。これは明らかに橋下氏の指示であり、先に書いたNHKのおおさか維新への支援を勘ぐれば、安倍政権が野党連合を妨害する意図と見ざるを得ない。
  以前にも書いたが、今や野党第二党となった共産が野党共闘の柱となってきた。その共産に真っ先にブレなく同調しているのが、生活&山本、社民である。国民もブレない政党を望んでいるのだ。
  その共産が、宮城県議選で民主を抜き、議員数を2倍に増やし第二党になった。これがある意味、今国民が求めている姿だろうと思うから引用した。国民は、ブレずに自民に対抗出来る野党を望んでいるのだ。
  民主から今日、外相もやったことのある松本氏が離党したと報道された。民主執行部が安保法案に徹底反対したことを不満に思っていたと書かれている。自民党に合流するのではないかと推測されている。細野氏、前原氏、長島氏らの保守系議員には痛手とある。そういう意味では、維新と同じように第二自民党議員は出て行ってもらっていいのだ。

東京新聞宮城県議選で共産倍増、第2党に 安保、TPP反対で  2015年10月26日
 任期満了に伴う宮城県議選(定数59)は25日投開票され、自民党が前回より1議席減の27議席で、目標とした単独過半数に届かない一方、安全保障関連法や環太平洋連携協定(TPP)、原発再稼働への反対を主張した共産党が前回の4議席から倍増となる8議席を獲得し、県議会第2党となった。
 安保関連法の成立と、TPP大筋合意後初の都道府県議選。議席を大きく伸ばした共産党は、来年の参院選に向け攻勢を強める考えだ。
 県選挙管理委員会によると、投票率は40・03%で過去最低。民主党は2減の5議席、維新の党は1議席、公明党は前回と同じ4議席、社民党2減の1議席。無所属13議席。  (共同)
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5 022 みなもと太郎「風雲児たち4 会津藩誕生」(潮出版社・希望コミックス102:1983)感想4+

2015年10月26日 02時23分14秒 | 一日一冊読書開始
10月25日(日):   

200ページ    所要時間 1:40      蔵書

著者36歳(1947生まれ)。漫画家。

風雲児たち」シリーズ(今、全何巻になってるのかわからない?)は、知る人ぞ知る関ケ原~幕末までを描いた歴史大河漫画の傑作である。俺は27巻ぐらいを蔵書として持っている。えへん、プイ!

今日は、中村彰彦「保科正之 徳川将軍家を支えた会津藩主」(中公新書:1995)を読んだついでに、気楽に風呂で読み始めた。そして、まず前著では、正之は父徳川秀忠に会っていないが、本書では会っている。前著では母、神尾氏の静は秀忠死後出家したが、本書では先に死んでいる。前著では正之は松平姓を固辞し、3代正容から松平姓と葵御紋を使い始めるが、本書では正之自身から松平姓を喜んで受けている。

細かな史実としては、やはり前著の記述が正しいと思うが、本書の中で保科正之の人柄、治世の肝心な部分がしっかりと紹介されていて、前著よりも本書が12年も先行していることを思えば、いやはや、みなもと太郎氏の「風雲児たち」恐るべしである。これだけ早くに先駆けて保科正之の全体像を世間に紹介した功績はなかなか大きいと言わざるを得ない、と言える!
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5 021 中村彰彦「保科正之 徳川将軍家を支えた会津藩主」(中公新書:1995)感想5

2015年10月26日 01時33分00秒 | 一日一冊読書開始
10月25日(日):      

214ページ    所要時間 4:15    アマゾン258円(1+257)

著者46歳(1949生まれ)。栃木県。直木賞(1994)作家。

  俺は以前、「0033 山内昌之「嫉妬の世界史」(新潮新書;2004) 感想5」で、下のように記した。
  嫉妬という視点から見ると如何なる英雄・偉人・独裁者・有名人も、皆歴史上、他者から受ける嫉妬の炎から逃れることができない。「歴史の陰に女あり」ではなく、まさに「歴史の陰に嫉妬あり!」である。
  そして、さんざんそういう「嫉妬」の世界史を論じ尽くした挙句の果ての最後に、真っ直ぐに生きて、しかも誰からも「嫉妬」されなかった人物を一人だけ挙げて本書は締め括られる。その男が意外や意外、日本史上の人物だった! 即ち、会津藩藩祖の保科正之である。著者は保科正之の来歴と善政について詳述・称揚した上で、最後に古代ギリシアの直接民主政治の大成者ペリクレスと並べ讃えて筆を擱く。
  世界史に燦然たる民主政治家ペリクレスと並べて、<世界史上の一級の人物>として保科正之だけを挙げるとは、あざと過ぎるではないか! 折しも、大河ドラマ「八重の桜」松平容保公に京都守護職という超貧乏くじを引かしめた会津藩「家訓(かきん)」を制定したのが、藩祖保科正之公である。「そんなにすごい政治家だったんだ!」といやが上にも関心が高まってしまったのである。


  また、「131217 BS歴史館「日本を変えたリーダーたち 会津藩主 保科正之」録画を観た。」でも、下のように記している。
  BS歴史館「日本を変えたリーダーたち 会津藩主 保科正之」を観た。既知のつもりだったが、これほどの優れた人物・政治家だったとは知らなかった。ドイツのビスマルクよりも200年早く、社会保険制度を確立し会津の民を安心させた。保科正之は世界史的に見ても、特筆すべき人物である。日本史でも最高峰の政治家の一人である。にもかかわらず、彼の認知度・理解度は日本人の間で皆無に近いのはなぜか。明治政府において薩長藩閥から見て、最後まで徳川に忠義を貫いた会津の藩祖が超一流政治家であってはいけなかったのだ。
  保科正之の認知度の低さは、我々の日本史がいまだに幕末の官軍・賊軍の歪んだ視点が残っていると言うことだ。磯田道史先生の解説は素晴らしいが、本番組での磯田氏の語りは出色である。それほどに保科正之が魅力的だということなのだ。
  BS歴史館は、どれも面白いが、「保科正之」編は出色の出来映えだ!


それ以来、保科正之は、俺の中で必ず通過せねばならない最重要人物であった。今回、本書をアマゾンで入手したのも、数日前に上記のBS歴史観の録画を久しぶりに見たことによるのだ。そして、本書を読んでみて、本書が放送内容のテキストになっていることを確認できた。

  本書は、<義憤の書>であり、日本史上稀にみる傑出した政治家である保科正之を知る<最良のテキスト>である。保科正之がいなければ、あるいは江戸幕府は4代で潰えていたかもしれない。また、のちの8代将軍吉宗や松平定信が強く尊敬し、範とした改革政治の先駆者である。江戸時代の名君として、よく上杉鷹山が取り上げられるが、鷹山が県知事クラスとすれば、保科正之は県知事兼総理大臣クラスの名君であり、鷹山とはスケールが違うのだ。それほど大きく優れた人物である”保科正之”の存在を薩長中心史観によってこれほど見事に無視し続けてきた日本史学会の不当性に対して、著者は怒りを込めて警鐘を鳴らしているのだ。

  本書では、保科正之の徳川宗家第一主義、足るを知る無私の精神、先見性(早すぎた?!)、慧眼、花も実もある徳治の精神による政治の数々がわかりやすく紹介されている。それらの優れた政策によって、会津藩が江戸時代他藩を抜きんでる豊かな藩となったこと。著者は、小説家が本業のためか、読み手を意識したわかりやすい書き方をしていると思う。

  これほどの人物がいまだに、吉川弘文館の人物叢書にも取り上げられていないのだ。俺が所持している江戸時代の本の中でも、「名君」との断り書きはあるが、ほとんど無視されている。ウィキペディアで関連書籍を調べても、伝記文献6冊のうち、本書を含めて著者の本が4冊を占める。これは、やはり異常なことだろう。

【目次】 第1章 家光の異母弟として(正之の出自/家光の忠長への怨情 ほか)/第2章 将軍家綱の輔弼役(「託孤の遺命」/慶安事件 ほか)/第3章 高遠・山形・会津の藩政(江戸にあって藩政をおこなう/保科家の家臣団 ほか)/第4章 その私生活(秘されていた正之の出生/正之の妻と子 ほか)

紹介文:徳川秀忠の子でありながら、庶子ゆえに嫉妬深い正室於江与の方を怖れて不遇を託っていた正之は、異腹の兄家光に見出されるや、その全幅の信頼を得て、徳川将軍輔弼役として幕府経営を真摯に精励、武断政治から文治主義政治への切換えの立役をつとめた。一方、自藩の支配は優れた人材を登用して領民の生活安定に意を尽くし、藩士にはのちに会津士魂と称される精神教育に力を注ぐ。明治以降、闇に隠された名君の事績を掘り起こす。

家訓15か条 全文

一、大君の儀、一心大切に忠勤に励み、他国の例をもって自ら処るべからず。
  若し二心を懐かば、すなわち、我が子孫にあらず 面々決して従うべからず。
一、武備はおこたるべからず。士を選ぶを本とすべし 上下の分を乱るべからず
一、兄をうやまい、弟を愛すべし
一、婦人女子の言 一切聞くべからず
一、主をおもんじ、法を畏るべし
一、家中は風儀をはげむべし
一、賄(まかない)をおこない 媚(こび)を もとむべからず
一、面々 依怙贔屓(えこひいいき)すべからず
一、士をえらぶには便辟便侫(こびへつらって人の機嫌をとるもの
  口先がうまくて誠意がない)の者をとるべからず
一、賞罰は 家老のほか これに参加すべからず
  もし位を出ずる者あらば これを厳格にすべし。
一、近侍の もの をして 人の善悪を 告げしむ べからず。
一、政事は利害を持って道理をまぐるべからず。
  評議は私意をはさみ人言を拒ぐべらず。
  思うところを蔵せずもってこれを争うそうべし 
  はなはだ相争うといえども我意をかいすべからず
一、法を犯すものは ゆるす べからず
一、社倉は民のためにこれをおく永利のためのものなり 
  歳餓えればすなわち発出してこれを救うべしこれを他用すべからず
一、若し志をうしない 
  遊楽をこのみ 馳奢をいたし 土民をしてその所を失わしめば
  すなわち何の面目あって封印を戴き土地を領せんや必ず上表蟄居すべし

  右15件の旨 堅くこれを相守り以往もって同職の者に申し伝うべきものなり
  寛文8年戊申4月11日
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151025 一年前:141025 活眼の人、内田樹先生。現政権への最も適切な批判。すべて同意、腑に落ちる!

2015年10月25日 23時43分48秒 | 一年前
10月25日(日): 参院選「落選運動」第1位<片山さつき>絶対に落とす!社会保障制度の敵!生きている悪魔!
141025 活眼の人、内田樹先生。現政権への最も適切な批判。すべて同意、腑に落ちる!納まりが良い。
10月25日(土):今どき、これほど言い得て妙、小気味よく当を得て日本の現状を捉えたお話は少ない。内田先生は、自らのブログの転載を許可されているので、ここに転載する。溜飲の下が...
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151022 51万超:朝日新聞「声」欄「18歳投票 在日にどう教える」

2015年10月24日 02時47分36秒 | 閲覧数 記録
10月22日(木): 参院選「落選運動」第1位<片山さつき>絶対に落とす!社会保障制度の敵!生きている悪魔!

記録ですm(_ _)m。ブログの開設から1475日。

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トータル:閲覧 510,807PV/訪問者 155,514IP

ランキング:6,994位 / 2,303,088ブログ中 週別 5,471位

朝日新聞「声」欄 2015.10.9.朝刊
18歳投票 在日にどう教える  無職 金忠亀(大阪府 79)
  選挙権年齢が来夏の参院選から「18歳以上」に引き下げられるのを前に、高校生が授業で選挙や政治を学ぶことに注目が集まっている。選挙権を持たない在日韓国・朝鮮人の若者も多くが日本の高校で学んでいるが、学校はどのような指導方法をとるのか。在日韓国人2世の私は強い関心がある。
  在日生徒の多くが民族の誇りを持てず、出自を隠し、学校で本名を名乗れず、通名を使っている。日本の高校で学んだ私も、かつてはそうだった。
  いま、耳を疑うほど特定の人種や民族への差別をあおる激しいヘイトスピーチが横行している。おびえて、帰化の道を選んだ若者が私の周りには多くいる。民族意識が希薄で、票を持たない生徒たちがこれから始まる授業の内容によってはさらに孤立感と疎外感にさいなまれ、帰化に拍車がかかるのではないかと危惧する。
  なお根深く残る排他主義。「嫌韓・嫌朝」。在日を取り巻く環境は依然として厳しい。高校生が選挙や政治を学ぶための副教材を、国が作ったという。授業での指導が在日の生徒たちを苦しめ、悲しませるようなことにならないよう願っている。
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151023 前原詐欺師は、安倍晋三の分身だ。enough!民主党内の<第二自民党>勢力の薄っぺらさに驚く。

2015年10月23日 20時07分59秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
10月23日(金):

  新聞の記事で前原詐欺師のブログの存在を知り、読んでみて吐き気が止まらなくなった。ウソと詭弁のてんこ盛りで卑怯・卑劣な論法が存分に展開されている。前原詐欺師は、安倍晋三と全く同じだ。安倍晋三の分身のようだ。「安倍晋三は、二人もいらない!」 憲法を軽んじ、アメリカ様のご意向第一の従米主義であり、平和を願い、立憲主義の原点に立ち戻ることを強く願う国民の意志をなにも理解しようとしない。国民の強い願いを汲み取り、安倍晋三と戦う意志もない。つまりは、安倍と同類のお友達なのだ。詭弁を並べ立てて、立憲主義の原点を誤魔化しきれると思ってる様子も全く同じだ。徹底した従米のヒラメのくせに、国民に対しては非常に冷たい上から目線で臨んでいる。前原詐欺師は国民の声を聴く気のない<冷たい壁>だ。バカの壁だ。

前原詐欺師と民主党全体にコールしよう!「安倍晋三は、二人もいらない!」「安倍晋三は二人もいらへん!」「安倍は辞めろ!」

  民主党はこれだけ野党連合に対して意見が違う連中を党内に残していては身動きが取れない。党首の岡田も含めてこの<自民党別動隊><第二自民党>勢力を切るべきだ。こいつらを10数人切ったところで、損失は知れている。それをはるかに上回る国民の支持票を獲得できるだろう。そして、それは衆議院選にも大きな党勢拡張をもたらし政権交代をもたらすだろう。

  しかし、この連中を残したまま、民主党が自己中心的な選挙協力を目指したとすれば、国民に与える失望は計り知れない。参院選、衆院選で壊滅的敗北をこうむるだろう。前原詐欺師をはじめとする日本会議会員の非立憲、従米派を切ることができないのであれば、民主党は可及的速やかに「解党」し、各議員一人一人の意志に任せるべきだろう。

  また読んでみて気が付いたことだが、前原詐欺師がブログで主張していることは、俺が三か月前に書き記していた推測内容と全く同じなのに驚いた。自慢して言ってるのではない。正直、素人の誰にでも予測できる前原詐欺師をはじめとする民主党内の<自民党別動隊><第二自民党>勢力の思考の中身の薄っぺらさに驚いているのだ。

  今、反安倍自公をめざす野党勢力の選挙協力の足を引っ張って、政権奪取のチャンスを放棄し、結果的に安倍自公を支える行動をとることは、いかなる理由で以っても正当化できるものではない。まさに前原誠司が<詐欺師>であることの証拠だと言いたいのだ。

  前原詐欺師のブログの後に、「150717 安保法案強行採決、立憲主義破壊を前に声もあげず鳴りを潜めている前原誠司詐欺師が恐ろしい。」
「150718 立憲主義の否定、安保法案強行採決を一切批判・非難しない日本会議前原詐欺師が恐ろしい。その2」
の記事を再掲するので是非読み比べてみて下さい。

追記:「151002 49万PV超:民主党前原詐欺師の戦争法案「見直し」論は憲法軽視、国民欺瞞の裏切り。」も再掲載します。

前原誠司ブログ「日々是好日」安保法制は「廃止」ではなく「見直し」  9月26日
  2015年9月19日の未明、参議院本会議で、いわゆる安全保障法制が成立しました。我々民主党は反対の立場で臨みました。努力された多くの仲間に、心から敬意を表したいと思います。
  出来の悪い法律だったので、党の意見が反対に集約できましたが、6月1日の国会質問でも主張したとおり、私は「憲法解釈の変更による集団的自衛権の部分行使」には賛成の立場です。民主党は「憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使一般には反対」という意見集約をしました。「行使一般には反対」ですので、「認められるものもあり得る」という余地を残しています。
  昨年7月に閣議決定された自衛権発動の「新三要件」は、日本と「密接な関係にある他国」が特定されておらず、また存立の危機にあたる「明白な危険」という定義があいまいなため、政府の裁量の余地が無限に広がって「法的安定性」が崩れ、「憲法違反」との大合唱を生む結果となりました。なぜ「周辺事態と認定されている状況下で、日本の安全保障に資するために行動している米軍に対する攻撃が、日本に対する急迫不正の侵害と認定される時」と、集団的自衛権を行使できる対象国を唯一の同盟国であるアメリカに特定し、今までの自衛権発動三要件の第1要件をそのまま引用しなかったのでしょうか? もしこのような解釈変更であれば、状況は大きく変わっていたと思います。
  私が集団的自衛権の行使を一部認めるべきだと考えるのは、以下のようなケースです。例えば、停戦中の朝鮮半島で再び戦闘が起こり、米韓同盟に基づいて米軍が行動し、日本にとっても周辺事態と認定されるような状況になり、従来の周辺事態法に従って日本が米軍への後方支援を行っているとします。もし、日本が後方支援を行っている米軍に攻撃が行われ、それが「武力行使との一体化」と見なされれば、今の憲法解釈では日本の後方支援が集団的自衛権の行使にあたるため、中止せざるを得なくなります。米軍からすれば、大事な場面で「はしご」を外されるようなものであり、日米同盟は大きく傷つき、共同対処にも悪影響が出るでしょう。私が重視するのはこの点です。蓋然性が全くと言っていいほど考えられないような「ホルムズ海峡での機雷掃海」や「退避邦人を運んでいる米艦防護」ではないのです。
  従来の周辺事態法も「地理的概念ではない」と言っているのですから、わざわざ「重要影響事態法」に変える必要はありませんでした。政府が危機をことさら煽った南シナ海での事案も、もし何らかの活動を日本がするのであれば、従来の周辺事態法で対応は可能です。アメリカ以外にオーストラリアなどへの後方支援が必要であれば、周辺事態法を改正すれば良かったまでです。アメリカの軍事活動に対する後方支援を恒久化する新法(国際平和支援法)も、日米両国の国益が異なる場合があるのは当然ですから、これまでは「根拠法がないから断る」という対米交渉ができたのが、これからは「根拠法があるのに断る」という、より難しい対米交渉を自ら課すことになりました。自衛隊が事前に準備するためには、恒久法が必要だとの意見がありますが、どのような協力が自衛隊にはできて、どのような協力ができないかを事前に線引きしておくことは可能でしょう。必要ならば「特別措置法」の制定で良かったのです(なお、政府が行ったPKO法の改正には大きな異存はありません)。
  ところで、問題なのは安保法案の成立後、「安保法制の廃止」が声高に叫ばれていることです。「あれだけ一生懸命反対したのだから、成立しても廃止を言うのは当たり前」との意見も当然あるでしょう。しかし、いかに我々が強く反対したとしても、法案は成立しました。一度成立した法律を廃止するというのは簡単なことではありません。違憲かどうかの判断は、訴訟が起こされた時に最高裁判所が行うことになります。
  特に、今回の法律は日米間で合意された防衛協力の指針(いわゆるガイドライン)に基づいた国内法制の整備であり、単なる廃止ではアメリカと合意したガイドラインも反故にするということになります。私は、日米ガイドラインは日米政府間で確認したものであり、尊重すべきだと考えます。そうであれば、新たな法制をパッケージで提起する必要性があり、単なる「廃止」ではなく「見直し」、あるいは新たな案の「提示」でなければならないのです。
  民主党は2009年8月の総選挙で政権交代を実現しました。政権交代をしたのだからと、対米関係でも「テロ特別措置法」に基づくインド洋における給油活動の中止、普天間飛行場の代替施設の見直し(最低でも「県外」、できれば「国外」)、日米地位協定の見直しなどを主張しましたが、その後、現実の日米関係の狭間で「撤回」を余儀なくされたのは、拭うことのできない事実です。今なお混乱状況にある「辺野古」は言うまでもなく、給油活動の代替としての資金援助は約5000億円という高いものにつきましたし、地位協定の見直しは提示すらできないままでした。
  今でも思い出すのは、当時のアメリカ政府の主張です。「テロとの戦いにおける協力も、沖縄の基地問題の合意も、オバマ政権が決めたものではない。ブッシュ政権から受け継いだものだ。我々は政権交代後も日米政府間の合意だから引き継いだのに、日本はなぜ政権交代だからと言って日米合意を覆そうとするのか」。とても重い言葉でした。
  こういった考えを「対米追従」と批判される方々もおられるでしょう。しかし、戦後70年も経つのに、過去の自民党政権は自立を志向せず、インテリジェンス、防衛装備、敵基地攻撃能力をアメリカに依存し、日本の外交や防衛は日米基軸でなければならない状況ができ上がってしまいました。私たちが再び、政権の座に就く気がないのなら、できないことを叫んでいればいいのでしょうが、少なくとも私は、もう一度政権与党となり、この国の将来に責任を持ちたいと固く決意をしています。政権を再び握った時の対米関係を考えずして、成立した法律を単に「廃止に追い込む」と気勢を上げるだけでは、話になりません。
  ましてや「安保法制廃止」のみで、日本共産党と選挙協力するのは論外と言わざるを得ません。

   ・安保法制「廃止」の主張の中身が、一致しているのでしょうか?
  ・外交・安全保障の考え方が、一致しているのでしょうか?
  ・内政の考え方も、一致しているのでしょうか?
  全く違います。こういった政党と選挙協力するというのは、まさに「禁じ手」です。政党間の協力は、理念と政策の一致が必要条件です。その原点を踏まえた上で、野党の「大きな家」を作っていきたいと思います。


読んでいて、ウソと詭弁と卑怯さに吐き気を止められない。

「150717 安保法案強行採決、立憲主義破壊を前に声もあげず鳴りを潜めている前原誠司詐欺師が恐ろしい。」
                        2015年07月17日 20時35分22秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
7月17日(金):
 戦争大好きです! 日本会議会員の前原です。 お世話になった外国籍市民のおばちゃんもきちんと差別するよ!
安倍はやり過ぎた。間違いなく蹉跌する。新国立「白紙」は、これまでの見せ金政策の延長だ。「金を見せれれば世論を味方にできる」という安倍のゆがんだ社会観の表れであり驚きとするには当たらない。行き詰まったアベノミクスの変形の一種だ。もう支持率の回復にはつながらない。安保法案強行採決とは別の問題だ。絶対に許さない。非難の声を上げ続けて退陣に追い込まねばならない。

しかし、今の俺は安倍や自民党よりも、安保法案強行採決、立憲主義破壊を前にして何の声もあげず鳴りを潜めている前原誠司詐欺師や長島昭久戦争屋が恐ろしい。こいつらのいる民主党の中途半端さが恐ろしい。

立憲主義を破壊する安倍政権に対して、前原詐欺師はなぜ前面に立って闘わないのか。これでは前原や長島は自民党政権が終わった後に、集団的自衛権と安保法案の責任を全部安倍自民党のせいにした上で、「成立してしまったものは仕方がない。白紙撤回するほどのことはない。俺たち(前原や長島)民主党が、ずっと上手に運用するので国民の皆様ご安心を!」と言いそうではないか。

前原誠司詐欺師も長島昭久戦争屋もともに極右団体「日本会議」の会員である! また、前原詐欺師は、「安倍自民は「観念的」保守であり、自分たちは「現実的」保守である。自分たちならもっとうまくやる」と言って根っこが同じ第二自民党であることを自白していて、それを自己批判もしていない。

安倍の命脈は、あまり長くないかもしれない。自民党は、安保法案成立と引き換えに、総理大臣の顔のすげ替えをしてイメージチェンジするかもしれない。それでも自民党政権に対して集団的自衛権閣議決定の撤回、安保法案の廃案を期待することはできない。大事なのは自民党政権と政権交代したおそらく民主党を中心とした勢力が、安倍以前にリセットして閣議決定を個別的自衛権に戻し、立憲主義を回復して政治状況を正常化できるかが最大の問題だ。

その時、今、安倍自民との戦いを長妻、辻本、岡田らに任せ切って、憲法を軽んじ、国民の意志を無視し、集団的自衛権の戦争法案成立にひた走る安倍政権に対する表立った批判、とくに集団的自衛権の強行を一切批判・非難しない前原詐欺師は、今鳴りを潜めて、将来集団的自衛権と戦争法案を自分も活用しようと考え、将来への言質を取られないようにずる賢く動いているようにしか思えない。

日本会議会員の前原詐欺師や長島戦争屋が、前面に出てきて安倍自民政権を非難し、闘おうとしない民主党を全く信用できない。やる気があればどんな形であってもできるはずだろう!それをしないのが、むしろ恐ろしい。自民党の戦争好き独裁政権からの政権交代のあとに、ほっとしたのもつかの間、顔触れが変わっただけで本質的に全く同質の戦争屋が牛耳る民主党政権が現れるというのは全く洒落にならない。

今、安倍自民政権と闘ってる長妻、辻本、岡田らは少なくとも将来、安倍の憲法に対するクーデターともいうべき集団的自衛権閣議決定を否定するはずだから信用できるが、今息を潜めて気配を消している前原詐欺師長島戦争屋は、将来集団的自衛権の閣議決定撤回に異を唱え、「現実的」運用を標榜して戦争法案もアリバイ的な修正で済まして、憲法九条によって守られてきた平和主義を回復しようと努力しないだろう。

俺は日本会議会員の前原誠司詐欺師が恐ろしい。民主党が本当に国民・市民の信頼を回復したいのであれば、前原詐欺師と長島戦争屋に平和主義の踏み絵を踏ませるか、踏まなければこいつらを追い出すべきだ。前原と長島は早く民主党を出て、維新の党と合流しろ。国民を欺いて、政権が民主党に転がり込んできたときに「戦争大好き」の本性を出そうなどとたくらむのはやめろ。それこそ政治不信を増大させることになる。


「150718 立憲主義の否定、安保法案強行採決を一切批判・非難しない日本会議前原詐欺師が恐ろしい。その2」
                      2015年07月18日 12時58分15秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
7月18日(土):
 戦争大好きです! 日本会議会員の前原です。 お世話になった外国籍市民のおばちゃんもきちんと差別するよ!
これって前原詐欺師のことでしょ。それにしても谷垣禎一も残念だが終わってしまった。宏池会のホープだったのに…、汚れすぎた。
朝日デジタル「民主にも安保法案は必要と思う人多い」 自民・谷垣氏 2015年7月11日18時08分
■谷垣禎一・自民党幹事長
 民主党の中には、実は(安全保障関連法案は)必要だと思ってる人が、たくさんいるんですね。誰とはいいませんが、この京都にだっていますよ。
 だけど、パンフレットを作ると、そういう考え方と違った、徴兵制を敷くんだという議論をする。ものごとを単純化し、与党のイメージダウンを狙う戦略だ。
 武器は高度なものになり、通信体系や何かっていうのもなければ、戦闘行為だってできない。だから、何も筋肉ムキムキの人が戦争をすると思ったら大間違い。スリムでソフトな人だって、ある意味ではできる。
 つまり何が言いたいかっていうと、専門知識を持っていないと、そういう戦術や、武器や武器体系の変化など、いろんなものがありますから、徴兵制っていうのは、そういうのには向かない。俺は軍隊に行って仕事をしたいという志願制じゃないとなかなかうまくいかない。(京都市内での講演後の質疑応答で)


※ウィキペディア前原誠司より引用 *こいつに関する記述量の多さは異常だ。
他党との交友関係[編集]
安倍晋三[編集]
安倍晋三とは当選の同期であり、議員会館も隣りの部屋(安倍の部屋の前の住人は安倍晋太郎、前原の部屋の2代前の住人は安倍の祖父岸信介)。安全保障政策に関して気心知れた仲であり、2期目あたりまでは酒を一緒に飲みに行く仲であった(ただし安倍はほとんど飲めない)。現在もお互いの携帯電話番号は交換しており、安倍が選挙の応援演説で前原の選挙区に入る時、安倍の方から「ちょっと選挙区に入らせて貰います」と挨拶が入ることもあるという。
2007年8月27日に安倍改造内閣が発足すると、安倍との交友関係や小沢一郎との確執等の風聞をもとに、前原が防衛相として入閣する可能性が御厨貴、宮崎哲弥、与良正男などによって取り沙汰されたこともあった。
また、安倍内閣で幹事長を務めた中川秀直とも親しいとされる。
石破茂[編集]
石破茂との仲も良い。石破の出身地は鳥取県八頭町である。前原本人の出身地は京都市だが、父親は鳥取県境港市出身であった。双方とも首相の靖国神社公式参拝に反対している他、防衛問題でも意見が一致。鉄道やプラモデルの話題でも話が盛り上がるという。石破は、2008年(平成20年)9月に行われた自民党総裁選に立候補したが、これは前原との会話が間接的な原因となったとする報道がある[117]。


「151002 49万PV超:民主党前原詐欺師の戦争法案「見直し」論は憲法軽視、国民欺瞞の裏切り。」
                            2015年10月03日 15時55分54秒 | 閲覧数 記録
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政治家は誰のために政治をしてるのか? その誰かが、政治家を語るすべてだ。   (もみ)

国連の場で、「日本はシリア難民の受け入れをどうするか」聞かれて、「日本には、国内でやらねばならない女性や老人の活躍問題があるので移民問題はまだ考えられない」という国辱的無知蒙昧をさらした安倍晋三。こいつには「難民問題」とは目前で生きるか死ぬかの弱者に手を差し伸べるかどうかであり、それこそ「ブーツオンザグランド」を問われていることもわかっていない。マスコミもまともに取り上げて批判しない。

 民主党の細野豪志政調会長や前原誠司元外相らが、安全保障関連法に関する党執行部の対応に異論を唱え始めた。法成立後も廃止を訴える岡田克也代表への批判といえるが、細野氏は政策責任者で、法成立後の“異議”は説得力を欠く。細野氏は民主党解党を意味する新党結成にも意欲的だが、ここでも岡田氏らと温度差があり、「安保国会」で沈静化していた民主党のバラバラ感が再び表面化しつつある。(山本雄史)
 「党内の異論は9月19日の安保法成立後、一気に噴き出した。細野氏は29日の記者会見で、対案提出が領域警備法案だけだったことを「不本意だった」と不満を漏らした。前原氏も26日のブログで、岡田氏が法成立後も「安保法廃止を目指す」と明言していることに対し、「廃止」ではなく「見直し」との立場を表明。集団的自衛権の一部行使にも「賛成」と記した。産経新聞、2015.10.1 12:13 )」

この記事に接して、民主党内の前原詐欺師をはじめとする<第二自民党>の連中のあまりのわかりやすさと底の浅さに呆れかえってしまう。

前原誠司は、京都大学法学部出身で、中高生の時、数学専門の塾に行っていたそうだが、俺はこれまでそれをプラスに評価していたが、今は「この前原という男には、人間として重大な欠陥があるのではないか。安保関連法案審議・成立時にあれほど民主党の福山や蓮舫、辻本らが先頭に立って国民の前で反対を約束し、国会内で闘争している姿をよそに気配を消しておいて、成立後に「見直し」を叫ぶのが、同じ民主党員に対してもだが、SEALDsの若者たちをはじめとして国民に対してどれほどの欺瞞、裏切り行為として映っているのかがわかっていない。」と思わざるを得ない。

「国民の声をいちいち気にしていては、正しい政治はできない。国家を導けない。」というのであれば、もはや根っこから腐り果てているということだ。我々は、前原誠司や細野豪志のような詐欺師的<根無し草>を断じて許さない!

前原は子どもの時、父親を自殺で無くし、母子家庭で苦労したそうだが、目をかけてかわいがってくれた在日朝鮮人の外国籍市民のおばさんに対して切り捨てるような態度を公の場で行った。「一体、こいつは誰のために政治をしているのか」。

今、求められてるのは自民党の政策を引き継ぐ<第二自民党>ではない。世論調査で9割が説明不十分であるとし、6割が反対し、2割程度の賛成しかない中で強行採決された違憲安保関連法案の成立を厳しく非難し、自民党打倒と安保関連法の停止・廃棄を通して、憲法違反状態を正常な元に戻すことだ。

民主党内で違憲安保法案の「停止・廃棄」ではなく「見直し」を求めることは、政治における憲法違反を公然と認めるものであり、国民の意志を汲み取る考えのない詐欺師の政治屋だ。前原詐欺師の脳内では、数学が悪い方の作用をしているようだ。人の心が読めていない。日本社会も、国際社会も、こいつらの頭の中では囲碁将棋の盤上の手駒・手石にしか見えていない。得失と陣取り勝負に勝つことが目的化している。本当は、手駒、手石の一つ一つに尊い意志と生活があることに目を向けるべきなのに、前原詐欺師は一体、誰のために政治をしているのか。若い時に苦労したのに、世襲政治屋の安倍晋三との親和性を持つのは、橋下徹と同じだ。目的のためには手段を選ばない。ノブレスオブリージュも無い。法学部卒の、憲法軽視、国民無視は許されるのか。

「国家」のためか? そも、その「国家」とは何か。こいつらには人間が見えていない。「国家」とは観念的なものではない。前原は自分を「現実的」というが、こいつにとっての「現実」は、国民一人一人の生活ではない。訳の分からない何者かとの得失である。民主党内の<第二自民党>勢力を見ていると、安倍晋三と同じ何か、言葉の届かない空恐ろしい化け物を見ているような気がする。

民主党は、前原、細野、長島、松原、野田ら松下政経塾・日本会議系の<第二自民党>勢力をしっかりと封じ込めるべきだ。それができないのであれば、多少波風たっても袂を分かち、別れるべきだ。民主党が、共産党の投げたボールを受け止めなければ、国民の世論は混乱・混迷し、自民党は間違いなく勝つ。安倍晋三及び安倍晋三の後継者が延命・継続する。国民の目は、今まさに民主党が共産党からのボールを受け止めるかに注がれている。受け止めなければ、それはそのまま民主党の命を制する弾丸となる。もう消えてなくなった方が良い。

衆議院、参議院で安保関連法案反対で大見得を切ってきた枝野、長妻、辻本、蓮舫、福山、小西だけでも、最悪党を割る覚悟でSEALDsや国民との約束を果たすために戦争法案廃止、憲法違反の集団的自衛権容認の閣議決定取り消しのために動くべきだろう。「うそつき」になりたくないのであれば

民主党岡田党首は、自分で思い切って動けないのであれば、生活の党の小沢一郎党首にしっかりと頭を下げて協力体制を作り上げることだ。それが唯一の、国民への約束を果たすことだ。そして、沖縄県民との約束を果たす道でもある。
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151021 まるこ姫の独り言「子どもの貧困で政府が寄付呼び掛け、政府は何の為にあるの?」にまったく同感。

2015年10月21日 22時19分27秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
10月21日(水):  参院選「落選運動」第1位<片山さつき>絶対に落とす!社会保障制度の敵!

現政権は、国民の政府として深刻で重大な欠落を抱えている。一番大事な政策の順位が間違っている。国民の福祉を棚に上げて、あまりにもよそ見し過ぎている。国民の生活が全く見えてないし、見ようとする気がないのは異常を超えている。以下の指摘にまったく同感である。 保科正之のような為政者が出て来てくれないかなあ…。まあ無理か…。

まるこ姫の独り言子どもの貧困で政府が寄付呼び掛け、政府は何の為にあるの?
          http://jxd12569and.cocolog-nifty.com/raihu/2015/10/post-4624.html#comment-134749779
  どうかしてると言うか常軌を逸しているのが安倍政権。子供の貧困問題を政府が寄付呼び掛けって、なんなんだ? 民間が呼びかけるならまだしも、政府が呼びかけるって順番が間違っていないか?
子どもの貧困で寄付呼び掛け=政府    時事通信 10月19日(月)19時6分配信
>政府は19日、子どもの貧困対策を議論する「子どもの未来応援国民運動」の発起人会議を首相官邸で開き、1日に創設した基金への寄付を呼び掛ける決議を行った。
>基金は、経済的に厳しい子どもを対象としたNPOの生活支援事業などに活用する目的で設立。政府は今後、基金を運営する日本財団とともに個人や企業から寄付を募る。

  本来なら、この子供の貧困問題はいの一番に政府が政策として示すべきの事ではないのか。寄付を募る?何を言っているのか、この政府は、狂っている。。。 少子化対策の一環として、子供の貧困問題は最重要課題だ。
  そもそも、この問題こそ国が自ら予算を計上して対策をしてしかるべき話で、それを民間からの寄付に頼ろうとしていると言う事はこの問題に予算を計上するつもりが無いということにも受け止められる。なんとチンケな政府なのか。
  ヨーロッパ諸国では、子供を増やすためには婚外子も認めているし、夫婦間から生まれた子供と何ら差別をしていない。子供に対しての優遇処置は、日本とは雲泥の差だ。
  片や、日本では箱モノや防衛費には湯水のように金を注ぎ込む。が、人に対しての政策ときたらもはや、風前の灯だ。 女性の輝く社会、一億総活躍社会・・・・・・見栄えは良いし、聞こえも良いが、中身がなんなのかさっぱり分からない。
  スローガンはやたら威勢が良いが、子供の貧困対策さえ政策ではなく寄付で賄おうとするこの国の政府。どんな頭の構造をしているのだろうか。 多分、子供の貧困も自己責任の範疇に入っていると考えているからこそ、寄付に頼ろうとしているのだろうが本末転倒。 組織を立ち上げれば、寄付した金が理事長や職員の給与、その他の経費にと言うことにならないか、それも疑問だ。
  一番気に入らないのは、この政府の発想が、貧乏な子供に上から目線で、お恵みしてやろう。それが透けて見えてとても嫌だ。それにしても、政府が政策そっちのけで、慈善事業奨励とは思っても見なかった。
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151020 一年前:141020 東京新聞は生きてる。Times報道:NHKは死んでる。安倍晋三は頭軽い、罪深い最悪

2015年10月20日 18時16分36秒 | 一年前
10月20日(火): 参院選「落選運動」第1位<片山さつき>絶対に落とす!社会保障制度の敵!生きている悪魔!
141020 東京新聞は生きてる。Times報道:NHKは死んでる。安倍晋三は頭軽い、罪深い最悪のファシスト。
東京新聞:斎藤美奈子コラム「女王蜂症候群(男性社会で例外的に出世した名誉男性的な女性)と女活」自らの女性性を否定し、尊重しない女性閣僚がいくら増えても、何の意味もないどころか、...
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161020 一年前:4 013 大和和紀「源氏物語 あさきゆめみし1(全13巻)」(講談社コミックス;1980)感想4

2015年10月20日 18時15分17秒 | 一年前
10月20日(火): 参院選「落選運動」第1位<片山さつき>絶対に落とす!社会保障制度の敵!現代の悪魔!
4 013 大和和紀「源氏物語 あさきゆめみし 1(全13巻)」(講談社コミックス;1980) 感想4
10月19日(日):  206ページ  所要時間 2:00    蔵書作者32歳(1948生まれ)。2度目である。初めて読んだのは、8年ほど前である。家内と温泉に行く...
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151019 一年前:140524 反面教師。敵の思考パターンを知ろう!:読売新聞の痛過ぎる社説を読む。朝日・毎日

2015年10月20日 00時45分28秒 | 一年前
10月19日(月):   参院選「落選運動」第1位<片山さつき>絶対に落とす!社会保障制度の敵!
140524 反面教師。敵の思考パターンを知ろう!:読売新聞の痛過ぎる社説を読む。朝日・毎日の社説も併載!
2014年05月24日 14時53分55秒 | 考える資料5月21日の福井地裁による大飯原発3、4号機再稼働差し止め判決について。つぶやきです。: 敵の声に耳を傾けましょう。...
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150329 タガ外せば歯止め失う 長谷部恭男・早稲田大学教授/「未来志向」は現実逃避 杉田敦・法政大学教授

 杉田 先日ドイツのメルケル首相が来日しました。戦後ドイツも様々な問題を抱えていますが、過去への反省と謝罪という「建前」を大切にし続けることで、国際的に発言力を強めてきた経緯がある。「建前」がソフトパワーにつながることを安倍さんたちは理解しているのでしょうか。  / /長谷部 そもそも談話が扱っているのは、学問的な歴史の問題ではなく、人々の情念が絡まる記憶の問題です。記念碑や記念館、映画に結実するもので、証拠の有無や正確性をいくら詰めても、決着はつかない。厳密な歴史のレベルで、仮に日本側が中国や韓国の主張に反証できたとしても、問題はむしろこじれる。相手を論破して済む話ではないから、お互いがなんとか折り合いのつく範囲内に収めようと政治的な判断をした。それが河野談話です。  / /杉田 談話の方向性や近隣との外交について「未来志向」という言い方がよくされますが、意図はどうあれ、それが過去の軽視という「見かけ」をもってしまえば、負の効果は計り知れない。安倍さんたちは、未来を向いて過去を振り払えば、政治的な自由度が高まると思っているのかもしれません。しかし政治の存在意義は様々な制約を踏まえつつ、何とか解を見いだしていくところにあります。政治的な閉塞(へいそく)感が強まる中で、自らに課せられているタガを外そうという動きが出てくる。しかし、それで万事うまくいくというのは、一種の現実逃避では。  / /長谷部 合理的な自己拘束という概念が吹っ飛んでしまっている印象です。縛られることによってより力を発揮できることがある。俳句は5・7・5と型が決まっているからこそ発想力が鍛えられる。しかし安倍さんたちは選挙に勝った自分たちは何にも縛られない、「建前」も法律も憲法解釈もすべて操作できると考えているようです。  / /杉田 俳句は好きな字数でよめばいいのだと。  / /長谷部 あらゆるタガをはずせば、短期的には楽になるかもしれません。しかし、次に政権が交代したとき、自分たちが時の政府を踏みとどまらせる歯止めもなくなる。外国の要求を、憲法の拘束があるからと断ることもできない。最後の最後、ここぞという時のよりどころが失われてしまう。その怖さを、安倍さんたちは自覚すべきです。 =敬称略(構成・高橋純子)朝日新聞『考論』

0015 オルテガ「大衆の反逆 (桑名一博訳;久野収解説)」(白水社イデー選書;1930)評価5

以下は、オルテガ所論の久野収による抜粋の抜粋である:///  オルテガによれば、政治のなかで「共存」への意志を最強力に表明し、実行していく政治スタイルこそ、自由主義的デモクラシーである。共存は、強い多数者が弱い少数者に喜んで提供する自己主張、他者説得の権利である。敵、それも最も弱い敵とさえ、積極的に共存するという、ゆるがない決意である。/その意味で、人類の自然的傾向に逆行する深いパラドックス(逆説)であるから、共存を決意した人類が、困難に面してこの決意を投げ出すほうへ後退したとしても、それは大きな悲劇ではあっても、大きな不思議とするには当たらない。/「敵と共存し、反対者と共に政治をおこなう」という意志と制度に背を向ける国家と国民が、ますます多くなっていく1930年代、オルテガは、「均質」化された「大衆」人間の直接行動こそが、あらゆる支配権力をして、反対派を圧迫させ、消滅させていく動力になるのだという。なぜなら、「大衆」人間は、自分たちと異類の非大衆人間との共存を全然望んでいないからである。略。///  「大衆」人間は、自分たちの生存の容易さ、豊かさ,無限界さを疑わない実感をもち、自己肯定と自己満足の結果として、他人に耳を貸さず、自分の意見を疑わず、自閉的となって、他人の存在そのものを考慮しなくなってしまう。そして彼と彼の同類しかいないかのように振舞ってしまう。/彼らは、配慮も、内省も、手続きも、遠慮もなしに、「直接行動」の方式に従って、自分たちの低俗な画一的意見をだれかれの区別なく、押しつけて、しかも押しつけの自覚さえもっていない。/彼らは、未開人―未開人は宗教、タブー、伝統、習慣といった社会的法廷の従順な信者である―ではなく、まさに文明の洗礼を受けた野蛮人である。文明の生み出した余裕、すなわち、贅沢、快適、安全、便益の側面だけの継承者であり、正常な生存の様式から見れば、奇形としかいいようのないライフスタイルを営んでいる新人類である。略。///  「自分がしたいことをするためにこの世に生まれあわせて来た」とする傾向、だから「したいことは何でもできる」とする信仰は、自由主義の自由の裏面、義務と責任を免除してもらう自由にほかならない。/われわれは自由主義の生みだした、この「大衆」人間的自由、自己中心的自由に対し、他者と共存する義務と責任をもった自由を保全しなければならないが、一筋縄でいかないのは、この仕事である。(160626:イギリスEU離脱について思うところ=もみ=)