もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

150215 衆参両院の「テロ非難決議」を非難する!「テロの本質」を真面目に語る政治家はいないのか!

 真面目に「テロの本質」を考えれば、その原因が、決して宗教の違いにあるのではなく、世界的に広がる富の偏在、極端な格差拡大、差別構造の継承、及びパレスチナ問題、それらによる<若者たちの絶望>にあることは、実は誰もがわかっていることだろう! それを「世界には凶悪なテロリストが大勢いて、こいつらを叩き潰せばテロが無くなる」なんて話に無理やりすり替えている。誰も、「テロの本質が、日本・世界の社会構造が抱える富の偏在・格差の拡大及びパレスチナ問題の<野放し状態>にこそある」という本質を語らないし、見させようとしない。そして、凶悪なテロリストへの恐怖ばかりを煽りたてている。これはまさにオーウェルの「一九八四年」の世界と同じだ。今回の国会の「テロ非難決議」に社民党・共産党まで加わっていたのには、あきれ果てた。「誰も本質を見ようとしない。」「武力で世界中の<絶望した若者たち>を封じ込めるべきではないし、不可能だ!」

秋原葉月さん「Afternoon Cafe」ブログから

※(1)「もちろん、普通の人間は戦争を望まない。しかし、国民を戦争に参加させるのは、つねに簡単なことだ。とても単純だ。国民には攻撃されつつあると言い、平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、国を危険にさらしていると主張する以外には、何もする必要がない。この方法はどんな国でも有効だ」byヘルマン・ゲーリング ※(2)いつの時代も大衆をファシズムに煽動する手口は同じ。なのに同じ手口に何度も騙されるのは過去に学んでいないから。格差を広げ、セイフティネットを破壊し、冷徹な自己責任論が横行する社会を継続させるのは簡単だ。今よりもっと格差を広げ、セイフティネットを破壊する政策をとればよい。そうすれば人々に自己責任論がもっと浸透し、草の根から勝手に右傾化してくれる。

辺見庸さんのブログから

・権力をあまりに人格的にとらえるのはどうかとおもう。口にするのもおぞましいドブの目をしたあの男を、ヒステリックに名指しでののしれば、反権力的そぶりになるとかんがえるのは、ドブの目をしたあの男とあまり変わらない、低い知性のあらわれである。権力の空間は、じつのところ、非人格的なのだ。だからてごわい。中心はドブの目をしたあの男=安倍晋三であるかにみえて、そうではない。ドブの目をしたあの男はひとつの(倒錯的な)社会心理学的な表象ではありえても、それを斃せば事態が革命的に変化するようなシロモノではない。権力には固定的な中心はなく、かくじつに「われわれ」をふくむ周縁があるだけだ。ドブの目をしたあの男は、陋劣な知性とふるまいで「われわれ」をいらだたせ、怒らせるとともに、「われわれ」をして社会心理学的に(かれを)蔑視せしめ、またそのことにより、「われわれ」が「われわれ」であることに無意識に満足もさせているのかもしれない。ところで、「われわれ」の内面には、濃淡の差こそあれ、ドブの目をしたあの男の貧寒とした影が棲んでいるのだ。戦争は、むろん、そう遠くない。そう切実にかんじられるかどうか。いざ戦争がはじまったら、反戦運動が愛国運動化する公算が大である。そう切実に予感できるかどうか。研ぎすまされた感性がいる。せむしの侏儒との「ふるいつきあい」がベンヤミンのなにかを決定した。そう直観できたアレントほどするどくはなくても、研ぎすまされた感性がいる。けふコビトがきた。ミスドにいった。(2015/11/11)

150731 朝日デジタル:(論壇時評)記録する 「狂気」とみなされる怖さ 作家・高橋源一郎

2015年07月31日 01時13分45秒 | 考える資料
7月31日(木):
4 012 大岡昇平「野火」(新潮文庫;1951)感想 特5 2014年10月17日 01時16分29秒 | 一日一冊読書開始 」の記事をぜひお読みくださいませ m(_ _)m 。
朝日デジタル(論壇時評)記録する 「狂気」とみなされる怖さ 作家・高橋源一郎  2015年7月30日05時00分
 大岡昇平が、太平洋戦争の激戦地レイテ島での経験をもとに書き上げた『野火』(〈1〉)は、単に戦争小説の傑作であるだけではなく、およそ「文学」と呼ばれる人間の営みの頂点に属する作品だ。
 主人公の「田村一等兵」は、他の多くの日本兵と共に、食糧も弾薬も尽きた中、米軍や地元民からの攻撃を恐れながらジャングルをさまよう。兵士たちは次々に、砲弾で肉体を粉々にされ、倒れ、まだ生きたまま蛆虫(うじむし)に食われてゆく。そしてその倒れた兵士の肉を、生き延びるために別の兵士が食うのである。このような過酷な経験を描いた「戦争小説」は数多くある。だが、それらの作品と『野火』の最大の違いは、「田村」がまるでカメラと化したかのように、風景や起こった出来事を、異様なほど精密に記録しつづけていることだ。
 狂気が覆い尽くす戦場にあって、正気でありつづけるために、他の選択の道はなかった。兵士たちは意味なく飢え、死んでゆく。そのほんとうの理由を教えてくれる者はどこにもいない。「田村」は、いつかやって来る、すべてを公平に裁く者に引き渡すために、なにもかも「記録」しようとしたのかもしれない。だが、戦場にあって正気でありつづけること自体が、また別の狂気であることを作者は知っていた。
 1960年生まれの映画監督・塚本晋也が、『野火』を映画化した(〈2〉)。その試写の席で、わたしは文字どおり椅子に釘付けにされ動くことができなかった。それは、画面に映っているものが「過去のできごと」に見えなかったからだ。目の前で肉体が砕け散るとき、観客はその痛みを感じる。兵士が腐肉にかぶりつくときには、その腐臭から顔をそらす。塚本は、30代で映画化を公言して以来、その実現に奔走した。だが、資金はなかなか集まらなかった。
 「そうこうするうちに、戦争の愚かしさは普遍的な当たり前のことだと思っていたのが、自分が愚かしいと思えば思うほど、戦争のことを愚かしいと思う風潮が消えつつあるということが、この作品のつくりづらさをますます加速させているかもしれないと感じるようになっていきました」(〈3〉)
 やがて、塚本は、資金が集まらないなら、ひとりでアニメを描くか、カメラ1台を持ってフィリピンで「自撮り」をすることまで構想するようになる。その塚本の「狂気」は、戦場の狂気に圧倒されないために、「田村」が陥らざるを得なかった「狂気」を思わせる。
 主人公の「田村」は監督の塚本自身が演じた。その演技は、圧倒的だったが、それは塚本と「田村」が同じ「狂気」を共有しているからのように思えた。
     *
 歴史社会学者・小熊英二が、2011年3・11以降の反原発デモの「記録」映画を作り上げた。タイトルは『首相官邸の前で』(〈4〉)。作品について小熊はこう書いている。
 「私は、この出来事を記録したいと思った。自分は歴史家であり、社会学者だ。いま自分がやるべきことは何かといえば、これを記録し、後世に残すことだと思った」(〈5〉)
 必要なのは「記録」することだった。小熊は、インターネット上に残された膨大な記録映像を収集し、それに、自らがインタビューした、デモに関係ある人びとの映像をつなぎ合わせ、主として首相官邸前で起こった出来事を再現しようとした。中心にいるのは、この社会を揺るがした大きな事件によって「覚醒」してゆく人びとである。この「覚醒」は、クライマックスの「20万人デモ」へ繋(つな)がってゆく。けれども、そういった事実が、マスメディアによってほとんど無視されたのは、その「覚醒」が、社会を不安にしかねない「狂気」の一種に見えたからなのかもしれない。
     *
 東京都現代美術館で公開中の「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」展へ、会田誠が妻と息子の3人で出品した作品(〈6〉)が、美術館から撤去要請を受けたとされている。その一つが、「文部科学省に物申す」と題され、天井から吊(つ)るされた布に書かれた「檄文(げきぶん)」だ。
 それは、「会田家の日常会話のうち、『日本の教育への不満』を抜き出したもの」がベースになっているが、たとえば、「かばんが重い」とか「従順人間を作る内申書というクソ制度」とか「大学から哲学を追い出すどころか中学から道徳追いだし哲学教えろ」といった、しごくまともな呟(つぶや)きにすぎない。
 会田は「会田家」を代表してこのように書いている。「『個々人が持っている不平不満は、専門家でない一般庶民でも、子供であっても、誰憚(はばか)ることなく表明できるべきである』というのは、民主主義の『原理原則』『理想』です。簡単に言えば『我慢しなくたっていい』『声を押し殺さなくていい』――その基本的な人生態度を、僕は子供たちにまずは伝えたいと思いました」(〈7〉)
 はっきりとした説明のないまま会田の作品が撤去されようとしているのは、この作品が、ある種の「社会常識」からは危険なものと感じられるからだ。
 この国では「民主主義の原理原則」や「理想」は、あってはならない「狂気」の一つにされつつある。そのことの意味を、「おとなもこどもも考え」ねばならない。会田家の芸術的実践とそれが引き起こした波紋は、その貴重な「記録」となるだろう。
     *
〈1〉大岡昇平 小説『野火』
〈2〉映画「野火」(監督・塚本晋也、公開中)
〈3〉塚本晋也監修『塚本晋也×野火』(今月25日刊行)
〈4〉映画「首相官邸の前で」(監督・小熊英二、8月5日から東京・渋谷で先行上映)
〈5〉小熊英二「監督の言葉」(http://www.uplink.co.jp/kanteimae/director.php別ウインドウで開きます)
〈6〉会田家「檄文」(会田誠と妻・長男の共作、「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」展)
〈7〉会田誠「東京都現代美術館の『子供展』における会田家の作品撤去問題について」(http://m-aida.tumblr.com/別ウインドウで開きます)
     ◇
 たかはし・げんいちろう 1951年生まれ。明治学院大学教授。「論壇時評」の4年分、計48本を収録した『ぼくらの民主主義なんだぜ』(朝日新書)が発売中。


150728 一年前:3 121 立花隆「読書脳 僕の深読み300冊の記録」(文藝春秋;2013/12月)感想 特5

2015年07月28日 23時45分39秒 | 一年前
3 121 立花隆「読書脳 僕の深読み300冊の記録」(文藝春秋;2013/12月) 感想 特5(少し複雑)
7月27日(日):349ページ  所要時間 7:30     図書館夏バテか、過労か、加齢か…、めっきり読書の根気が衰えてきた。日々2.0hほどの自由時間はあるが、それを読...

4 103 重松清「あすなろ三三七拍子」(毎日新聞社:2010) 感想4+

2015年07月28日 19時53分34秒 | 一日一冊読書開始
7月28日(火):
    422ページ   所要時間 8:10    アマゾン295円(38+257)

著者47歳(1963生まれ)。

失敗読書である。一日で読み切れず、読み始めて一週間ほどかかって間延びしてしまった。文庫本なら上下2冊の量を、1ページに上下二段組みで400ページ超の単行本だったのも敗因の一つだが、それでも二日間で読み切るべきだった。

まあ読むのを放棄することにならなかったのは、著者の力量と明るい内容による。多少漫画チックではあっても人情の機微、襞をしっかり描き込む「重松ワールド、健在!」を印象付けてくれた。

以前に見た柳葉敏郎(ギバちゃん)主演のTVドラマは、キャストと前半部分が比較的原作に忠実だったが、後半部分に改編が目立つことが分かった。原作の長さを考えれば仕方のないことと理解はできる。

廃部寸前の大学応援団OB社長の特命により社会人入学をして、「団」の再建に取り組む45歳のリストラ要員オヤジが魅力的な若者たち(始めは分からない)と、どうしょうもないが一途な関西弁の中堅OB二人組らとの出会いを通して、若者を、中年の自分たち世代を、そして応援団とは何かを見直していく。と言えば、なんとなく総括したような感じだが、随所に重松節が散りばめられ、一見怖そうなのに実は優しく、はかなく、大切な愛しい世界が描き出されているのだ。

紹介文:藤巻大介45歳、あすなろ大学応援団長出向を命ず―
存続危機の応援団を「合言葉は押忍!」でオジサン達が復活させる、抱腹絶倒・落涙必至の快作長編。/ 合言葉は、押忍。フツーのオヤジが、ヘタレな大学の応援団長にマジ社命で出向!?ヤバい学ラン姿が、限りなく愛しい。爆笑、ウルウル、熱い勇気がはじけ翔ぶ、応援小説。


ちなみに、行方不明のDVD録画のドラマに対する当時の評価は以下のとおりである。DVD捜して、もう一回ドラマ見直そうかな。もちろん、TVドラマ作品より原作の方がよくできているのは当然であるが。

マイナビ【レポート】"超低視聴率"と"視聴者満足度トップクラス"の謎、『あすなろ三三七拍子』がドラマ史に残る誤解を招いた理由とは   木村隆志  [2014/09/03]
 8月26日放送の第7話が3.6%の記録的低視聴率で話題になったドラマ『あすなろ三三七拍子10+ 件』(フジテレビ系毎週火曜21:00~)。9月2日放送の第8話は5.5%とやや盛り返したものの、平均視聴率ではいまだ最下位に停滞している。
 しかし、その一方で涙腺崩壊者を続出させ、『YAHOO!テレビ』「ドラマクチコミランキング」であの『HERO』に迫る33番組中5位に浮上。先週に限定すると、『HERO』をはるかにしのぎ、朝ドラ『花子とアン』に次ぐ2位を記録している。
 しかもそのクチコミは、「毎週家族で涙を流しながら見ています」「文句なしで今クール一番」「逆に見てない人が残念に感じる」「初めて投稿します。このドラマを応援したいから!」「男の人(主人)がこんなに泣いたのを見るのは初めて」「しょうもない特番に代わるのなら打ち切らないで」と熱狂的なものばかりだ。
 さらに、「ドラマ『あすなろ三三七拍子10+ 件』の完走を見届け、連ドラ打切りシステムを無くそう」という署名ページが生まれるなど、同番組の"応援団"が増え続けている。
 実際、私も評論家として冷静な目で見ようとしているのだが、毎回泣かされてばかり。放送は残すところ1話のみだが、それでも見る価値のある作品だけに、最終回に向けてその誤解を解き、魅力を伝えていきたい。

痛かった"第ゼロ印象"のつまずき
 視聴率低迷の理由は、多くの人が思っている通り、"応援団"というテーマへの違和感が大きい。「汗、涙、一生懸命」でもピンとこない時代なのに、「年功序列、命令、理不尽、しごき」と聞いたら、その入り口だけで敬遠した人が多かったのではないか。
 しかも、「"おっさん"の柳葉敏郎が団長になる」荒唐無稽な設定と、ネットで叩かれやすいキャストたちの共演が知れ渡ったことで、スタート前からその流れが加速度を増した。一度も見てないのに、「意味不明」「時代遅れ」「暑苦しいだけ」などのネガティブなクチコミが飛び交い、事態はどんどん悪化。言わば、第一印象以前の"第ゼロ印象"が極めて悪かったのだ。そして案の定、初回視聴率は今期プライムタイム(19~23時)最低のわずか7.7%に留まってしまった。
 また、ゆったりとしたテンポで説明的な描写の多かった第1話を見て、「おっさんが学ラン姿で声を枯らして叫ぶドラマ」と見なした人もいただろう。しかし、このように最初の1~2話は派手な演出に走らず、丁寧な描写で綴っていくのは連ドラの王道。こんな序盤があるからこそ、中盤、終盤に向けてキャストへの感情移入やカタルシスが高まっていくのだが、昨今の視聴者は想像以上にせっかちだった。一度「ダメ」どころか、「微妙」とみなしたものですら、もう二度と見ようとしないのだ。
 そしてもう1つ忘れていけないのは、フジテレビによる宣伝不足。『HERO』はスタート前から大量に番宣が施され、思わぬ苦戦を強いられた『若者たち2014』もテコ入れ策が見られたが、同作品はほぼなし。連ドラのテーマには、番宣での内容説明やフォローが必要なものと不要なものがあるが、続編&リメイクの前2作品より『あすなろ三三七拍子10+ 件』は明らかに必要な部類。つまり、手をかけてあげるべき作品なのに、誤解を解く作業すらしなかったのは残念でならない。「数字を取れそうなところに力を入れる」「ダメなところは早めに打ち切ればいい」という姿勢で視聴者の支持を得られる時代ではないのだが……。

次の作品に影響必至の絶叫エール
 では、なぜ『あすなろ三三七拍子10+ 件』がここまで熱狂的なファンを集めているのか? 考えられる理由は以下の5つ。
 1つ目は、団員たちの必死な姿。まず「大雨の中で懸命のエール」「地獄の合宿で倒れそうな団員たちにOBが声を枯らしてエール」「病院前で親友に向けて無言のエール」「多摩川で今までの悲しみを叫んだエール」「家を出た妻に対する愛のエール」など応援の背景にグッとくる。しかもそれを演じる柳葉敏郎は、夏場に長ランを着込み、常に顔は紅潮し、声はガラガラ。次の作品に影響がありそうなほど身を削り、声帯を痛めつけてエールを送り続ける姿は、理屈抜きで感動を誘う。
 2つ目は、目新しさと連ドラらしさ。「人が殺されてばかりの刑事モノに飽きた」「今クール連発の不倫モノは受けつけない」などショッキングな設定・演出に頼ったドラマが多く、それに辟易している人は多い。しかし、同作品にはドロドロの人間関係は一切なく、あるのは「等身大の日々を懸命に生きる」人々の姿だけ。そしてこうした熱い群像劇は、80~90年代の"連ドラ黄金期"によく見られた作風だったりする。
 3つ目は、それぞれの立場から見た人間関係の面白さ。「現役団員とOB」「応援団とチアリーダー部と吹奏楽部」「応援団とライバル校応援団」「団員とその妻子」など、実に多彩な対比があり、そこから発生する人間ドラマが味わい深い。ときに反発し合い、ときに立場を超えて応援し合う姿が感動を呼んでいるのだ。とりわけ楽しいのは、イマドキな現役団員・翔(風間俊介)と時代錯誤なOB・齊藤(反町隆史)&山下(ほんこん)の相容れない関係。ただ、OBたちのシゴキは単なる理不尽ではなく、全て意味が込められている。
 4つ目は、何気に豪華なスタッフ。原作は数々の受賞歴を残る重松清、脚本は『Dr.コトー診療所』の吉田紀子ら、演出は『謎解きはディナーのあとで』の土方政人ら、音楽は『あまちゃん』の大友良英、主題歌はスピッツと、実は盤石とも言える布陣なのだ。
 5つ目は、名言の数々。あまり知られていなかった"応援の意味"に加え、人生にも当てはまる名言がポンポン飛び出すのは、人と真剣に向き合っているからなのか。最後に名言を挙げておいたのでぜひ見て欲しい。

感動の第5話はスタッフすら涙……
 なかでも出色だったのは、小林プロデューサーが「原作を読んで最も映像化したいと思っていたエピソード」と話す第5話。主なあらすじは、以下の通り。
 団員の健太(大内田悠平)は、病院で余命わずかの父・康夫(三浦誠己)に付き添っていた。康夫は団のOB・齊藤(反町隆史)と山下(ほんこん)の同級生であり、当時の野球部エースだが、ある日容体が悪化。それを知った齊藤と山下は大介(柳葉敏郎)と3人で病院へ向かう。すると健太は、昨晩一度だけ目覚めた康夫と少しだけ話ができたことを明かしはじめた。
 康夫は健太に語りはじめた。「人間には2種類の人間がいる。人のことを応援できる人間と応援できない人間だ。人の事を応援できない人間は、人からも応援してもらえない。お前は応援団に入ったんだ。とにかく心から人のことを応援できる人間になれよ」「オレはそんな人のことを応援できるやつは2人だけ知っている。同期の齊藤と山下だ。オレはマウンドで投げているとき、あいつらに励まされて投げ抜いたんだ。ピンチになってうつむいたとき、スタンドから山下の太鼓が聞こえてくる。『顔あげんかい! まだ負けたわけやないぞ! はよ顔あげんかい!』、そうやって山下の太鼓に励まされて顔を上げると、スタンドのてっぺんに齊藤の掲げる団旗が見えるんだ。風の強い日に旗が音を立ててバタバタ広がっても、あいつはビシッと旗を立てて、それを見てると『オレも頑張らなきゃ、ここで逃げ出すわけにはいかない』と思って立ち直れたんだ」「でもオレやっぱり打たれて、もうダメだって思って心がオレそうになったときに齊藤と山下のバカでかい声が聞こえてくる。あいつらがオレを信じてずっと声を出してくれている。だったらオレもその思いに応えなきゃって、粘って粘ってひたすら投げ抜いたんだ。だから健太、あいつらみたいに心から人のことを応援できる人間になれよ」と約20年間、秘められていた思いを明かした。
 これを聞いた山下は「届いてたんや、わしらの応援が……」、齊藤も「ああ、当たり前じゃ!」と感動。病院の外へ出て、当時のように離れた場所から無言のエールを送りはじめた。
 康夫は「齊藤と山下はきっとどこかでオレのことを見てる。あのころ、スタンドから見てたように。だから『あいつらに恥ずかしくないように生きなきゃ』とずっと思っていた」とも語った。これを聞いた健太は、「自分、団に入って本当によかったと思います」と確信。大介は「あとはお前だ。とにかくそばにいてお前のエールを親父さんに届けろ」と力強く励ました。
 さらに大介は翔(風間俊介)に向かって、「お前はあのエールがぐっさん(康夫)に届いてないと思うか? どれだけ応援しても奇跡は起こらないかもしれない。でもあのエールは、絶対ぐっさんに届いてる。オレたちはひたすら応援することしかできない。だがきっと、それでいい」とうなずいた。最後は沙耶(剛力彩芽)も加わって全員で病室へエールを送り、康夫の死を見届けた健太は病室の窓を開け、「押~忍!」。団員たちも「押~忍!」で返した。
 その他、保阪(風間俊介)の団に対する想い、チアリーダー部部長・玲奈(高畑充希)の葛藤もあり、見どころ尽くし。「撮影現場でも多くのスタッフがリハーサルの時点から涙をこぼしていた」というから、見逃した人もオンデマンドで見てはいかがだろうか。
 応援団と聞くと、精神論のような印象を受けるが、このドラマから感じるのは、信頼と優しさ。「誰かを応援したくなる」「大事な人を大事にしようと思える」ものが詰まっている。

心に染みる名言がズラリ
 最後に、ここまで読んでもピンとこない人に向けて、同ドラマの名言集を挙げておきたい。
 「応援というものは、そもそもごう慢なことなんです。精一杯頑張ってる人間に『もっと頑張れ』と言うわけですから。ですからわれわれ団は応援される人間よりも、もっともっとたくさん汗をかくんです。人に『頑張れ』と言うからには、応援するわれわれがもっと頑張らなければ応援する資格なんぞ持てません」
 「(地獄の合宿から逃げようとした部員に)お前はここまでよく頑張った。お前はな、一番最初にオレのところに訪ねて来てくれた団員だ。だからいなくなったら痛い。でも、お前は十分頑張った。だから、これを挫折だなんて思うなよ」
 「『団は家族じゃ』言うたじゃろ。隠し事はしない、困ってたらすぐに飛んでいく、家族はどんなことがあっても家族じゃ。どんなことがあっても応援する。それが家族なんじゃ」
 「私は今まで、まわりのみんなを応援する側の人間だと思っていたんですよ。でも、本当は同期とか後輩とか周りのみんなに応援されてたんだな、って部長になって初めて気付いたんです」
 「人生も応援も同じようなものなんじゃないかな。失敗に失敗を重ねて、恥を幾重も上乗りするようなことになっても、人はそうやって成長していくもんじゃないか。先があるってことは幸せなんだぞ」
 「学ランはなあ、団の魂だ。学ランの襟が何でこんだけ高いか知ってるか? うつむかないようにするためだ」
 「わしは団の人間だから、家族のことも人一倍応援したいと思うとるし、できているとも思うていた。でもいなくなって気づいたんだ。わしが応援していたんじゃない。家族が応援してくれてたんじゃ」
 「(家を出た妻に向けて)結婚して20年、オレはお前を幸せにしてきたつもりでいた。いつも応援してきたつもりでいた。しかし、応援してるのはオレじゃない。オレはお前から応援されていたんだということにようやく気がついた。『押忍』と書いたパン、食べずに捨てさせてしまった。ごめん。朝食をパン食で続けてくれたり、学ランにアイロンかけてくれたり、今まで全部だ。お前はそうやってずっとずっとず~っと、オレを応援してれくれていた。お前がいなくなるまで、そんなことにも気づけないオレは、大馬鹿野郎の夫である! がしか~し、これだけは言わせてくれ。オレは家族を愛している。(娘の)美紀を愛している。ず~っと変わらず(妻の)藤巻広子を愛している。そんなオレでもこれからもずっと応援して欲しい。そして、オレにも全力で応援させてくれ!」
 書いていて熱い気持ちになるドラマもあまりないのだが、いかんせん文字では伝わらないところがある。それでもみなさんに伝えておきたいのは、「この作品が認められないのなら、人間の良心を描いたハートフルなドラマが消滅しかねない」ということ。これ以上、人間の暗部を描く刑事ドラマや、悪を懲らしめる勧善懲悪モノが増えて、誰が得をするというのだろうか。その責任は制作サイドだけでなく、視聴者にもあるような気がする。
 押忍。『あすなろ三三七拍子10+ 件』のキャストとスタッフに、全力でエールを送ってコラムを締めくくろう。
■木村隆志
コラムニスト、テレビ・ドラマ評論家、タレントインタビュアー。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴する重度のウォッチャー。雑誌やウェブにコラムを提供するほか、取材歴1000人超のタレント専門インタビュアーでもある。著書は『トップ・インタビュアーの聴き技84』など。

150727 憲法と民主主義の敵、安倍自民こそが宸襟を悩ませ奉る逆賊だ!謀叛人はわざと気付かぬ振りをする

2015年07月28日 01時19分33秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
7月27日(月):
安倍よさらば。憲法違反の安保法制を非難しない戦争大好き前原詐欺師は民主党から出ていけ!維新と合流しろ。
NEWSポストセブン安倍談話と真逆の天皇談話出れば国際的には上位の声明となる  2015年7月27日 7時0分
 攻める時は雄弁になる。それが安倍晋三・総理大臣のスタイルだった。「憲法解釈の最高責任者は私だ」「支持率のために政治をやっていない」──安保法制審議の中でも強気の発言を繰り返してきた。
 雄弁な総理と対照的に、黙々と国民のため、平和のための祈りを続けてきたのが今上天皇である。その天皇がついに「お言葉」を発する──安倍首相があれだけ入れ込んでいた戦後70年談話の格下げ(閣議決定をしない=私的談話となる方針が明らかになった)に動き始めたのは、沈黙を破って発される「お言葉」の重みが、政権を揺るがすことを怖れているからではないか。
 天皇は毎年8月15日に全国戦没者追悼式に出席し、「お言葉」を述べる。この20年近くは、例年、文面もほぼ決まっている。
〈ここに歴史を顧み、戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い、全国民と共に、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります〉
 だが、官邸が気にしているのは、安倍首相が歴史認識の転換を行なう内容の70年談話を出した場合、全国戦没者追悼式とは別に、天皇の特別な「戦後70年のお言葉」が発表されるという情報が流れたことだ。自民党幹部が語る。
「終戦記念日に陛下が先の大戦についてメッセージをお出しになるのではないかという情報は5月頃から流れている。陛下は先帝(昭和天皇)から、先の大戦で軍部の独走を阻止できなかった無念の思いや多大な戦死者と民間人犠牲者を出したことへのつらいお気持ちを受け継がれている。万が一、お言葉の中で首相談話から省いたアジア諸国の戦争被害に対する思いが述べられれば、安倍首相は国際的、国内的に体面を失うだけでは済まない
 安倍首相は戦後70年談話で日本の針路を変えるために、ブレーンの学者を集めた有識者懇談会でその内容を検討させてきた。
(閣議決定された)村山談話、小泉談話は、かつての戦争を「植民地支配と侵略」と定義し、アジア諸国への「心からのお詫び」という言葉が盛り込まれた。それに対して安倍首相は「侵略戦争は国際的な定義として確立されていない」「A級戦犯は国内法的にいわゆる戦争犯罪人ではない」(2013年、2006年の国会答弁)と従来の政府の戦争認識に批判的な歴史観を持ち、安倍談話では「侵略」や「お詫び」を“NGワード”とする考えを示唆してきた。
 そこに安倍談話と真逆の「天皇談話」が出されれば、国際的には「日本の国家元首のステートメント」として、首相の“私的談話”より上位の声明とみなされる。 ※週刊ポスト2015年8月7日号

150726 7月25日のTBS 報道特集「インドネシアでの戦時性暴力」は必見です。性奴隷は誤魔化せない事実!

2015年07月27日 01時20分16秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
7月26日(日):

昨日の報道特集を見そびれてしまったが、偶然このサイトで放送動画を全部見ることができた。これは日本国民必見の内容だ。特に、人でなしの歴史屋秦郁彦に見せてやりたい。現在、これだけの踏み込んだ水準の高い報道を作り上げることのできるのはこの「報道特集」だけだと言って過言ではない。やはりニュース番組は、キャスターのジャーナリストの力量が大きい。報道ステーションの古館伊知郎は一日でも早く辞めてほしい。権力に阿らず、しっかり対峙する金平茂紀(TBSテレビ報道局)、日下部正樹(TBSテレビ報道局)のコンビは最強だ。
ぜひ「4 098 石川逸子「日本軍「慰安婦」にされた少女たち」(岩波ジュニア新書:1993、2013) 感想特5」も読んで下さい。日本軍による「性奴隷」の犯罪行為の歴史が誤魔化しようのない事実であることが明確に分かるはずです。
日本人は戦争被害には非常に詳しいが、アジアでの戦争加害についてはほとんど無知に等しい状況である。これは、国際社会の重要な一員として責任ある地位を占める上で致命的な欠陥である。

TBS 報道特集「インドネシアでの戦時性暴力」(29分)  慰安所設置に関わった中曽根元首相 インドネシア元慰安婦の辛い証言 http://www.asyura2.com/15/senkyo189/msg/448.html 投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 7 月 26 日 10:55:05

報道特集 http://www.tbs.co.jp/houtoku/
7月25日の放送 インドネシアでの戦時性暴力
戦時中、日本軍が占領していたインドネシアでは現地の女性が「慰安婦」にされた。
また、強姦されたケースもある。

今なお、心の傷が癒えない戦時性暴力の被害者を取材した。
出演者:キャスター金平茂紀(TBSテレビ報道局)、日下部正樹(TBSテレビ報道局)
     小林悠(TBSテレビアナウンサー)/林みなほ(TBSテレビアナウンサー)
プロデューサー
制作プロデューサー:鈴木誠司/ 番組プロデューサー:齋藤泉、吉岡弘行/ 編集長:吉田豊

150726 安倍総理とメディアの会食は「業務妨害罪」「贈収賄罪」の可能性!? 学者の会・高山佳奈子氏が指摘!

2015年07月26日 14時00分04秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
7月26日(日):恥を知れ!朝日新聞のアイヒマン曽我豪!絶対に許さない!
    
IWJ Independent Web Journal【緊急アップ!】安倍総理とメディアの会食は「業務妨害罪」「贈収賄罪」の可能性!? 学者の会で刑事法学者・高山佳奈子氏が指摘!元共同通信・浅野健一氏も批判「御用メディアと闘わないといけない」   http://iwj.co.jp/wj/open/archives/254388
 「安倍首相と大手メディアの要職の方々との夕食会は、場合によっては、『刑事罰の対象になる行為』であることも考えられる」--。
 極めて重要な指摘をしたのは、京都大学大学院法学研究科教授(刑事法)の高山佳奈子氏だ。2015年7月20日に行われた「安全保障関連法案に反対する学者の会」の会見後、岩上安身のインタビューに応じた高山氏はさらに、「嘘の情報を意図的に流すということが実際に行われている。真実を解明する必要がある」と主張した。  
 同じく元・共同通信記者で元・同志社大学教授の浅野健一氏も、岩上安身のインタビューに応じ、強行採決の夜、安倍総理が読売新聞の老川祥一前社長と会食したことを紹介。「そういうことは一切やめなければいけないし、我々『学者の会』は『もうちょっとメディアに報道してほしい』とお願いする姿勢ではなく、メディアと闘わないと(いけない)。御用メディアとね」と語った。
 安倍政権と大手メディアの「癒着」とも批判される、この露骨な結びつきは一体どのようなものなのか。
 「安保法案 衆院本会議で可決 参院に送付 今国会で成立の公算」--。
 7月15日、衆院本会議で安保関連法案が可決された直後、NHKはこのような速報テロップを流した。確かに、参院も与党が過半数を占めており、また仮に審議が滞ったとしても「60日ルール」によって法案を衆院に差し戻すことができる。衆院で再可決すれば安保法案は成立する。
 NHKはこれらの情勢を踏まえ、「成立の公算」としたのだろうが、強行採決によって、安倍政権の支持率は急落。各社とも40%を割り込み、大半の国民が今国会での成立に反対している。
 NHKの報道姿勢は、こうした国民の声に耳を傾けておらず、野党不在の強行採決への批判も皆無である。与党の都合のみを材料に『法案は成立するだろう』などと予想立てることが「報道」といえるのか。他記者クラブメディアも同様である。
 このようにメディアが安倍政権におもねった結果、今回の強行採決に至る暴走を手助けしてしまった側面は大きい。東大法学部教授の石川健治氏は、ビデオニュースの番組で、こうした安倍政権の政治の進め方を「クーデター」だと断じている。
 安倍政権は明文改憲による憲法9条の改正を狙い、その憲法改正を定めた憲法96条そのものを改正しようとした。石川氏によれば、憲法96条を壊す行為は憲法そのものを転覆させる行為であり、これを法学的には「革命」と呼ぶ。しかしこの「革命」は国民の支持が得られず失敗に終わった。
 すると安倍政権は、今度は政府レベルで集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、与党単独での強行採決に及んだ。国民から支持を受ける「革命」に対し、国民を置き去りにした状態での法秩序の連続性を破壊する行為を、法学的には「クーデター」と呼ぶ。

 石川氏はこのように簡潔に理論立てているが、他にも、別の理論で安倍政権の行為を「クーデター」と断じている学者もいる。
 「学者の会」呼びかけ人の一人で、京大名誉教授の間宮陽介氏は、IWJへの寄稿で、以下のように指摘している。
 「憲法を頂点とする日本の法体系に憲法に反する法律を収める余地はない。もしそれが可能だとしたら現憲法の上に別の憲法が制定されたとするほかなく、自公政権は解釈改憲によって新たな憲法を打ち立てたことになる。だがこの憲法は正規のプロセスを経て制定されたものではない。ただの私的憲法に過ぎない。従ってもし法案が通れば、自公政権はクーデターを敢行したことになる 」 
 そして今回、岩上安身のインタビューで高山氏も、「昨年7月1日の憲法解釈を変える閣議決定は、クーデターです。立憲主義そのものを破壊する行為はクーデターと呼ぶしかない」と強く訴えた。
 閣議決定による憲法の実質的な変更、そして強行採決という「クーデター」に加担した大手メディアの罪とはどのようなものか。また高山氏が指摘する「刑事罰の対象」とは、具体的にどのような根拠があるのか。
 以下、高山氏と浅野氏の発言動画と全文書き起こしのリライト版を掲載する。 (原佑介・佐々木隼也)

↓安倍の鮨友達、幇間・宦官去勢豚メディアの恥知らずども↓ 絶対に赦さない!責任をとるまで、どこまでも追及する!(もみ)

岩上安身による高山氏へのインタビュー(文字起こし)
岩上「様々なメッセージや論文をお寄せくださいという呼び掛けに一番最初にお寄せいただいたのが高山先生でした。ありがとうございます。何を今、一般の人達にお伝えになりたいのか。そこのところをひとつ、一言お願いできますでしょうか」  
  •2015/07/13 【安保法制反対 特別寄稿 Vol.1】横田喜三郎先生の講演(「安全保障関連法案に反対する学者の会」呼びかけ人 京都大学大学院法学研究科教授(刑事法):高山 佳奈子さん)
高山氏「先ほどの発言の時には言えなかったことがありまして、それは民主主義に関することなんです。
 世論の中には『選挙で自民党が勝ったんだから、しょうがないじゃないか』という意見もかなりあるんですね。私は、それは正しい意見だとは思わないんです。なぜかというと、民主主義にとても必要な二つのことが欠けているというふうに認識しています。ひとつは、情報がきちんと正しく自由に流通しているかどうか、ということです。
 例えば、首相と夕食会というのをマスメディアの要職の方々がずーっと何十回も繰り返しているということがあり、これが国会でも質問の対象になりましたけれども、『私的に行っていることなので、明らかにならない』ということだったと思います。
 でも、場合によっては、これは圧力をかけたり、それから裏取引をしたりということは、場合によっては『刑事罰の対象になる行為』であることも考えられるんですね。
 『業務妨害罪』であるとか、あるいは民間の『贈収賄罪』というような犯罪類型もございます。これは、これから時間をかけて徹底的に明らかにしていくべきことではないかと思います」
岩上「これは要するに、権力とメディアが、一種の談合を行った場合、情報をそれで歪めるということは、贈収賄罪が成り立ちうる、と。すごい重要な指摘ですね」
高山氏「たとえば、嘘の情報を意図的に流すということが実際に行われているという、私に直接関係する問題点でもそういう経験がございましたので、これは本当に、市民たちの判断を直に誤らせることになってしまいますので、真実を解明する必要があると考えています。それがひとつです。
 もうひとつは、民主主義といっても多数を取った人たちが何でもできるということではなく、やはり政策の一貫性とか合理性、それから政策を転換する場合には、そのための合理的な説明と納得のいく説得というものが大事である。そのときに、今、行われようとしているのは、それらを一切無視したことでありまして、ずーっと政府は閣議決定で防衛白書の内容を承認して、その中で毎年毎年毎年毎年、『集団的自衛権は憲法違反です』ということを言ってきて、閣議決定してきたわけですよね。
 それをまったく正反対の見解に改めて、そのまま押し通そうということは、これは国民は何を信頼していいかもう分からないという独裁に突っ走ってしまう危険な行為であると考えていて、これも本来の民主主義のあり方とは真っ向から反するものだと思っております」
岩上「法学者の中にはですね、『あの時に法の支配の切断が行われた、そしてこれは国民が支持していない。国民が支持していれば革命だけど、国民が支持していない場合はクーデターである。法学的な解釈であれば7.1閣議決定はクーデターなんだ』という意見があります。これはどういうふうに考えていますか?」
高山氏「実は私も、今日は石川健治さんのインタビューを見まして、彼もクーデターと言っているな、と思ったところです。私自身もまったく、自分の考えとして、これはクーデターであると考えておりました。簡単なことです。立憲主義そのものを破壊する行為はクーデターと呼ぶしかないのではないかと思います」
岩上「民主主義は一任主義ではない、白紙委任したわけではない。そして憲法の範囲内でやらなければならない、ということですよね」
高山氏「そうですね。多数決ではすべてを決めることができない、というのが立憲主義の大きな原則のひとつですので、数で勝った人はその後なんでもしていい、という考え方はまったく誤ったことですから、一般の市民の方々にもそのことは十分理解していただきたいと思います」

高山佳奈子氏、会見でのスピーチ全文
高山氏「京大の高山です。私は専門が刑法、国際刑事法です。
 私たちの学者の会が最初に出したアピールには、英語バージョンがございます。そして、それが発表された少し後に、英語の署名フォームも公表されております。この英語署名フォームが、なぜ出来たかと申しますと、国際刑法学会のアメリカ部会長から『英語の署名フォームを作ってほしい』という要請があったために作りました。
 この国際刑法学会というのは、私も10年強、役員をやっている学会ですが、刑事法の分野から、国際平和に大変強い関心を持っている人たちが会員になっており、国際刑事裁判所の裁判官も複数会員ですし、各国の著名な学者・実務家が多く参加している古い学会です。
 この学会から、英文のほうの署名フォームに、事務総長がブラジルから署名してくれましたし、また、名誉会長、名誉副会長といった役職の方々が、フランスやスペイン、イタリア、そして旧ユーゴスラビア諸国といった主要な国々から賛同してくださっております。
 また、これとは別に、最近、アメリカのシカゴ大学やイエール大学、それからアジアのトップレベルの大学の憲法学の先生方が、日本で行われている今般の抗議行動に賛同、そして、表現の自由、報道の自由を重視する声明を発表しておられます。
 国際世論がどうなっているのかということは、みなさん関心があることと思いますが、私の認識は次のようなものでございます。
 たしかに、米軍の財政的、人員的な負担の一部を日本が肩代わりするということについては、そのほうがいいんじゃないか、という意見も諸外国にあることと思います。しかしながら、憲法を無視してそのような政策を推し進めるべきだという意見は、まったく寄せられておりません。憲法を無視してよいという国際世論は存在していないのです。
 アメリカ国民の方々は、憲法の大切さを最もよく分かっている人々だといえると思います。また、ヨーロッパでも、欧州人権条約を中心とする基本的人権の保障を掲げた法秩序があるわけでして、たとえば独裁国家とされるベラルーシは、欧州評議会に入れてもらえていないわけでして、ヨーロッパ諸国でも非常に、基本的人権、立憲主義が重視されているわけです。

 国際秩序というのは、物理的な力だけで決まっているわけではありません。世界一の軍事大国であるアメリカが世界征服しているかというと、していないわけです。なぜか。もちろん、それは国際社会においてもある程度の『法の支配』というものがあって、これを大きく拡大していくということが、私たちに課せられた使命であると思うわけです。
 また、理屈の面、理念の面だけでなく、事実的な面で考えましても、今般の憲法に反する政策を推し進めていけば一体どういうことになるのか。外国にいるジャーナリストやボランティア、一般市民の日本人が、たとえば、過激派によって拘束されたり殺害されたりする危険は、高まるんでしょうか、低くなるんでしょうか。これは明らかだろうと思います。
 また、先日のSEALDsの集会で鳥越俊太郎さんが話されていたことですが、無理な政策が通れば、日本でも、かつてスペインやイギリスで起こったような、交通機関を狙った爆弾テロが起きるかもしれない。そのような危険は、この政策を進めることによって大きくなりこそすれ、小さくなることはないのではないか、という警鐘を発しておられました。
 また、拉致問題の解決ということを考えても、アジアの周辺諸国との友好関係が何よりも大事なのであって、日本単独で軍事力を拡大するような政策を進めるというのは、色々な面において、むしろ日本人に対する危険を増すことのほうが大きいように思うわけです。
 国際刑事法の観点から申しましても、ボランティアとかジャーナリストなど、一般の民間人に対して、軍事攻撃を行うということは、それだけで国際犯罪、全世界からの非難を浴びる、人類に対する罪と考えられているわけです。
 これに対して、武器を持った人が、武力衝突によって死んでしまっても、それはやむをえないという評価にもならざるをえないのでして、まさにこれは逆説的ではありますけれども、武器を持たないこと、丸腰でいるということが、逆に、攻撃を避ける意味も持っているのではないか、と私は考えております。
 そういう意味では、『積極的平和主義』というのは、政府が言っているような内容ではなく、むしろ産業面や学術、研究、あるいは文化の交流を進め、国際的な協力関係をどんどん進めていくことによってこそ築かれるものであって、武器を揃えるとか、武器による抑止力を強めることによって秩序をもたらすという方向性は、全然、平和主義でもなんでもないというふうに考えております。
 もうひとつだけ、最後に申し上げます。
 京都大学では、今月のはじめに、『自由と平和のための京大有志の会』というのが設立されまして、そこが発表している『戦争は』という言葉で始まる声明書が、全国で大変好評を博しております。  •※「自由と平和のための京大有志の会」声明書
 このような、印象的な声明を発することができるというのも、大学ならでは、京大ならではというところがあります。しかし、その中でも政府の国立大学に対する圧力は強まる一方で、文系学部は廃止、などといった政策がまさに進められつつあるわけです。
 この反知性主義というのは、日本のこれからの国力をなくしていく、日本を滅ぼすような政策に他ならないと私は考えておりまして、安保法制の問題とともにここで提起したいと思います。ありがとうございました」

元・共同通信記者、浅野健一氏へのインタビュー(文字起こし)
浅野氏「岩上さんの今日の質問良かったね。私が代わりに答えたかったんだけど」
岩上「スルーされてしまいましたが…(※)」
  (※)岩上安身は会見で「メディアへの圧力について。この間、たいへん強いものがあった。またメディアも非常に偏向報道があった。NHKは国会審議をろくに報じませんでした。こうしたことについて、メディアや官邸に対して、学者の会として申し入れをする予定はあるか?」と質問。これに対し「学者の会」呼びかけ人であり、事務局長をつとめる学習院大教授(教育学)の佐藤学氏は、「すべてのメディアに対し、正当な報道をするよう働きかけていく」と言うにとどめた。
浅野氏「『参議院で通る公算大』というNHK報道がありました。新聞もこれまでずっとそうだったわけですよね。『安倍政権がこういうことやってくる』『今日決める』『通った』と。それで、みんなが諦める。
 私は『人民が闘わなければ(法案は)通る』というふうに言うべきだと、NHKに抗議したんですけども。国民が闘えば覆るわけですよね。これは国立競技場の問題でもはっきりしたわけですから。
 それから記者クラブの問題ですよね。今日も全然(来ていない)ですよね。 メディアの幹部との会食。官邸キャップとか。これも(7月)15日ですか。強行採決の夜、読売新聞の前の社長(老川祥一読売新聞グループ本社取締役最高顧問)とご飯を食べていますよね。そういうことは一切やめなければいけないし、我々の会は『もうちょっとメディアに報道してほしい』とかではなく、メディアと闘わないと(いけない)。御用メディアとね。
 良心的なメディアを育てていくこと。IWJとか、報道ステーションとか、報道特集、サンデーモーニングとか、東京新聞も頑張っている。そういうところを激励するようなことは絶対に必要ですね。
 今日も、メディア、ジャーナリズム学(の学者が)ほとんどいないんですよ。同志社大学でも、村田晃嗣・同志社大学長に対する批判声明を出したんだけど、メディア学なんかゼロですよ。(同志社大学には)8人いるが、誰も参加しない。
  7月13日、衆院特別委員会で開かれた中央公聴会に招かれた村田晃嗣同志社大学長(国際政治)が、多くの憲法学者が安保関連法案の違憲性を指摘していることに関して「学者は憲法学者だけではない」と反論した。これに対し、同志社大学(京都市)の教職員有志は15日、「きわめて政治的な観点からの演説」だった、「心から恥ずかしく思う」とする抗議声明を発表した。
 結局、メディア学の研究やっている人間がほとんどマスコミのOBなんですよね。マスコミ学会も、何もやっていないんですよ。昔の新聞学会は、稲葉三千男さんとかいっぱいいて、こういう時には必ず反対したんですよ。それが最近は、『一切政治に関与しない』『中立を守るんだ』とか言っている。
 今こそジャーナリズムがどうあるべきか問われているんですよ。逆に言えば今、ジャーナリストが一番輝けるとき。ジャーナリストの働きがもっとも今、求められています。応えられるジャーナリストが増えてほしいですよね」

150725一年前:140725NHK「復興・正念場の夏―建設バブルと被災地」感想5。東北棄民化!五輪より復興

2015年07月26日 03時17分02秒 | 一年前
7月25日(土):
140725 NHK「復興・正念場の夏―建設バブルと被災地」感想5。東北の棄民化進む!五輪より復興が先だ!
7月25日(金):NHKスペシャル「復興・正念場の夏―建設バブルと被災地―」pm10:00-10:50 久しぶりにNHKの意地を見せてもらった。現政権の被災地に対する不誠実、犯...

150722 民主主義のエッセンス 若者の声。常にここから考え始めること。

2015年07月23日 00時44分06秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
7月22日(水):

朝日デジタル安保法案の阻止が私の民主主義
アルバイト 塔嶌 麦太(東京都 19)
  私は安全保障関連法案の成立を止めるため、国家前の抗議行動に参加する。デモにも行く。友達にも呼びかける。こうやって投書も書く。できることは全てやる。
  「デモに行っても無駄」と多くの人は言うだろう。でも、私は法案成立を止められるからデモに行くのではない。止めなければならないからデモに行く。無駄かどうかは結果論だ。
  私は間もなく選挙権を手にする。この国の主催者の一人として、また「不断の努力」によって自由と権利を保持していく誇り高き責務を負った立憲主義国家の一員として、この法案に反対し、この法案を止める。
  声を上げるのは簡単だ。むしろ声を上げないことの方が私にとって難しい。なぜなら、私はこの国の自由と民主主義の当事者だからだ。戦争が起きてこの国が民主主義でなくなり、この国が自由を失ったとき、やはり私はその当事者だからだ。
  何度でも言う。私は当事者の責任において、この法案を止める。それが私の民主主義だ。この投書を読んだあなたが、もしも声を上げてくれたならば、それは「私たち」の民主主義になる。

150721 拡散希望!SEALDsKANSAI寺田ともかさんのスピーチに感動した。若者たちはよくわかっているのだ!

2015年07月21日 20時11分47秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
7月21日(火):

  若者たちの聡明さが目覚め始めた! 安倍の低劣さ、自民党・公明党(創価学会)の愚劣さは、もはや蔽うべくもなく若者たちに見透かされている。 この事実から目を逸らし、憲法違反を行い、国民をあくまでも馬鹿扱いしようとする高村なにがしや菅なにがし他、自民党以外でも民主党の前原なにがし、長島なにがしら多くの戦争好きの愚かな政治屋どもは必ず報いを受けるだろう!
  寺田ともかさん(21)のスピーチをまともに聞けば、安倍は恥ずかしくて死にたくなるだろう。安倍は間違いなく太字で歴史に残る愚か者・ピエロとして記憶されることになる。「歴史は繰り返す。最初は悲劇として、二度目は喜劇(茶番)として、過去の亡霊を呼び出し、その由緒ある衣装に身を包み、借りものの言葉を演じる。」(マルクス)

 日刊ゲンダイ:支持率軒並み急落…安倍政権「30%割れ」目前の“末期水域”に 2015年7月21日
IWJ Independent Web Journal【スピーチ全文掲載】SEALDsKANSAIともかさん「安倍総理。民主主義が生きている限り、私たちはあなたを権力の座から引きずり下ろす権利がある。私たちは来年、戦後71年目を無事に迎えるでしょう」http://iwj.co.jp/wj/open/archives/253905  7/19 20:21 
 「わたしは、戦争で奪った命を元に戻すことができない。空爆で破壊された街を建て直す力もない。自分の責任の取れないことを、あの首相のように『わたしが責任を持って』とか、威勢のいい言葉にごまかすことなんてできません」
 こう訴えたのは、寺田ともかさん(21)だ。衆院特別委員会で安全保障関連法案、いわゆる「戦争法案」が強行採決された2015年7月15日、若者ら有志の「SEALDs KANSAI」が大阪・梅田駅のヨドバシカメラ前で緊急街宣アピールを行った。この日、寺田さんがサウンドカー上で行ったスピーチは多くの反響を呼び、今もネット上で拡散し続けている。
 「安倍首相、二度と戦争をしないと誓ったこの国の憲法は、あなたの独裁を認めはしない。国民主権も、基本的人権の尊重も、平和主義も守れないようであれば、あなたは、もはやこの国の総理大臣ではありません」
 寺田さんは安倍総理に退陣を突きつけ、「民主主義がここに、こうやって生きている限り、わたしたちはあなたを権力の座から引きずり下ろす権利があります」と主張。「あなたはこの夏で辞めることになる。わたしたちは、来年また戦後71年目を無事に迎えることになるでしょう」と宣言した。 (原佑介)

【寺田ともかさんのスピーチ動画(約8分30秒)】 関西学院大学3年生寺田ともかさん。 本当に素晴らしい内容のスピーチです!人の心を動かす力があります。ちょっと涙こぼれた。ぜひ観て下さいm(_ _)m(もみ)  やるなあ!関学!
・日時 2015年7月15日(水)
・場所 梅田ヨドバシカメラ前
・主催 SEALDs KANSAI
 以下、スピーチの動画と、全文書き起こしを掲載する。
■以下、ともかさんスピーチ全文書き起こし
 「こんばんは、今日はわたし、本当に腹がたってここにきました。
 国民の過半数が反対しているなかで、これを無理やり通したという事実は、紛れもなく独裁です。
 だけど、わたし、今この景色に本当に希望を感じてます。
 大阪駅がこんなに人で埋め尽くされているのを見るのは、わたし、初めてです。この国が独裁を許すのか、民主主義を守りぬくのかは、今わたしたちの声にかかっています。
 先日、安倍首相は、インターネット番組の中で、こういう例を上げていました。『喧嘩が強くて、いつも自分を守ってくれている友達の麻生くんが、いきなり不良に殴りかかられた時には、一緒に反撃するのは当たり前ですよね』って。ぞーっとしました。
 この例えを用いるのであれば、この話の続きはどうなるのでしょう。友達が殴りかかられたからと、一緒に不良に反撃をすれば、不良はもっと多くの仲間を連れて攻撃をしてくるでしょう。そして暴力の連鎖が生まれ、不必要に周りを巻き込み、関係のない人まで命を落とすことになります。
 この例えを用いるのであれば、正解はこうではないでしょうか。
 なぜ彼らが不良にならなければならなかったのか。そして、なぜ友達の麻生くんに殴りかかるような真似をしたのか。その背景を知りたいと検証し、暴力の連鎖を防ぐために、不良が壊れる社会の構造を変えること。これが国の果たすべき役割です。
 この法案を支持する人たち、あなたたちの言うとおり、テロの恐怖が高まっているのは本当です。テロリストたちは、子供は教育を受ける権利も、女性が気高く生きる自由も、そして命さえも奪い続けています。
 しかし彼らは生まれつきテロリストだった訳ではありません。なぜ彼らがテロリストになってしまったのか。その原因と責任は、国際社会にもあります。9.11で、3000人の命が奪われたからといって、アメリカはその後、正義の名のもとに、130万人もの人の命を奪いました。残酷なのはテロリストだけではありません。
 わけの分からない例えで国民を騙し、本質をごまかそうとしても、わたしたちは騙されないし、自分の頭でちゃんと考えて行動します。
 日本も守ってもらってばっかりではいけないんだと、戦う勇気を持たなければならないのだと、安倍さんは言っていました。だけどわたしは、海外で人を殺すことを肯定する勇気なんてありません。かけがえのない自衛隊員の命を、国防にすらならないことのために消費できるほど、わたしは心臓が強くありません。
 わたしは、戦争で奪った命を元に戻すことができない。空爆で破壊された街を建て直す力もない。日本の企業が作った武器で子供たちが傷ついても、その子たちの未来にわたしは責任を負えない。大切な家族を奪われた悲しみを、わたしはこれっぽっちも癒せない。自分の責任の取れないことを、あの首相のように『わたしが責任を持って』とか、『絶対に』とか、『必ずや』とか、威勢のいい言葉にごまかすことなんてできません。
 安倍首相、二度と戦争をしないと誓ったこの国の憲法は、あなたの独裁を認めはしない。国民主権も、基本的人権の尊重も、平和主義も守れないようであれば、あなたはもはやこの国の総理大臣ではありません。
 民主主義がここに、こうやって生きている限り、わたしたちはあなたを権力の座から引きずり下ろす権利があります。力があります。あなたはこの夏で辞めることになるし、わたしたちは、来年また戦後71年目を無事に迎えることになるでしょう。

 安倍首相、今日あなたは、偉大なことを成し遂げたという誇らしい気持ちでいっぱいかもしれません。けれど、そんな束の間の喜びは、この夜、国民の声によって吹き飛ばされることになります。
 昨日テレビのニュースで、東京の日比谷音楽堂が戦争法案に反対する人でいっぱいになったと見ました。足腰が弱くなったおじいさんやおばあさんが、暑い中わざわざ外に出て、震える声で拳を突き上げて、戦争反対を叫んでいる姿を見ました。
 この70年間日本が戦争せずに済んだのは、こういう大人たちがいたからです。ずっとこうやって戦ってきてくれた人達がいたからです。
 そして、戦争の悲惨さを知っているあの人達が、ずっとこのようにやり続けてきたのは、紛れもなくわたしの、わたしたちのためでした。ここで終わらせるわけにはいかないんです。わたしたちは抵抗を続けていくんです。
 武力では平和を保つことができなかったという歴史の反省の上に立ち、憲法9条という新しくて、最も賢明な安全保障のあり方を続けていくんです。わたしは、この国が武力を持たずに平和を保つ新しい国家としてのモデルを、国際社会に示し続けることを信じます。偽りの政治は長くは続きません。

 そろそろここで終わりにしましょう。新しい時代を始めましょう。
 2015年7月15日、わたしは戦争法案の閣議決定に反対します。今日の採決に反対します。ありがとうございました。
 


150719 42万PV超:学者の会「安全保障関連法案の衆議院特別委員会と本会議での強行採決に対する抗議声明」 

2015年07月20日 22時28分51秒 | 閲覧数 記録
7月19日(日):記録ですm(_ _)m。ブログの開設から1380日。

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大事なことは、「安保法案は、憲法違反だから成立しない!不可能である!」ということだ。

朝日新聞デジタル安保法案に抗議声明 益川氏ら学者150人が会見   7月20日(月)21時9分配信
  「安全保障関連法案に反対する学者の会」に賛同する大学教授ら約150人が20日、東京都内で記者会見し、安保法案に対し「世論調査で反対多数の状況での強行採決は、国民の意思を踏みにじる立憲主義と民主主義の破壊」とする抗議声明を発表した。20日までに学者1万1218人、市民2万2779人の賛同が得られたといい、31日夕には学生らと共同で、集会や国会前での抗議行動をする予定。
  発起人でノーベル物理学賞受賞者の益川敏英・京都大名誉教授は「安倍首相が有事と思えば戦争ができるようになる。立憲主義に真っ向から敵対している」と批判。上野千鶴子・東京大名誉教授は「新国立競技場は市民の声で白紙に戻った。言えば通る。もっと深刻な安保法案も廃案に追い込める」と呼びかけた。
   池内了・名古屋大名誉教授は「科学者の軍事研究への動員が始まっている。安保法案を打ち破り、軍事研究をしない運動を広げたい」と述べた。高山佳奈子・京都大教授は「憲法を無視していいという国際世論はない。憲法に反する安保政策で、ジャーナリストやボランティアら外国にいる日本人への危険は増す」と説いた。(編集委員・北野隆一)
    ◇
 「安全保障関連法案に反対する学者の会」が20日に発表した、「安全保障関連法案の衆議院特別委員会と本会議での強行採決に対する抗議声明」の全文は以下の通り。 朝日デジタル
 7月15日衆議院特別委員会、翌16日本会議で、集団的自衛権の行使を容認することを中心とした違憲性のある安全保障関連法案が強行採決されたことに、私たちは強い怒りをこめて抗議します。
 各種世論調査では、戦争法制としての本質をもつ安全保障関連法案に反対が多数となり、8割を超える大多数が今国会での成立は不必要としていた状況の中での強行採決は、主権者としての国民の意思を踏みにじる立憲主義と民主主義の破壊です。
 首相自身が、法案に対する「国民の理解が進んでいない」ことを認めた直後の委員会採決強行は、現政権が国民世論を無視した独裁政治であることを明確に示しています。
 衆議院憲法審査会で3人の憲法学者全員が安全保障関連法案は「違憲」だとし、全国のほとんどの憲法学者が同じ見解を表明しているにもかかわらず、今回の強行採決が行われたことは、現政権が学問と理性、そして知的な思考そのものを無視していることのあらわれです。
 戦後の日本は憲法9条の下で、対外侵略に対して直接的な関与はしてきませんでした。政府は「安全保障環境の変化」を口実に、武力行使ができる立法を強行しようとしていますが、戦後日本が一貫してきた隣国との対話による外交に基づく信頼関係こそが、脅威を取り除いてきたという事実を見失ってならないと思います。
 私たちが6月15日に表明した見解は、多くの学者、大学人に共有され、いくつもの大学で、学生と教職員が一体となった取り組みが行われました。私たちは参議院での審議を注意深く見定めながら、立憲主義と民主主義を守り、この法案を廃案にするために、国民とともに可能なあらゆる行動を実行します。
 2015年7月20日    安全保障関連法案に反対する学者の会


日刊ゲンダイ<第3回>国民の支持があれば野党はまだ徹底抗戦できる 安保法案を潰す秘策を話そう/小沢一郎 2015年7月20日 
 政府与党は、安保関連法案を結局、強行採決し、可決した。これだけ国民の批判が盛り上がってきている時に、与党単独で採決するとは。私が与党なら、政権にとってさらなるイメージダウンのリスクを負うようなことはしない。もう少し知恵のある国会運営のやり方があるはずだ。しかし、安倍首相はそれでもやった。野党や国民の批判を、どうせ大したことないとナメてかかっているのだろう。
 安保法案が衆院を通過しても、諦めてはいけない。世論調査の結果を待つまでもなく、これから安倍首相に対する批判はますます強まると思う。
 国会用語で「荷崩れ」と言うが、強行採決によって野党は参院の審議にも即座には応じないだろうから、安保法案の審議は簡単には進まない。加えて、参院の自民党は衆院ほど統制がとれていない。おそらく、参院では採決できず、60日ルールで法案が衆院に帰ってくることになる。60日というと、9月14日だ。
 14日から会期末の27日まで、ちょうど2週間。ここで野党が徹底抗戦して頑張れるかどうかだ。野党がその気になれば、不信任案を連発することで、衆院での再可決を阻止できる。不信任案は他のすべての法案より審議が優先され、趣旨説明には時間制限がない。ひとりで3日でも4日でもしゃべり続けることもできるから、2週間でも必ずしも採決に十分というわけではない。安保法案を成立させないために、少数野党でも、まだできることはある。
 ただ、少し気がかりだったのは衆院での採決における野党の戦い方だ。日本の将来を左右するような法案なのに、安倍首相は無責任な態度で、いい加減な説明を繰り返した。私の常識からすれば、こんな状態では到底、採決に応ずることはできない。だから生活の党は本会議の冒頭から欠席した。だが、民主、維新、社民、共産の4野党は本会議の採決で討論をしてから退席した。討論で自分たちの意見を表明した方が得策だということだが、討論というのは採決の前提条件であり、採決行為の一場面でしかない。討論して反対しておいて、退席というのは、私から言わせれば、筋が通らない。これでは、反国民、反歴史的な政府との徹底的な闘争には結びつかないのではないか。
 だからこそ、ここから先、野党が徹底抗戦できるかどうかは、国民のみなさんの支持にかかっている。国民が野党の抵抗をバックアップし、それを行動で示して欲しい。10万人、20万人という国民が国会や首相官邸を埋め尽くし、法案反対の意思表示を見せてくれれば、野党は頑張れるし、自民党内もガタガタし始める。
 ここまで高まった国民の意識は、法案の衆院通過でも薄れることはないと思う。この先も野党はできるだけ力を合わせてやっていくことを模索していかなければならない。ぜひとも、みなさんの応援をお願いしたい。

150719 回復すべき『コモン=センス』:「声明書」(自由と平和のための京大有志の会)

2015年07月19日 22時42分08秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
7月19日(日):

自由と平和のための京大有志の会「声明書」

戦争は、防衛を名目に始まる。/戦争は、兵器産業に富をもたらす。/戦争は、すぐに制御が効かなくなる。

戦争は、始めるよりも終えるほうが難しい。/戦争は、兵士だけでなく、老人や子どもにも災いをもたらす。/戦争は、人々の四肢だけでなく、心の中にも深い傷を負わせる。

精神は、操作の対象物ではない。/生命は、誰かの持ち駒ではない。

海は、基地に押しつぶされてはならない。/空は、戦闘機の爆音に消されてはならない。

血を流すことを貢献と考える普通の国よりは、/知を生み出すことを誇る特殊な国に生きたい。

学問は、戦争の武器ではない。/学問は、商売の道具ではない。/学問は、権力の下僕ではない。

生きる場所と考える自由を守り、創るために、/私たちはまず、思い上がった権力にくさびを打ちこまなくてはならない。


ついでに、マルティン・ニーメラー牧師の詩『彼らが最初共産主義者を攻撃したとき』

【1】ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった/私は共産主義者ではなかったから
社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった/私は社会民主主義ではなかったから
彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった/私は労働組合員ではなかったから
そして、彼らが私を攻撃したとき/私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった

【2】ナチ党が共産主義を攻撃したとき、彼は多少不安だったが、共産主義者でなかったから何もしなかった
ついでナチ党は社会主義者を攻撃した。彼は前よりも不安だったが、社会主義者ではなかったから何もしなかった
ついで学校が、新聞が、ユダヤ人等々が攻撃された。彼はずっと不安だったが、まだ何もしなかった
ナチ党はついに教会を攻撃した。彼は牧師だったから行動した―しかし、それは遅すぎた

150719 毎日新聞【社説】視点:安保転換を問う ドイツの教訓=大木俊治

2015年07月19日 22時07分16秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
7月19日(日):

毎日新聞【社説】視点:安保転換を問う ドイツの教訓=大木俊治 2015年07月19日 02時30分
 ◇「戦死者」を出した苦悩
 第二次世界大戦で敗れた日本とドイツは戦後、ともに不戦の誓いをたて、国外派兵に慎重な姿勢をとってきた。憲法解釈を変更してこの「特別の道」から脱却したドイツは、多大な犠牲と苦悩を経験した。日本はその教訓をくみ取り、安保法制の議論にも生かすべきではないか。
 ドイツは憲法にあたる基本法で国防軍の役割を明記し、集団安全保障への参加も認めているが、加盟する北大西洋条約機構(NATO)域外への派兵はできないというのが従来の基本法の解釈だった。これを1992年にコール政権が変更し、域外派兵に踏み切った。憲法裁判所も「連邦議会の過半数の同意」を条件に「合憲」のお墨付きを与え、ドイツは旧ユーゴスラビアやアフガニスタンで軍事作戦や治安維持活動に参加した。
 アフガンでは想定外の事態が続いた。紛争の泥沼化で増派を迫られ、派遣規模は当初の4倍近い最大4500人に増えた。戦闘行為には参加しない前提だったが、自爆テロなどで55人の「戦死者」を出し、多くの兵士が心身に傷を負って帰国した。
 またドイツ軍大佐の誤った通報による米軍の爆撃で住民百数十人が死亡し、戦後初めて「加害者」となる苦悩を経験した。それにもかかわらず、危険地帯への部隊展開を拒否したことで他の同盟国からは批判された。
 こうした現実にドイツ国内では国外派兵を疑問視する声が強まり、2011年のリビア攻撃への不参加決定には派兵に反対する世論が大きく影響した。しかし、いったん出動したアフガンから撤退することはできなかった。他国との合同作戦に穴を開け、国際的な信用を大きく損なうことになるからだ。
 日本が海外派兵に道を開けばドイツの経験はひとごとではなくなる。安倍晋三首相は衆院の審議でドイツの例をどう考えるか質問された際に、「アフガンのような治安状況は一般に想定されない」とはぐらかし、「想定外」の可能性を語ろうとしなかった。早稲田大法学学術院の水島朝穂教授は「ドイツの失敗例を直視すべきだ」と訴える。
 ドイツは05年制定の「議会関与法」で、国外派兵する場合は原則として政府が詳細な計画を議会に提案し、承認を得るよう義務づけた。08年には憲法裁が議会同意なくトルコでNATOの監視活動に参加したケースを「違憲」と判断した。議会の決定権を重視する流れが強まっているとも言える。
 日本でも国会の役割をもっと重視すべきだ。架空のたとえ話ではなく、現実を踏まえた議論をもっと重ねてほしい。(論説委員)

150719 朝日デジタル:(考論 長谷部×杉田)「違憲」指摘でも安保採決強行 民主主義とは

2015年07月19日 21時41分19秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
7月19日(日):

朝日デジタル(考論 長谷部×杉田)「違憲」指摘でも安保採決強行 民主主義とは  2015年7月19日05時00分
 安倍政権は高まる世論の批判を押し切り、安全保障関連法案を衆院通過させた。安倍晋三首相自らが「国民の理解は進んでいない」と認める中での採決の強行だった。長谷部恭男・早稲田大教授と、杉田敦・法政大教授の連続対談は今回、「違憲」との指摘を受けた法案の審議から、民主主義や社会にもたらした影響とその行方を展望する。
■結論を押しつけ「説明」と言う 杉田/理解進んだからこそ反対強い 長谷部
 杉田敦・法政大教授 自民、公明の与党が採決を強行し、安全保障関連法案が衆院を通過しました。
 長谷部恭男・早稲田大教授 立憲民主主義の危機が新たな段階に入ったと思います。内閣が、憲法違反の法案を議会に提出したことがすでに危機でしたが、衆院がそれを通してしまった。しかも、安倍首相が米議会で「夏までに成就させる」と約束してしまったので、何としても成立させねばならないという、「個人的事情」への配慮が背景にある。主権者たる国民を何だと思っているのでしょう。
 杉田 「国民に丁寧にわかりやすく説明していきたい」。委員会採決後の、首相の発言には驚きました。説明とは、決める前に、合意形成のためになされるものでしょう。
 長谷部 反論を聞いたり、説得したりする気はまったくないと。
 杉田 自らの結論をただ押しつけることを、安倍さんは「説明」と言っている。福島第一原発事故まで当然視されていた「リスクコミュニケーション」のやり方と似ています。原発が安全だという結論はもう出ている、反対しているのは知識が足りない感情的な人たちだ、専門家が丁寧に説明して安全であることを理解させねばならないと。
 コミュニケーションと言いながら双方向性はなく、「上」からの一方的な「ご説明」です。事故が起きて振り返ってみれば、反対にも合理的な根拠があったことがはっきりしました。
 長谷部 首相は委員会採決の直前に、「国民の理解が進んでいる状況ではない」と答弁しましたが、私は、国民の理解はむしろ進んでいると思います。法案は違憲の疑いが濃く、日本の安全保障に役立ちそうもない。そうした理解が進んだからこそ、反対の声が強いのだと思います。
 杉田 これまでの審議を振り返ると、政府側の答弁はまったく誠実さを欠いていました。どのような場合に集団的自衛権を行使できるのかと聞かれても、安倍さんは「総合的に判断する」と繰り返すばかり。時の政権に白紙委任しろと言っているに等しく、不安が広がるのは当然です。
 長谷部 安全保障で「総合的判断」とぼやかすのは危険です。明確な線を引いておかないと、相手もどこまで行けば攻撃されるのかわからない。偶発的な衝突の可能性がかえって高まります。

■憲法論はずせばブレーキない 杉田/「右向け右」自律性なき多数決 長谷部
 杉田 一方で、野党も稚拙だったと言わざるを得ない。衆院憲法審査会で長谷部さんら憲法学者3人の参考人が全員、法案は「違憲」だと指摘し、合憲か違憲かという論点が前面に出た。ところが、野党はその後も、技術的な論点や、政府側の答弁の細かい齟齬(そご)の指摘に時間を費やした。それでは勝負になりません。
 長谷部 危機の想定は無限に可能なので、安全保障をめぐる議論の土俵は構造的に、拡大推進したい側に有利になっています。その傾いた土俵の上では、安倍さん流の「危機に備えるのが政治家の責任」という論法が妙に説得力を持つ。
 杉田 その通りです。今回は安全保障法制なのだから、憲法論に拘泥するのは本質的でないといった批判が、推進側の周辺から出ていますが、それは違う。違憲立法はできないという立憲主義の要請に加えて、日本の戦後においては、合憲か違憲かの線引きという形で、安全保障をめぐる議論が実質的に行われてきた。
 「備えあれば憂いなし」という政治家の論法に対して、内閣法制局などの法律専門家がどうしてブレーキをかけられたのか。それは憲法解釈を争点にしたからです。憲法論をはずしてしまえば、もうブレーキはどこにもない。拡大路線を止めることがいかに難しいかは、戦争の歴史と原発の歴史が示している。そして、それが危ないと国民も思っていることは、「違憲」指摘後の世論の反応にあらわれています。技術論で戦えるなどと過信しているのは野党の政治家だけです。
 長谷部 細かい議論で押しとどめることはむずかしい。どこからが違憲かという議論を通じて「ここまでしかできない」という線をまず引き、その内側で何ができるのかを考えるのが、有効かつ合理的です。
 杉田 そもそも野党は、「違憲だ」と言うだけで十分責任を果たしています。裁判になぞらえれば、検察官である政府・与党の「これが犯人だ」という主張には根拠がないと指摘するのが、弁護士である野党の役割で、立証する責任はあくまで政府・与党の側にある。そのような役割分担で、よりまっとうな結論が得られるようになる。
 「批判するなら対案を出せ」という政府・与党の論法は、検察官が弁護士に「批判するなら真犯人を見つけてこい」と言うようなもので筋が違う。野党の本分は対案を出すことではありません。
 長谷部 結局、いまの政府・与党は、多数決で勝つということでしか自らの正しさを主張できない。確かに「多数決は正しい答えを出す」という定理はあります。ただし、この定理が成り立つには、各人が自らの判断に基づき、自律的に投票することが前提です。
 しかし、自民党も公明党も、執行部が右と言えば右を向き、議員個人が自律的に投票しているわけではない。与党議員が何人投票しようと、実質的な投票総数は「1」。定理が成り立つ前提を欠いており、多数決の結果だから正しいとは言えません。

■危機感、動き出す主権者 長谷部/立憲主義浸透、勝負続く 杉田
 杉田 違憲という極めて重大な疑義が法案に突き付けられ、世論の批判も強まっている時に、自民党の内部から、このままではまずいという声がほとんど聞こえてこないのは異常です。首相の「応援団」からは、マスコミを「懲らしめる」という発言まで出ている。
 長谷部 米議会での首相演説に象徴されるように、外国向けには日本は民主主義や人権、法の支配など普遍的な価値を共有していると盛んにアピールしていますが、本音は違うということでしょう。民主主義の根幹である表現の自由を威圧する。法の支配を守らず、政権の思う通りの法案を通そうとする。日本はどんどん中国に似てきています。
 杉田 内閣が提出する法案が憲法違反でないかを事前にチェックしてきた内閣法制局が、首相主導の人事で骨抜きにされ、政権が暴走しやすい状況が生まれている。その上、与党の劣化が進んで立法府は政権の追認機関と化し、司法も十分にチェック機能を果たさない。現在の統治機構には、政権の暴走を止める装置がありません。
 長谷部 だからこそ国民が、このままでは国のかたち、社会のあり方が壊れてしまうとの危機感を募らせ、何とかしなければと動き出しています。敗戦を経て、戦後70年の間に築いてきた立憲民主主義という国のあり方を、これからも維持できるかどうか。それぞれ自分が使える回路を使って、国会に声を届ける。選挙で勝てば何をやってもいいということではない。主権者は白紙委任しているわけではないから、おかしいと思った時は行動に訴える責務があります。
 杉田 法案が衆院を通過しましたが、勝ち負けはまだ決まっていません。たとえば60年安保も、誰が勝ったのか負けたのか、いまだに評価は定まらない。岸信介元首相の安保改定は通ったけれども、反対運動が戦後民主主義を定着させた面があります。法案審議をめぐる議論の中で、今回、立憲主義の意義や、民主主義の価値に対する理解が社会の中でかなり深まった。
 憲法は権力を縛るためにあり、憲法に違反する法律をつくることは、政治体制の転換にも等しい問題なのだという認識が世論に浸透しています。これは非常に大きな成果で、今後の政治のあり方を根本のところで変えていくでしょう。主権者が主権者としてあり続ける限り、勝負は続きます。 =敬称略 (構成・高橋純子)

150718 記録です。906 PV、 199 IP:日本会議前原誠司詐欺師(民主党)への危機感が共感を得たのかな?

2015年07月19日 01時39分58秒 | 閲覧数 記録
7月18日(土):

今日の閲覧数が、意外なほど伸びているのでびっくりです! 特に 199 IPには「何があったんだ?」と思っちゃいました。結局、前原誠司のいる民主党にみんな薄々だが、俺と同じ危機意識を持ってるのかな、と思った。
昨日17日(金)の記事の一部を再掲載する。
 戦争大好きです! 日本会議会員の前原です。 お世話になった外国籍市民のおばちゃんもきちんと差別するよ!
17日(金)の記事抜粋:
しかし、今の俺は安倍や自民党よりも、安保法案強行採決、立憲主義破壊を前にして何の声もあげず鳴りを潜めている前原誠司詐欺師や長島昭久戦争屋が恐ろしい。こいつらのいる民主党の中途半端さが恐ろしい。

立憲主義を破壊する安倍政権に対して、前原詐欺師はなぜ前面に立って闘わないのか。これでは前原や長島は自民党政権が終わった後に、集団的自衛権と安保法案の責任を全部安倍自民党のせいにした上で、「成立してしまったものは仕方がない。白紙撤回するほどのことはない。俺たち(前原や長島)民主党が、ずっと上手に運用するので国民の皆様ご安心を!」と言いそうではないか。

前原誠司詐欺師も長島昭久戦争屋もともに極右団体「日本会議」の会員である! また、前原詐欺師は、「安倍自民は「観念的」保守であり、自分たちは「現実的」保守である。自分たちならもっとうまくやる」と言って根っこが同じ第二自民党であることを自白していて、それを自己批判もしていない。

安倍の命脈は、あまり長くないかもしれない。自民党は、安保法案成立と引き換えに、総理大臣の顔のすげ替えをしてイメージチェンジするかもしれない。それでも自民党政権に対して集団的自衛権閣議決定の撤回、安保法案の廃案を期待することはできない。大事なのは自民党政権と政権交代したおそらく民主党を中心とした勢力が、安倍以前にリセットして閣議決定を個別的自衛権に戻し、立憲主義を回復して政治状況を正常化できるかが最大の問題だ。

その時、今、安倍自民との戦いを長妻、辻本、岡田らに任せ切って、憲法を軽んじ、国民の意志を無視し、集団的自衛権の戦争法案成立にひた走る安倍政権に対する表立った批判、とくに集団的自衛権の強行を一切批判・非難しない前原詐欺師は、今鳴りを潜めて、将来集団的自衛権と戦争法案を自分も活用しようと考え、将来への言質を取られないようにずる賢く動いているようにしか思えない。


※ウィキペディア前原誠司より引用 *こいつに関する記述量の多さは異常だ。
他党との交友関係[編集]
安倍晋三[編集]
安倍晋三とは当選の同期であり、議員会館も隣りの部屋(安倍の部屋の前の住人は安倍晋太郎、前原の部屋の2代前の住人は安倍の祖父岸信介)。安全保障政策に関して気心知れた仲であり、2期目あたりまでは酒を一緒に飲みに行く仲であった(ただし安倍はほとんど飲めない)。現在もお互いの携帯電話番号は交換しており、安倍が選挙の応援演説で前原の選挙区に入る時、安倍の方から「ちょっと選挙区に入らせて貰います」と挨拶が入ることもあるという。
2007年8月27日に安倍改造内閣が発足すると、安倍との交友関係や小沢一郎との確執等の風聞をもとに、前原が防衛相として入閣する可能性が御厨貴、宮崎哲弥、与良正男などによって取り沙汰されたこともあった。
また、安倍内閣で幹事長を務めた中川秀直とも親しいとされる。
石破茂[編集]
石破茂との仲も良い。石破の出身地は鳥取県八頭町である。前原本人の出身地は京都市だが、父親は鳥取県境港市出身であった。双方とも首相の靖国神社公式参拝に反対している他、防衛問題でも意見が一致。鉄道やプラモデルの話題でも話が盛り上がるという。石破は、2008年(平成20年)9月に行われた自民党総裁選に立候補したが、これは前原との会話が間接的な原因となったとする報道がある[117]。


ついでに、

毎日新聞<反「安保」>拡大 全国で一斉抗議「アベ政治を許さない」 7月18日(土)20時30分配信
  
国会前で「アベ政治を許さない」のポスターを掲げ、安保関連法案への反対を訴える人たち。この日の抗議 澤地久枝さんと鳥越俊太郎さんの姿も=東京・永田町で2015年7月18日
 安全保障関連法案に反対して作家の澤地久枝さん(84)らが呼びかけた安倍政権に対する抗議行動が18日、全国各地であり、「アベ政治を許さない」と記したポスターを午後1時ごろに一斉に掲げた。主催したスタッフは「全国各地の1000カ所前後で実施されたと見込まれる」と話している。
 澤地さんの提案にジャーナリストの鳥越俊太郎さん(75)、作家の落合恵子さん(70)らが賛同。俳人の金子兜太(とうた)さん(95)が書いたポスターをインターネットのサイトに掲載し、それぞれが印刷して持ち寄った。
 メイン会場の国会前には澤地さん、落合さん、鳥越さんらも駆けつけ、主催者発表で5000人以上が集まった。時折小雨が降る中、参加者はポスターを一斉に掲げて「安倍政治を許さない」とシュプレヒコールをあげた。
 壇上に立った澤地さんは「政治を変えるのは(政権に)反対する人たちが手をつなぐ時だ」と呼びかけた。落合さんが「平和の破壊を私たちは許さない。2015年7月を新しい一歩にしよう」と語りかけると、講談師の神田香織さんは「新国立競技場の建設案だけでなく、安保法案も撤回すべきだ」と訴えた。最後に鳥越さんが「我々が心を一つに連帯し、声を上げることが国会を動かすことになる」と締めくくった。
 東京都杉並区の男性(65)は「傍観者じゃいられないと思い、初めて抗議行動に参加した。安倍政権は安保法案が違憲だと言われても耳を貸さない」と話し、東京都江東区の女性会社員(58)は「一緒になって立憲主義を覆す政治をやめさせたい」と語った。
 名古屋市東区では市政資料館前に市民約100人が集まり「戦争反対、憲法守れ」などと声を合わせ、午後1時にポスターを一斉に掲げた。講演で同市に来ていた上野千鶴子・東京大名誉教授は「今怒らないで、いつ怒るの。このまま法案が通れば、子どもたちに顔向けができない」と訴えた。
 福岡市中央区では、終戦間際に旧満州(現中国東北部)に渡った満蒙(まんもう)開拓団の苦難を描いた映画「望郷の鐘 満蒙開拓団の落日」の上映会後、観客約150人がポスターを掲げた。主催者がポスターを配って賛同を呼びかけた。観客の川添緋砂子さん(79)は「戦争が起これば市民はみな苦しめられる。戦争につながりかねない安保法案に強く反対しているので、抗議行動で意思表示ができてよかった」と話した。
 大阪市北区の扇町公園では、安全保障関連法案の廃案を求める弁護士らが呼びかけた集会があり、約1万1000人(主催者発表)が参加した。「憲法9条をいかす壮大な運動を巻き起こす」との決議を採択し、周辺の約2キロをデモ行進した。【一條優太、花岡洋二、川上珠実、山口朋辰】


※一言だけ…、「天木直人って、上から目線で偉そうで騒々しくって下品な爺さんだけはなんとかならんか…? 正直、うざ過ぎる!」

150329 タガ外せば歯止め失う 長谷部恭男・早稲田大学教授/「未来志向」は現実逃避 杉田敦・法政大学教授

 杉田 先日ドイツのメルケル首相が来日しました。戦後ドイツも様々な問題を抱えていますが、過去への反省と謝罪という「建前」を大切にし続けることで、国際的に発言力を強めてきた経緯がある。「建前」がソフトパワーにつながることを安倍さんたちは理解しているのでしょうか。  / /長谷部 そもそも談話が扱っているのは、学問的な歴史の問題ではなく、人々の情念が絡まる記憶の問題です。記念碑や記念館、映画に結実するもので、証拠の有無や正確性をいくら詰めても、決着はつかない。厳密な歴史のレベルで、仮に日本側が中国や韓国の主張に反証できたとしても、問題はむしろこじれる。相手を論破して済む話ではないから、お互いがなんとか折り合いのつく範囲内に収めようと政治的な判断をした。それが河野談話です。  / /杉田 談話の方向性や近隣との外交について「未来志向」という言い方がよくされますが、意図はどうあれ、それが過去の軽視という「見かけ」をもってしまえば、負の効果は計り知れない。安倍さんたちは、未来を向いて過去を振り払えば、政治的な自由度が高まると思っているのかもしれません。しかし政治の存在意義は様々な制約を踏まえつつ、何とか解を見いだしていくところにあります。政治的な閉塞(へいそく)感が強まる中で、自らに課せられているタガを外そうという動きが出てくる。しかし、それで万事うまくいくというのは、一種の現実逃避では。  / /長谷部 合理的な自己拘束という概念が吹っ飛んでしまっている印象です。縛られることによってより力を発揮できることがある。俳句は5・7・5と型が決まっているからこそ発想力が鍛えられる。しかし安倍さんたちは選挙に勝った自分たちは何にも縛られない、「建前」も法律も憲法解釈もすべて操作できると考えているようです。  / /杉田 俳句は好きな字数でよめばいいのだと。  / /長谷部 あらゆるタガをはずせば、短期的には楽になるかもしれません。しかし、次に政権が交代したとき、自分たちが時の政府を踏みとどまらせる歯止めもなくなる。外国の要求を、憲法の拘束があるからと断ることもできない。最後の最後、ここぞという時のよりどころが失われてしまう。その怖さを、安倍さんたちは自覚すべきです。 =敬称略(構成・高橋純子)朝日新聞『考論』

0015 オルテガ「大衆の反逆 (桑名一博訳;久野収解説)」(白水社イデー選書;1930)評価5

以下は、オルテガ所論の久野収による抜粋の抜粋である:///  オルテガによれば、政治のなかで「共存」への意志を最強力に表明し、実行していく政治スタイルこそ、自由主義的デモクラシーである。共存は、強い多数者が弱い少数者に喜んで提供する自己主張、他者説得の権利である。敵、それも最も弱い敵とさえ、積極的に共存するという、ゆるがない決意である。/その意味で、人類の自然的傾向に逆行する深いパラドックス(逆説)であるから、共存を決意した人類が、困難に面してこの決意を投げ出すほうへ後退したとしても、それは大きな悲劇ではあっても、大きな不思議とするには当たらない。/「敵と共存し、反対者と共に政治をおこなう」という意志と制度に背を向ける国家と国民が、ますます多くなっていく1930年代、オルテガは、「均質」化された「大衆」人間の直接行動こそが、あらゆる支配権力をして、反対派を圧迫させ、消滅させていく動力になるのだという。なぜなら、「大衆」人間は、自分たちと異類の非大衆人間との共存を全然望んでいないからである。略。///  「大衆」人間は、自分たちの生存の容易さ、豊かさ,無限界さを疑わない実感をもち、自己肯定と自己満足の結果として、他人に耳を貸さず、自分の意見を疑わず、自閉的となって、他人の存在そのものを考慮しなくなってしまう。そして彼と彼の同類しかいないかのように振舞ってしまう。/彼らは、配慮も、内省も、手続きも、遠慮もなしに、「直接行動」の方式に従って、自分たちの低俗な画一的意見をだれかれの区別なく、押しつけて、しかも押しつけの自覚さえもっていない。/彼らは、未開人―未開人は宗教、タブー、伝統、習慣といった社会的法廷の従順な信者である―ではなく、まさに文明の洗礼を受けた野蛮人である。文明の生み出した余裕、すなわち、贅沢、快適、安全、便益の側面だけの継承者であり、正常な生存の様式から見れば、奇形としかいいようのないライフスタイルを営んでいる新人類である。略。///  「自分がしたいことをするためにこの世に生まれあわせて来た」とする傾向、だから「したいことは何でもできる」とする信仰は、自由主義の自由の裏面、義務と責任を免除してもらう自由にほかならない。/われわれは自由主義の生みだした、この「大衆」人間的自由、自己中心的自由に対し、他者と共存する義務と責任をもった自由を保全しなければならないが、一筋縄でいかないのは、この仕事である。(160626:イギリスEU離脱について思うところ=もみ=)