10月12日(月):
254ページ 所要時間 3:30 図書館
著者57歳(1957生まれ)。早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。東京外国語大学大学院「平和構築・紛争予防講座」担当教授。国際NGOでスラムの住民運動を組織した後、アフリカで開発援助に携わる。国連PKO上級幹部として東ティモール、シエラレオネの、日本政府特別代表としてアフガニスタンの武装解除を指揮
明日に備えて寝ないといけないので簡略に。大人の本なので少し読みにくかった。終盤日本の現状、日本国憲法の可能性を語るところは明快で「やっぱり護憲でいいんだよな」と思えて良かった。
自称「紛争屋」による観念的ではない超「現実的」な護憲・憲法九条活用論。美しい国と称するバカの姑息さを超具体的にとことん教えてくれる本である。ネット右翼のごみクズ諸君、今後は本書を読んでから寝言を言いなさい。言える者なら。
集団的安全保障と集団的自衛権は全く違うもの。国連の発動する集団的安全保障には時間がかかり、拒否権などの障害があるので、それまでの間にとりあえず行使されるのが、個別的自衛権と集団的自衛権である。
領土問題、北朝鮮拉致被害者問題についても、取るべき手段と見解をしっかり解説している。
安倍自民の集団的自衛権の論拠の事例は、ことごとく個別的自衛権や国連問題などで解決するものであり、まったく間違っている。
戦争・紛争及び戦場の厳しさが肌身に感じるように語られるが、そこで必要なのは平時の正論・正義ではない。目の前の非道な大量殺人を止めるための常識外れに現実的な取引であり、ありえない免罪であり、国連による住民を「保護する責任」による内政干渉である。
自衛隊海外派兵の最大の問題点は、「軍法」を持たないことである。計り知れないほどの欠陥を抱えたままで、今も自衛隊は海外活動をしている。特に、南スーダンは、第二のルワンダになると言われている。そんなところで戦闘を避けるための撤退などありえない状況で「軍法」のない自衛隊が活動するのは、あってはいけないことである。
著者は、アフガニスタンで北部同盟の軍閥たちを武装解除したとき憲法九条を盾にして成功した経験をもとに、「日本にとって憲法9条はイージスの盾(ギリシャ神話)であり、グンニグル(北欧神話の主神オーディーンが持つ槍)である」と言い、「9条を変える決定を下すその前に、日本がテロリストと対峙し、交渉していく際の「グンニグル」として、9条を使っていくというのはいかがでしょうか?247ページ」と語る。
【目次】 第1章 集団的自衛権とは、そもそも何か/第2章 集団的自衛権をめぐるアメリカと日本/第3章 なぜ安倍政権は集団的自衛権を欲するのか/第4章 「集団的自衛権」の正しい使い方/第5章 日本の領土問題は集団的自衛権で解決できるか/第6章 自衛隊は人を殺しに行くのか
【内容情報】
あなたの払った「税金」で、自衛隊が人を殺すことを許容できますか?「憲法9条」も「日米同盟」も絶対ではない。国際紛争地に身を置き続ける“紛争処理のプロ”による集団的自衛権の「本質」がわかる決定的入門書!