もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

150215 衆参両院の「テロ非難決議」を非難する!「テロの本質」を真面目に語る政治家はいないのか!

 真面目に「テロの本質」を考えれば、その原因が、決して宗教の違いにあるのではなく、世界的に広がる富の偏在、極端な格差拡大、差別構造の継承、及びパレスチナ問題、それらによる<若者たちの絶望>にあることは、実は誰もがわかっていることだろう! それを「世界には凶悪なテロリストが大勢いて、こいつらを叩き潰せばテロが無くなる」なんて話に無理やりすり替えている。誰も、「テロの本質が、日本・世界の社会構造が抱える富の偏在・格差の拡大及びパレスチナ問題の<野放し状態>にこそある」という本質を語らないし、見させようとしない。そして、凶悪なテロリストへの恐怖ばかりを煽りたてている。これはまさにオーウェルの「一九八四年」の世界と同じだ。今回の国会の「テロ非難決議」に社民党・共産党まで加わっていたのには、あきれ果てた。「誰も本質を見ようとしない。」「武力で世界中の<絶望した若者たち>を封じ込めるべきではないし、不可能だ!」

秋原葉月さん「Afternoon Cafe」ブログから

※(1)「もちろん、普通の人間は戦争を望まない。しかし、国民を戦争に参加させるのは、つねに簡単なことだ。とても単純だ。国民には攻撃されつつあると言い、平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、国を危険にさらしていると主張する以外には、何もする必要がない。この方法はどんな国でも有効だ」byヘルマン・ゲーリング ※(2)いつの時代も大衆をファシズムに煽動する手口は同じ。なのに同じ手口に何度も騙されるのは過去に学んでいないから。格差を広げ、セイフティネットを破壊し、冷徹な自己責任論が横行する社会を継続させるのは簡単だ。今よりもっと格差を広げ、セイフティネットを破壊する政策をとればよい。そうすれば人々に自己責任論がもっと浸透し、草の根から勝手に右傾化してくれる。

辺見庸さんのブログから

・権力をあまりに人格的にとらえるのはどうかとおもう。口にするのもおぞましいドブの目をしたあの男を、ヒステリックに名指しでののしれば、反権力的そぶりになるとかんがえるのは、ドブの目をしたあの男とあまり変わらない、低い知性のあらわれである。権力の空間は、じつのところ、非人格的なのだ。だからてごわい。中心はドブの目をしたあの男=安倍晋三であるかにみえて、そうではない。ドブの目をしたあの男はひとつの(倒錯的な)社会心理学的な表象ではありえても、それを斃せば事態が革命的に変化するようなシロモノではない。権力には固定的な中心はなく、かくじつに「われわれ」をふくむ周縁があるだけだ。ドブの目をしたあの男は、陋劣な知性とふるまいで「われわれ」をいらだたせ、怒らせるとともに、「われわれ」をして社会心理学的に(かれを)蔑視せしめ、またそのことにより、「われわれ」が「われわれ」であることに無意識に満足もさせているのかもしれない。ところで、「われわれ」の内面には、濃淡の差こそあれ、ドブの目をしたあの男の貧寒とした影が棲んでいるのだ。戦争は、むろん、そう遠くない。そう切実にかんじられるかどうか。いざ戦争がはじまったら、反戦運動が愛国運動化する公算が大である。そう切実に予感できるかどうか。研ぎすまされた感性がいる。せむしの侏儒との「ふるいつきあい」がベンヤミンのなにかを決定した。そう直観できたアレントほどするどくはなくても、研ぎすまされた感性がいる。けふコビトがきた。ミスドにいった。(2015/11/11)

151230 57万PV超:大晦日の夜は、「コウノドリ」祭り(第9話、第10話)!酔っ払いながら気持ちよく泣けた!

2015年12月31日 21時59分37秒 | 閲覧数 記録
12月30日(水): 記録ですm(_ _)m。ブログの開設から1544日。

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151231 安倍に阿る犬曽我豪コラムが出ていた。目の穢れ!外道が法を説くな!読む前に破り捨てた。金返せ!

2015年12月31日 18時43分45秒 | 日記
12月31日(木):
 去勢豚の宦官曽我豪朝日新聞編集委員よ「斎藤美奈子の反骨の爪の垢でも煎じて飲ませて頂き、自分が汚い権力の幇間・手先であることに恥を知れ!」一定以上の知性をもつ購読者は、みんながおまえのようなコソ泥・道化記者を軽蔑して、笑って(怒って)いるぞ!もう一度言う「恥を知れ!」「朝日新聞を辞めろ!」

151230 一年前:141230大学生の投書に同感:“教育問題への取り組み”の特徴は「改革すると悪化する」

2015年12月30日 18時31分06秒 | 一年前
12月30日(水):
141230  大学生の投書に同感 :“教育問題への取り組み”の特徴は「改革すると悪化する」である(池上彰)

12月30日(火): 昨日29日(月)の朝日新聞の大学生の投書がよかった。どう考えても、この学生の声が真理だろう、と思ったので転載する。高校時代は「知識重視」でいい    ...


151230 一年前:4 034 池上彰「子どもの教育の「大疑問」」(講談社+α文庫:1999/2002) 感想4

2015年12月30日 18時28分34秒 | 一年前
12月30日(水):
4 034 池上彰「子どもの教育の「大疑問」」(講談社+α文庫:1999/2002) 感想4

12月29日(月):260ページ  所要時間 2:20   ブックオフ108円著者52歳(1950生まれ)。NHK「週刊こどもニュース」キャスター。 *偶然だが米原万里、内...


151230 白井聡FB、斎藤美奈子:日韓合意は従米の歴史修正主義者安倍の恥知らずで身勝手な田舎芝居

2015年12月30日 17時45分31秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
12月30日(水):
白井聡フェイスブック 12月29日 9:29
http://ajwrc.org/jp/modules/bulletin/index.php…
本件に関し、私は精通しているわけではないのですが、それでも少々言っておきたいと思います。
  まず、多くの方々指摘していることですが、「最終的、不可逆的解決」を語れるのは、政府ではなく被害者の方々のみです(この論理を否定する立場は、自覚の有無にかかわらず国家主義であると私は思う)。それでは、被害者の方々は、何を基準に「解決とみなせる」と言っているのか。リンク先の声明によれば、「事実の認定、謝罪、賠償、真相究明、歴史教育、追慕事業、責任者処罰」です。今回の政府間「合意」は、後半四つの項目(真相究明、歴史教育、追慕事業、責任者処罰)に関し、何一つ言及がありません。この点で、今回の「合意」は致命的欠陥に冒されていると私は考えます。
  ゆえに、残念ながら、日韓関係の棘であり続けてきたこの問題は、長期的にはまたもやさらにこじれることになるでしょう。合意内容によれば、今後の日本政府の義務は、10億円を払えばそれで終わりになります。例えば、教科書検定等を通じて歴史教育を放棄(より正確にいえば「禁圧」である)しても、文句をつけられるいわれはない、ということになった。他方韓国政府側は、「もう二度と蒸し返さない」ことを義務づけられた。特に難問は、ソウルの日本大使館前の慰安婦像の移動・撤去でしょう。支援者らがこれに抵抗すれば、強権的にやらざるを得なくなります。両国政府の負った義務の不均衡は明らかだと思います。
  なお、「元慰安婦支援団体は韓国における極右的団体であり、彼らは〈反日のための反日〉を事としている」という見方があります。私の経験上、支援勢力の一部にそうした傾向があるということは、信頼できる(と私が思う)筋から聞いたことがあります。しかし、当たり前ですが、すべての支援団体がそのような勢力であるわけがありません。
  思うに、日本における北朝鮮拉致被害事件をめぐる状況から推量が可能だと思います。同事件が表面化したとき、「救う会」は「北朝鮮政府を糾弾し、日本政府の不作為に抗議する」というそれ自体は真っ当な主張を展開しました。しかしながら、「救う会」が喧伝し始めたイデオロギーを見ると、「真っ当な主張」の動機が真っ当でなかったことが、明らかになりました。彼らの多くが、本当のところ被害者やその関係者の救済を望んでいるのではなく、一方的な被害者の立場を利用して思う存分ナショナリズム感情を満喫したいという動機に駆られているにすぎなかった。このことについては、蓮池透氏が様々な機会で告発しています。どの国でも、同胞が他国による著しく不正な行為の犠牲となったとき、こういうタイプの「愛国者」が必ず発生します。この現象を以って、「元慰安婦支援団体はみんないかがわしい」とする見方は、およそ公正ではありえないでしょう。
  最後に、今回の合意に関してポジティブなことがあるとすれば、次のことでしょう。まず、安倍晋三氏は、「国家の関与は証明されていない」といった類の妄言を二度と口にできないであろう、ということ。このことは、この世の中から不快なことをほんの少しだけ取り除いてくれる。それからもう一つは、今回の「合意」形成の経緯から、「日本の歴史修正主義者が歴史を修正できる範囲は、アメリカが決める」という構図があらためて周知されたことかもしれません。自国の歴史もアメリカ様から与えてもらう「愛国者」! この惨めな現状がさらされたことは、一つの前進かもしれません。


151229 忘れないことが我々の闘いだ! ※憲法だけじゃない 2015年に安倍政権が「破壊したもの一覧」

2015年12月30日 00時09分45秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
12月29日(火):   
日刊ゲンダイ:憲法だけじゃない 2015年に安倍政権が「破壊したもの一覧」  2015年12月28日 
  民意無視を許すな(C)日刊ゲンダイ
  戦後70年の節目を迎えた2015年も残すところあとわずか。この1年ほど戦後の日本にとって、政治権力の暴走で国民の権利や社会の骨組みをズタズタに蹂躙された年はない。破壊された掛け替えのないモノを、一つ一つ列挙していけば空恐ろしくなってくる。
  まず、憲法無視の安保関連法案の審議と採決を通じて踏みにじられたものはあまりにも多い。
  安倍政権は「集団的自衛権は行使できない」としてきた歴代政権の憲法解釈を正反対にくつがえし、自衛隊法など10本の改正案をひとつに束ねた一括法案と1本の新法を国会に出してきた。
  時の政権担当者の身勝手なヘリクツで憲法解釈を百八十度転換し、米国の議会で「夏までに成立させる」と先に約束してきた法案を、後から日本の議会に提出するデタラメ。むろん、憲法で権力を縛る「立憲主義」の常識も通じないうえ、一つ一つ論点の異なる関連法案を十把一絡げにして、丸ごと認めるか否かを国会と国民に迫る手法もムチャクチャだった。
  憲法学者の大半が「違憲」と指弾しても、安倍首相はどこ吹く風で「国民の安全を守る」という情緒的な紙芝居に興じていた。
  「丁寧な説明を心がける」と強調していた「熟議」の約束もかなぐり捨て、最後はつかみ合いと怒号の中での強行採決。委員長の姿は見えず、声も聞こえず、現場にいた多くの議員も何が起きたのか分からないまま、史上最悪の違憲法案は強引に「可決」されてしまった。
  「今年1年の安倍政権による憲法破壊は戦後最大の政治的犯罪です」と断言するのは、政治評論家の森田実氏だ。こう続けた。   「目の前で政治犯罪を許した国会も情けない。時の内閣の暴走を止められるのは国会だけなんです。そのため、日本国憲法は国会を『国権の最高機関』として内閣よりも上に置いています。与党議員にも国権の最高機関の一員としての矜持があれば、憲法破壊の法案に多くの造反者が出ていたはずです。ところが、安保法案の採決では暴走政権の追認機関に成り下がり、国権の牙城を進んで明け渡した印象です」
  だから、「憲法解釈の最高責任者は私だ」とカン違いし、最高権力者気取りの安倍が、ますますツケ上がる。安保法案で憲法9条を破壊した後も、臨時国会の召集要求に応じないなど、憲法をことごとく無視。召集要求をシカトし続けた3カ月間は外遊三昧で、大企業幹部を引き連れ、原発や武器輸出のトップセールスに精を出す始末だ。
  「戦後日本が70年かけて築き上げた『平和国家としてのブランド』を守るどころか、首相が先頭に立ってブチ壊しているのですから、最悪です」(森田実氏=前出)
  暴走一直線の首相にすれば「国民主権の大原則」さえ屁でもないのだろう。安倍本人は日本がこの1年で、すっかり「安倍サマ」の国になった気でいるのではないか。

強権政治が引き起こした腐敗のトリクルダウン

  来年も怒り続けろ!(C)日刊ゲンダイ
  この1年の安倍政権の強権政治によって、ぶっ潰されたものは数え上げればキリがない。政権の暴走とメディア自体の迷走が重なり、「言論の自由」だって風前のともしびである。
  その自由を完全に失いつつあるのがテレビ局だ。安倍の“お友だち”が支配する公共放送は論外として、民放キー局は時の政権におもねってばかり。思えば今年3月、元経産官僚の古賀茂明氏が「I am not ABE」発言で官邸からのバッシングを受け、報道ステーションを降板したことでタガが外れた。
  以降、政府与党に批判的な論陣を張るコメンテーターたちは民放キー局の“自主規制″によって報道番組はもちろん、精神科医の香山リカ氏やジャーナリストの青木理氏のように、情報バラエティーからも次々と姿を消した。
  今も安倍シンパから「放送法違反だ」と難クセをつけられた、TBSニュース23の岸井成格キャスターも交代が噂される。目に余るメディアの骨抜きぶりで、報ステを降板する古舘伊知郎氏あたりが「最後の砦」として、ありがたがられているような風潮が怖い。
  メディアから健全な批判精神が失われれば、権力の暴走は加速する。違憲の安保関連法案の強行採決の当日、憲法学者の樋口陽一東大名誉教授はこう訴えていた。
  「めちゃくちゃな内容の法案をめちゃくちゃなやり方で通そうとしている。放っておくと、憲法だけでなく、日本社会の骨組みそのものが危ない」
  今まさに日本社会をぶち壊そうとする政権に、骨抜きメディアはいつまで加担する気なのか。

■2016年は日本人の民度と良識が問われる
  「安倍政権は数が全てのゴマカシ政治によって、社会の成り立ちの前提となる『良識』を率先して破壊しています」と指摘するのは、筑波大名誉教授の小林弥六氏(経済学)だ。こう続けた。
  「その象徴が今年度の税制改正大綱です。安倍首相のゴリ押しで、法人税率20%台の前倒し減税を決めました。昨年の消費税増税以降、経済弱者ほど負担感の増す逆進性の苦しみから庶民の多くが抜け出せないまま、なぜ、大企業だけを優遇するのか。しかも、増税とセットであるはずの社会保障の充実は脇に置かれました。こうした格差を助長する税制によって失われるのは『税の公平性』だけでは済まない。“強きを助け、弱きをくじく”という腐敗政治がまかり通れば、必ず世は乱れます。
  すでに『今さえ良ければ何でもアリ』の風潮がはびこり、かつての名門企業からも良識が失われつつある。約7年間の長きにわたる東芝の組織ぐるみの不正会計や、三井不動産の傾斜マンション問題など大企業の信頼はガタ落ちです。それでも政権が1%の強者だけに奉仕するのなら、社会のモラルハザードを先導しているに等しい」
  この1年、少年による集団リンチ殺人や大阪・寝屋川の中1男女殺し、乳児に覚醒剤を飲ませて死亡させた“バカップル”など、社会のタガが外れてしまったような事件が多発したのも、憲法無視の腐敗政治と無関係ではないだろう。
  前出の小林弥六氏は「安倍政権の誕生から3年。富が滴り落ちることはなかったが、腐敗のトリクルダウンは間違いなく起きている」と語ったが、その通り。これでも安倍は良心が痛まないのなら、痛覚がないのか、ハナから良心がないのか、二つに一つ。いずれにしても「病気」を疑った方がいい。
  この1年、安倍政権にあらゆる権利をなぎ倒され、蹂躙されまくった怒りを忘れないことだ。年が明けたからといって、絶対に水に流してはいけない。それこそ暴走政権の思う壺になる。
  前出の森田実氏は「来年は国政選挙が必ずあります。この国に健全な議会を取り戻すため、大勝負の年となる」と言った。2016年は日本の民主主義の真価と国民の良識が問われることになる。

151228 一年前:141227閲覧数31万超え:報道ステ古舘伊知郎の口癖「待ったなし!」が独裁を呼び寄せる!

2015年12月28日 22時40分45秒 | 一年前
12月28日(月):
141227 閲覧数31万超え:報道ステーション古舘伊知郎の口癖「待ったなし!」が独裁政治を呼び寄せる!

12月27日(土):記録ですm(_ _)m。ブログの開設から1176日。 アクセス:閲覧 650 PV/訪問者 129 IP トータル:閲覧 310,017 PV/訪問者 ...


151228 一年前:4 033 内田樹「街場の戦争論」(ミシマ社:2014)感想4 ※安倍のポチ曽我豪は辞めろ!

2015年12月28日 22時40分32秒 | 一年前
12月28日(月)
4 033 内田樹「街場の戦争論」(ミシマ社:2014)感想4 ※安倍のポチ曽我豪は朝日新聞編集委員を辞めろ!

12月28日(土):※ファシズム安倍のポチ「曽我豪」は朝日新聞編集委員を辞めろ!朝日新聞購読者を惨めな気持ちにさせないで欲しい。俺は今、朝日新聞を購読することに自己矛盾を感じずには...


5 045 みなもと太郎「風雲児たち16 尊号問題興亡」(潮出版社・希望コミックス184:1989)感想4+

2015年12月28日 18時00分15秒 | 一日一冊読書開始
10月25日(日):           

205ページ    所要時間 1:40      蔵書

著者42歳(1947生まれ)。漫画家。

 どうも読書のカウントにマンガ本が増えてきた気がする。バカだと思われるのではないか…。でも、そうなのです。私あまり頭がよくないのです。読書習慣を維持する上で、私が一番重視していることは「自分を甘やかすこと」なのです。たとえ、マンガであっても私なりの基準はあるので、その範囲内であれば読書カウントに含めるのを避けない方がよい。読書の冊数が増えれば、やはりそれだけのことが大きな励みになるので、読書週間の継続につながればそれで上等なのです。

 読書習慣さえ維持できればその内に、大物に取り組めることもあるのだ。「量をこなしていれば質が付いてくる」「質より量」なのだ。本を読んでる時、「この時間を他のもっと有意義なことに使えないだろうか」とよく思うのだが、いざ本を読まないからと言って時間の有効利用などできていない。食べるか寝るかテレビを見るか、大したことはできないのだ。

閑話休題。今回、俺の蔵書から本書を手にした理由は、数日前映画「おろしゃ国酔夢譚(井上靖原作)」(1992)録画を観たことだ。何度か見たDVDだが、久しぶりに見るとやはり新鮮で見入ってしまった。ただ、終りが根室にたどり着いて、幕府からの帰国の許可を待つシーンで終わったのが、なんとも物足りなかった。その後、江戸で幕府の役人から吟味を受け、おろしゃ人から聞いた日本人の名前を正されたときに、桂川甫周と中川淳庵の名を告げるが、実はその場に下役の記録係として桂川甫周本人がいた。その後、蘭学者たちとの交流、再度結婚して2人の子を儲けて帰国後36年間生きたこと、などを確認したかったのだ。

光太夫が戻ってきたのは、ちょうど江戸のポル・ポト松平定信が、寛政の改革を行っている時だったが、京都で後桃園天皇の死後、皇統が絶えて新たに閑院宮家から光格天皇(孝明天皇祖父)が建てらると、天皇の父である閑院宮典仁親王を太上天皇にする運動が朝廷で盛んになる。そしてそれに連動する形で、一橋家から11代将軍に迎えられた徳川家斉が、父親の一橋治済を大御所に就けたいという願いが出る。実は将軍よりも、将軍家に血の濃い定信は、いずれも承服できず朝廷を弾圧する形で、将軍の願いも断ち切ってしまうが、それがもとで幕政から外され、その後二度と復職しなかった。

第16巻の話は、エカテリナ2世(ドイツ人)の使節アダム・ラクスマンの根室来航(→箱館→松前)、光太夫の帰国と尊号問題興亡を2本の柱として、寛政の3奇人のうちの高山彦九郎、林子平らの死や、前野良沢、杉田玄白のその後や、最上徳内の政治的復活などが絡められている。厚かましく嫌われた司馬江漢の晩年も出ていた。

エカテリナ2世(ドイツ人)
1787~1793 松平定信、寛政の改革 
キリル・ラクスマンとアダム・ラクスマン父子
1792 ラクスマン、根室に来航→箱館→松前
1782~1792 大黒屋光太夫(1751~1828:77歳)漂流
高山彦九郎 林子平
最上徳内
前野良沢、杉田玄白、桂川甫周、(中川淳庵)
11代将軍徳川家斉(父、一橋治済→大御所) 光格天皇(孝明天皇祖父;父、閑院宮典仁親王→太上天皇)

151227 一年前:141227 代表選で細野も岡田も同じ穴(第二自民党)の貉。民主党は変わる気がないのか。

2015年12月28日 03時52分03秒 | 一年前
12月27日(日):
141227 代表選で細野も岡田も同じ穴(第二自民党)の貉。民主党は変わる気がないのか。割れるしかない。

12月27日(土): 昨日のニュースで、郵政関連三社の株式公開が決まったそうだ。いよいよ日本国民が営々と蓄積してきた国民財産が、アメリカのハゲタカ・ファンドに奪われる時が来た。...


5 044 増田奏「住まいの解剖図鑑 心地よい住宅を設計する仕組み」(エクスナレッジ:2009)感想4

2015年12月28日 02時28分44秒 | 一日一冊読書開始
12月27日(日):

207ページ   所要時間 4:00   アマゾン977円

著者58歳(1951生まれ)。一級建築士。関東学院大学人間環境学部客員教授。

二度目。前回「4 075 増田奏「住まいの解剖図鑑 心地よい住宅を設計する仕組み」(エクスナレッジ:2009)感想5 テキスト」では、所要時間 2:00だったのに最高に楽しい読書にだった。今回は、倍の所要時間 4:00でかえって、今一つの印象だった。名著だとは思うが、前回ほどの高揚感はない。むしろ「あれこの程度だったっけ」という感じだった。夕食後に読み出し、睡魔に襲われながらだったのが大きい。いくら時間をかけても失敗読書では仕方がない。

まあ、それでも一冊ずつ積み上げていくしかない。

紹介文:住宅設計の現場には、家づくりの先人たちが積み重ねてきた知恵や工夫、心憎いまでの「ふつう」があります。それらのエッセンスを550点超のイラストと洒脱な文章で分解・抽出した『住宅版・解体新書』です。

【目次】はじめに
1 気持ちよさにはワケがある: 家づくりとは?=住宅の設計は、お弁当づくりに似ています。/ポーチ=ソトとウチのあいだで、誰でも気持ちのギアを入れ換えている。/玄関=入口で靴を脱ぐのは、なぜ?/階段=その部屋が狭いのは、階段の演出をミスしたせいかもしれません。/ドア=人は滑らかに移動したい。ドアはそれに従います。/リビング=翻訳するなら「座る部屋」。/和室=畳が敷いてあれば、和室でしょうか?/ダイニング=ダイニングテーブルは、見かけよりずっと大きい。/キッチン=設計のプロでも、機器の配列はアヤシイ。/キッチン+ダイニング(平面)=冷蔵庫は八方美人。誰かれかまわず呼び寄せる。/キッチン+ダイニング(断面)=「アイランド役」を、演じきるのは難しい。/ベッドルーム=ベッドの置き方を間違えると、真夜中にダイビングするはめになる。/収納=モノは生きている。とても出たがり・夜行性。/トイレ=手洗いは、お手洗いの中で。/浴室=日本のお湯は、みんなのものです。/洗面室と水廻り=洗濯機の居場所が決まらないと、洗面室の中身も決まらない。/給水・給湯・排水=握手するのなら、行き先くらい聞いてやれ。
2 箱のかたちにはイミがある: 屋根・軒=雨の日に傘を差すように。レインコートを着るように。/軒下=日傘のありがたさを知っているのは、ご婦人だけではありません。/庇=窓の上には、どんな帽子をかぶらせますか。/壁と開口=壁に穴をあけるのか、穴を壁でふさぐのか。/開口部=あなたの前には、七つの窓があいています。/断熱・通気=行くべきか、とどまるべきか、空気はいつも迷っている。/風通し=野暮だねぇ、エアコンで風鈴を鳴らすのかい。/音=吸ったり、遮ったり、響かせたり。/
敷地と道路=敷地は道路にぶら下がっている。/敷地の方位=敷地の向きを決めていたのは、道路でした。/建物の配置=「ルビンの壺」の気になる二人。/駐車スペース=クルマは見かけよりずっと大きい。
3 人にも寸法にもクセがある: 動線=いちいち降りなくても、両手を使えば枝づたいに渡れます。/共有と専有(プライバシー)=あなた、家族、たくさんのあなた。/共有と専有(装置)=私のモノは私のモノ、みんなのモノも私のモノ。/尺と坪=「三センチの虫にも十五ミリの魂」とは言いません。/グリッドとモジュール=パズルのルールは、簡単がいい。/基準線と壁厚=厚みがない本は立たない。壁厚がない家も建たない。/断面=バンズのないハンバーガーなんて、うまくない。
column: 畳の五カ条/家族のタイムテーブル/平凡な案から/方針・決心・変心/「ふつうじゃダメなのかい?」/平面のトポロジー/無目的という目的

151227 朝日新聞:(池上彰の新聞ななめ読み)新聞への軽減税率適用 重み増した報道の責任

2015年12月27日 16時22分28秒 | 考える資料
12月27日(日):

朝日新聞(池上彰の新聞ななめ読み)新聞への軽減税率適用 重み増した報道の責任  2015年12月25日05時00分
写真・図版
消費税の軽減税率を何に適用するか、線引きの決着を1面トップで伝える各紙の朝刊

  2017年4月から消費税が現行の8%から10%に引き上げられます。これについて朝日新聞12月17日付朝刊は、次のように報じています。
  〈最大の焦点だった17年4月の消費税率10%引き上げ時に導入する軽減税率は、酒類と外食をのぞく食品全般のほか、週2回以上発行する新聞を定期購読する場合の税率を8%ログイン前の続きに据え置く。法人実効税率は現在の32・11%から、16年度に29・97%に引き下げ、企業の負担を軽減する。来夏の参院選を意識する首相官邸の意向が色濃く反映された内容となった〉
  さて、ここで「来夏の参院選を意識する首相官邸の意向」とは、何を指すのでしょうか。食品全般を軽減税率の対象にしたことでしょうか、「週2回以上発行する新聞を定期購読する場合」も参院選を意識しているのでしょうか。
    *
  安倍政権は、新聞に軽減税率を適用することで新聞社に恩を売った。そう受け止めている読者も多いはずです。新聞社は、安倍政権に対し、新聞に軽減税率を適用するように要請していました。頼みを聞いてもらったら、相手から何らかの見返りを要求されること、よくありますね。安倍政権は今後、新聞報道に対し、見返りを要求することはないのか。あるいは、それを仄(ほの)めかすことはないのか。
  それとも、この夏の安保関連法案をめぐる論争で、一貫して安倍政権を支持し続けてきた新聞社に対して礼をしたのか。そんな受け止め方をしている人もいるのです。
  もちろん現場の記者に、そんな意識はないでしょうが、編集幹部なり経営幹部なりが安倍政権の意向を忖度(そんたく)して指示を下す……。こんなことは考えたくもありません。これは特定の新聞社について言っているわけではありません。新聞業界全体に対して危惧を持っているのです。
  同日付の紙面で、朝日は日本新聞協会の白石興二郎会長(読売新聞グループ本社社長)の談話を掲載しています。
  〈新聞は報道・言論によって民主主義を支えるとともに、国民に知識、教養を広く伝える役割を果たしている。このたびの与党合意は、公共財としての新聞の役割を認めたものであり、評価したい〉
  新聞協会は、軽減税率に関する与党合意を評価しています。これは新聞に軽減税率を適用することに対する評価でしょうが、これでは、軽減税率全般に関する批判的報道はしにくくなるのではないでしょうか。
  今回の軽減税率は、安倍政権が公明党に配慮して決断したと指摘されています。来夏の参院選で公明党の選挙協力が欲しいからだと。そんな批判を、今後新聞は書けるのでしょうか。
    *
  同日付の紙面で朝日新聞社の飯田真也会長のコメントも載っています。
  〈朝日新聞社は日本新聞協会とともに、新聞(電子媒体を含む)、書籍、雑誌などへの軽減税率適用を訴えてきました。民主主義を支え活字文化を守るためには、知識への課税は最小限度にとどめるべきだという考えからです。欧州諸国などでも同様の観点からすでに税率が抑えられている事例があります。今回、生活必需品である食料品に加え、宅配の新聞が対象に含まれました。主張の一部が受け入れられたものと考えています〉
  「知識への課税は最小限度にとどめるべき」なら、学習塾、英会話教室、カルチャースクールの入学金や授業料はどうなのか。
  「生活必需品」だから軽減されるなら、電気やガス、水道は、なぜ軽減税率の対象にならなかったのか
  こうした疑問に、新聞社はどう答えるのでしょうか。取材先から嫌みを言われて困惑している新聞記者たちがいるのです。
  新聞大好き人間の私は、大量の新聞を購入していますから、軽減税率は助かるのですが、以上のような疑問に向き合い、新聞の必要性をどう実感させることができるのか。新聞社には、課税は軽くなっても責任は重くなったのです。

151227 一年前:4 032 米原万里「不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か」(新潮文庫:1995) 感想 特々5

2015年12月27日 03時45分23秒 | 一年前
12月26日(土):   最上級のテキスト! ぜひ読んで下さい。決して損はさせません!
4 032 米原万里「不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か」(新潮文庫:1995) 感想 特々5
12月25日(木):326ページ  所要時間 6:40   蔵書(2003年版:本体定価514円)著者45歳(1950生まれ)。ロシア語通訳家。 本書は、著者の15年間...

151226 来年の参院選は関ケ原の戦いだ。前原詐欺師は吉川広家だ。内応者を切らなければ、西軍(野党)の負け

2015年12月27日 02時16分42秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
12月26日(土):     安倍晋三と橋下徹のお友達!卑劣・卑怯な詐欺師。国民の敵!

違和感。NHKの解説委員の討論会で島田敏男が何の恥も無く安倍首相個人をよいしょしている。この男は、私的に公共放送の電波を使って権力者に阿り、ごまをすっている。NHK解説委員の役職を自分のために私物化している。それをNHKは誰も止めようとしない。腐敗臭のするメディアだ。

民主党の中の前原詐欺師や細野某は、民主党の中にとどまって共産党との協力に反対しているだけで安倍政権に対する多大な貢献を果たしていることになる。奴らは、民主党に居座って何もしないことで、民主党全体に何もさせない障害となって活躍・貢献していることになる。

俺には、前原詐欺師が<関ケ原の戦い>における裏切者吉川広家に重なって見えて仕方がない。吉川広家は毛利家本家ではなく分家だ。主流ではなく傍流であるにもかかわらず、主流の行動を小賢しく引っ張って南宮山の毛利本隊の行動を麻痺させてしまった。吉川広家も何もしないことによって、毛利全軍を麻痺させてしまった。何もしないことによって、敵である徳川家康に貢献したのだ。

後世の我々は、吉川広家を軽蔑するとともに、何もできなかった毛利輝元や毛利秀元の無能ぶりを怪しみ、いぶかしがり、もし毛利本隊が動いていたら小早川秀秋の裏切りも起こりえず、西軍の大勝利だったのにと歯噛みする。毛利輝元は、岡田民主党党首ということになるだろう。安倍自民党別動隊である前原詐欺師を切れないでぐずぐずしていれば来年の参議院選は、ほぼ確実に野党は負ける。来年の参議院選は、ある意味戦後日本の天下分け目の戦いになるが、結果は関ケ原の歴史がすでに示している。

結束力の堅い自公独裁政権が勝つ。今の民主党が今の岡田党首を頂いてふわふわとしたまとまり切れないままで戦う野党は必ず負ける。日本は地獄に落ちる。関ケ原は、必ずしも徳川家康が勝つのが約束されていたわけではないが、最後は指揮官の気合いの差がものを言った。もしも事前に吉川広家を切っておれば西軍の勝ちだったのだ。その時、黒田官兵衛のような第三勢力が現れたかもしれないがまずは西軍の勝ちだった。

来年の参議院選挙も野党に本当に勝つつもりがあれば勝てる。生活の小沢一郎党首が唱える「オリーブの木」構想を野党(大阪維新以外)が結束を固めて取り組めば、共産党の志位委員長が協力体制を約束している以上必ず勝てる。もし勝てないとすれば、党内の自民党別動隊の前原詐欺師を切れない民主党の責任だ。民主党が本当に国民の理解と信頼を得たいと思うならば、岡田党首の英断で民主党を解党することだ。前原詐欺師を抱えてこのままずるずると来年の参議院選挙を迎えれば必ず民主党は硬直し野党の結束は弛緩し、自公ファシズム政権の結束力の前に敗れる。

 安倍の走狗NHKは期待を裏切らない。 
↓“よもつへぐい”した宦官去勢豚、権力の腐れ犬ども↓絶対に赦さない!特に朝日新聞の曽我豪とNHKの島田敏男

5 043 伊藤理佐「やっちまったよ 一戸建て!! ②」(文春文庫+:2001)感想4+

2015年12月26日 22時30分53秒 | 一日一冊読書開始
12月26日(土):    

176ページ  所要時間 3:00(①も少し復讐した)   アマゾン379(122+257)円

著者32歳(1969生まれ)。マンガ家。

二度目。風呂でまったりとしながら読んだ。計画性ゼロ、行きあたりばったりで銀行から金を借り「購入した土地に一年半以内に新築をする」ことになった著者は、不動産業者や、建築士の先生、工務店主らと一緒に家づくりに臨む。第二巻では、いよいよ家造りにとりかかるが、まず最初に「なぜ家を建てるのか?」という問題に著者は直面する。家造りという大きな事業、買い物はすぐれて人生観・哲学が反映されるものなのだ。

出たとこ勝負で家を建てることになった29歳バツイチ独身の著者は、建築士の先生に懸命に自分の家に対する希望を述べ建てるのだが、「今までの打ち合わせどおりいきますと、一人用一軒家になります」と指摘され衝撃を受ける。「いままでこんな悲しい日本語を見たことがあるだろうか!?/「家」の設計とはこれまたまさにキツイ「自分探し」の旅だったのでございます…」となる。そしてさらに「このままでいきますと…、ワンルーム一軒家になります」と宣告され「3階建てのワンルームの一軒家って…?」と絶句する。そしてついに3階建ての「なんとワンフロアー分あまってしまうんです…!!」と指摘され、「そそれは「いいこと」?、「悪いこと」?」となってしまう。

まあ他人が家を建てるのを眺めるのは面白い。当事者は必至なので本音や人間模様が赤裸々に出る。迷いに迷って最初の案に戻るのも当たり前、でもその迷う経験も貴重なのだ。しかしこだわり始めると地鎮祭、棟上げ、大工さんらへの日々のもてなし、手持ち資産のマンション売却、バス、トイレ、キッチン、壁の色、間取り、吹き抜け、他数えきれない選択の嵐が迫ってくる。ストレスの嵐であるが、ふと気が付くと棟上げ後はどんどん家が形を成していきあと少しと思うと淋しさも感じる。と思っていたら、家の引き渡しを受けた後も不具合の多発で毎日いろいろな業者が出入りする。まだまだ終わっちゃいなかったのだ。

ようやくすべてが終わった時、著者はふと「この家で終わりは嫌だ。もう一度家を建てたい!」と強く思うのだ。家造りは、奥が深い。間違いなく人生の句読点の一つである、と思う。本書に対して、たかがマンガと考える向きもあるかもしれないが、角度を変えてみれば29歳のチンコ・マンコ(ママ)で稼ぐ女性漫画家が7千万円をかけて描いた作品だと考えれば、凄みとともに作品の価値を見直すこともできるかもしれない。

150329 タガ外せば歯止め失う 長谷部恭男・早稲田大学教授/「未来志向」は現実逃避 杉田敦・法政大学教授

 杉田 先日ドイツのメルケル首相が来日しました。戦後ドイツも様々な問題を抱えていますが、過去への反省と謝罪という「建前」を大切にし続けることで、国際的に発言力を強めてきた経緯がある。「建前」がソフトパワーにつながることを安倍さんたちは理解しているのでしょうか。  / /長谷部 そもそも談話が扱っているのは、学問的な歴史の問題ではなく、人々の情念が絡まる記憶の問題です。記念碑や記念館、映画に結実するもので、証拠の有無や正確性をいくら詰めても、決着はつかない。厳密な歴史のレベルで、仮に日本側が中国や韓国の主張に反証できたとしても、問題はむしろこじれる。相手を論破して済む話ではないから、お互いがなんとか折り合いのつく範囲内に収めようと政治的な判断をした。それが河野談話です。  / /杉田 談話の方向性や近隣との外交について「未来志向」という言い方がよくされますが、意図はどうあれ、それが過去の軽視という「見かけ」をもってしまえば、負の効果は計り知れない。安倍さんたちは、未来を向いて過去を振り払えば、政治的な自由度が高まると思っているのかもしれません。しかし政治の存在意義は様々な制約を踏まえつつ、何とか解を見いだしていくところにあります。政治的な閉塞(へいそく)感が強まる中で、自らに課せられているタガを外そうという動きが出てくる。しかし、それで万事うまくいくというのは、一種の現実逃避では。  / /長谷部 合理的な自己拘束という概念が吹っ飛んでしまっている印象です。縛られることによってより力を発揮できることがある。俳句は5・7・5と型が決まっているからこそ発想力が鍛えられる。しかし安倍さんたちは選挙に勝った自分たちは何にも縛られない、「建前」も法律も憲法解釈もすべて操作できると考えているようです。  / /杉田 俳句は好きな字数でよめばいいのだと。  / /長谷部 あらゆるタガをはずせば、短期的には楽になるかもしれません。しかし、次に政権が交代したとき、自分たちが時の政府を踏みとどまらせる歯止めもなくなる。外国の要求を、憲法の拘束があるからと断ることもできない。最後の最後、ここぞという時のよりどころが失われてしまう。その怖さを、安倍さんたちは自覚すべきです。 =敬称略(構成・高橋純子)朝日新聞『考論』

0015 オルテガ「大衆の反逆 (桑名一博訳;久野収解説)」(白水社イデー選書;1930)評価5

以下は、オルテガ所論の久野収による抜粋の抜粋である:///  オルテガによれば、政治のなかで「共存」への意志を最強力に表明し、実行していく政治スタイルこそ、自由主義的デモクラシーである。共存は、強い多数者が弱い少数者に喜んで提供する自己主張、他者説得の権利である。敵、それも最も弱い敵とさえ、積極的に共存するという、ゆるがない決意である。/その意味で、人類の自然的傾向に逆行する深いパラドックス(逆説)であるから、共存を決意した人類が、困難に面してこの決意を投げ出すほうへ後退したとしても、それは大きな悲劇ではあっても、大きな不思議とするには当たらない。/「敵と共存し、反対者と共に政治をおこなう」という意志と制度に背を向ける国家と国民が、ますます多くなっていく1930年代、オルテガは、「均質」化された「大衆」人間の直接行動こそが、あらゆる支配権力をして、反対派を圧迫させ、消滅させていく動力になるのだという。なぜなら、「大衆」人間は、自分たちと異類の非大衆人間との共存を全然望んでいないからである。略。///  「大衆」人間は、自分たちの生存の容易さ、豊かさ,無限界さを疑わない実感をもち、自己肯定と自己満足の結果として、他人に耳を貸さず、自分の意見を疑わず、自閉的となって、他人の存在そのものを考慮しなくなってしまう。そして彼と彼の同類しかいないかのように振舞ってしまう。/彼らは、配慮も、内省も、手続きも、遠慮もなしに、「直接行動」の方式に従って、自分たちの低俗な画一的意見をだれかれの区別なく、押しつけて、しかも押しつけの自覚さえもっていない。/彼らは、未開人―未開人は宗教、タブー、伝統、習慣といった社会的法廷の従順な信者である―ではなく、まさに文明の洗礼を受けた野蛮人である。文明の生み出した余裕、すなわち、贅沢、快適、安全、便益の側面だけの継承者であり、正常な生存の様式から見れば、奇形としかいいようのないライフスタイルを営んでいる新人類である。略。///  「自分がしたいことをするためにこの世に生まれあわせて来た」とする傾向、だから「したいことは何でもできる」とする信仰は、自由主義の自由の裏面、義務と責任を免除してもらう自由にほかならない。/われわれは自由主義の生みだした、この「大衆」人間的自由、自己中心的自由に対し、他者と共存する義務と責任をもった自由を保全しなければならないが、一筋縄でいかないのは、この仕事である。(160626:イギリスEU離脱について思うところ=もみ=)