もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

150215 衆参両院の「テロ非難決議」を非難する!「テロの本質」を真面目に語る政治家はいないのか!

 真面目に「テロの本質」を考えれば、その原因が、決して宗教の違いにあるのではなく、世界的に広がる富の偏在、極端な格差拡大、差別構造の継承、及びパレスチナ問題、それらによる<若者たちの絶望>にあることは、実は誰もがわかっていることだろう! それを「世界には凶悪なテロリストが大勢いて、こいつらを叩き潰せばテロが無くなる」なんて話に無理やりすり替えている。誰も、「テロの本質が、日本・世界の社会構造が抱える富の偏在・格差の拡大及びパレスチナ問題の<野放し状態>にこそある」という本質を語らないし、見させようとしない。そして、凶悪なテロリストへの恐怖ばかりを煽りたてている。これはまさにオーウェルの「一九八四年」の世界と同じだ。今回の国会の「テロ非難決議」に社民党・共産党まで加わっていたのには、あきれ果てた。「誰も本質を見ようとしない。」「武力で世界中の<絶望した若者たち>を封じ込めるべきではないし、不可能だ!」

秋原葉月さん「Afternoon Cafe」ブログから

※(1)「もちろん、普通の人間は戦争を望まない。しかし、国民を戦争に参加させるのは、つねに簡単なことだ。とても単純だ。国民には攻撃されつつあると言い、平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、国を危険にさらしていると主張する以外には、何もする必要がない。この方法はどんな国でも有効だ」byヘルマン・ゲーリング ※(2)いつの時代も大衆をファシズムに煽動する手口は同じ。なのに同じ手口に何度も騙されるのは過去に学んでいないから。格差を広げ、セイフティネットを破壊し、冷徹な自己責任論が横行する社会を継続させるのは簡単だ。今よりもっと格差を広げ、セイフティネットを破壊する政策をとればよい。そうすれば人々に自己責任論がもっと浸透し、草の根から勝手に右傾化してくれる。

辺見庸さんのブログから

・権力をあまりに人格的にとらえるのはどうかとおもう。口にするのもおぞましいドブの目をしたあの男を、ヒステリックに名指しでののしれば、反権力的そぶりになるとかんがえるのは、ドブの目をしたあの男とあまり変わらない、低い知性のあらわれである。権力の空間は、じつのところ、非人格的なのだ。だからてごわい。中心はドブの目をしたあの男=安倍晋三であるかにみえて、そうではない。ドブの目をしたあの男はひとつの(倒錯的な)社会心理学的な表象ではありえても、それを斃せば事態が革命的に変化するようなシロモノではない。権力には固定的な中心はなく、かくじつに「われわれ」をふくむ周縁があるだけだ。ドブの目をしたあの男は、陋劣な知性とふるまいで「われわれ」をいらだたせ、怒らせるとともに、「われわれ」をして社会心理学的に(かれを)蔑視せしめ、またそのことにより、「われわれ」が「われわれ」であることに無意識に満足もさせているのかもしれない。ところで、「われわれ」の内面には、濃淡の差こそあれ、ドブの目をしたあの男の貧寒とした影が棲んでいるのだ。戦争は、むろん、そう遠くない。そう切実にかんじられるかどうか。いざ戦争がはじまったら、反戦運動が愛国運動化する公算が大である。そう切実に予感できるかどうか。研ぎすまされた感性がいる。せむしの侏儒との「ふるいつきあい」がベンヤミンのなにかを決定した。そう直観できたアレントほどするどくはなくても、研ぎすまされた感性がいる。けふコビトがきた。ミスドにいった。(2015/11/11)

240507 女性天皇を認めなければ、天皇制は終わる。

2024年05月08日 00時04分15秒 | 時代の記憶
5月7日(火)
朝日デジタル(社説)皇位の継承 国民の声踏まえ協議を
2024年5月7日 5時00分

 皇族の数をどう確保し、皇位継承の安定につなげるか。近く各党の協議が始まる。
 おおよその方向が見えている論点がある一方、根深い意見の対立もひそむ。憲法が定める国の重要な制度に関わる問題だ。広範な合意のないまま、数の力で押し切ることはあってはならない。
 土台になるのは21年末の政府の有識者会議の報告書だ。
 現状のままでは、将来、悠仁さま以降の世代で皇族がいなくなりかねないとして、(1)女性皇族が結婚後も身分を保持する(2)今は認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系男子を皇族とする――の2案を示した。
 これに対し社説は、男系男子による皇位継承に固執した案で、国民の幅広い理解を得られるものとは言いがたいと指摘してきた。
 報告書を「妥当」とした自民党などの見解についても同じことがいえる。
 たとえば、(1)の場合でも女性皇族の配偶者と子は皇族に加えないという。一般国民としての権利・義務を引き続き保持するためなどと説明するが、母方が天皇の血を引く女系天皇の芽を摘んでおこうという意図は明らかだ。
 かたや、(2)によって皇族の養子になった者に男子が生まれれば、皇位継承資格を与えるとしている。
 だがこうした考えは国民の意識と隔たりがある。朝日新聞の19年の世論調査(郵送方式)では、「女系天皇を認めてもよい」が74%で、男系維持の21%を大きく上回った。最近の共同通信の調査(同)も同様だった。
 秋篠宮さまから悠仁さまへと続く継承順を変更するのは現実的ではない。しかし、その先も男系男子を墨守するのが「国民の総意」といえるのか、大いに疑問だ。
 戦後70年以上民間で暮らした人を皇族とする(2)案に、社説はかねて疑義を唱えてきたが、仮にこの策を採ったとしても、皇室を苦しめてきた男子誕生の重圧は消えない。
 一夫一婦制の下、男系男子で血筋をつなぐ考えに限界があるのは、歴史が教えるところだ。「皇室は国の礎」(自民党)などというが、制度の持続可能性を真剣に考えているのだろうか。
 (1)(2)案とも、皇族や当事者の人生設計に大きな影響が及ぶ見直しになる。各人の意思を尊重し、皇籍の離脱・残留や縁組について強制にわたる行いがないようにすることにも意を砕く必要がある。
 象徴天皇制は主権者である国民の支持があって初めて存立する。この基本に立って協議を進めなければならない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

240416 高浜寛「ニュクスの角灯 ランタン」全6巻(2016-19:リイド社)感想5

2024年04月16日 18時25分15秒 | 時代の記憶
4月16日(火)    

平均210ページ×6   所要時間 3日   ヤフオクで3110円(送料込み)

 昨夜、読み終わった。読後感がとても良かった。最近、目の具合が悪く、公私に時間がなく、体力気力も減退していて、活字を追いにくい日々だった。本書はコミックだが、充実した内容で満足している。

 場面場面の描写によって、作者の感性の独特さがよく伝わってくる。とにかく感受性が強い人だ。優しく繊細で知的な作風の中にエロチックさがごく自然な様子で織り込まれている。「最後は、どんな終わり方をするのかな?」と考えているうちに一気呵成に物語りは終わった。嫌な終わり方ではなかった。もっと読んでいたいという一片の寂しさとともに余韻に浸ることができた。

 通読はしたが、読み返せばたくさんの気づきに出会える気がする。これからしばらくは座右に置いて何度もパラパラと読み直すことになると思う。久しぶりの幸せな読書体験になった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

240202 日刊ゲンダイ:自民・安倍派“総汚染”!「裏金議員91人ランキングリスト」はこれだ

2024年02月02日 19時02分12秒 | 時代の記憶
2月2日(金):
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

240107 れいわ 山本太郎代表の能登被災地入りを断然支持する。立民・共産の道化師ぶりに大笑い!

2024年01月07日 17時01分46秒 | 時代の記憶
1月7日(日): れいわ 山本太郎代表の能登被災地入りを断然支持する。それにしても立民(泉)と共産(志位)の道化師ぶりはどうにかならんものか?!これで選挙協力して政権交代目指すとは…臍が茶を沸かす。哀しすぎて、大笑いでもするしかない!

れいわ 山本太郎 消費税廃止!住まいは権利!@yamamototaro0
23:33 ·2024年1月5日

「この混乱状態も含めて国会議員に知ってもらいたい。」「あまりの政府の後手後手に、命が蔑ろにされている」
電話ではなく、現場のNPOから直接話を聞くため、本日、能登半島は能登町に入った。来週にも国会では災害特別委員会を開くような開かないような、生ぬるい動きがあるので、現場の声を、状況を知っておく必要がある。

始発でレンタカーに空きがある駅まで移動し、能登町に到着したのは午後6時。役場の駐車場には全国から集まったNPOが片付けと翌日の準備に忙しい。雨よけのテントを組み立てていた全国の被災地で何度も顔を合わせた人たちに混じりながら状況を聞く。
 
ある避難所では700人に対する一食の食料配布が昨日はおにぎり一個だった。今日、NPOがその避難所に食材を届けたら、被災者から拍手が生まれ、「お礼に炊き出しで作ったものをお裾分けする」と、約束をしてくれたと言う。被災者自ら料理をすることは気晴らしや誰かに喜んでもらえるばかりでなく、温かいものを口にできることは大きい。

避難生活が続けばお弁当も高カロリーの似た内容が続き、高血圧や成人病などにもあまり良いとは言えない。

ただお世話をされる立場に被災者をおくと再び立ち上がる力を奪ってしまう。積極的に何かをやれる空気作りは、その後の街の復旧にも大きく影響する、とこれまで数十もの復興を手伝ってきたNPOの方はいう。

炊事環境がある避難所であれば、これが可能になるが、その様な避難所は少ない。

そこで自衛隊のキッチンカーの出番だ。自衛隊は自走式と牽引式キッチンカーを持っている。その数、合わせて800を超える。牽引式は約45分のうちに250人分、自走式は約60分で150人分の炊事を行う素晴らしい能力を持っている。

2018年西日本豪雨の国会質疑( https://taro-yamamoto.jp/national-diet/8706)からこの件をお願いし続けているが未だ叶っておらず、今回は実現したい。そんな話をしながら彼らの晩ごはんの炊き出しに誘われ凍える寒さの中、カレーをいただく。

明日は当事者に直接話を聞き、今、何が必要かをしっかりと勉強させてもらうと意気込み、車の中で眠ります。



ひろちゃん@totorodango
テレビとか情報でのやり取りより現地に出向いて何が必要か?を調べることが国会議員の仕事ですよ。
よくやってくれた山本太郎氏、ほかの議員、見習えよ💢

大石あきこ(れいわ新選組)Akiko Oishi@oishiakiko
視察も行かずに震災無視圧殺の岸田総理。優しく許す与野党党首メディア。それらを擁護する形でわく、全ての現場主義を雑に叩く流れ。そんな中、代表山本太郎は淡々と、被災地が必要とするNPOの方々と現場で行動する。信念と経験が要る行動。みなさまのご理解をお願いしたい。

弁護士 上瀧浩子@sanngatuusagino
山本太郎さんは国会議員です。議員が現地視察して被害の実態と被害者のニーズを掴むことは絶対に必要。議員と個人ボランティアの区別もつかないリプがついており、ありえない知性の劣化が顕在化している。

想田和弘@KazuhiroSoda
山本太郎を叩く人たちにびっくりしている。山本太郎は災害が起きるたびに現地で支援活動をしているベテランである。同時に国会議員でもあり、その見聞や報告は政府を動かす力を持っている。日本では何かするより何もしない方が批判されず安泰なのかもしれないが、そんな人ばかりだったらどうなるのか。

やす@jptmgamtxp
なんか、分かりやすくてイヤになるよね。震災対応が遅れに遅れ、岸田政権へ国民の怒りが高まる。すると、日本共産党へのデマを大量に垂れ流す。山本太郎氏を叩く。国民の怒りが自公政権に向かわないように、組織的に必死にやってる。統一教会の関与が強く疑われている。

秋元 トートン@AkimotoThn  1月6日
被災地は、正直言って、3K(汚い、危険、キツイ)の場所だし、さらに今は寒さも加わるので、好き好んで行く人はいない。しかし、実際に現場に行かないと分からないことは多いし、国会議員が近くにいれば、被災者の方々も、精神的に安心するのではないだろうか。いっぽう、れいわ新選組の山本太郎代表は、現地で視察とボランティア活動を行っている。被災地のニーズを把握するためには、自分の目で確かめ、被災者から直接、話を聞くのがベスト。山本氏はNPOの1スタッフとして正規のルートで現地入りしており、他の政治家は行かない理由を探しているだけに思える

Moira_ドラッカーの教えと世界共和国@sugi_moira
太郎に行くなと言っている奴らは、戦争反対するお前らは非国民と言っていたバカヤロー達と同じ。上の指示を鵜呑みにするバカども。被災者生命の現状、大切さをわからん大馬鹿者だ。

東スポWEB:高岡蒼佑 れいわ・山本太郎代表の石川県入り批判に「叩かれても信念を持っている人がいい」
2024年1月6日 15:00

 高岡蒼佑が6日、インスタグラムを更新し、能登半島地震で現地入りしたれいわ新選組の山本太郎代表が批判を浴びていることに反論した。
 山本氏は5日に「この混乱状態も含めて国会議員に知ってもらいたい」と現場のNPO法人から直接話を聞きたいと石川・能登町に到着し、避難所の様子をSNSで報告した。
 これにネット上では、石川県は人手不足や道路状況から個人からの支援物資やボランティア、現地入りは控えてほしいと呼びかけていることもあって、批判の声も出ている。
 高岡は山本氏が現地入りした写真と岸田文雄首相がテレビ出演している2つの動画とともに「体が動く人がいい。瞬発力がある人がいい。叩かれても信念を持っている人がいい。長たるもの、矢面にたってくれる人がいい」と投稿した。
 さらにテレビやメディアには常日頃、懐疑的な見方をしている高岡だけに直接、山本氏が現地の情報発信をしていることが批判されていることに「困る理由は何? 何を信じる? 現場の声? テレビの声? ネットの工作員の声?」と反論した。



ナツコ政権交代するしかないです💖@miwa_renrui
被災地には行きませんってさ そんなこと決めるために 作業服を着て集まってんか? アンタ達の仕事って 何なんですか?現地行かないなら 今、被災者のために何をやってんのか言ってごらんなさいよ 新年会で忙しいんか?
#政権交代するしかない #与党も野党も茶番 #能登半島地震

白坂和哉|ジャーナリスト|"突き刺さる" 政治情報を提供します!@shirasaka_k
作業服を着て "やってる感" を演出し、自分たちは暖かい安全な場所で「能登視察の当面自粛」を決定した議員諸君!君たちなりに色々考えたんだろうね。ただ、そうであれば既に現地入りしている山本太郎氏(公党代表)を議員代表として、彼から情報収集すればいいではないか?山本氏は君たちの想定以上のパフォーマンスを見せてくれるはずだ。

さよなら昨日の私@SaYoNaRaKiNo
「山本太郎、現地入りか?!」の噂を聞きつけた与野党が急遽一致団結して「山本包囲網」を敷き警戒に当たっている状況は痛快ですらある。弱小政党の党首に過ぎないこの男、今や「次の総理」アンケートをすれば野党で唯一上位にランクインする。これ以上の活躍されては与野党ともに死活問題なのだろう。

22. 前河kU@JzQ 2024年1月07日 05:16:24
ヤフコメに山本さんの行動を評価したコメを書いたら、早速ダッピか統一教会と思われる工作員が反論してきた。組織的書き込みがヤフコメやいいねポチがヤフコメに溢れてるぞ。ありゃあ、ヤフーはちゃんと管理調査しないのかね?明らかに悪意ある工作員だ。カレーを勧められて食べたら批判って異常だな。工作とは言え頭がおかしいな。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

231126 泉房穂氏の次期衆院選に向けての「本質的な戦略」を支持する。泉健太の立憲民主党はもう要らない。

2023年11月26日 11時22分00秒 | 時代の記憶
11月26日(日):  

東京新聞「全ての既存政党を壊す」泉房穂氏が語った政権奪取の青写真 「日本の不幸」「国民の敵」が意味するものは
2023.11.26.9:00

東京都立川市、埼玉県所沢市の市長選で当選した「非自民」候補を応援し、交流サイト(SNS)などで注目を集めている兵庫県明石市の前市長、泉房穂氏(60)が本紙のインタビューに応じた。泉氏は、物価高などの影響で「国民の生活は持ちこたえられなくなっている」と岸田政権を批判。地方選での自身の勢いを次期衆院選につなげ、国民負担増から国民を救う政治へと転換する「救民内閣」の発足に向け、政権奪取構想を練り始めていると明らかにした。主なやりとりは次の通り。(聞き手・関口克己政治部長、坂田奈央)

◆勝因は、候補が組織と市民のどちらを向いているか
 ―東京都立川市、埼玉県所沢市の市長選で支援した候補の勝因は。
 「候補が、組織と市民のどちらを向いているかの違いだ。自治体の選挙は市民に近い。政党ではなく市民を向いていれば、既存政党に飽き足らない人が投票してくれて勝てる」
 ―マスコミの予測では、あなたが支援した候補は劣勢との見方も強かった。
 「マスコミは、政党や有力団体ばかりを取材するから間違う。これらの選挙は与野党対決ではない。今の国民は与党も野党もNO。自分たちの生活が大変だから、これ以上負担を課すなという思いを持っている。野党が良いとも思っていない。完全無所属市民派だと野党支持層はもちろん、無党派層も大挙して流れ、与党支持層も票を入れる
 ―どうして、それが分かるのか。
 「街頭演説をすれば票読みはできる。駅を利用する有権者が候補者を無視するのか、顔を向けるのか、立ち止まるのか。1~2分でも演説を聞くのか。電車を1本遅らせて話を聞き続けるのか。これを見れば、票は読める」

◆『明石モデル』を全国で知らせるには首都圏で勝利が必要だった
 ―首都圏の自治体選挙で応援をする理由は。
 「明石市長として、18歳までの医療費無料化などを実現し、10年連続で人口が増え、税収も増やした。この流れを他にも広げたいと、市長退任直後で同じ兵庫県で行われた三田市長選に注目した。現職は自民と公明、立憲民主、国民民主の推薦で3選を目指したが、私は元銀行員の新人を応援して勝利した。しかし、全国的なインパクトは弱かった。『明石モデル』を全国で知らせるには首都圏の有名な街での勝利が必要と考え、人口30万人の明石市と同規模の所沢市をその一つに選んだ」

◆岸田首相には国民への愛も、国家への責任感もない
 ―今の国政をどう見る。
 「岸田文雄首相は首相をやりたかっただけで、国民に対する愛も、国家に対する責任感もない。『異次元の少子化対策』と言いながら、財源も確保せず、国民の負担だけを増している。そんな人が長期政権を敷いているのが今の日本の不幸。国民は疲弊しているのに、毅然と反論する与党議員もいなければ、野党も体たらくで、国民には選択肢がない。仮に岸田首相が退いても、国民の生活不安は変わるはずはなく、劇的な方針転換を求めている
 ―物価高対策として、岸田政権は4万円減税や低所得世帯への7万円給付などの経済対策を行う。
 「何の意味もない。国民にすれば、給料は上がらないのに、税金や保険料は取られ、物価も上がっているのに、たかだか4万円減税かという思い。その支援をはるかに超える将来の負担増がセットになっていて、整合性が取れていないドイツなどは日本と変わらない国民負担率なのに、教育は無償だ。どうして日本ができないのか。それは、お金がまともに使われずに消えているからだ」

◆「救民内閣」子ども・教育予算を倍増、食料品の消費税率ゼロに
 ―地方選挙の勢いを今後、どう展開する。
 「明石市の成功事例を他の自治体に広げる『横展開』だけでなく、その施策を国政に広げる『縦展開』、自分の命には限りがあるから未来につなげる『未来展開』がある。そのために考えているのが救民内閣創設だ。これ以上の国民負担増はせず、子ども予算と教育予算を倍増させる。食料品の消費税率はゼロにする
―次期衆院選にはどんなイメージで臨むのか。
 「これまでのような右や左の対決ではなく、『国民の味方』対『国民の敵』の戦い方に持ち込む。2005年の郵政選挙で自民党が大勝した時、4年後に民主党政権が誕生するのは誰も想像しなかった。私は救民内閣創設を訴え、政治の流れを一瞬で変える。1回の衆院選で政権は取れる

◆全ての既存政党を壊す。政治の夜明けを国民に
 ―その流れをどう作る。
 「既存政党とは別の新党を立ち上げるというよりも、全ての既存政党を壊すイメージ。衆院選は小選挙区制だから、今はいずれの政党の議員であったとしても、『国民の味方』が勝てると思えば、こっちに流れてくる。国民の負担増を許さない勢力を一つにまとめるのか、連合軍で戦って勝つのかは、いずれでも良い
 ―あなたはどんな立場を取るのか。
 「自分が国会議員の1人になるかどうかに意味はない。政治映画を製作するイメージで言えば、主演を務めるのではなく、シナリオを書いてキャスティングもした上で、総監督として、政治の夜明けを国民に届けたい

 泉 房穂(いずみ・ふさほ) 1963年、兵庫県明石市生まれ。弁護士、社会福祉士。東大教育学部卒業後、NHKディレクターや、後に民主党衆院議員となる石井紘基氏の秘書などを経て、司法試験合格。2003年衆院選に民主党公認で兵庫2区から出馬し比例近畿ブロックで初当選。05年衆院選で落選。11年に明石市長。19年に市職員への暴言騒動による辞職。その後の出直し選で当選。3期12年の在任中、18歳までの医療費▽中学生の給食費▽第2子以降の保育料▽市内の遊び場▽満1歳までのおむつ—の「五つの無料化」を市独自で実現し、10年連続で人口増を達成した。今年4月に退任後は、各地の地方選で「非自民」候補を支援して連勝しており、その言動がSNS上だけではなく、与野党の注目を集めている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

231115 SmartFLASH:橋下徹氏「大阪市民は万博1.9万円負担増」に「謝る必要はない」で大ブーイング…国民1人あたりでは600円の負担増

2023年11月15日 21時20分10秒 | 時代の記憶
11月15日(水): 大阪の人々はいつまで騙され続けるのか? 維新とともに地獄行き。
SmartFLASH橋下徹氏「大阪市民は万博1.9万円負担増」に「謝る必要はない」で大ブーイング…国民1人あたりでは600円の負担増
11/15(水) 17:30配信

 「大阪市民の負担は、1人あたり約1万9000円になります」
  2025年開催の「大阪・関西万博」の建設費が当初予定の1.9倍、最大2350億円になることが報じられ、各方面から「世界最大級の無駄遣い」との批判が噴出している。
  そんななか、11月14日には、大阪市議会の万博推進特別委員会で、大阪市民の想定負担額が明らかにされた。その額、赤ちゃんからお年寄りまで1人あたり1万9000円、4人家族だと7万6000円にもなるという。
 「建設費は国、大阪府と大阪市、経済界がそれぞれ3分の1ずつ負担します。大阪市の横山英幸市長は、万博を主催する『日本国際博覧会協会』の副会長も兼任しており、委員会で杉田忠裕市議から『大阪市民1人あたりの負担額』について質問がありました。
  これに万博推進局担当者が『大阪市の負担は2350億円の6分の1、約392億円。市の推計人口約277万人で割ると、1人あたり約1万4000円。大阪市民は府民でもあり、国民でもあることから、府民負担の約4000円、国民負担の約600円が加わり、約1万9000円になる』と答弁したのです」(政治ジャーナリスト)
  横山市長は「増額により、市民のみなさんに追加の負担を求めることに至った点につきまして重く受け止めています」と平身低頭だったが……これに異を唱えたのが、大阪市長時代に万博開催の旗振り役だった橋下徹氏だ。
  14日、橋下氏は自身の「X」(旧ツイッター)を更新し、
 《国と違って大阪市には十分な積み立て金があるし、これまで途方もない改革で負債を減らしてきた。市民サービスの充実も物凄い。負担以上の経済効果を考えれば謝る必要はない》
  と自論を展開したのだ。
  しかし、ニューサイトのコメント欄には
 《「負担以上の経済効果がある」ってなぜ言い切れるのだろうか?》
 《万博は半年間の開催期間が終わると、更地に戻す予定になっています。跡形もなくなる建築物に、何千億円も費やす意味があるのかが問題になっているのです》
 《「これまで途方もない改革で負債を減らしてきた」のは維新ではない市民の犠牲のもとではないか
  など、橋下氏の発言に大ブーイングが寄せられている。
  大阪府政関係者は、「この金額が出てきたことで、大阪市民からさらに万博反対の声が沸き起こりそうです。そして、万博を推進してきた維新の会に批判の矛先が向かう可能性も大いにあります。すでに『橋下さんも維新も、なぜこれまでの経緯をきちっと謝らないのか』といった声が聞こえてきます」と指摘する。
 「ホンマに大丈夫かいな」というのが、多くの国民の本音だろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

231105 とりあえず掲載

2023年11月05日 08時55分24秒 | 時代の記憶
11月5日(日): 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

231003 郷原信郎:「大阪・関西万博」問題は、維新吉村知事などによる“戦後最大の自治体不祥事”

2023年10月03日 23時55分35秒 | 時代の記憶
10月3日(火):  
郷原信郎:「大阪・関西万博」問題は、維新吉村知事などによる“戦後最大の自治体不祥事”
 
郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士 10/2(月) 15:45

地方自治体にとってのコンプライアンス
2004年に、桐蔭横浜大学特任教授・コンプライアンス研究センター長として、本格的にコンプライアンスに関する活動を始めて以降、私が、常に世の中に訴え続けてきたのが、
コンプライアンスは、「法令遵守」ではなく、「組織が社会の要請に応えること」
法令の趣旨目的を理解し、背後にある社会的要請を知ること

というテーゼである。
そのようなコンプライアンスの視点から、組織をめぐる様々な問題の解決、コンプライアンス体制の構築・運用等に関わってきたが、その中で、特に、重要な領域としてきたのが、地方自治体のコンプライアンスである。
初めてのコンプライアンス講演が、2005年2月、職員厚遇問題で揺れていた大阪市の幹部研修だった。「暴力団の妻」から再起して弁護士となり、女性初の大阪市助役を務めていた大平光代氏からの依頼だった。それ以降、多くの自治体で講演を行い、横浜市では、2007年からコンプライアンス外部委員、2017年9月から2021年6月まではコンプライアンス顧問として、各部局・各区で生起する様々な不祥事やコンプライアンス問題について対応の助言を行うほか、各部局・各区の幹部に対するコンプライアンス研修も担当した。
民間企業の「社会的要請」が、需要に反映された社会の要請に応えることがベースとなり、それが、組織の存続・成長にもつながるのに対して、地方自治体の場合、住民のニーズに応えることが最も重要な社会の要請であることは間違いないが、その時点での直接的なニーズに応えることだけで地方自治体の役割が果たせるものではない。自治体には、住民にとっての短期的利益、長期的利益のほか、その時々の国家的、社会的利益も含めて様々な社会の要請が交錯する。地方自治体の日々の業務や実施する事業に関して、「社会的要請に応えること」は、複雑かつ困難な問題となる。

最も深刻かつ重大なコンプライアンス問題に直面する大阪府・市
日本の地方自治体の中で、最も深刻かつ重大なコンプライアンス問題に直面しているのが、「日本維新の会」が首長を務める大阪府・市だ。
2025年に大阪市此花区夢洲で開催が予定されている大阪・関西万博をめぐっては、海外パビリオンのうち、各国が自前で建設する「Aタイプ」について、基本計画すら提出されておらず、建設業者も決まらず、着工が大幅に遅れ、予定どおりの開催が危ぶまれている。万博の開催延期・断念などの事態に至れば、日本に対する国際的信用の失墜、大阪府・市、そして国に、計り知れない損失を生じさせることになる。
吉村大阪府知事(前大阪市長)や、その前任の松井一郎氏などが、これまで首長として行ってきたことが、本当に、地域住民に、そして、社会の要請に応えるものであったかどうかが問われている。この問題は、日本における「今世紀最大の自治体不祥事」に発展する可能性がある。

夢洲への万博誘致計画自体に重大な問題
第一の問題は、そもそも、大阪・関西万博の計画自体が、地域社会の要請に応えるもの、大阪府民・市民全体のためになるものだったのか、という点である。
大阪への万博誘致の構想が具体化し、2016年6月に、大阪府(松井一郎知事)は、「2025年万博基本構想検討会議」を設置した。この会議の初回で、大阪府が、「2025年日本万国博覧会 基本構想案」を提示しているが、この試案で、万博の会場は、「夢洲地区(大阪市此花区)を想定」とされ、その理由については、「地勢的に日本の交通・物流の結節点である大阪」の中でも、
「夢洲地区は、神戸、京都など各都市からのアクセス面の利便性が高く、環境・エネルギー等の先端産業の集積やMICE機能と国際的エンターテイメントなど魅力ある観光拠点形成をめざす地区であり、世界への情報発信拠点として、ふさわしい地である。」
とされている。
しかし、これは、一部にコンテナターミナルや物流倉庫などの物流施設がある以外、施設がほとんど無く、アクセスも道路が一本しかない夢洲の現状とは、かけ離れたものである。要するに、夢洲を万博会場にしようという構想は、維新の会が進めようとしていた、夢洲を「環境・エネルギー等の先端産業の集積やMICE機能と国際的エンターテイメントなど魅力ある観光拠点形成」に形成しようとする大阪府・市の構想が前提だったのである。
海外パビリオンの建設の遅れについて、開催主体の「公益社団法人2025年日本国際博覧会協会」(以下、「万博協会」)や大阪府などは、資材価格高騰や人出不足を理由に説明しているが、海外の国からすれば、5割程度建設費が上がっても、今の円安であれば、相当程度相殺されるはずである。円ベースの建設費の増額はそれほど困難ではないはずだ。パビリオンの建設に向けての動きが遅れている最大の原因は、夢洲の軟弱地盤、アクセスの悪さ、インフラの未整備等のために、日本の建設業者が受注に消極的であることだろう。
特に、軟弱地盤の問題では、建物の基礎工事で50メートルの杭を打つ必要があるなど、想像を超える悪条件の工事になると言われている。それを、建設業者が2024年問題によって労働時間の制約を受けつつ施工するのは至難の業だ。
万国博覧会についての「基本法」と言える「国際博覧会条約」によれば、博覧会とは、
公衆の教育を主たる目的とする催しであって、文明の必要とするものに応ずるために人類が利用することのできる手段又は人類の活動の一若しくは二以上の部門において達成された進歩若しくはそれらの部門における将来の展望を示すものをいう。
とされている。
そのような万博の本来の目的を実現することを最優先に考えるのであれば、1970年に大阪万博の会場となった大阪府吹田市千里のような地にすべきだった。夢洲を万博会場とする計画自体が、夢洲でIR事業を含む「夢洲での国際観光拠点形成」をめざす維新の会の政策実現という政治的な理由からなのである。
その夢洲でのIR事業も、軟弱地盤のため、大地震が発生した際の液状化の問題など、多くの問題が指摘され、認可が遅れていた。今年4月の統一地方選挙での維新の圧勝でIR推進賛成の民意が示された後に、府・市と運営事業者による区域整備計画が認定されたが、今後、IR関連施設の建設を進めていく中で必要となる液状化対策費は、すべて大阪府民・市民の負担になる。夢洲を会場とする万博誘致と、その前提とされていたIR事業は、IR事業とセットになった万博開催という大阪のバラ色の将来ビジョンを示すための、維新という政党の政治的目的なのであり、万国博覧会の本来の目的を実現するためでも、地域社会や府民・市民の要請に応えるためでもなかった。そこに、大阪・関西万博の根本的なコンプライアンス問題があるのである。

海外パビリオン建設の遅れに対する「維新首長」の対応
第二の問題は、このような重大な問題がある夢洲の万博会場でのパビリオンの建設工事が遅れ、予定どおりの開催が危ぶまれる事態に至っていることについて、万博誘致を進めてきた吉村大阪府知事や、維新の側がとってきた対応である。
海外パビリオンの着工の遅れは、既に、今年の春の時点で、万博協会の内部では認識されていたはずだ。しかし、4月10日の統一地方選挙において、大阪府知事選挙で夢洲での大阪関西万博・IR事業の推進を公約に掲げた吉村氏が圧勝し、全国で維新の党が躍進するまでは、海外パビリオンの建設の遅延など、大阪関西万博についての「負の側面」はほとんど表に出ることがなかった。統一地方選挙後の今年5月になって、この問題が取り上げられるようになり、5月末、吉村知事が岸田文雄首相を首相官邸に表敬訪問した際に、「このままいくと海外パビリオンの建設が間に合わない」と言って泣きついたのである。それを受けて、岸田首相は、8月末に、関係閣僚や吉村知事らとの会合を開き、海外のパビリオン建設に遅れが生じていることなどに危機感を示したうえで、予定どおりの開催に向けて政府が主導して準備を加速させていく考えを強調した。

海外パビリオンの建設の遅れについて吉村氏が生出演
今年8月10日に、吉村氏は、関西ローカルの読売テレビの番組に生出演し、大阪・関西万博の開催が危ぶまれていることなどについて質問に答えている模様が、YouTubeにアップされている(【大阪府・吉村知事を生直撃!「間に合う?成功する?どうなる?大阪・関西万博」】)。
(YouTube)
番組関係者は、フリップを示しつつ、大阪・関西万博をめぐって、タイプAの海外パビリオンは、当初の計画では今年4月から着工する予定だったのに、まだ手続きに入ってる国も出ていない状況について質問している。
[質問①]吉村さん。ズバリお伺いしますが、間に合いますか。 
(吉村)え、これはあの、間に合うように。我々関係者やってますので。ま、僕自身も責任者ですから、間に合うように、あの、しっかりやります。
[質問②]延期ってことは、やっぱり視野に入ってきたりしてるんでしょうか。
(吉村)あの延期は今、視野には入ってないです。で、あの、これはあの、焦って中途半端なことをやるつもりもなくてですね。2025年のこの万博に向けて、これたとえば大阪地元パビリオン、これまあ着実に進んでいますし、いろんな関係者が2025年の春に向けて、あの、合わせて、あの実は安定的に進めているところもあるんです。
で、海外パビリオンとか取り上げられるので、ここはしっかりやっていこうというふうには準備をしておりますけど、それ以外の工事っていうのは、あの、きちんと進んできているところもありますし、それ以外の準備もやっぱりある中で、よりよい万博っていう意味では2025年4月に、あの、この期限を決めて、これ、もともとここでやるってわかってるわけですから、あの、それを延ばしたらじゃあさらに良くなるかというと、必ずしもそうではないので、状況が変わるかというと、必ずしもそういうわけではありませんので、ここに目がけてみんなで一所懸命、あの、あの、やっていきましょうというのが今の方向性です。
[質問③]2019年に改正労働基準法が施行、5年後の2024年から建設業にも残業規制が適用されることによる人手不足、2020年にドバイ万博が1年延期されたことで各国の出足も鈍くなるだろうとの予想、2022年秋に、日本建設業連合会から建設の遅れについて危機感表明など、もっと早く気付けたのではないか、手を打てていたのではないか、後悔していないか、との趣旨の質問  
(吉村)後悔ポイント。ちょっと、時期、時期っていうのがあの分かりにくい、難しい点はあるんですけど、僕自身が、あの、ちょっと後悔するのを敢えてというのであれば、僕自身は「たて割り意識」というのがちょっとあったのではないかと、ここを反省すべきじゃないかなと思ってますね。
―どこの縦割り意識ですか。
(吉村)たとえば、そこ(フリップを指して)、2022年にありますね。あの、確かに建設業の、あの、連合会の皆さんが万博協会に、2020年の秋に、あの、このまま行くと海外パビリオン遅れるんじゃないかっていうその懸念は指摘をされてるんです。これはもう事実なんです。だから博覧会協会は受けてるんです。ま、僕も副会長だからこれ受けてるっていうことになるんです。だから、あの、そういう実務的にはそうだったんですけれども、やっぱり、あの、僕自身がそれを直接ちょっと聞いてないところもあって。
―その話が耳に入ったのか、入ってなかったんですね。
(吉村)ええ、入ってないです。なので、これは僕は責任者ですから、あの、すべての責任は負います。ただ、どうしてもその、あの僕自身はたぶん、たて割り意識というのがあって、その話というのはやっぱり聞いてない。で、他のメンバーもやっぱり聞いてないんですね。なので、あの、そういった意味では、あそこで、あの、私も含めてあの重要な関係者が全員認識をしていれば、今とはちょっと違った状況になってた可能性はあるとは思いますが、でもこれはもう言っても仕方のないことなので。
―吉村知事の耳に入ったの。そしたらいつ頃だったんですか。
(吉村)今年の春ですね。今年の春ぐらいに、このまま行けば、海外パビリオンがちょっとタイトになってきてます。しかも、それはまあ、完全に遅れるという話じゃなくて、このまま行けば、ちょっと海外パビリオンが、あの、遅れ始めている傾向にあるっていうのがやっぱり今年の春、あの、聞きましたんで、で、そっからあのいろいろ情報を僕自身も入手して、あの、グッと、あの、国も含めて大きく今動かしているところですね。
[質問④]4月の知事選挙の際は万博の成功を掲げていたが、そのとき、危機感の話が入っていたのに、選挙で、成功といういい面だけをアピールしていたのではないかという街の声も聞かれますが、
(吉村)いや、それはないですよ。それはないです。あの3月に受けた説明も、あの、もう間に合わないって話じゃなくて、やっぱり時期がタイトになってきてますねっていう報告を受けましたので。ま、そういう意味で3月の段階でも春の段階でもこれが遅れそうだっていうのではないですね。で、実際には5月に入ってからですね。5月に入っていろんな情報を聞く限りで、これはちょっとまずい、時期がかなりタイトになってきてるんじゃないかっていうので、あ、こういうのありますけど、その5月に直接、あの、僕自身も岸田総理に、えー、あの、このまま行くと、遅れる可能性があるから、あの、ちょっとかなり力を入れてやっていかないといけないと思いますっていうのは、あの、総理に直接、あの、会った時に話をしました。

[質問①]で、「間に合いますか」と端的に聞かれ、「間に合うようにしっかりやります」と答えているが、その後の質問に対する答を聞く限り、吉村氏がしっかりやっているから間に合うだろうとは到底思えない。
[質問②]に対する答は、支離滅裂である。「延期は視野に入っているか」と聞かれ、「今、視野には入ってないです。」と答えた後に、「大阪地元パビリオンなど、2025年の春に向けて安定的に進めているところもある」などと言っているが、海外パビリオンあっての「万国博覧会」であり、地元パビリオンがいくら順調でも意味がない。しかも、「2025年4月に期限を決めて、ここでやるってわかってる、それを延ばしたらじゃあさらに良くなるかというと、必ずしもそうではない」などと言っているが、少なくとも、海外パビリオンの大幅な遅延で間に合わないのではないかと言われているのであり、延期することで時間の余裕ができれば、少しでも「良くなる」のは当然だろう。
[質問③]では、海外パビリオンの建設の遅れにはもっと早く気づいて対策が打てたのではないか、後悔していないかと聞かれて、後悔するのは「僕自身に縦割り意識があった」などと答えている。しかし、組織が「縦割り」というのは、部署間の情報共有ができていないということであり、各部署の情報が上位者に上がらない「風通しの悪さ」とは異なる。大阪府の組織のトップである知事に「縦割り意識があった」というのは全く意味不明である。
その「縦割り意識」というのを、自分は「海外パビリオンの遅れ」のことを聞いていなかったという弁解で言っているようだが、その後、「ではいつ知ったのか」と聞かれ、「今年の春」と答えた後、知った内容について、海外パビリオンが「ちょっとタイトになっている」「遅れる」「遅れ始めている傾向」にあると、変転を繰り返している。
そこで、「4月の知事選挙の際には、危機感の話が入っていたのに、選挙で、成功といういい面だけをアピールしていたのではないか」という問題の核心について聞かれている。
吉村氏は、「それはないです」と答え、それについて「3月に受けた説明も『もう間に合わないって話』じゃなくて、『時期がタイトになってきている』という報告を受けた」、「3月の段階」では、「遅れそうだ」という話ではなかった、という説明している。しかし、「その後、5月に入っていろんな情報を聞いて『これはちょっとまずい、時期がかなりタイトになってきてるんじゃないか』と思った」と言っており、結局、「タイトになってきている」というのは、「3月の段階の話」と同じである。
そもそも、海外パビリオンの基本計画書の提出予定が3月だったのに、参加国が費用を負担してパビリオンを建設する「タイプA」の50か国余りのうち9か国が建設の許可申請をしなかったのであり、その原因が、資材価格の高騰や2024年からの建設業への残業規制の適用などにあることは、その時点で容易に認識できたはずである。4月の大阪府知事選挙の前には、海外パビリオンの建設の遅れに気づかず、選挙が終わって初めて気づいたなどという話は到底信用できない。
そのような番組でのやり取りの模様を端的に表現しているのが、以下の画面である。

この番組では、今年4月の統一地方選挙までに、予定どおりの万博開催が困難であることに気づくべき局面が山ほどあったのに、選挙までは、それをおくびにも出さずに「万博PR」を行い、選挙が終わると、掌を返したように、パビリオン建設の遅れ等の問題を表に出し、岸田首相に泣きついて「国の財政支援」を求める、という経過であったことをフリップで示しつつ、吉村氏に質問している。その際の吉村氏の表情は、いわゆる「ひょっとこ面」であり、質問に誠実に答えているとは思えないことが、その表情からも窺える。 テレビ番組に長時間にわたって生出演し、ここまでいい加減で支離滅裂なことを平然と言い放つ府知事を、テレビ局関係者は、どう受け止めたのか。追及材料をいろいろ提示しているわりには、吉村氏へのツッコミがほとんどないのも、「維新びいき」の関西マスコミだからこそなのであろうか。

「荒唐無稽な夢物語」の当然の結末
前述したとおり、夢洲を会場とする万博誘致は、地域社会の要請に応えるものでも、大阪府民・市民の利益になるものでもない。維新という政治集団の党利党略のための、「夢洲での国際観光都市形成」という「荒唐無稽な夢物語」の一環として計画されたものだ。
しかし、大阪府民・市民は、その維新が描く「大阪のバラ色の未来」に熱狂し、選挙の度に、維新を圧倒的に支持、その政治的な力は、関西では、立憲民主党等の他の野党はおろか、政権与党の自民公明も太刀打ちできないほど高まり、その絶頂の中で行われた今年4月の統一地方選挙では、その強さを遺憾なく発揮した。
そして、その政治的パワーをもって、吉村氏らは、大阪・関西万博は「国家プロジェクト」などと言って、そもそも維新の党利党略のための万博誘致であったことを棚に上げて、責任を国に押し付けている。一方で、政権維持のためには、国家予算を大盤振る舞いすることなど全く厭わない、しかも自ら責任を負うべきいかに重大な問題が発生しても、「責任を痛感している」「丁寧に説明していく」などと言ってあらゆる問題をごまかしてきた岸田首相にとって、当面の解散総選挙に向けて最大の政敵である維新の共同代表であり、その人気の中心にいる吉村氏が、自らの前にひざまずき、恭順を誓ってくれるのであれば、「大阪・関西万博は国の威信をかけて行う」などと言って、国の予算人員を惜しげもなく投入する方針を示すことなど「お安い御用」だった。
それによって、もともとは、大阪を中心とする関西の地方自治体を支配してきた維新という政治集団が引き起こした「自治体コンプライアンス問題」だった大阪・関西万博問題が、日本政府を巻き込んだ「国家的コンプライアンス問題」に発展しつつある。
大阪・関西万博をめぐる問題は、海外パビリオンの建設遅延だけではない。大会運営費の大部分は入場券収入によって充てられる計画だが、「万博の華」と言われる海外パビリオンが予定どおり建設されるかどうかも不明、プレハブによる貧弱な建物になる可能性もある、ということであれば、わざわざ高額の前売り券を自前で購入しようとする人が限られるのは当然だ。万博協会は、前売り券の大部分を関西の企業などに「押し売り販売」しようとしているが、企業の側は、万博の前売り券の購入などという無駄な支出に充てるお金があれば、物価高に苦しむ社員の賃上げに回したい、というのが本音であろう。このようなことを繰り返していれば、有力企業が関西地域から逃げていくことにもなりかねない。
 万博会場へのアクセス確保のための対策費、軟弱地盤でのくい打ち工事等、大幅な建設費増の補填など、今後、政府が大阪・関西万博につぎ込む国費は、雪だるま式に膨れ上がっていく可能性がある。しかし、それでも、予定どおりの万博開催にこぎつけられるかは不明であり、巨額の国費を投入して開催したとしても、入場者は僅かにとどまる惨憺たる万博になることは必至だ。

「維新の会」という政治集団が描いた、夢洲での国際観光拠点形成という「荒唐無稽な夢物語」に踊らされてきた大阪府民・市民は、大阪関西万博、大阪IR等のビッグプロジェクトによる「破滅的なツケ」に払わされることになる。それだけではない、その「尻ぬぐい」を国費で引き受けることで維新に貸しを作った岸田首相の目論見どおり、次の解散総選挙で政権を利することになる可能性がある。自治体首長の政治目的による大阪・関西万博誘致という“戦後最大の自治体不祥事”は、国民全体にとっても大きな「災い」になりかねないのである。

郷原信郎: 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士
1955年、島根県生まれ。東京大学理学部卒。東京地検特捜部、長崎地検次席検事、法務省法務総合研究所総括研究官などを経て、2006年に弁護士登録。08年、郷原総合コンプライアンス法律事務所開設。これまで、名城大学教授、関西大学客員教授、総務省顧問、日本郵政ガバナンス検証委員会委員長、総務省年金業務監視委員会委員長などを歴任。著書に『告発の正義』『検察の正義』(ちくま新書)、『「法令遵守」が日本を滅ぼす』(新潮新書)、『思考停止社会─「遵守」に蝕まれる日本』(講談社現代新書)など多数。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

231001 室井佑月 維新の「身を切る改革」って? 大阪府民やあたしたちの国民の負担になるんじゃん

2023年10月01日 15時00分42秒 | 時代の記憶
10月1日(日):   
どうして半グレのチンピラ“維新”を信用する馬鹿がこんなに多いのか。大阪は<ナチス時代のドイツ>か?
日刊ゲンダイ維新の「身を切る改革」って? 大阪府民やあたしたちの国民の負担になるんじゃん 室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」
2023/09/29 

当初の予算から8割以上のアップとは…(C)共同通信社
『防衛費増額43兆円を賛成されていますけど、いってるような「身を切る改革」で賄えるわけないじゃないですか。維新の方は嘘をいってて虚しくないんですか』(大石あきこ・衆議院議員・れいわ新選組)
  ◇  ◇  ◇
  これは24日、『NHK 日曜討論』の中での大石さんの発言。
  そうじゃ、そうじゃ!『身を切る改革』って、みんなのために自分らが犠牲になりますみたいな、なんか一見、綺麗な言葉。が、維新はいってることとやってることが違うんだよ!
  43兆円もの防衛費に賛成しているのもそうなんだけどさ、維新が推してる大阪万博のことも見過ごせないよね。
  9月25日の『SmartFLASH』、「恥を忍んでやめたら?」大阪万博、当初予定から1000億円以上増加…“後出しジャンケン”に怒りの声という記事によると、『2025年国際博覧会(大阪・関西万博)の会場建設費が、現在の1850億円から450億円上振れし、2300億円程度になる見通しになったという。』
  記事によれば、これは9月25日、万博を運営する日本国際博覧会協会の関係者への取材でわかったこと。これからもっと増えるっぽい。
  はじめは1250億円だったから、8割以上のアップだという。
  というか、大阪の夢洲の万博からカジノ構想に関しては、そのインフラ整備費用は約3400億円から約7500億円になっているという(8月29日付『しんぶん赤旗』より)。
  それってさ、大阪府民やあたしたちの国民の負担になるんじゃん。
  あたしはね、議員の歳費を削れっていうのではなく、政治家と業界や企業の癒着をなくすルールを一刻も早く作った方がいいと思うわ。
  カジノは、それを指揮する自民党の内閣府副大臣・IR担当だった人間(秋元)まで、利権を貪っていたのがバレた。
  利権で政治を動かされてちゃ、そりゃ、この国は良くならない。

室井佑月:作家 1970年、青森県生まれ。銀座ホステス、モデル、レースクイーンなどを経て97年に作家デビュー。TBS系「ひるおび!」木曜レギュラーほか各局の情報番組に出演中。著書に「ママの神様」(講談社)、「ラブ ファイアー」(集英社文庫)など。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

230923 朝日社説「杉田水脈氏 もう議員の資格はない」

2023年09月23日 20時27分38秒 | 時代の記憶
9月23日(土):
朝日デジタル(社説)杉田水脈氏 もう議員の資格はない
2023年9月23日 5時00分

  現職の国会議員が、公の機関から「人権侵犯」を認定されるとは、驚きあきれる。重く受け止めるなら、ただちに反省の弁を述べるのが当然なのに、それもしない。過去の謝罪が本心だったか疑わしく、もはや、議員を続ける資格はないと言うほかない。
  自民党の杉田水脈(みお)衆院議員の2016年のアイヌ民族に関するブログへの投稿が、人権侵犯にあたると、札幌法務局が認定し、人権を尊重するよう「啓発」を行ったことが明らかになった。
  国連の会議に日本から参加した人たちを「チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります」などと表現。当事者の女性が、救済を申し立てていた。
  杉田氏は、同性カップルを念頭に「『生産性』がない」と雑誌に寄稿したり、性暴力対策などを議論する党の会合で「女性はいくらでもウソをつける」と発言したり、人権感覚が疑われる言動を再三、繰り返してきた。
  昨年夏、岸田内閣の総務政務官に起用されると、国会などで厳しい批判を浴び、ブログへの書き込みについては、総務相の指示を受け、謝罪、撤回した。ただ、「私のつたない表現で差別したかのように伝わってしまった」と、差別とは認めていなかった。
  今回の法務局の事実認定と啓発をどう受け止めたのか、救済を申し立てていた人たちにどう向き合うのか。杉田氏の事務所は「ノーコメント」で、本人の口からは、いまだに何の説明もない。公職にある者としての最低限の務めを放棄している。
  4年前にできたアイヌ施策推進法は、アイヌの人々が誇りを持って暮らせる社会の実現をうたい、差別を禁じている。国会議員が自らその理念を踏みにじることは許されない。在日コリアンの人たちへの差別意識も看過できない。
  自民党の責任は極めて重い。人権意識に欠け、多様性の尊重という社会の流れにも逆行する信条の持ち主と知りながら、野党の落選議員だった杉田氏を引き入れ、衆院選の比例区名簿で優遇し、2度当選させた。ここに及んでなお誠実に対応しない杉田氏を守り続けるなら、人権侵犯に加担していると見られても仕方あるまい。
  インターネット上での誹謗(ひぼう)中傷が社会問題となるなか、政府は省庁を越えて対策に苦慮している。少数派を攻撃して平然としている与党議員を放置し続けるのか。いったんは杉田氏を政務官に起用した、岸田首相の人権感覚もまた問われている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

230611 朝日新聞(社説)改正入管法成立 信頼回復への険しい道のり

2023年06月12日 01時08分38秒 | 時代の記憶
6月11日(日):
朝日新聞(社説)改正入管法成立 信頼回復への険しい道のり
2023年6月10日 5時00分

 どんな国籍や民族であろうとその人の尊厳を重んじて遇し、保護すべき人は確実に守る。そんな入管行政への転換はいつ実現するのだろうか。
 外国人の収容・送還のルールを変える改正出入国管理法が、きのう成立した。審議の過程で難民認定や収容の現場での耳を疑うような問題が表面化したさなかの幕引きだった。
 法務・入管当局に向けられた社会の不信は深まったままだ。法案を押し切った政府と、参院で採決を強行した与党、行動をともにした維新、国民民主の責任はきわめて重い。
 ■見失われた原点
 法案の原点は、長崎県内の入管施設に収容中のナイジェリア人男性が19年、長期収容に抗議しハンストした末に餓死した、あってはならない死だった。
 刑事手続きの逮捕・勾留と違い、入管の収容に裁判所の許可は不要で、数年に及ぶこともある。07年からの14年間で、入管施設では17人が死亡していた。
 入管が人権保障の行き渡らない場であっていいはずはなく、入管行政のあり方を根底から問い直すべき局面だったはずだ。
 ところが、有識者の専門部会の議論を経て政府がつくった法案は、「送還を拒み、難民申請を繰り返す人々」の対策に焦点をあてていた。
 難民申請中の人は送還しない現在の規定は、法改正で、3回目の申請以降は適用外となる。その一方、適正手続きの保障の観点から多くの国が採る、収容や延長の可否に裁判所などが関与するしくみは入れなかった。
 在留を望む外国人を受け入れるかどうかの判断は、その国の事情や政策にもかかわり、どの国にとっても簡単ではない。ただし、少なくとも普遍的な人権という価値に立脚していることが厳正に求められている。
 法案が最初に提出された21年と再提出の今年のいずれも、国連人権理事会の特別報告者らは「国際人権基準を満たしていない」と見直しを求めた。法務・入管当局は「法的拘束力はない」と、取り合わなかった。
 収容や難民認定など、人の生命や自由にかかわることを、当局だけで決めるしくみが、さまざまな問題の根底に横たわっている。
 ■難民認定への疑義
 改正法の下では、保護すべき人は2回の申請までに難民認定することが必須になる。ところが、現状の認定手続きはそうなっていない疑義が、審議を通して強まった。
 難民と認定するかどうかは、まず入管が判断し、不服の申し立てがあれば民間有識者の難民審査参与員が3人1組でチェックしたうえで法相が最終判断する、という2段階で行われる。
 法務・入管当局は「申請者に難民はほとんどいない」といった参与員らの発言を法改正の根拠としてきた。だが、入管が迅速処理していいと判断した案件を一部の参与員にまとめて審査させている運用がわかり、難民認定の公正さが揺らいでいる。
 不認定が争われた行政裁判では、昨年までの5年間で109件中104件は国が勝訴したことを、斎藤健法相は適切な運用の象徴として挙げてきた。しかし、迫害のおそれのある国に誤って帰したら取り返しがつかない問題であり、裁判所が5件も不認定の取り消しを命じたことを重く見るべきだ。今年に入ってからも、不認定を取り消す判決がすでに複数出ている。
 立場が不安定な当事者が裁判を起こすこと自体難しいことにも思いをいたす必要もある。
 ■不信は解消できるか
 4月に衆院の参考人に招かれた研究者が「法案を通すことは、無辜(むこ)の人間に対して間接的に死刑執行ボタンを押すことに等しい」と強い懸念を表明したことを忘れることはできない。
 野党が政府法案の対案に盛り込んでいた、政府から独立した委員会による難民認定制度の導入の検討を続けていくべきだ。
 当事者の利益になりうる部分も、改正法にないわけでない。非正規滞在になっても収容せずに退去手続きを進め、家族や知人が監理人となって社会で過ごす「監理措置」という新制度を設けた。「原則収容」からの転換を進められるかが問われる。
 監理人は本人の行動について届け出ることを求められ、支援団体などを対象にしたNPOの調査では「なれない・なりたくない」との答えが多かった。市民の協力を得られやすい運用にすることが不可欠だ。
 法相による「在留特別許可」を、本人自ら申請できるようにもなった。すでに生活基盤がある人の在留を積極的に正規化していくべきだ。日本で生まれ育ったのに、両親に正規の在留資格がないため自らも退去を求められている子どもたちも少なくない。長じて言葉も分からない国籍国に帰すことが人道上、許されるとは考えられない。
 改正法をどう使うか、今後の入管行政に注がれる目はこれまで以上に厳しい。それぞれを人として尊ぶ実務を重ね、信頼を取り戻していくしかない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

230414 内田樹の研究室「安倍政治を総括する 2022-09-01 jeudi」

2023年04月15日 02時47分17秒 | 時代の記憶
4月14日(金):転載。きちんとものを見て表現できる人。俺の思いもほぼほぼ適切に表現されている。
内田樹の研究室「安倍政治を総括する 2022-09-01 jeudi」
日刊ゲンダイに標記のような寄稿を依頼された。いまさら総括でもないけれど、とりあえず言いたいことを書いた。 
 この10年間で日本の国力は劇的に衰えた。
 経済力や学術的発信力だけではない。報道の自由度、ジェンダーギャップ指数、教育への公的支出の対GDP比ランキングなどは「先進度」の指標だが、そのほとんどで日本は先進国最下位が久しく定位置になっている。
 だが、「国力が衰えている」という国民にとって死活的に重要な事実そのものが(報道の自由度の低さゆえに)適切に報道されていない。安倍時代が残した最大の負の遺産は「国力が衰微しているという事実が隠蔽されている」ということだろう。
 国力はさまざまなチャートでの世界ランキングによって近似的には知られる。1995年世界のGDPで日本は17・6%だったが、現在は5.6%である。1989年の時価総額上位50社のうち日本企業は32社だったが、現在は1社。経済力における日本の没落は顕著である。だが、日本のメディアはこの経年変化についてはできるだけ触れないようにしている。だから、多くの国民はこの事実そのものを知らないか、軽視している。それどころか、政権支持者たちは安倍政権下でアベノミクスが成功し、外交はみごとな成果を上げ、日本は世界的強国であるという「妄想」のうちに安んじている。
 安倍時代における支配的なイデオロギーは新自由主義であった(今もそうである)。すべての組織は株式会社のような上意下達組織でなければならない。「選択と集中」原理に基づき、生産性の高いセクターに資源を集中し、生産性の低い国民はそれにふさわしい貧困と無権利状態を甘受すべきだ。そう信じる人々たちが法案を作り、メディアの論調を導いて来た。
 その結果がこの没落である。だが、誰も非を認めない。すべては「成功」したことになっている。それは、政権与党が選挙に勝ち続けたからである。安倍元首相は6回の選挙に勝利した。しばしば圧勝した。それは「国民の過半は安倍政権が適切な政策を行ってきたと判断した」ことを証し立てていると政府は強弁した。
 たしかに株式会社ではトップに全権が与えられる。トップのアジェンダに同意する社員が重用され、反対する社員ははじき出される。それが許されるのは、経営の適否についてはただちにマーケットが過たず判定を下すと信じられているからである。「マーケットは間違えない」というのはビジネスマンの揺らぐことのない信仰である。社内的にどれほど独裁的な権力をふるう経営者であっても、収益が減り、株価が下がれば、ただちに退場を命じられる。
 国の場合であれば「国際社会における地位」が株価に相当するだろう。経済力、地政学的プレゼンス、危機管理能力、文化的発信力などで国力は表示される。その点で言えば「日本株式会社の株価」は下落を続けている。しかし、安倍政権下で経営者は交代させられなった。もし、経営が失敗し、株価が急落しているにもかかわらず、経営者が「すべては成功している」と言い続け、それを信じた従業員たちの「人気投票」で経営者がその座にとどまりつづけている株式会社があったとすれば(ないが)、それが今の日本である。
 新自由主義者たちは「マーケットは間違えない」と言い張るが、彼らが「マーケット」と言っているのは国際社会における評価のことではなく、選挙結果のことなのである。選挙で多数派を占めれば、それはすべての政策が正しかったということなのだと彼らは言い張る。
 だが、選挙での得票の多寡と政策の適否の間には相関はない。亡国的政策に国民が喝采を送り、国民の福利を配慮した政策に国民が渋面をつくるというような事例は枚挙にいとまがない。政策の適否を考量する基準は国民の「気分」ではなく、客観的的な「指標」であるべきなのだが、安倍政権下でこの常識は覆された。
 決して非を認めないこと。批判に一切譲歩しないこと。すべての政策は成功していると言い張ること。その言葉を有権者の20%が(疑心を抱きつつも)信じてくれたら、棄権率が50%を超える選挙では勝ち続けることができる。
 安倍政権が最終的に終わったのはパンデミック対策に失敗したからである。人間相手なら「感染症対策に政府は大成功している」と言って騙すことはできるが、ウイルスに嘘は通じない。科学的に適切な対策をとる以外に感染を抑制する手立てはない。
 安倍政権下で政権担当者たちは「成功すること」と「成功しているように見えること」は同じことだと本気で信じ始めていた。だから、「どうすれば感染を抑えられるか」よりも、「どうすれば感染対策が成功しているように見えるか」ばかりを気づかった。東京五輪の強行に際しても、「感染症が効果的に抑制されているように見せる」ことが優先された。それを有権者が信じるなら、それ以上のことをする必要はないと思っていたのだ。今の岸田政権もたぶんそう思っている。
 パンデミックについても、気候変動についても、東アジアの地政学的安定についても、人口減少についても、トランス・ナショナルな危機に対してこの10年間日本はついに一度も国際社会に対してついに指南力のあるビジョンを提示することもできなかった。
 司馬遼太郎は日露戦争から敗戦までの40年間を「のけて」、明治の日本と戦後の日本を繋ぐことで敗戦後の日本人を自己嫌悪から救い出そうとした。その風儀にならうなら、安倍時代という没落の時代を「のけて」、10年前まで時計の針を戻して、そこからやり直すしかない。 (2022-09-01 11:20)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

230402 内田樹の研究室「岸田政権は何をしようとしているのか 2023-04-02 dimanche」

2023年04月03日 02時25分09秒 | 時代の記憶
4月2日(日):転載。こんなに見え透いた状況下で、何も変えられない、変えようとしない日本は異常だ。

内田樹の研究室岸田政権は何をしようとしているのか
 2023-04-02 dimanche
ある媒体からインタビューのオファーがあった。岸田政権の新年度予算成立を受けて、「なぜ政権はこれほど性急に防衛予算の拡大に進むのか」について訊かれたので、次のように答えた。     

 今回の防衛費増額の背景にあるのは岸田政権の支持基盤の弱さだと思う。
 彼にとって喫緊の課題は二つだけである。一つは国内の自民党の鉄板の支持層の期待を裏切らないこと。一つは米国に徹底的に追随すること。日本の将来についての自前のビジョンは彼にはない。
 今回の防衛予算や防衛費をGDP比2%に積み上げるのも、米国が北大西洋条約機構(NATO)に求める水準に足並みをそろえるためであって、日本の発意ではない。日本が自国の安全保障戦略について熟慮して、必要経費を積算した結果、「この数字しかない」と言ってでてきた数字ではない。アメリカから言われた数字をそのまま腹話術の人形のように繰り返しているだけである。
 国民がこの大きな増額にそれほど違和感を覚えないで、ぼんやり傍観しているのは、安全保障戦略について考えるのは日本人の仕事ではないと思っているからである。
 安全保障戦略は米国が起案する。日本政府はそれを弱々しく押し戻すか、丸呑みする。戦後80年、それしかしてこなかった。その点では日本政府の態度は戦後80年一貫しており、岸田政権は別に安全保障政策の「大転換」したわけではない。政権によって米の要求に従うときの「おもねりかた」の度合いが多少違うだけであり、そこにはアナログ的な変化しかない。だから、国民は誰も驚かないのである。
 岸田首相の党内の政権基盤は決して堅牢なものではない。だから、長期政権をめざすなら、米国からの「承認」がその政治権力の生命線となる。ホワイトハウスから「米国にとってつごうのよい統治者」とみなされれば政権の安定が保証されるし、少しでも「米国に盾突く 」そぶりを示せば、たちまち「次」に取って替わられ、政権は短命に終わる。
 岸田政権にはとりわけ実現したい政策があるわけではない。最優先するのは「政権の延命」だけである。喩えて言えば、船長が目的地を知らない船のようなものである。自公連立政権という「船」を沈めないことだけが目下の急務であり、岩礁や氷山が目の前にきたら必死に舵を切って逃げる。だが、どこに向かっているのかは船長自身も知らない。
「国民の声を聴く」とか「個性と多様性を尊重する」とか「新しい資本主義」とか公約を掲げていた時は、首相になれば少しはこのシステムをいじれると思っていたのだろうが、実際に船長になってみたら「お前が動かしてよい舵輪の角度はここからここまで」と言われ、ほとんど政策選択の自由がないことを思い知らされた。
 今回の防衛予算の積み上げも、まず米国からの要求があり、それに合うように予算が組まれ、さらにその予算枠に合うように、「中国や北朝鮮の脅威」なる「現実」が想定されている。
 ふつうの国なら、まず現実認識があり、それに基づいて国防戦略が立てられ、それに基づいて必要経費が計上されるのだが、今の日本はみごとにそれが逆立しているのである。
 日本政府が購入を決めたトマホークにしても、その前に「爆買い」したF35戦闘機にしても、米国内でははっきりと「使い物にならないほど時代遅れ(レガシー・プログラム)」の兵器とされている。
 中国との競争において、米国はAI軍拡で後れを取っている。もう大型固定基地や空母や戦闘機の時代ではない。AIに優先的に予算を投じるべきなのである。しかし、米国には軍産複合体という巨大な圧力団体があって、国防戦略に強い影響を及ぼしている。兵器産業にいま大量の在庫が残されている以上、それを処理しなければならない。だから、それを日本に売りつけるのである。日本に不良在庫を売りつけ、それで浮いた金を軍のヴァージョンアップに投じる。そういう「合理的な」メカニズムである。
 不良在庫を言い値で買ってくれるのだから、米国にしてみたら日本の自公連立政権ほど「使い勝手のよい」政権はない。だから、この政権が半永久的に続いてくれることを米国が願うのは当然なのである。
 日本国民は属国身分にすっかり慣れ切っているので、自国の政権の正統性の根拠を第一に「米国から承認されていること」だと思い込んでいる。「国民のための政治を行っていること」ではないのである。
 米国に気に入られている政権であることが何よりも重要だと日本国民自身が思い込んでいる以上、日本人が岸田政権に不満を持つはずがない。
 だから、岸田政権が防衛増税を進めても、インボイス制度やマイナンバーカードなどで、国民の負担を増大させても、国民はデモもストライキもしない。それは国民自身が「政府というのは、国民の生活のために政策を実施するものではない」という倒錯に慣れ切ってしまっているからである。
「政府はアメリカと、国内の鉄板支持層の方を向いて、彼らの利益を計るために政治をしている」ということを国民は知っている。でも、「政治というのは、そういうものだ」と諦めている。そうやって政府に対する国民の期待を下げれば下げるほど、棄権率は高まり、結果的に20%の鉄板支持層を持つ自民党が選挙には勝ち続けることができる。実際に、これからも自民党は選挙に勝ち続けるだろう。コアな自民支持層があり、浮動層の半数が「自民党以外に選択肢はない」と思っている以上、政治が変わるはずがない。
 問題は「政治はこれからもまったく変わらない」という諦念が広がると、国民の中から、このシステムを主権国家としてのあるべき姿に生き返らせることよりも、この不出来なシステムをどう利用するかをまず考える人たちが出てくることである。このシステムにはさまざまな「穴」がある。それを利用すれば、公権力を私的目的に用い、公共財を私財に付け替えることで自己利益を最大化することができる。今の日本がろくでもない国であることは自分にもよくわかっている。でも、そのろくでもない国のシステムのさまざまな欠陥を利用すれば簡単に自己利益を増すことができる。それなら、システムを復元するよりも、システムの「穴」を活用する方がいい。
 彼らはシステムを「ハック(hack)」する。死にかけた獣に食らいつくハイエナのように。彼らはこの獣がまた甦って立ち上がることを全く望んでいない。できるだけ長く死にかけたままでいることが彼らの利益を最大化するからである。今の日本では、そういう人たちが政権周りに集まり、メディアで世論を導いている。
 一方にはそれとは違う考え方をする人たちもいる。このシステムの内側で生きることを止めて、「システムの外」に出ようとする人たちである。地方移住者や海外移住者はその一つの現れである。彼らもまたもうこのシステムを変えることはできないと諦めている。そしてシステムの外に「逃げ出す(run)」ことを選んだ。
 若い人はいま二者択一を迫られている。hack or run。その選択がいま日本の若者に突きつけられている。そして、ここには、「システムの内側に踏みとどまって、システムをよりよきものに補正する」という選択肢だけが欠落している。(3月29日)(2023-04-02 09:47)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

230216 永田町の裏を読む この卑劣漢ぶりは一体何なのだろうか。

2023年02月16日 19時00分27秒 | 時代の記憶
2月16日(木): 
いまや永田町は骸骨や亡霊が跋扈する「ゾンビ村」と化しつつある 永田町の裏を読む
2023/02/15 日刊ゲンダイ

 先週発売された「安倍晋三回顧録」(中央公論新社)で安倍晋三が「財務省が私を引きずり下ろそうと画策した」、森友学園事件も「私の足をすくうための財務省の策略の可能性がゼロではない」と語っているのを知って、背筋が凍る思いがした。
 犯罪スレスレの疑惑を数々まといながら、「ああ言えばこう言う」ふうに言い逃れをし、それも面倒くさくなれば国会も記者会見も開かずに質問される機会を消し去ってしまうのが彼の常套手段であるとは認識していたが、ただ逃げるだけではなくて、窮鼠猫を噛むではないけれども、自分と妻の犯罪的失態を財務省の陰謀のせいにして自己正当化しようとするこの卑劣漢ぶりは一体何なのだろうか。
 それを自民党のベテラン秘書に問うと、彼の答えがふるっていた。
「あのね、いま永田町は岸田文雄村長の下で骸骨や亡霊や透明人間が跋扈する『ゾンビ村』と化しつつあるんですよ」と、こう続ける。
「岸田は安倍を国葬に付して無事送り出したつもりだったけれども、安倍はその程度では成仏しないで、『俺を撃ったのは山上徹也だが、財務省だって俺を殺そうとしたんだよ』とか恨み言をつぶやきながらこの辺を彷徨っている。そういうのをビシッと抑えて追い払うのが長老級の役目だが、麻生太郎も菅義偉もゾンビで、いずれも1年で首相の座を追われたのが悔しくて、あわよくば『もう一度』と魂を中空に漂わせている。二階俊博は年老いて、もはや自ら事を起こす気力がなく靄のように地面を這っているありさまだ」
 何だかんだ厳しい内部批判をしながらも何十年も自民党に仕えてきた秘書氏にしては、珍しく暗い物言いではないか。
「うーん。私が最初に仕えたのは田中派で、これは良いも悪いもあっけらかんと明るくて気持ちよかった。次に付き合った宏池会はみな知的で、きちんと説明できないようなことはしないという毅然とした気風があった。だから私は自民党というのはそういうものだと思って仕事をしてきた。そうでなくなってきたのは、やはり第2次安倍政権の8年間を通じてではないか。一言でいうと陰険になった。キチンと説明しない。ヤジるのは得意だが議論するのは苦手。他人のせいにして逃げて、責任を取らない。こういうのが『安倍文化』で、それが今も永田町を暗雲のように覆っているのですよ」とのことだ。


高野孟 ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

221219 岸田退陣、自民党カルト政権(創価学会、統一教会、神道)リセットの時。

2022年12月19日 00時13分24秒 | 時代の記憶
12月18日(日):
岸田内閣支持率25% 政権発足以降で最低 毎日新聞世論調査
12/18(日) 14:40配信

 毎日新聞は17、18の両日、全国世論調査を実施した。岸田内閣の支持率は25%で、11月19、20日の前回調査の31%から6ポイント下落し、2021年10月の政権発足以降最低となった。不支持率は69%で前回(62%)より7ポイント増加した。岸田文雄首相が防衛費増額の財源について、1兆円強を増税で賄う方針を示したことが支持率低下につながったとみられる。
  防衛費を大幅に増やす政府の方針については、「賛成」が48%で、「反対」の41%を上回った。「わからない」は10%だった。政府は防衛力強化のため、23~27年度の防衛費の総額を計43兆円とする。男女別でみると、男性は「賛成」が56%、「反対」が38%だったが、女性は「賛成」が35%、「反対」が46%だった。年代別でみると、50代以下は「賛成」が「反対」より多かったが、60代以上は「反対」が「賛成」を上回った。
  防衛費増額の財源として、増税は「賛成」が23%で、「反対」の69%を大きく下回った。社会保障費などほかの政策経費を削ることについては「賛成」が20%で、「反対」の73%を大幅に下回った。国債発行は「賛成」が33%、「反対」が52%だった。
  防衛費増額について「賛成」と回答した層でも、「増税」と「政策経費の削減」は、いずれも「反対」が5割を超えた。「国債発行」は「賛成」が5割を上回った。
  政府は防衛費増額に伴い、27年度時点で財源が約4兆円不足するとして、うち1兆円強を増税で賄う方針。残りの約3兆円については、歳出改革や、決算剰余金、税外収入などで賄うと説明している。
  政府が相手国のミサイル発射拠点などをたたく反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を決めたことについては、「賛成」が59%で、「反対」が27%だった。質問の仕方が異なるため単純に比較できないが、5月21日の調査では、保有について「賛成」は66%、「反対」は22%だった。
  政党支持率は、自民党25%(前回29%)▽日本維新の会12%(同12%)▽立憲民主党11%(同12%)▽共産党5%(同3%)▽れいわ新選組5%(同4%)▽国民民主党5%(同4%)▽公明党3%(同3%)▽NHK党2%(同1%)▽参政党2%(同3%)――などで、「支持政党はない」と答えた無党派層は29%(同26%)だった。
  調査は、携帯電話のショートメッセージ(SMS)機能を使う方式と、固定電話で自動音声の質問に答えてもらう方式を組み合わせ、携帯602件・固定411件の有効回答を得た。【伊藤奈々恵】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

150329 タガ外せば歯止め失う 長谷部恭男・早稲田大学教授/「未来志向」は現実逃避 杉田敦・法政大学教授

 杉田 先日ドイツのメルケル首相が来日しました。戦後ドイツも様々な問題を抱えていますが、過去への反省と謝罪という「建前」を大切にし続けることで、国際的に発言力を強めてきた経緯がある。「建前」がソフトパワーにつながることを安倍さんたちは理解しているのでしょうか。  / /長谷部 そもそも談話が扱っているのは、学問的な歴史の問題ではなく、人々の情念が絡まる記憶の問題です。記念碑や記念館、映画に結実するもので、証拠の有無や正確性をいくら詰めても、決着はつかない。厳密な歴史のレベルで、仮に日本側が中国や韓国の主張に反証できたとしても、問題はむしろこじれる。相手を論破して済む話ではないから、お互いがなんとか折り合いのつく範囲内に収めようと政治的な判断をした。それが河野談話です。  / /杉田 談話の方向性や近隣との外交について「未来志向」という言い方がよくされますが、意図はどうあれ、それが過去の軽視という「見かけ」をもってしまえば、負の効果は計り知れない。安倍さんたちは、未来を向いて過去を振り払えば、政治的な自由度が高まると思っているのかもしれません。しかし政治の存在意義は様々な制約を踏まえつつ、何とか解を見いだしていくところにあります。政治的な閉塞(へいそく)感が強まる中で、自らに課せられているタガを外そうという動きが出てくる。しかし、それで万事うまくいくというのは、一種の現実逃避では。  / /長谷部 合理的な自己拘束という概念が吹っ飛んでしまっている印象です。縛られることによってより力を発揮できることがある。俳句は5・7・5と型が決まっているからこそ発想力が鍛えられる。しかし安倍さんたちは選挙に勝った自分たちは何にも縛られない、「建前」も法律も憲法解釈もすべて操作できると考えているようです。  / /杉田 俳句は好きな字数でよめばいいのだと。  / /長谷部 あらゆるタガをはずせば、短期的には楽になるかもしれません。しかし、次に政権が交代したとき、自分たちが時の政府を踏みとどまらせる歯止めもなくなる。外国の要求を、憲法の拘束があるからと断ることもできない。最後の最後、ここぞという時のよりどころが失われてしまう。その怖さを、安倍さんたちは自覚すべきです。 =敬称略(構成・高橋純子)朝日新聞『考論』

0015 オルテガ「大衆の反逆 (桑名一博訳;久野収解説)」(白水社イデー選書;1930)評価5

以下は、オルテガ所論の久野収による抜粋の抜粋である:///  オルテガによれば、政治のなかで「共存」への意志を最強力に表明し、実行していく政治スタイルこそ、自由主義的デモクラシーである。共存は、強い多数者が弱い少数者に喜んで提供する自己主張、他者説得の権利である。敵、それも最も弱い敵とさえ、積極的に共存するという、ゆるがない決意である。/その意味で、人類の自然的傾向に逆行する深いパラドックス(逆説)であるから、共存を決意した人類が、困難に面してこの決意を投げ出すほうへ後退したとしても、それは大きな悲劇ではあっても、大きな不思議とするには当たらない。/「敵と共存し、反対者と共に政治をおこなう」という意志と制度に背を向ける国家と国民が、ますます多くなっていく1930年代、オルテガは、「均質」化された「大衆」人間の直接行動こそが、あらゆる支配権力をして、反対派を圧迫させ、消滅させていく動力になるのだという。なぜなら、「大衆」人間は、自分たちと異類の非大衆人間との共存を全然望んでいないからである。略。///  「大衆」人間は、自分たちの生存の容易さ、豊かさ,無限界さを疑わない実感をもち、自己肯定と自己満足の結果として、他人に耳を貸さず、自分の意見を疑わず、自閉的となって、他人の存在そのものを考慮しなくなってしまう。そして彼と彼の同類しかいないかのように振舞ってしまう。/彼らは、配慮も、内省も、手続きも、遠慮もなしに、「直接行動」の方式に従って、自分たちの低俗な画一的意見をだれかれの区別なく、押しつけて、しかも押しつけの自覚さえもっていない。/彼らは、未開人―未開人は宗教、タブー、伝統、習慣といった社会的法廷の従順な信者である―ではなく、まさに文明の洗礼を受けた野蛮人である。文明の生み出した余裕、すなわち、贅沢、快適、安全、便益の側面だけの継承者であり、正常な生存の様式から見れば、奇形としかいいようのないライフスタイルを営んでいる新人類である。略。///  「自分がしたいことをするためにこの世に生まれあわせて来た」とする傾向、だから「したいことは何でもできる」とする信仰は、自由主義の自由の裏面、義務と責任を免除してもらう自由にほかならない。/われわれは自由主義の生みだした、この「大衆」人間的自由、自己中心的自由に対し、他者と共存する義務と責任をもった自由を保全しなければならないが、一筋縄でいかないのは、この仕事である。(160626:イギリスEU離脱について思うところ=もみ=)