もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

150215 衆参両院の「テロ非難決議」を非難する!「テロの本質」を真面目に語る政治家はいないのか!

 真面目に「テロの本質」を考えれば、その原因が、決して宗教の違いにあるのではなく、世界的に広がる富の偏在、極端な格差拡大、差別構造の継承、及びパレスチナ問題、それらによる<若者たちの絶望>にあることは、実は誰もがわかっていることだろう! それを「世界には凶悪なテロリストが大勢いて、こいつらを叩き潰せばテロが無くなる」なんて話に無理やりすり替えている。誰も、「テロの本質が、日本・世界の社会構造が抱える富の偏在・格差の拡大及びパレスチナ問題の<野放し状態>にこそある」という本質を語らないし、見させようとしない。そして、凶悪なテロリストへの恐怖ばかりを煽りたてている。これはまさにオーウェルの「一九八四年」の世界と同じだ。今回の国会の「テロ非難決議」に社民党・共産党まで加わっていたのには、あきれ果てた。「誰も本質を見ようとしない。」「武力で世界中の<絶望した若者たち>を封じ込めるべきではないし、不可能だ!」

秋原葉月さん「Afternoon Cafe」ブログから

※(1)「もちろん、普通の人間は戦争を望まない。しかし、国民を戦争に参加させるのは、つねに簡単なことだ。とても単純だ。国民には攻撃されつつあると言い、平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、国を危険にさらしていると主張する以外には、何もする必要がない。この方法はどんな国でも有効だ」byヘルマン・ゲーリング ※(2)いつの時代も大衆をファシズムに煽動する手口は同じ。なのに同じ手口に何度も騙されるのは過去に学んでいないから。格差を広げ、セイフティネットを破壊し、冷徹な自己責任論が横行する社会を継続させるのは簡単だ。今よりもっと格差を広げ、セイフティネットを破壊する政策をとればよい。そうすれば人々に自己責任論がもっと浸透し、草の根から勝手に右傾化してくれる。

辺見庸さんのブログから

・権力をあまりに人格的にとらえるのはどうかとおもう。口にするのもおぞましいドブの目をしたあの男を、ヒステリックに名指しでののしれば、反権力的そぶりになるとかんがえるのは、ドブの目をしたあの男とあまり変わらない、低い知性のあらわれである。権力の空間は、じつのところ、非人格的なのだ。だからてごわい。中心はドブの目をしたあの男=安倍晋三であるかにみえて、そうではない。ドブの目をしたあの男はひとつの(倒錯的な)社会心理学的な表象ではありえても、それを斃せば事態が革命的に変化するようなシロモノではない。権力には固定的な中心はなく、かくじつに「われわれ」をふくむ周縁があるだけだ。ドブの目をしたあの男は、陋劣な知性とふるまいで「われわれ」をいらだたせ、怒らせるとともに、「われわれ」をして社会心理学的に(かれを)蔑視せしめ、またそのことにより、「われわれ」が「われわれ」であることに無意識に満足もさせているのかもしれない。ところで、「われわれ」の内面には、濃淡の差こそあれ、ドブの目をしたあの男の貧寒とした影が棲んでいるのだ。戦争は、むろん、そう遠くない。そう切実にかんじられるかどうか。いざ戦争がはじまったら、反戦運動が愛国運動化する公算が大である。そう切実に予感できるかどうか。研ぎすまされた感性がいる。せむしの侏儒との「ふるいつきあい」がベンヤミンのなにかを決定した。そう直観できたアレントほどするどくはなくても、研ぎすまされた感性がいる。けふコビトがきた。ミスドにいった。(2015/11/11)

220冊目 若林亜紀「裏切りの民主党」(文芸春秋;2010年4月)評価2

2012年07月31日 23時00分59秒 | 一日一冊読書開始
7月31日(火):

197ページ 所要時間1:20

著者45歳。図書館で本の題名だけ見て、ふらふらと手を伸ばしてしまった。読み始めてすぐ後悔した。要は、東日本大震災の前から、政権交代の当初から民主党はダメだった。勿論、自民党もダメ。日本の政官の腐敗はどうしょうもない、という内容。今さら改めて真面目に取り組む内容ではない。
 事業仕分けは全くのショーに過ぎず、何の効果も無かった。八方美人な分だけ民主党政権になって無駄が増大した。蓮舫に噛みついたノーベル賞学者らも、所詮文科省に独立法人役員として取り込まれた圧力団体の爺(じじい)どもに過ぎない。科学の象徴のように有難がって観るのは馬鹿げている。
 著者のお説ごもっともだが、今さら日本社会の愚劣を見せつけられなくても十分幻滅しているのだ。そして、鳩山総理の頃よりも、今の野田汚物の民主党は馬脚を現すというより、馬脚だけになって居直っているのだ。もううんざりだ。

【目次】 第1章 仕分け人からの電話/第2章 構想日本と財務省支配/第3章 浪費の現場/第4章 ショーは大成功/第5章 リーダーシップのない首相/第6章 自民党の地団駄/第7章 忍び寄る増税/終章 裏切りの民主党

「論点ずらし、先延ばし……。いつになったら無駄減らしが始まるのだろうか。枝野大臣の目は泳いでいた。」188ページ。これは、今の話ではない。2年以上前の話だ。この人、昔から目が泳いでいるんだ。

「民主党には左派から右派までがおり、政権維持のためだけに同居している。これでは政策が進まない。これは自民党も同じなのである。与野党双方に無理があるので、政界再編は必至である。/もしも民主党が独裁体制を強めるなら、民主主義までもが崩壊する。当の民主党員にさえ目的のわからない独裁が独り歩きする。」196ページ。小沢チルドレンに警戒しているのは外れたが、開発独裁の途上国のような野田汚物の振る舞いを、不幸な形で言い当てている。とても残念だ。


219冊目 笹山尚人「労働法はぼくらの味方!」(岩波ジュニア新書;2009) 評価4

2012年07月30日 22時44分15秒 | 一日一冊読書開始
7月30日(月):

202ページ  所要時間1:40

 時間が無いので、1ページ30秒の雑な読書だが、それでも本と関わっていたい。
 著者39歳(1970生まれ)、弁護士。良心的な著作である。動機の根っこに、人間を粗末に扱う社会に対する怒りがある。そもそも派遣労働は、昭和60(1985)年「労働者派遣法」制定まで違法であった。経営者側が勝手に決めた違法な規則の無効と労働法の存在をアピールし、職場での現実の闘い方として、憲法で保障された労働三権に強力に支えられた労働組合(必ずしも職場内労働組合でなくてもよい!)による闘争と、労働審判(2006年開始)による闘いを推奨している。
 でも、やはり問題のある職場で働く場合、違法性を指摘して闘って勝ったとしても、陰湿な日本的いじめ・空気感によって、闘った者がいびり出されて、辞めるはめになる気がして割り切れなさが残る。勿論、これは著者の所為ではないが、深く考えると息が詰まってしまう…。
 1週間40時間を超える労働には2割5分増しの残業手当てと言ったって、純粋に機械のような労働をしている訳ではなくて、ある面で創造的活動を行っているという自負の意識もあるので、そんなに簡単に残業手当ての保障を求める気分には成り難い。でも、やっぱり超過勤務が慢性化しているのも確かであり、それをお金に換えるのは現実には難しく、やはり労働者としての権利を踏みにじられている現実は間違いなくあるのだ。
 どうして組合はこんなに弱くなってしまったのだろう。そもそも社会党系と共産党系に分裂して、何故自滅したのだろう…。俺は、共産党が大嫌いな人間だ。これは俺の個人的体験に過ぎないのかもしれないが…。共産党の、あの爬虫類のような目線、話し方が大嫌いなのだ。一方で、社会党(社民党)の鈍臭さ、人間臭さが好きでたまらないのだ
 民主党に絶望させられた分、社民党にはもう少しでいいから大きくなってほしいものだ。それにしても以前からずっと応援していた辻本清美は、腐り切った民主党の中で何をしてはるのだろう? 国土交通副大臣となって、目も眩むような大きなお金を動かして、責任感から自縄自縛になってるんだろうか? でも、辻本清美の値打ちは、野党にあってこそ輝くものであり、腐り果てた民主党の中で体制内改革をめざすなんて、馬鹿な題目を唱えてるんじゃないやろな。そんなん絶対に無理!腐り切った○○党とは早く縁を切って欲しい。その点では、湯浅誠さんは水際立っていたなあ! 

■目次
プロローグ 真吾くんの仕事体験
第1章 アルバイトの悩み
  お店の説明/人の役に立つって嬉しいこと/ハンバーガーショップに集う人たち/「年休」ってなんだろう/お店のお金がなくなる/「君もクビになりたいのか!」/時給100円の引き下げ/頼子サンに話す/おじさんに会う/「労働法にてらして違法」
第2章 労働法ってなんだろう
  労働法とは―その役割を知る/「労働者」とは/働く人を守るルール
第3章 パート・アルバイトの働きかた
  「労働契約書」/民法の大原則/契約書がなくても契約は成立している/就業規則って?/労働契約書,就業規則に労働法はどのように生きるか/求人,募集要項を考える/パートタイム労働法によるパートタイム労働者の保護/最低賃金/未成年者は親の同意が必要か/社会保険/求人票と異なる労働の時はどうするのか/年休とは/時季変更権にいう「事業の正常な運営を妨げる場合」とは/天引きは許されるのか/損害賠償請求自体は許されるのか/意外な人との対面
第4章 正社員の働きかた
  新たな問題/解雇問題の考え方/合理的な理由は,正社員でも,アルバイトでも必要/今回の解雇に合理的な理由はない/頼子サンの問題提起~労働時間/正社員の勤務シフト/残業代/「管理監督者」とはどのような人をいうのか/給与明細書からわかること/頼子サンの問題
第5章 派遣社員の働きかた
  頼子サンの悩み/派遣ってどんな働きかたのこと?/労働者派遣の歴史と考え方/就業条件明示書の使い方/派遣先企業による雇い入れ/労働者派遣の建前と現実/セクハラ・パワハラ・いじめ/業務処理請負って何?/紹介予定派遣と,試用期間/健康保険に入れるの?
第6章 労働法の活用方法
  労働法違反に対する対処の方法/真吾君たちはどうすべきか/労働組合の活動の意味/誰でも労働組合に加入できる/労使交渉をうまく進めるためには/本裁判と労働審判/ワクワクする気持ち
第7章 おじさんからの手紙
  「雇い止め」の考え方/結婚・出産・育児/最後に
エピローグ これから働く若者たちへ
  働く現場の貧困をもたらした原因/私たちはどう働くか

  あとがき
  労働相談窓口一覧



218冊目 藤原彰「大系日本の歴史 15世界の中の日本」(小学館;1989) 評価4

2012年07月24日 01時08分18秒 | 一日一冊読書開始
7月23日(月):

326ページ  所要時間4:05

 著者67歳(1922~2003)、骨太左派系近現代史の大家である。本書は、昭和天皇が亡くなった直後の平成元年に、戦後43年間を叙述したもの。まだ、バブルが弾ける前の、ジャパン・アズ・ナン・バーワンの時代に著されたものだ。最低でも3度は読み直している。何度目かは、不明。眺め読みだが、久しぶりに読み返してみて、懐かしくもあり、「昭和は遠くなりにけり」とも感じた。
 まえがきが「日本全体の地価は、アメリカ全体の四倍といわれている。アメリカの国土は日本の国土の二五倍あるから、日本の地価はアメリカの100倍である」と記されているのだ。確かに、そんな時代があった。でも、同じまえがきに反原発の市民運動の写真が載っているのだ。変わる部分と、変わらない部分があるのだ。
 もう23年も前なのか…。隔世の感がする。現代史の歴史書ほど古くなるのが速い本はない、と感じた。そして俺も、歳をとった…。戦後史の昭和の部分は、確かに『歴史』となった!感がある。

目次
○戦後の総決算とは-はじめに-
○降伏と占領:廃墟の中で/降伏した日本/戦後の世界とアジア/はじめての占領軍
○民主化の嵐:占領下の改革/高まる民衆運動/新憲法の制定
○中道政権の興亡:社会党首班内閣の出現/冷戦下の日本/経済再建への道
○逆コースから講和へ:占領政策の転換/朝鮮戦争/講和への道
○再軍備と平和運動:戦前回帰への動き/保守再編と再軍備/平和運動の高まり
○五五年体制の成立:社会党統一と保守合同/国際社会への復帰/高度成長のはじまり
○安保に揺れる日本:岸内閣と安保改定/安保条約の改定/保守の転換
○経済成長への道:高度経済成長政策/高度成長を支えるもの/オリンピックと池田退陣
○発展つづく経済と、公害:日韓条約とベトナム戦争/第二次高度成長/安保の自動延長
○高度成長の終幕:低成長への転換/日本社会の変容/保守支配の危機
○危機から繁栄へ:世界同時不況の中で/日米関係の新段階/保守化の進行
○経済大国から軍事大国へ:第二次石油危機と日本/経済大国と日米同盟関係/軍事大国への道程
○冷戦の終結と昭和の閉幕:新時代の中で/総決算の仕上げ/昭和の終焉
○あたらしい世界と日本:ゆれ動く世界/岐路にたつ日本/自民党長期政権の終焉
○経済大国のゆくえ-おわりに-

120721 やっぱり、原発再稼働に「政治的決断」はナンセンスである。打倒、ウソつき民主党!

2012年07月21日 22時23分54秒 | 国家の信頼メルトダウン。民主党を打倒せよ
7月21日(土)

今夜のNHKスペシャル「メルトダウン 連鎖の真相」(9:00~9:58)は、なかなかの内容だった。必見であるNHK取材班が事実上、野田汚物内閣による大飯原発の拙速な再稼働判断の間違いを指摘、断罪し切っている。福島原発の取材をして、事実を知った人間であればあるほど今回の再稼働判断の間違いがよくわかっているのだ。
 改めて、今になっても野田汚物首相とそれを恥知らずに支えている民主党員に対する怒りが激しく湧いてくる。今のままの民主党はもはや継続することは有り得ない。間違いなく少数勢力になる、しかも大義のない国民を裏切った勢力の残党としてである! 志ある民主党員は、今からでも遅くないから、民主党をとび出して、本来のリベラル・国民生活を守る政党の立場に戻って、野田汚物民主党内閣に致命傷を与えて打倒すべきだ!
 
追記:NHKがこれだけ明確に、野田汚物内閣の原発拙速再稼働という根本的判断の間違いを指摘・断罪したのは初めてのことだ!
 これは、NHKが野田汚物内閣とウソつき民主党にほぼ見切りをつけた、ということだろう。もはや次の総選挙後に、予算委員会等で民主党の影響力を心配する可能性が消滅したということだ。自民・公明が政権を奪回するにしても、非共産・非自公民が政権を奪取するにしても、いずれにしてもこれだけ国民に対してウソをついて裏切って恬として恥じない民主党と民主党員が政権を維持することだけはまったく有り得ない。次の政権は、NHKの指摘を参考にして、原発政策を少し修正するポーズをとるだけで評価される。間違いの責任はすべて野田汚物内閣の負の遺産だと言えるのだ。俺は、それで良い、と思う。もはや、今のままの民主党に俺が投票することは二度とないのだ。
 鳩山や菅をたたくマスコミに対して俺は大反対だし、全く信じていない。小沢も入れて本来の民主党創設幹部のトロイカ3人組は、十分に信用できる。鼠賊野田汚物やそれを支える松下政経塾系の鼠賊汚物民主党員よりも数百倍ましだ!
 朝日新聞も含めて「増税に賛成する」マスコミが、みんな社用地を国や財務省から頂戴し、マスコミ自身のカルテルを財務省から目こぼししてもらっているので財務省に逆らえない(上杉隆 談;朝まで生テレビ)ということを知っている。大マスコミが、自らを反省せずに、ステレオタイプに菅・鳩山・小沢トロイカ3人組を茶化している光景は、全く国民を馬鹿にしているし、恥を知らないことだ、と考えている。

120718 安全宣言のあまりの軽さ、政治屋の劣化にあきれ果てる。民主党は速く消えろ!

2012年07月18日 22時08分35秒 | 国家の信頼メルトダウン。民主党を打倒せよ
7月18日(水):

今朝の朝日新聞朝刊一面の大飯・志賀原発再調査へ 敷地内活断層の恐れという記事は何事だろう。「私が決断する」「私が責任をもつ」と大見えを切って、安全宣言、再稼働に踏み込んだ政府判断の根拠がこれほどに薄弱であっていいものなのか。再稼働を決定した野田、藤村、仙石、細野ら四人組は即刻責任をとって腹を切れ! 即刻政治家を辞めろ。国民の生活をこんなに安易に危機に陥れる政治判断の罪深さは、決して許すことはできない。


217冊目 井筒和幸「民族の壁どついたる!―在日コリアンとのつき合い方」(河出書房新社;2007)評価3

2012年07月17日 22時43分20秒 | 一日一冊読書開始
7月17日(火):

205ページ  所要時間1:50

著者55歳。在日コリアンの人権問題について、最も信用できて、ぶれない日本人の一人。著者が、影響力のある人気映画監督として日本社会に存在する意義は非常に大きい。本書の評価3は、あくまでも中学・高校生向けレベルということで、俺にとって、97%ほど(3%は済州島の「四・三事件」)が既知の内容だったからであり、決して本書の価値を低く評価しているわけではない。労作とは言えないが、子供向けの好著である。著者の主張に対しても、97%同意である(特に、韓国・北朝鮮・在日コリアンの部分)。
 残る3%の違和感は、対中国観がわずか5年の時差だが、最近少し変わったとの思いがあるからだ。叱られるかもしれないが、著者の、対韓国・北朝鮮観と対中国観には、やや上から目線の余裕がみられる。しかし、現在の日中関係において中国に対して日本はそれほど余裕ある上から目線の理解は少しきつくなってきている。むしろ、真の意味での対等な目線で中国を見るべき段階なのを感じるのだ。
 勿論、東京の石原慎太郎ジリノフスキーのハッタリじじいと一緒にしないで欲しい。侵略戦争の事実を誤魔化せなどと俺は言っているのではない! 間違いなく日本は本多勝一の労作を俟つまでもなく「万人坑」や「七三一部隊」に象徴される侵略行為は反省し、謝罪し、自他共に認め伝え続けねばならない。
ただ、池上彰さんの「そうだったのか! 中国」にみられる現代中国の歪みとその事実(具体的には毛沢東の誤り)を認められない中国が、経済大国化し、国内の矛盾を克服できないままに、軍事大国化しようとしている事実の中で、あまりに「中国性善説」的言辞に触れるとやはり心の奥に滓のようなものが残るということだ。
 著者の作品は、「パッチギ!」も、「パッチギ!ラブ&ピース」も何度も見返している。ただ、俺の中でのベストは趙方豪が生き生きと駆け抜けた「ガキ帝国」である。1981年当時、韓国語が映画の中で飛び交う映画なんて有り得なかった。想像もつかない作品であり、著者にしか絶対作れなかった正真正銘の作品だ。「ガキ帝国」は、俺の中では、「カサブランカ」「アラビアのロレンス」と並ぶ名作である。
 著者も人間であり、限界があるのだ、と分かった上で、一つだけ無い物ねだりの残念なことを敢えて挙げる。問題を中心に据えた作品を作って欲しかった。被差別者に対するこれだけの感性を有する表現者は希有だ。そして、問題も、著者の作品の中に登場するアウトサイダーの人々に姿を現してるだろう事も想像はつく。しかし、の青年がすべて不良やヤクザになってる訳ではない。普通の人生を送りながら重い荷物を背負うように被差別の認識を生きている者の方がはるかに数は多いのだ。
 道徳臭い作品なんてくそくらえだが、中上健司の作品など?「19歳の地図」?、うまくまとまらないが、著者の出身地の奈良には、はっきりとが存在するはずだ。それを描かず、在日を描き続ける著者に、ほんのちょっぴりの異議を唱えさせてもらった、ということです。ちゃんちゃん。

120711 とりあえず反増税・脱原発の投票の受け皿ができて良かった。民主党は速く消滅しろ!

2012年07月11日 22時49分20秒 | 国家の信頼メルトダウン。民主党を打倒せよ
7月11日(水)

俺は、小沢一郎の支持者ではない。しかし、とりあえず新党「国民の生活が第一」の成立によって、逆進性の高い消費税増税反対と、大飯原発の拙速な再稼働に反対・抗議し、脱原発の意志を表明する投票先の受け皿ができて良かった。3年前の選挙の国民との約束を平気で反故にして、国民を騙した野田ウソつき内閣を支えた民主党は、自民党の出来の悪い別働部隊にしか見えない。前原も仙石も長妻も十分に人間性を見せてもらった。民主党は早く消えてしまえ。もう仮面を剥いで、自民党に合流しなさい。民主党員は、何故変わり果てた党にしがみついているのか?さっぱりわからない。この連中は、自律すらできない存在なのか…。「民主党」という名は、坂野潤治氏が「日本は二大政党制であることは必ずしも必要ではない。真に必要なのは、増税反対だけを金科玉条とする日本の野党とは違って、野党であっても創造的で健全な社会保障政策を提言できる存在感のあるヨーロッパ的【社会民主主義政党】である」(朝日新聞;6月20日オピニオン)という政党勢力にこそ相応しいのだ。今のウソつき民主党は早く速く消えてしまえ!そして、約束を破らない真の社会民主主義政党よ、早く生まれてくれ。

忙しい日々の中、読書できない日々が続いているが、既読の本の紹介で、現在の野田ウソつき汚物内閣の欺瞞を批判させて頂く。

※ちなみに、ニュース23Xの批判精神の衰退ぶりはどうしたことだろう…。筑紫さんや後藤さんの時代には全く比べるべきもない問題提議能力の無さと体制追随の姿勢には、呆れ返って反吐が出る。膳場にはもともと期待は無いが、解説委員の播摩某の体制追随と権力者寄りの姿勢・発言がひど過ぎる。この男は、ジャーナリズムに値しない。即刻変えるべきだ。最近は、以前は見なかったニュースゼロを見ることがほとんどだ。読売に負ける、毎日ってジャーナリズムとして意味ないじゃん!


154冊目 神野直彦「財政のしくみがわかる本」(岩波ジュニア新書;2007) 評価5

2月16日(木):

204ページ  所要時間5:45

著者61歳、東京大学経済学部教授。はじめの1/3は用語などの言葉がなじまず、ひどく難しい印象で逃げ出したくなった。「この本は、高校生では無理だ!どう考えても社会人・大学生向けだ!」と確信した。鉛筆・色鉛筆2色、付箋、ドッグイヤーをしながら、お勉強状態で読み進めた。

真ん中辺りから、「あっ、そうなんだ!」と目から鱗の落ちる体験を何度も繰り返して、全く期待してなかったのに、非常に時宜を得た内容のテキストであることに気付かされた。

「財政」の視点から、日本の現在を非常に明晰に分析して、さらに東大教授である著者自身の意見をはっきりと明示してくれている。「あっ、東大の先生もやっぱりこう考えてたんや」「やっぱりまともな先生はこう考えるんやな!」今まで、百家争鳴状態で、日本のあるべき姿について、何が正しいのか、訳が判らなくなっていたのが、一本明確な筋がスーッと見えた気がした。他人の意見に納得し、十分に腑に落ちる快感を覚えたのは、久しぶりだ。現代社会を見る目を変えてくれる卓説に出会えた喜びがあった。

勿論、一度読み通しただけでは消化しきれないが、大人が読むべき<本当の社会常識>を学べるすごい本に出会えた気がする。ブックオフで105円で入手した本なので、存分に線を引いて読めた。今後、折に触れて読み返すべきテキストである

目次:
1 財政って何だろう
2 予算って何だろう
3 税はどんなしくみになっているのだろう
4 どんなところにお金をつかっているのだろう
5 借金は財政にどんな意味をもつか
6 国と自治体の関係
7 いま財政がかかえる問題
8 財政の未来像をえがく

「消費税を増税しようとしている日本はどういう社会をめざしているのでしょうか。略。日本はアメリカのような、国民が自分の責任で生きていく社会をめざしているようです。そうだとすれば、消費税の増税ではなく、所得税の増税をめざすべきです。アメリカでは消費税はなく、所得税のウェイトが高いからです。/ところが、日本はヨーロッパ諸国のように消費税のウェイトを高めようとしています。しかし、ドイツもフランスもスウェーデンも、貧しい人びとを支える社会保障は充実しているのです。それだからこそ、貧しい人々にも負担がになえるのです。/貧しい人々の生活を国民がおたがいに支え合うのでもないのに、貧しい人々にも高い税負担を求めることはできません。日本はどのような社会をめざすのかを明らかにしたうえで、税金のあり方を考えていかないと、社会は混乱するばかりです。」※この言葉を、国民に何の説明の努力もしないで、官僚言いなりの逆進性の消費税増税成立を一点突破しようとしている民主党の野田バカ総理に聞かせたい。

「私たちはまず、自分たちの社会のなかで、自分たちの生活を考えて、これはニーズ(基本的必要)なのか、それともウォンツ(欲望)なのかを決めることが必要です。それがニーズだったら財政で満たされなければならないし、ニーズとウォンツとの中間形態だと思えば、公的な企業をつくって料金収入でまかなうのが原則です。もちろん、ウォンツなら市場にまかせてしまいます。こうしたことを国民が決めた政府こそが「ほどよい政府」だといえます。私たちはそのようなほどよい政府をめざすべきだと、私は考えています。/いまの日本政府のように、福祉でも医療でも教育でも聖域なく斬りこんで、小さくするのがいいのだと決めるのは、民主主義の原則からは大きく逸脱しているといわざるをえません。何を財政でやり、何を市場にまかせるのか、決めるのは私たちなのです」

「幸いなことに日本は外国債を発行していません。借金はすべて「内国債」です。家族のなかで借金をしあっているように、国民が国民に借金しているのです。略。内国債を発行しすぎて国家破産したという例は、人間の歴史のなかでは一つもありません。略。国家の借金は、家計の借金や企業の借金とちがって、返そうと思えばいつでも返すことができるのです。たとえば、日本政府が明日、借金を返そうと思えば、明日返すことができます。略。政府はお札を発行することができますから、インフレをつくってしまえば、いつでも解消できます。略。いえ、問題はあります。現在日本では予算の四分の一にものぼる巨額な金額を借金返しに使っているということです。略。財政が借金返しに追われて、危機を解消するという本来の使命を果たせなくなるということが大きな問題なのです。/もう一つ、大きな問題があります。それは、財政の大きな任務である所得再分配に反することです。略。国民からとりたてた税金を、国債の借金返しに使えば、一般の国民から税金をとって豊かな人々にお金を配分してしまうという現象になるのです。/現在日本でおこなわれようとしている、財政再建のために消費税を増税しようという政策は、この典型です。なぜなら、消費税は負担が逆進的で、貧しい人に負担が大きく、豊かな人に負担が小さいからです。税金で貧しい人々に負担を求め、国債をもっている豊かな人々にお金を配分することになるわけです。」「地方自治体の出す地方債は、外国債と同じなのです。」※野田バカ総理、国民にきちんと「日本をどういう社会にしたいと思っているのか?、欧州型か、アメリカ型か?」きちんと説明する努力をしろよ!。

「2006年7月、OECD(経済協力開発機構)は日本に対して「日本は異様な格差社会になっている」という経済審査報告書を提出しました。具体的には、/「ジニ係数(所得や資産の分配の不平等をしめす数値)がすでにOECDの平均以上になっているだけでなく、相対的貧困率が先進国のなかでももっとも悪いアメリカに肉薄している。とくに、子どものいる家族の相対的貧困率は、アメリカをすでに抜いている。さらに独り親(母子家庭)の相対的貧困率は、アメリカを大幅に抜いて突出している」ということが指摘されているのです。」

※原発の御用学者の東大教授たちに深く失望と嫌悪を抱いていたのだが、当たり前のことだが「東大にも筋の通った骨のある立派な先生がいるんだ!」と嬉しくなった。

他にも、国政による、中央集権的地方自治への画一的・硬直した支配への弊害のひどさなど厳しい指摘が展開されていたが、もう限界です。

寝ます。

120704 「ステキな金縛り 」DVD観ました

2012年07月05日 00時40分02秒 | 映画・映像
7月4日(水)

ツタヤで借りた「ステキな金縛り 」DVDを見ました、。最高に楽しめる作品!。中井貴一、大好き!。深津絵里、大好き!。三谷幸喜、好きではないけど才能の固まり!。とにかく笑えました。

150329 タガ外せば歯止め失う 長谷部恭男・早稲田大学教授/「未来志向」は現実逃避 杉田敦・法政大学教授

 杉田 先日ドイツのメルケル首相が来日しました。戦後ドイツも様々な問題を抱えていますが、過去への反省と謝罪という「建前」を大切にし続けることで、国際的に発言力を強めてきた経緯がある。「建前」がソフトパワーにつながることを安倍さんたちは理解しているのでしょうか。  / /長谷部 そもそも談話が扱っているのは、学問的な歴史の問題ではなく、人々の情念が絡まる記憶の問題です。記念碑や記念館、映画に結実するもので、証拠の有無や正確性をいくら詰めても、決着はつかない。厳密な歴史のレベルで、仮に日本側が中国や韓国の主張に反証できたとしても、問題はむしろこじれる。相手を論破して済む話ではないから、お互いがなんとか折り合いのつく範囲内に収めようと政治的な判断をした。それが河野談話です。  / /杉田 談話の方向性や近隣との外交について「未来志向」という言い方がよくされますが、意図はどうあれ、それが過去の軽視という「見かけ」をもってしまえば、負の効果は計り知れない。安倍さんたちは、未来を向いて過去を振り払えば、政治的な自由度が高まると思っているのかもしれません。しかし政治の存在意義は様々な制約を踏まえつつ、何とか解を見いだしていくところにあります。政治的な閉塞(へいそく)感が強まる中で、自らに課せられているタガを外そうという動きが出てくる。しかし、それで万事うまくいくというのは、一種の現実逃避では。  / /長谷部 合理的な自己拘束という概念が吹っ飛んでしまっている印象です。縛られることによってより力を発揮できることがある。俳句は5・7・5と型が決まっているからこそ発想力が鍛えられる。しかし安倍さんたちは選挙に勝った自分たちは何にも縛られない、「建前」も法律も憲法解釈もすべて操作できると考えているようです。  / /杉田 俳句は好きな字数でよめばいいのだと。  / /長谷部 あらゆるタガをはずせば、短期的には楽になるかもしれません。しかし、次に政権が交代したとき、自分たちが時の政府を踏みとどまらせる歯止めもなくなる。外国の要求を、憲法の拘束があるからと断ることもできない。最後の最後、ここぞという時のよりどころが失われてしまう。その怖さを、安倍さんたちは自覚すべきです。 =敬称略(構成・高橋純子)朝日新聞『考論』

0015 オルテガ「大衆の反逆 (桑名一博訳;久野収解説)」(白水社イデー選書;1930)評価5

以下は、オルテガ所論の久野収による抜粋の抜粋である:///  オルテガによれば、政治のなかで「共存」への意志を最強力に表明し、実行していく政治スタイルこそ、自由主義的デモクラシーである。共存は、強い多数者が弱い少数者に喜んで提供する自己主張、他者説得の権利である。敵、それも最も弱い敵とさえ、積極的に共存するという、ゆるがない決意である。/その意味で、人類の自然的傾向に逆行する深いパラドックス(逆説)であるから、共存を決意した人類が、困難に面してこの決意を投げ出すほうへ後退したとしても、それは大きな悲劇ではあっても、大きな不思議とするには当たらない。/「敵と共存し、反対者と共に政治をおこなう」という意志と制度に背を向ける国家と国民が、ますます多くなっていく1930年代、オルテガは、「均質」化された「大衆」人間の直接行動こそが、あらゆる支配権力をして、反対派を圧迫させ、消滅させていく動力になるのだという。なぜなら、「大衆」人間は、自分たちと異類の非大衆人間との共存を全然望んでいないからである。略。///  「大衆」人間は、自分たちの生存の容易さ、豊かさ,無限界さを疑わない実感をもち、自己肯定と自己満足の結果として、他人に耳を貸さず、自分の意見を疑わず、自閉的となって、他人の存在そのものを考慮しなくなってしまう。そして彼と彼の同類しかいないかのように振舞ってしまう。/彼らは、配慮も、内省も、手続きも、遠慮もなしに、「直接行動」の方式に従って、自分たちの低俗な画一的意見をだれかれの区別なく、押しつけて、しかも押しつけの自覚さえもっていない。/彼らは、未開人―未開人は宗教、タブー、伝統、習慣といった社会的法廷の従順な信者である―ではなく、まさに文明の洗礼を受けた野蛮人である。文明の生み出した余裕、すなわち、贅沢、快適、安全、便益の側面だけの継承者であり、正常な生存の様式から見れば、奇形としかいいようのないライフスタイルを営んでいる新人類である。略。///  「自分がしたいことをするためにこの世に生まれあわせて来た」とする傾向、だから「したいことは何でもできる」とする信仰は、自由主義の自由の裏面、義務と責任を免除してもらう自由にほかならない。/われわれは自由主義の生みだした、この「大衆」人間的自由、自己中心的自由に対し、他者と共存する義務と責任をもった自由を保全しなければならないが、一筋縄でいかないのは、この仕事である。(160626:イギリスEU離脱について思うところ=もみ=)