もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

150215 衆参両院の「テロ非難決議」を非難する!「テロの本質」を真面目に語る政治家はいないのか!

 真面目に「テロの本質」を考えれば、その原因が、決して宗教の違いにあるのではなく、世界的に広がる富の偏在、極端な格差拡大、差別構造の継承、及びパレスチナ問題、それらによる<若者たちの絶望>にあることは、実は誰もがわかっていることだろう! それを「世界には凶悪なテロリストが大勢いて、こいつらを叩き潰せばテロが無くなる」なんて話に無理やりすり替えている。誰も、「テロの本質が、日本・世界の社会構造が抱える富の偏在・格差の拡大及びパレスチナ問題の<野放し状態>にこそある」という本質を語らないし、見させようとしない。そして、凶悪なテロリストへの恐怖ばかりを煽りたてている。これはまさにオーウェルの「一九八四年」の世界と同じだ。今回の国会の「テロ非難決議」に社民党・共産党まで加わっていたのには、あきれ果てた。「誰も本質を見ようとしない。」「武力で世界中の<絶望した若者たち>を封じ込めるべきではないし、不可能だ!」

秋原葉月さん「Afternoon Cafe」ブログから

※(1)「もちろん、普通の人間は戦争を望まない。しかし、国民を戦争に参加させるのは、つねに簡単なことだ。とても単純だ。国民には攻撃されつつあると言い、平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、国を危険にさらしていると主張する以外には、何もする必要がない。この方法はどんな国でも有効だ」byヘルマン・ゲーリング ※(2)いつの時代も大衆をファシズムに煽動する手口は同じ。なのに同じ手口に何度も騙されるのは過去に学んでいないから。格差を広げ、セイフティネットを破壊し、冷徹な自己責任論が横行する社会を継続させるのは簡単だ。今よりもっと格差を広げ、セイフティネットを破壊する政策をとればよい。そうすれば人々に自己責任論がもっと浸透し、草の根から勝手に右傾化してくれる。

辺見庸さんのブログから

・権力をあまりに人格的にとらえるのはどうかとおもう。口にするのもおぞましいドブの目をしたあの男を、ヒステリックに名指しでののしれば、反権力的そぶりになるとかんがえるのは、ドブの目をしたあの男とあまり変わらない、低い知性のあらわれである。権力の空間は、じつのところ、非人格的なのだ。だからてごわい。中心はドブの目をしたあの男=安倍晋三であるかにみえて、そうではない。ドブの目をしたあの男はひとつの(倒錯的な)社会心理学的な表象ではありえても、それを斃せば事態が革命的に変化するようなシロモノではない。権力には固定的な中心はなく、かくじつに「われわれ」をふくむ周縁があるだけだ。ドブの目をしたあの男は、陋劣な知性とふるまいで「われわれ」をいらだたせ、怒らせるとともに、「われわれ」をして社会心理学的に(かれを)蔑視せしめ、またそのことにより、「われわれ」が「われわれ」であることに無意識に満足もさせているのかもしれない。ところで、「われわれ」の内面には、濃淡の差こそあれ、ドブの目をしたあの男の貧寒とした影が棲んでいるのだ。戦争は、むろん、そう遠くない。そう切実にかんじられるかどうか。いざ戦争がはじまったら、反戦運動が愛国運動化する公算が大である。そう切実に予感できるかどうか。研ぎすまされた感性がいる。せむしの侏儒との「ふるいつきあい」がベンヤミンのなにかを決定した。そう直観できたアレントほどするどくはなくても、研ぎすまされた感性がいる。けふコビトがきた。ミスドにいった。(2015/11/11)

210323 一年前:200322 210万PV超:政権交代後の第一の仕事は、アベ・アソウの一味をしかるべく裁き、刑務所に送ることである。

2021年03月23日 23時03分40秒 | 一年前
3月23日(火):

総務省官僚の接待汚職のニュースが空々しくて心に響かない。
はるかに大きな不正が大手を振って見逃されている。
小者たちを全力でたたくワイドショーや橋下徹は、アベ・アソウについてはだんまり。

朝日新聞(社説)世論調査不正 説明責任果たさぬまま
2021年3月17日 5時00分

  FNN(フジテレビ系ニュースネットワーク)と産経新聞が合同世論調査(電話)を再開して2カ月になる。
  データの不正入力が明らかになったのが昨年6月。再発防止策を講じたというが、問題発覚前はもちろん、事後の対応もおよそ適切とは言いがたい。このままでは信頼の回復はおぼつかないと知るべきだ。
  両社によると、昨年5月までの1年間に実施した計14回の世論調査すべてに不正があった。全体の12・9%にあたる1886件の回答が架空のものだった。業務を委託された調査会社が、無断で別会社に再委託し、その現場担当者がうそのデータを入力していたという。
  信じられないことに、フジ・産経いずれの社員も調査に一度も立ち会っておらず、再委託されていたことにも気づかなかった。あまりに無責任・お粗末な話で、世論調査とその報道に誠実に向きあっていたとは到底思えない。
  加えて納得できないのは、両社が社会に対して当然行うべき説明をしていないことだ。
  放送倫理・番組向上機構(BPO)は先月、フジから提出された報告書や関係者へのヒアリング結果などを踏まえ、「重大な放送倫理違反があった」とする意見を公表した。
  その中で初めて、▽不正が起きる以前も、現場を見た回数は数えるほどしかない▽担当者は1人だけで、その当人も調査について深く理解していなかった▽局内で調査はルーチン作業と受け取られ、強い関心は寄せられていなかった――などの事実が明らかになった。フジは弁護士2人を含む調査チームで検証したというが、メンバーも報告書も公表していない。
  しかもBPOの所管は放送分野だけのため、産経側の態勢や認識はなお不明のままだ。朝日新聞の取材に、産経は「原則として編集に関することは答えていない」としている。
  疑問は尽きない。
  不正入力によって内閣支持率などにどんな影響が出たのか。両社は調査結果を報じたニュースを取り消したが、調査を引用して放送・掲載したコメントや記事、コラムについての説明はない。フジは社内処分をしたというだけで内容を公表せず、産経に至っては処分の有無すら明らかにしない。なぜなのか。
  メディアが実施するものに限らず、世論調査は調査する側と調査対象となる市民との間に信頼関係があって成り立つ。両社の対応はそれを傷つけ、調査全般に対する疑念や不信を引き起こしかねない。態度を改め、遅まきながら報道機関として説明責任を果たすべきだ。


200322 210万PV超:政権交代後の第一の仕事は、アベ・アソウの一味をしかるべく裁き、刑務所に送ることである。
3月22日(日):  記録ですm(_ _)m。ブログの開設から3088日。アクセス:閲覧 861PV/訪問者 486IPトータル:閲覧 2,100,663PV/訪問者 56......

10 015 親野 智可等「どんな子でもぐんぐんやる気が育つ親の力」(あさ出版:2012)感想3

2021年03月22日 23時56分27秒 | 一日一冊読書開始
3月22日(月):  

224ページ      所要時間0:50       アマゾン485円

著者54歳(1958生まれ)。

陳腐。浅薄。無責任。抽象的。自己満足。

「この人、一体何様? 元小学校の先生様? はあそうですか? 教え子の行く末を本当に見守り続けたのですか? 無神経さ以外何も伝わってこないんですけど・・・」 紋切型で膨らみのない親のイメージを作り上げて、一方的に批判するだけ。頭の中で作った“良くない親”を高いところから見下ろして高尚なご意見をのたまう。読んでいて、読者である親に対する共感力の低さを強く感じた。そんなに単純で馬鹿なだけの親はいないぞ!もっと複雑に悩んでるぞ!

自らを高みに置いて発される言葉はすべて正しいが、「すべて正しい論は、現実と乖離して何も響かない」の典型だと思った。

10 014 篠原菊紀「子供が勉強にハマる脳の作り方 「脳科学」と「臨床心理学」が合体!「天才脳」ができる46のレッスン」(フォレスト出版:2010)感想3

2021年03月19日 23時14分36秒 | 一日一冊読書開始
3月19日(金):  

246ページ     所要時間3:15      ブックオフ200円

著者50歳(1960生まれ)。

2度目。大山鳴動して鼠一匹。脳科学を標榜して「どんな実のある話が聞けるのか!」と思ったが、当たり前のことが大仰に繰り返し述べられているだけ。唯一、評価するとすれば、間違ったことは言っていないということ。ただ、陳腐だった。

【目次】プロローグ うちの子は、どうすれば勉強するようになるでしょうか?/第1章 ゲーム中毒のように勉強にハマる方法ー脳が勉強にハマるしくみ/第2章 子供が勉強せずには「いられなくなる」方法ー親として絶対知っておくべき子供の「脳のクセ」/第3章 子供の「集中力」「やる気」をアップさせる方法ー脳科学と臨床心理学でわかった!強い「集中力」「やる気」の作り方/第4章 一度覚えたら忘れない!強い「記憶」の作り方/第5章 子供に目標を達成させる方法ー脳科学でわかった!成功する「未来の記憶」の作り方&「勝負力」の鍛え方

10 013 司馬遼太郎「鬼謀の人(「新装版 王城の護衛者」中)」(1964)感想4

2021年03月14日 22時55分00秒 | 一日一冊読書開始
3月14日(日):    

85ページ     所要時間2:00     ブックオフ108円

著者41歳(1923-1996:72歳)。

主人公は大村益次郎。「花神」(新潮社:1972)の原型のような作品である。「花神」は大河ドラマ(1977)を観て、強烈な影響を受け、原作も読んでいる。ある意味、幕末を中心に日本史への目を開かせられて、俺の人生を決定するほどの影響を受けた作品だ。

その「花神」の原型のような作品が先に書かれていることも、その題名も知っていたが未だ読んでいなかった。偶然その気になり、風呂につかりながら読み、最後は机で読み終えた。確かに、「花神」の梗概をコンパクトに風味を失わずに書かれていた。大河ドラマ「花神」の中村梅之助の村田蔵六の姿が蘇った。

【内容情報】薩長両藩が暗躍し、攘夷派の浪士たちが横行する、無政府状態に近い幕末の京。新たに京都守護職を命じられた会津の青年藩主・松平容保は、藩兵千人を率い、王城の護衛者として治安回復に乗り出すが、複雑怪奇な政治の術数に翻弄され…。表題作の他に、「加茂の水」「鬼謀の人」「英雄児」「人斬り以蔵」を収録。

210313 「どぶの目の愚劣の極み」の記憶の記録 :嘘とデタラメの「安全神話」で欺いたのは安倍前首相

2021年03月13日 20時29分38秒 | 時代の記憶
3月13日(土): 
日刊ゲンダイ 適菜収:「一定の役割果たせた」盗人猛々しい安倍晋三の3.11発言 それでもバカとは戦え
2021/03/13
 
 国と社会を破壊し、総理大臣辞任後は証人喚問からも逃亡中の安倍晋三だが、ほとぼりも冷めたとばかりに、のこのこと出てくるようになった。

 東日本大震災から10年を迎えるのを前に、時事通信のインタビューに応じ、復興に向けて「一定の役割を果たせた」などと自画自賛。福島第1原発事故については「民主党は政権運営に十分慣れておらず、菅直人首相は原子力緊急事態宣言を直ちに出すべきだったのに遅れた。現場の要望を聞くネットワークもなく、行政を動かす能力に欠けていたと言わざるを得ない」と発言。

 盗人猛々しいとはこのことだ。共産党の吉井英勝が巨大地震により電源喪失が発生し、原子炉が冷却できなくなる危険性があるとの質問主意書を提出すると、2006年12月22日、安倍は「(全電源喪失)事態が発生するとは考えられない」という答弁書を送付する。結局、対策をとらないまま、2011年3月11日、福島第1原発で全電源喪失事態が発生し、炉心溶融(メルトダウン)により放射性物質が拡散した。

 安倍は嘘とデタラメの「安全神話」を振りまき、国民を欺き、被災者をさらに帰還困難に追い込み、わずか3年間の民主党政権に責任を押し付け、しまいには原発再稼働や新増設を口にしだした。不道徳にも程がある。要するになんの責任も感じていないのだ。

 東日本大震災を利用し、「アンダーコントロール」という嘘とデマにより招致した東京五輪については「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証しとして開催できれば、五輪の歴史に残る大会となる」と発言。すでに安倍のせいで腐臭を放つ「歴史に残る大会」になっているのにね。

 安倍は総理辞任の際、北方領土問題や北朝鮮の拉致問題に触れ「痛恨の極みだ。志半ばで職を去るのは断腸の思い」などと言っていたが、「半ば」どころか大きく後退。領土交渉は完敗し、拉致被害者は安倍政権下では一人も帰ってこなかった

 2010年、安倍はラジオ番組で政界引退後は映画監督になりたいと発言。〈撮るとしたらヤクザ映画ですかね。「仁義なき戦い」をさらにドキュメンタリータッチにして、それと「ゴッドファーザー」を足して2で割ったものとかね〉

 いや、7年8カ月にわたり、それを地でやっていたのはおまえだろう。

10 012 佐藤亮子「「灘→東大理III」3兄弟の母が教える中学受験勉強法」(KADOKAWA:2016)感想5

2021年03月12日 00時37分13秒 | 一日一冊読書開始
3月11日(木):  
255ページ     所要時間4:15      アマゾン1216円(866+350)

著者 年齢不明(55歳?1961生まれ?)。

3回目。著者の方法論は極めて説得力がある。長年にわたって実行、実践を積み上げてきた自信に裏打ちされている。何度読み返しても納得できるし勉強になる。

7 040 佐藤亮子「「灘→東大理III」3兄弟の母が教える中学受験勉強法」(KADOKAWA:2016)感想5
2020年03月15日 02時10分04秒 | 一日一冊読書開始

2020年3月14日(土):  
255ページ     所要時間3:40      アマゾン1216円(866+350)

著者 年齢不明(55歳?1961生まれ?)。

ちょうど2年前以来、2度目の読書。付箋や横線をたよりにしたせいか、前回より短時間で読めた。感想5という評価は、全く変わらない。著者は、子どもたちの勉強の手伝いを愛情ある<事務>仕事と呼んでいる。4人の子どもたちからすれば、元高校英語科教師の行き届いた<最強の秘書官>を傍に置いて遺憾なく中学受験に集中できただろうと思う。

本書の内容が非常に参考になるのを再確認するとともに、今回は東大理Ⅲを別にしても、著者の4人の子どもたちが、少なくとも超進学校の私立灘中学校(男子校なので、一番下の妹は共学の洛南高校)に合格できたのは当然の結果だと思えた。本書の内容は、非常に説得力がある。

以上。また何か思い浮かべば追加して記す。

7 040 佐藤亮子「「灘→東大理III」3兄弟の母が教える中学受験勉強法」(KADOKAWA:2016)感想5
2018年03月23日 02時14分41秒 | 一日一冊読書開始

2018年3月22日(木):  
255ページ     所要時間5:40      アマゾン1216円(866+350)

著者 年齢不明(55歳?1961生まれ?)。奈良県在住。主婦。津田塾大学卒業後、大分県内の私立高校で英語教師として2年間教壇に立つ。その後結婚し、長男、次男、三男、長女の順で3男1女を出産。長男、次男、三男の3兄弟が全員、名門私立の灘中・高等学校に進学。3人それぞれが体育系のクラブに所属し青春を謳歌。ガリ勉とは無縁の学生生活を送る。高校では塾に通いつつも、高3の夏からようやく本格的な受験勉強を始めた。その後、3人とも日本最難関として有名な東京大学理科3類(通称「東大理3」に合格。「灘&東大理3、3兄弟」という快挙を達成する。

長男が生まれた時、公文の推薦する絵本400冊を大人買い(50万円ぐらいか?)したり、中学受験に必要な塾代など200~250万円を4人の子どもに平等に使い、全く金に糸目をつけずに書籍・参考書・過去問などを買い与えるところなど、読んでいて「これはちょっと…」とあっけにとられる部分がたまに出てくる。何よりも片道1h40mをかけて私立の灘高校や洛南高校に子どもたちを皆6年間通わせるのは、数百万円ずつの学費とともに通学の交通費を考えれば気が遠くなる。それは弁護士の父親の経済力であり、この家庭が富裕層に属することを明白に示している。

だから、本書の内容を素直に受け止められないかといえば、全く逆である。確かに、著者の家庭は上位5~6%ぐらいの富裕層に属しているようだが、本書の中で示される著者の常識は非常にまともである。俺は全面的に共感できる著者自身「自分のようにやれ」とは言っていない。子どもたち一人一人の個性、環境、親の事情などをきちんと踏まえた上で、子どもたちとよく話し合って。それぞれの家庭でできる取り組みをしてもらえばよい。本書が、その実践例として参考になればよいと思います、というスタンスである。

斜に構えて本書をスルーするのはもったいない。損である。著者の人間性を信用して、その実践が確かに3男1女を東京大学理学部Ⅲに送り出した事実を認めれば、本書の内容は参考にすべき実践例、方法論の“宝の山”である、と言える。実際、本書の中に書かれていることは、裏技的なことはほとんど書かれていない。むしろわが子を思う母親の思いに支えられた泥臭い地道な努力・工夫の延々と続く積み重ねが記されている。

たまにハッとするような実践に裏付けられた“逆説的な真理”も記されているが、おおむね誰でも思いつくような工夫やけじめ、子供への共感・理解、配慮が紹介されている。それらはもちろん“中学受験”の参考にすごくなるのだが、本書の本当にすごいところは、それらの工夫を4人の子どもに対して足掛け10年間実践し、灘高校(男子校)・洛南高校(共学)への進学、その後東大理Ⅲ全員進学をさせてしまった。即ち、著者の実践の有効性が明確に証明されているところである。まぐれで4人は有り得ない。

であれば、中学受験させたい我が子がいる人々は、本書を手に取って読むほうがいいだろう。本書のような内容の類書は多いように見えるが、評論家ではなく実際の子育て中の母親の非常に具体的な実践・工夫、そして明白な結果に裏打ちされた本を探してみれば意外と存在しないことに気が付くはずである。

多少の金遣いの荒さは気になるが、俺は本書の内容をほぼ100%納得し、支持できる。著者のコモンセンスを俺は共有できる。孟母三遷、孟母断機を例に挙げるまでもなく、いつの時代も我が子の教育に頭を悩ますのがまともな親だとすれば、本書はある種の実践的親バカ福音の書であると言える。

【目次】(一部)●第1章 中学受験のメリット :受験の実態-中学受験のトラブルのほとんどは親が原因 /中学受験の適性-コツコツ型の子は、大学受験で勝負するのもあり /親と受験-「受験で親の生活も変わる」と覚悟する
第2章 塾の選び方、つきあい方 :入塾時期-塾は4年生から入るのがベスト /塾への通い始め-成績が上がるのには時間がかかる /親の役割-塾に丸投げでは合格しない
第3章 受験勉強の進め方と、親が行うべきこと :成績アップ-授業→宿題→テストを繰り返せば成績は上がる /勉強の必需品-コピー機、タイマー、カレンダーが大活躍 /佐藤式勉強法-成績は、5週間かけて5点ずつ上げていく /勉強の必需品-テキストの整理には100均のケースが便利
第4章 科目別 成績を上げる方法 :国語・長文読解-国語は親が音読すればイメージがつかめる /算数・ノート-ノートは100冊ストックして贅沢に使う /社会・参考書-日本史の流れは漫画で覚える
第5章 入試本番までの目標設定と時間割 :勉強の目標設定-理想は入試4日前に「思い残しゼロ」にすること /夏休みの過ごし方-夏休みの時間割は母親が作るべき /入試直前-募集要項・願書は2部用意する
第6章 志望校の決め方 :志望校の選び方-通学時間は1時間40分が限度 /志望校決定-本命を軸に3校プラスαで考える
第7章 能力を引き出す0歳から6歳までの子育て :佐藤ママの子育て-「1万冊の絵本読み聞かせ」が能力の基礎を作る /学習習慣-「気がついたら鉛筆を握っていた」くらいに学習習慣は早めにつける /早期の英語教育-英語より、計算と国語をすべき 
第8章 受験に勝つための小学校低学年の習慣 :勉強の環境-「リビングで学習、隣室で就寝」が勉強を日常にする /生活習慣-テレビを見る習慣をつけない
佐藤ママの中学受験Q&A :塾のクラスが落ち、泣いている子どもにどう接したらいいですか。 /母が仕事をしている場合のサポートはどうしたらいいでしょう。 /夕方まで遊んでいる子の学習習慣をどうつければいいですか?  ほか


【内容紹介】中学受験は母親力が9割! 子供を合格に導いて幸せな春を迎えるための本! 学習習慣をつけ、ベストな塾を選び、子供のやる気を引き出すのは母親の役割。中学受験では、本人以上に母親が主役にならなければいけません。3兄弟を灘中&東大へ導いた“奈良のゴッドマザー”が教える必勝法! 10万部著者の最新刊。0歳から12歳まで、子どもを伸ばすコツ満載です。

210310 私(もみ)はれいわ新選組山本太郎代表と社民党の福島瑞穂党首を強く支持しています。

2021年03月11日 01時22分01秒 | 今、思うこと&意見
3月10日(水):   

私もみは令和新選組山本太郎代表を強く支持しています。社民党の福島瑞穂党首も強く支持しています。彼らの言葉と姿勢には真実がある。一方で、国会質問で目を怒らせ批判ばかりで我が事なれりと勘違いして、国民の前に出てきて具体的な野党共闘のビジョンを語らない立憲民主党のレンホウは嫌いです。共産党との提携に乗り出さず、真に政権交代する覚悟を示さない立憲民主党のエダノ(枝豆)にも愛想が尽きかけています

どうして立件民主党は、共産党、れいわ新選組と組んで本気で政権交代をしようと考えないのか。一種絶望的気分になってきています。選択的夫婦別姓を看板にして政権奪取できると考える枝豆の感覚、国民と本気で向かい合わない姿はもはや奇異と言ってもよい。小選挙区制で、政権交代を目指しビジョンを示さない野党は、腐敗した政権の補完勢力に堕していることにどうして気づかないのだ。

私はれいわ新選組の政策すべてに賛成しているわけでもないし、実現可能だと思ているわけでもない。山本太郎代表のものの考え方と国民と向き合おうとする姿勢、地道な努力に対して強く共感し、信頼を寄せているのだ。

2021.3.11 山本太郎 代表談話『あの日から10年』
投稿日: 2021年3月11日 投稿者: れいわ新選組


マグチュード9.0の巨大地震の発生から
10年の時がすぎました。

この震災により19,747人の方が尊い命を失い、
未だ行方不明者も2,556人居られます(令和3年3月1日時点)。
最愛のご家族やご友人、恋人、かけがえのない命を失ったご遺族の皆様に改めて哀悼の意を表します。

この震災によって引き起こされた、
世界に例を見ない原発3機のメルトダウン事故は今も続いており、
収束の方法もわかっていません。

2011年3月11日16時36分に発令された原子力緊急事態宣言は、
10年経った現在も解除されていません。

10年経った今も、原子力の緊急事態下にあるのが日本国です。


<国と東電の劣化が進んでいる>
コロナ災害のさなかで迎える震災10年目。
震災を風化させない、とはよく聞くキーワードですが、
残念ながら、風化どころか完全に劣化しているのが、政治であり、原子力行政です。

つい最近にも象徴するような出来事が報道されました。

壊れた地震計を東電が放置していた件です。
結果、今年2月に福島沖で発生したM7.3の余震の
貴重な地震データを記録できなかったという不祥事です。

2016年4月段階で有識者から規制委員会で求められた地震計の交換。
東電もそれを了承していたはずですが、設置されたのは昨年、2020年3月です。

10年前の事故の影響で3号機の原子炉建屋の耐震性が劣化しており、
その安全性を確認するためには地震計の交換が必要でしたが
東電は数年に渡って放置し続けたのです。

2020年3月、3号機に2台、地震計が設置されましたが、
同年7月の大雨による水没などによって2台とも故障。
それを東電は把握していながら、またしても放置。

そこに、今年2月、M7.3の余震が発生。
肝心の地震の揺れを観測できなかったのです。

他にも、不正ID問題。

現在、東電が再稼働を目指す、
新潟県柏崎刈羽原子力発電所での出来事です。

東電社員が原発の心臓部ともいうべき中央制御室に、
ロッカーに入っていた他人のIDカードを無断で使用して入室した問題が、
原子力規制庁から規制委員会に対して4ヶ月に渡って報告されないままになっていた事実も発覚しました。
核物質防護規定違反です。

常日頃からの管理運営もままならない事業者と、
しっかりとした指導や規制を行えない電力会社よりも立場の弱い規制当局。

原子力を扱う資格がない、と言わざる得ません。
これが原発事故から10年の状況です。


〈汚染水〉
敷地内で貯まり続ける放射能汚染水は、海洋放出すべきではありません。

当初原発を建設するはずだった7・8号機や、土捨場、敷地後背地などを活用すればまだ陸上保管は可能です。
トリチウムの半減期は12年程度と短いので、減衰するのを何度か待つ間を使って、
トリチウム以外の物質をしっかり除去し、処分方法もじっくりと議論してゆくべきです。
なぜその選択肢を考えないのでしょうか。
さっさと海に流し、なかったことにしたいのでしょうか。

地元の漁業関係者をはじめ、
福島県内の市町村議会も海洋放出への反対、
陸上保管の継続を求めています。

事故の加害者が、被害者の声も聞かずに、
更なる加害行為を行おうとしているのが汚染水の海洋放出です。


〈学校検査の縮小について〉
原発事故後の健康状態を把握して安心を担保するための取り組み、
特に学校現場における甲状腺のエコー調査についても、今後も長期に渡って継続すべきです。

教育現場に負担がかかるので学校検査を辞める方向に、との誘導もあるようですが、
やめる理由を現場の教員になすりつけ、学校検査の縮小を進めるなどあまりにも姑息です。
教育現場の方々からは学校検査の継続を願う署名なども提出されています。
教育現場に負担がかからないよう人員の増員などが可能な予算措置を行うのが行政の務めです。

原発事故の影響は10年で節目が来るものではありません。
政府は、原発事故の責任が国と東電の不作為にあることを自覚し、
検査や調査を始め、被害、損害に対しても未来永劫責任を果たし続けなければなりません。

<次なる大地震に備える備えが急務>
そして、人々の生命と財産を守る政治の責任として、
地震や災害に対する備えも急務です。

政府の地震予測では、南海トラフ地震や首都直下地震など、
30年以内で8割の確率で発生すると言われています。
予測される被害は甚大です。

政府の試算では首都直下地震が起きた場合、
建物やインフラなど被災地の直接被害額が47.4兆円にのぼると推定しています。
これは、阪神大震災における被害額の約5倍。
東日本大震災における被害額の約3倍。

また、南海トラフ地震が起きた場合には直接被害額は171兆円。
阪神大震災における被害額の約17倍。
東日本大震災における被害額の約10倍。

別に土木学会では、首都直下地震では20年間のGDP損失は最悪で約731兆円。
南海トラフ地震では、20年間のGDP損失は約1410兆円と試算されています。

これだけの規模の地震や津波に耐えられる原子力施設は存在しません。
国家安全保障という観点からも、原子力発電所の即時廃止、以外の選択肢はありません。

一方で、これまでリスクを承知の上で、
国の発展のために貢献してくださった原子力立地自治体の皆様には、
廃止に伴う補助金を継続的に出し続ける必要があると考えます。
加えて、廃炉作業のほかにも、その土地にマッチする新産業について、
国が責任を持って地元と話し合い、必要な財政的措置を行う必要があると考えます。


<れいわ新選組の誓い>
予測される巨大震災による被害、原発に変わる新しいエネルギー源をどうするか。
私たちれいわ新選組は以下のことをお約束します。

私たちれいわ新選組は、災害が多発する日本において、
防災庁を設立し、これまで幾多の災害において知見を積み上げ、
インフラの老朽化への対応を適切に行うだけではなく、
災害のスペシャリストとして、被災地の復旧・復興に力を尽くしてきた、
NGO、NPOなどの知見を集積、腕に覚えのある方々を雇用し、
被災地が一刻も早く元の暮らしに戻れる復旧・復興が実現する体制を整えます。

また、災害対応にマンパワーを集中的に投入できる存在として、
自衛隊の災害時における運用を柔軟対応出来る様にやってまいります。

被災者の生活の復旧についても、震災が発生した際には大胆な財政出動で、
早急に生活再建をおこなえるよう補償のレベルを底上げします。

私達れいわ新選組は、原発事故の教訓を踏まえ、
原発即時廃止と同時に自然エネルギー発電を飛躍的に普及させるため、
国として積極的な財政出動による必要な整備(グリーン・ニューディール)を行います。

同時に、現在主力となっている火力発電については石炭火力、
天然ガス火力発電の順番で依存度を国民生活に負荷をかけない形で脱却していくことを誓います。

私たちれいわ新選組は、原発事故の被害に対し、
加害者である東電及び国が、原発事故被災者に対する長期の医療保証と、
区域外避難者への財政支援の確立を目指します。

原発事故被災地への帰還の要件は、空間線量だけでなく、
表面汚染も含めた判断を行います。

東電原発事故前の放射線防護の基準を順守し、
予防原則に則った運用を目指し、徹底します。

震災10年目のこの日に改めてこれらの事を皆さんにお誓いいたします。

SNSやLINEで、あなたのご家族、お友達などなどに広めてください!

10 011 桜井信一「下剋上受験 両親は中卒 それでも娘は最難関中学を目指した!」(産経新聞出版:2014、2016文庫)感想特5

2021年03月02日 01時30分20秒 | 一日一冊読書開始
2月28日(日):  

405ページ      所要時間10:50      ブックオフ108円

著者46歳(1968生まれ)。

2度目。前回は図書館の本で2:05の眺め読みだった。今回は、自分の本なので思う存分、付箋、線引きをしながら読んだ。内容は圧倒的な具体性と説得力を伴い、文句なしに面白かった。中卒の著者の筆力は半端ではない。自分の娘を思う父親の思いが、どんどん読み手に伝わってくる。暑苦しいほどの熱意で自身の身も心も焼き尽くしながら、うつ病になり、心療内科で大量の薬を処方されながら、娘とともに超難関中学受験のための問題を解き続ける。

中学受験の現場レポートとしても、読み物としても秀逸である。中学受験のもつ可能性と難しさの両面をよく理解させてくれる。子どもの教育とは、結局親自身も成長する覚悟を問われる取り組みであり、人生の一大事業である。

もしもう一度最初から佳織と始めるなら今度は中学受験塾に通わせるだろう。略、私は決して親塾で正解だったと思っているのではなく、むしろ改めて中学受験塾のすごさに驚いている。もう一度チャンスがあれば、今度こそ中学受験塾に佳織を行かせ、毎晩の復習を今回以上必死になって一緒に取り組むと思う。381ページ

毎日を頑張っていること、これを評価してもらおうとしてはいけないんだ/父さんのような三流の人間はいつも頑張りを評価してもらおうという発想があるから使えない人間なんだ/結果を出すことに慣れていないから、つい頑張りを評価してもらおうとする/この考えが染みついているんだ。この染みは簡単には抜けない/だからおまえは父さんの二の舞になっては行けない/つまり、毎日頑張っていることを評価してもらおうとする人間になってはいけないんだ/プロセスが大事だなんて言葉を信じてはいけない/結果にこだわるから評価されるプロセスになるんだということに気づかなければならないんだ  398ページ  *新自由主義の連中が喜びそうな論理だが、著者の我が子に対する気概としては素直に受け止めようと思う。

5 056 桜井信一「下剋上受験」(産経新聞出版:2014) 感想4+
2016年06月06日 00時25分44秒 | 一日一冊読書開始

2016年6月5日(日):      副題「両親は中卒/それでも娘は最難関中学を目指した!」

351ページ   所要時間 2:05     図書館

  忙しい日々、まったく読書できない日々が続く中、ふと思い立ち手に取った本である。1ページ15秒ペースで目を這わせた。
  宿命としての「中卒」を叫ぶ父親の文章は最初随分と「言葉数だけは多いな!」と、冗舌に思えた。しかし、それが淀みなく300ページ以上続くと「これはもう相当の筆力だ!」と認めざるを得ない気になった。中卒=低学力・拙劣な文章ではないのだ。時間をかけて読めば、ずっと面白かったはずだが、眺めて展開を追うだけでも十分に興味深く、学べることが多かったと思う。

  まず、中学受験で一番大事なことは親が一緒になって伴走してやることの大切さがよく伝わってきた。やり方は人さまざまだろうが、親が子供の教育に寄り添うことの大切さがよく分かった。次いで、中学受験では、中卒の親であっても子供と一緒に勉強をすれば可能な部分が相当ある。そして、中学受験に子供がきちんと取り組むことができれば、それは間違いなく子供を大きく成長させる貴重な経験となり、子供の顔つきや意識を良い方向に変えることになる。しかし、そのためには親の本気の覚悟が必要であり、かつ親にとっても大変遣り甲斐のある取り組みである。

  5年生の9月から偏差値トップの桜蔭中学を目指した中卒の父による「親塾」と娘の挑戦は、桜蔭不合格だったが同程度の偏差値70の別の私立中学合格という結果を生んだ。娘の中学受験に対する父親の取り組みは、自ら「うつ」を発症し、薬漬けになるなどかなり凄絶だったが、「高校受験では親が直接勉強にかかわることは難しいが、中学受験では勉強の内容に踏み込んで関われる」ことがわかって面白そうだと思った。受験というと責任重大で重苦しい印象ばかりだったが、子供との貴重な共同体験の機会でもあると思えてきた。

内容紹介:目指せ桜蔭! 中学受験ブログ人気No.1著者の書き下ろし/塾なしで偏差値41から70へ/全受験生の親必読の感動ノンフィクション! // 昼はガテン系仕事、夜は娘と勉強、そして朝まで娘のための予習…。/わが子に全てを捧げた父親の壮絶記録/中学受験ブログ人気NO.1著者の書き下ろし。// 中卒の父と、偏差値41の娘が、進学塾にも行かず、2人で桜蔭中学を目指す-。/話が無茶苦茶すぎて信じてもらえないかもしれません。でもこのお話はすべて真実なのです。そして今、私たち父娘は思うのです。/この挑戦が決して無謀ではなかったことに。そして、届かない夢ではなかったことに…。

【主な目次】 序章 絶望と猛追/ 第一章 こんな場所にいてはいけない/第二章 中学受験というギャンブル/第三章 異常な水準の世界/ 第四章 本当の馬鹿を理解して欲しい/第五章 父さんは人柱になる/第六章 受験前夜/ 第七章 「最難関」の本当の意味

150329 タガ外せば歯止め失う 長谷部恭男・早稲田大学教授/「未来志向」は現実逃避 杉田敦・法政大学教授

 杉田 先日ドイツのメルケル首相が来日しました。戦後ドイツも様々な問題を抱えていますが、過去への反省と謝罪という「建前」を大切にし続けることで、国際的に発言力を強めてきた経緯がある。「建前」がソフトパワーにつながることを安倍さんたちは理解しているのでしょうか。  / /長谷部 そもそも談話が扱っているのは、学問的な歴史の問題ではなく、人々の情念が絡まる記憶の問題です。記念碑や記念館、映画に結実するもので、証拠の有無や正確性をいくら詰めても、決着はつかない。厳密な歴史のレベルで、仮に日本側が中国や韓国の主張に反証できたとしても、問題はむしろこじれる。相手を論破して済む話ではないから、お互いがなんとか折り合いのつく範囲内に収めようと政治的な判断をした。それが河野談話です。  / /杉田 談話の方向性や近隣との外交について「未来志向」という言い方がよくされますが、意図はどうあれ、それが過去の軽視という「見かけ」をもってしまえば、負の効果は計り知れない。安倍さんたちは、未来を向いて過去を振り払えば、政治的な自由度が高まると思っているのかもしれません。しかし政治の存在意義は様々な制約を踏まえつつ、何とか解を見いだしていくところにあります。政治的な閉塞(へいそく)感が強まる中で、自らに課せられているタガを外そうという動きが出てくる。しかし、それで万事うまくいくというのは、一種の現実逃避では。  / /長谷部 合理的な自己拘束という概念が吹っ飛んでしまっている印象です。縛られることによってより力を発揮できることがある。俳句は5・7・5と型が決まっているからこそ発想力が鍛えられる。しかし安倍さんたちは選挙に勝った自分たちは何にも縛られない、「建前」も法律も憲法解釈もすべて操作できると考えているようです。  / /杉田 俳句は好きな字数でよめばいいのだと。  / /長谷部 あらゆるタガをはずせば、短期的には楽になるかもしれません。しかし、次に政権が交代したとき、自分たちが時の政府を踏みとどまらせる歯止めもなくなる。外国の要求を、憲法の拘束があるからと断ることもできない。最後の最後、ここぞという時のよりどころが失われてしまう。その怖さを、安倍さんたちは自覚すべきです。 =敬称略(構成・高橋純子)朝日新聞『考論』

0015 オルテガ「大衆の反逆 (桑名一博訳;久野収解説)」(白水社イデー選書;1930)評価5

以下は、オルテガ所論の久野収による抜粋の抜粋である:///  オルテガによれば、政治のなかで「共存」への意志を最強力に表明し、実行していく政治スタイルこそ、自由主義的デモクラシーである。共存は、強い多数者が弱い少数者に喜んで提供する自己主張、他者説得の権利である。敵、それも最も弱い敵とさえ、積極的に共存するという、ゆるがない決意である。/その意味で、人類の自然的傾向に逆行する深いパラドックス(逆説)であるから、共存を決意した人類が、困難に面してこの決意を投げ出すほうへ後退したとしても、それは大きな悲劇ではあっても、大きな不思議とするには当たらない。/「敵と共存し、反対者と共に政治をおこなう」という意志と制度に背を向ける国家と国民が、ますます多くなっていく1930年代、オルテガは、「均質」化された「大衆」人間の直接行動こそが、あらゆる支配権力をして、反対派を圧迫させ、消滅させていく動力になるのだという。なぜなら、「大衆」人間は、自分たちと異類の非大衆人間との共存を全然望んでいないからである。略。///  「大衆」人間は、自分たちの生存の容易さ、豊かさ,無限界さを疑わない実感をもち、自己肯定と自己満足の結果として、他人に耳を貸さず、自分の意見を疑わず、自閉的となって、他人の存在そのものを考慮しなくなってしまう。そして彼と彼の同類しかいないかのように振舞ってしまう。/彼らは、配慮も、内省も、手続きも、遠慮もなしに、「直接行動」の方式に従って、自分たちの低俗な画一的意見をだれかれの区別なく、押しつけて、しかも押しつけの自覚さえもっていない。/彼らは、未開人―未開人は宗教、タブー、伝統、習慣といった社会的法廷の従順な信者である―ではなく、まさに文明の洗礼を受けた野蛮人である。文明の生み出した余裕、すなわち、贅沢、快適、安全、便益の側面だけの継承者であり、正常な生存の様式から見れば、奇形としかいいようのないライフスタイルを営んでいる新人類である。略。///  「自分がしたいことをするためにこの世に生まれあわせて来た」とする傾向、だから「したいことは何でもできる」とする信仰は、自由主義の自由の裏面、義務と責任を免除してもらう自由にほかならない。/われわれは自由主義の生みだした、この「大衆」人間的自由、自己中心的自由に対し、他者と共存する義務と責任をもった自由を保全しなければならないが、一筋縄でいかないのは、この仕事である。(160626:イギリスEU離脱について思うところ=もみ=)