もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

150215 衆参両院の「テロ非難決議」を非難する!「テロの本質」を真面目に語る政治家はいないのか!

 真面目に「テロの本質」を考えれば、その原因が、決して宗教の違いにあるのではなく、世界的に広がる富の偏在、極端な格差拡大、差別構造の継承、及びパレスチナ問題、それらによる<若者たちの絶望>にあることは、実は誰もがわかっていることだろう! それを「世界には凶悪なテロリストが大勢いて、こいつらを叩き潰せばテロが無くなる」なんて話に無理やりすり替えている。誰も、「テロの本質が、日本・世界の社会構造が抱える富の偏在・格差の拡大及びパレスチナ問題の<野放し状態>にこそある」という本質を語らないし、見させようとしない。そして、凶悪なテロリストへの恐怖ばかりを煽りたてている。これはまさにオーウェルの「一九八四年」の世界と同じだ。今回の国会の「テロ非難決議」に社民党・共産党まで加わっていたのには、あきれ果てた。「誰も本質を見ようとしない。」「武力で世界中の<絶望した若者たち>を封じ込めるべきではないし、不可能だ!」

秋原葉月さん「Afternoon Cafe」ブログから

※(1)「もちろん、普通の人間は戦争を望まない。しかし、国民を戦争に参加させるのは、つねに簡単なことだ。とても単純だ。国民には攻撃されつつあると言い、平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、国を危険にさらしていると主張する以外には、何もする必要がない。この方法はどんな国でも有効だ」byヘルマン・ゲーリング ※(2)いつの時代も大衆をファシズムに煽動する手口は同じ。なのに同じ手口に何度も騙されるのは過去に学んでいないから。格差を広げ、セイフティネットを破壊し、冷徹な自己責任論が横行する社会を継続させるのは簡単だ。今よりもっと格差を広げ、セイフティネットを破壊する政策をとればよい。そうすれば人々に自己責任論がもっと浸透し、草の根から勝手に右傾化してくれる。

辺見庸さんのブログから

・権力をあまりに人格的にとらえるのはどうかとおもう。口にするのもおぞましいドブの目をしたあの男を、ヒステリックに名指しでののしれば、反権力的そぶりになるとかんがえるのは、ドブの目をしたあの男とあまり変わらない、低い知性のあらわれである。権力の空間は、じつのところ、非人格的なのだ。だからてごわい。中心はドブの目をしたあの男=安倍晋三であるかにみえて、そうではない。ドブの目をしたあの男はひとつの(倒錯的な)社会心理学的な表象ではありえても、それを斃せば事態が革命的に変化するようなシロモノではない。権力には固定的な中心はなく、かくじつに「われわれ」をふくむ周縁があるだけだ。ドブの目をしたあの男は、陋劣な知性とふるまいで「われわれ」をいらだたせ、怒らせるとともに、「われわれ」をして社会心理学的に(かれを)蔑視せしめ、またそのことにより、「われわれ」が「われわれ」であることに無意識に満足もさせているのかもしれない。ところで、「われわれ」の内面には、濃淡の差こそあれ、ドブの目をしたあの男の貧寒とした影が棲んでいるのだ。戦争は、むろん、そう遠くない。そう切実にかんじられるかどうか。いざ戦争がはじまったら、反戦運動が愛国運動化する公算が大である。そう切実に予感できるかどうか。研ぎすまされた感性がいる。せむしの侏儒との「ふるいつきあい」がベンヤミンのなにかを決定した。そう直観できたアレントほどするどくはなくても、研ぎすまされた感性がいる。けふコビトがきた。ミスドにいった。(2015/11/11)

151019 一年前:141019 転載(毎日新聞):慰安婦問題:朝日報道 メディアで飛び交う「売国・国賊」

2015年10月20日 00時42分15秒 | 一年前
10月19日(月): 参院選「落選運動」第1位<片山さつき>絶対に落とす!社会保障制度の敵!
141019 転載(毎日新聞):慰安婦問題:朝日報道 メディアで飛び交う「売国・国賊」
10月19日(日): 為政者がヘイトスピーチを許容する愚か者で知性・品性が下劣だとこれほどまでに世の中が子供騙しで浅ましく、下品で恥知らずになるのかと思い知らされる日々だ。また...
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151017 参院選「落選運動」第1位<片山さつき>絶対に落とす!社会保障制度の敵!冷酷な安倍自民の象徴!

2015年10月17日 22時43分18秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
10月17日(土):

 俺が最も許せない政治屋が、片山さつきだ。来年の参議院選「落選運動」の筆頭だ!絶対に落とす!
 弱者たたきを票に結びつける片山さつきは日本社会を完全に歪めようとしている。社会保障制度の敵、現代に生きる悪魔だ。
 片山さつき強者に阿り、弱者をいじめる最低の政治屋の典型こいつだけは存在自体が絶対に赦せない!

リテラ片山さつきが坂上忍に年金問題とマイナンバー制度を批判され暴言連発! またぞろ生活保護バッシングも…  2015.10.17.
  下着ドロボーの高木毅復興相に、竹刀で体罰の馳浩文科相、ヤクザとズブズブという過去が暴かれた森山裕農相……。早くもその本質が露呈しつつある第三次安倍内閣だが、そんななか、今度は安倍応援女衆のひとりである片山さつきがテレビの生放送で問題発言を連発した。
  片山が出演したのは、10月6日に放送された『バイキング』(フジテレビ)。きょうの番組テーマは年金制度だったが、片山は「年金は支え合いの制度。愛です!」「You and I、そして愛なんです」と珍妙なフレーズを連呼。年金はいまの若者たちの老後にも「破綻的なことがなければ」支払われると訴えた。
  しかし、ここでツッコミを入れたのは、番組MCの坂上忍だ。
  「ぼくは執念深い男なので、消えた年金問題のときにね、安倍さんが『最後のひとりまでお支払いする』っておっしゃったんですよ。それ、どうなったんですか?って話があって。それができない限り、ぼくは信用しません」
  生放送で突然、鋭く切り込まれてしまい、ものの見事に表情が固まってしまった片山。だが、口を開くと、こんなことを言い始めた。
  「また厚生労働省でね、事件起きちゃって、わたしたち政治家のほうは怒っております」
  坂上が話したのは消えた年金問題のときの安倍首相の説明についてで、厚労省のマイナンバー収賄の話ではない。こうして露骨に話題をすり替え、さらには「政治家のほうは怒っております」と責任を転嫁する。だいたい片山自身も大蔵官僚時代、労働省(当時)から官官接待を受けていたことが問題になっているが、そんなことは棚に上げて、である。
  ある意味、この“話のすり替え”は片山のお決まりのパターンだが、番組ではここから片山の暴言劇場がはじまった。
というのは、番組レギュラーの渡辺えりが「年金を払っていない人が4割もいて、その人たちがお年寄りになったときにどうするのかって、すごく不安ですよ」と発言。すると片山は咄嗟に「それなんです!」と言い、生活保護受給者バッシングを繰り出したのだ。
  「私がこの4年間、ずっと取り組んでいる生活保護の問題で、本当に無年金で蓄えもなく、その方たちもわたしたちと同じ日本人、仲間ですから支えなきゃいけないと。(でもその人たちは)100%税金の生活保護になっちゃって、それが3兆円、4兆円になっちゃって、このままじゃ本当に国がもたないんですよ。だから、少しでも、少しずつでも、できる限り働く側に回ってもらって」
  もちろん、渡辺は年金を払っていない人たちを責めたのではない。「働きたくても働けない人たち、払いたくても(年金の)その金額が払えない人たち」のことを心配したのだ。だが、片山にはまったく届かず、「現役で働ける方が60万人くらいいらっしゃるのも事実」「病院たらい回しとか、その問題もあるし」と、結局“生活保護受給者が国を滅ぼす”と言わんばかりに主張した。
  しかも、その後、前出の厚労省官僚のマイナンバー収賄に話が移っても、「(マイナンバー導入によって)ずる貰いみたいな生活保護もなくなるし、管理もしやすくなる」と言ってのけたのだ。
  片山は、次長課長・河本準一を「税金ドロボー」だとし、生活保護バッシングを展開した張本人だが、そのせいで渡辺が指摘したような国が保護しなくてはいけないような人びとがさらに生活保護を受給しづらい環境をつくり上げた。それでも片山には反省などあるはずもなく、生活保護を「ずる貰い」と表現し、マイナンバー問題をまたしてもお得意の論理のすり替えで生活保護バッシングに利用したのだ。
  さらに、そのマイナンバー導入に坂上や雨上がり決死隊の宮迫博之から反論が飛び出すと、「世界中IT化だから、どこの国でも制度あるからやっていこうっていう、そういう国民運動なんですね」と説明。当然、国民のあいだからはマイナンバーに懐疑的な声こそ上がってはいても、それを求める運動など起こってはいない。誰にでもわかる大嘘である。
  また、賄賂を受け取ったと言われる厚労省の官僚についても、「すごいキャラの立っちゃってる、変わった厚労省の職員さん」「服装が異常」などと述べ、“たんにヘンな人が混ざっていただけ”だと片山は問題を矮小化。他人の容姿をとやかく言うなら片山のヘアスタイルも大概ヘンだと思うが、挙げ句、片山はこのように語り始めた。
  「いちばん利権があるのは、いま中華人民共和国と言われていますから、官僚制度のいちばん強いのは共産圏なんですよ。情報独占で何でもできちゃう。(中略)そういうレベルでは日本はないわけですが」
  日本の官僚による収賄の話をしているのに、今度はなんと中国に話題をすり替える。──これだけでも驚きだが、番組の最後に「最近、嬉しかったニュースは?」と尋ねられた際には「スポーツ界のいろんな活躍ですね」と言い、つづけて「日本のいろんな国際貢献がね、国連の場とかでも少しずつ認められているのが嬉しいのと、逆にあの南京みたいな、間違った情報が登録されて、これは絶対、反論してやり返さなきゃいけないなと」と、さらっと“南京事件はなかった”と主張した。
  「間違った情報」を垂れ流し、詭弁を弄しているのはあなたのほうでは?と言いたくなるが、これこそが安倍政権クオリティというものなのだ。
  ちなみに番組では、片山が前夫・舛添要一とのスピード離婚について触れ、舛添のことを「怖かった」と語る一幕も。そして、当時の自分をこう評した。
  「いまの議員やってる片山さつきじゃないですもん。大蔵省で、まだそれこそ新進気鋭の、夜遅くまで働いている女性ひとりのキャリアウーマンで」
  自分のことを“新進気鋭”と自画自賛……。厚かましいにも程がある。(水井多賀子)


「 130101-2 「朝まで生テレビ」で片山さつきの姿は傲慢冷酷な役人にしか見えない。 」
                            2013年01月01日 04時53分37秒 | 日記
1月1日(火):

  朝まで生テレビをボーっと観ているが、自民党は片山さつきの価値観でやっていけると思っているのか???。あまりにも上から目線の官僚的弱者切り捨て発言が多いことに驚いてしまった。ほとんど化け物に見える。近隣諸国に対する硬直した発言にも無責任さしか感じられない。分類すれば新自由主義ということかもしれないが、片山さつきの発言には傲慢さと極端な冷酷さが目立つ。
  総選挙・参議院議員選挙のときに、支持者に土下座を繰り返していた姿とダブって矛盾に戸惑ってしまう。自助、共助、公助と題目のように口にしながら、個人と家族の責任のみを強調して、社会全体での助け合いを完全否定する口調には、権力者であることの誇示と冷酷さしか感じられない。自民党は、片山さつきの路線で行くのか??? 間違いなくイメージダウンだ。
  5:20 田原さんが「片山さんの一番悪い点は、謙虚さが全くないこと!」とダメ出しをしてくれた。よっぽど腹にすえかねたのだろう。本当に田原さんの言うとおりだと思う。
  片山さつきの隣に座っていると、同じ新自由主義者の竹中平蔵が温かい人柄に見えてしまうのは変な気分だ。片山のしゃべり方は「(愚民たちに対する)生殺与奪の権限は自分たちにあるのだ」という傲慢で酷薄な官僚の意識そのものだ。全く親しみのかけらも持てない。まさに<無機質な壁>だ。<血の通う人間>ではない。

「 0023 雨宮処凛「14歳からわかる生活保護」(河出書房新社;2012.10月) 感想5 」
                       2013年02月03日 20時38分41秒 | 一日一冊読書開始
2月3日(日):

203ページ  所要時間1:30        図書館

著者37歳(1975生まれ)。読書リハビリに読んだが、思わぬ収穫だった。簡潔で無駄が無く、人間らしい優しさに満ちた本当に実(じつ)のある内容である。はっきりと言おう!良書である!生活保護に関する最も良い入門書だと思う。

著者の行動力と取材力は既に有名だが、改めて<今一番格好いい女性の一人>であるのを確認できた。また、弱者の権利に対する確かな目と不法・不当な権力のあり方を許さない姿勢に大変共感した。

生活保護に対する偏見と誤解を確信犯として助長し、スティグマ(恥の烙印)を印象付けることで、社会保障を削ろうとする政治屋(本書中では、自民党の片山さつき議員の名前が何度も出ていた!)や、「水際作戦」と称して生活保護を必要とする人々から不法に生きる権利を奪おうとする役所の手口が暴露されるとともに、それによって死ななくてもよい大勢の人の死がもたらされた罪深さが示されている。

権利としての生活保護という制度が十分に生かされていない。人間の再生のために生活保護の活用が大切であること、誰かが身を寄り添わせてあげるだけで、多くの死ななくてもよい人たちを救えること、NPOの「もやい」の存在などが丁寧に示されている。

扶養義務者には、「強い扶養義務者」と「弱い扶養義務者」があり、「河本準一さんは仕送りをして、福祉事務所とも、どれくらいだったら援助できるかを話し合い、親御さんが仕送りを受けてもなお最低生活費に足りない分を福祉事務所から保護費として支給されていたので、手続き的にまったく問題ない。148ページ

役所は「個人情報保護」という題目のもと、自らの不作為と死んでもよいという未必の故意を合理化している。生命よりも大切な個人情報があるというのか。

目次:
不正受給額はたったの0.4%以下!
受給者の約8割が高齢者や病気・ケガで働けない人……
間違いだらけの生活保護バッシングをキチンと改める「生活保護」入門。
第1章 札幌姉妹「孤立死」事件 ——見捨てられた命が教えてくれること
「他人事ではない」孤立死事件/2012年に相次いだ、餓死・孤立死/一日一食、非常用のパンだけで生き延びろ?/言い逃れをする区の職員たち/ありえないほどいい加減な面接/申請を諦めさせる「水際作戦」
第2章 そもそも生活保護ってなに!? ——自立生活サポートセンター・もやい 稲葉剛さんに聞く
生活保護を受けるための3つの要件/リーマンショック以降、相談件数が増加した/申請書を受理しないのは違法行為/生活保護の受付がガードマン?/生活保護費の半分が医療費である理由/人体実験のごとき貧困ビジネス/「生活保護=恥」を作り出す国会議員/仕事に就けないのは本人の責任なのか/「かわいそうだから助けましょう」は危険
第3章 生活保護を受けて暮らすということ ——受給者A子さん(40代・女性)・B男さん(20代・男性)に聞く
受給者のA子さん(40代・女性)に聞く/役所がDV夫に連絡してしまう/生活保護を知っていたから逃げ出せた/見過ごせない母子家庭の貧困率/受給者のB男さん(20代・男性)に聞く/親も貧困だから戻ることが出来ない/ネットカフェ難民のカップル/「やっと布団で寝られる……」/発見されなかった病気・障がい/「失業する→ホームレスになる」は日本だけ/「助けて」という声を封じていないだろうか/「人を見捨てない」人たちがたくさんいる
第4章 なぜ生活保護は誤解されるのか? ——弁護士・尾藤廣喜さんに聞く
河本さんは不正受給にはあたりません/生活保護を受けている世帯は公務員にはなってはいけない?/恥をかかなくてもいい制度に/『ハリー・ポッター』は生活保護を受けながら書かれた/国によってこんなにも違う生活保護/年金と雇用に向き合えば受給者は減る/貧困は自己責任じゃない、社会の構造に問題がある/人間は誰しも、弱みも可能性も持っている
【申請用紙付き】簡単に分かる『生活保護』申請のやり方/全国の相談所一覧

「 5 014 新井直之「チャイルド・プア 社会を蝕む子どもの貧困」(TOブックス:2014)感想4+ 」
                       2015年09月23日 02時40分32秒 | 一日一冊読書開始
9月22日(火):  

240ページ    所要時間 1:45     図書館

著者32歳(1982生まれ)。NHK報道番組ディレクター。

昼間出かけて、夜遅く「ちょっと今日は本読むの無理かな…。」と思いながら、「1ページ15秒で割り切って何とか縁結び読書をできないか」と手にしたのが本書である。読み始めて、意外と速読ができる。1ページの字数もやや少ない。良識を感じる良心的内容である。波長がぴたりと合い、終盤読む速度が遅くなった。たまにはこういう良い出会いもある。

NHKの若き番組制作ディレクターが、先進国中最悪レベルの子供の貧困問題を取り上げている。NPO法人さいたまユースサポートネット代表理事の青砥恭先生を取材しているのも確実な番組作りを感じさせる。まず、行き先を間違わない確かな方向性をもって書き始められている。

現代の貧困状況にある子どもたちの問題を、NPO団体、子どもたち本人、子どもたちの保護者、学校現場(特に定時制)、SSW(スクール・ソーシャル・ワーカー)を取材して地に足着いた具体例が素直な形で示されている。著者の謙虚な姿勢も本書読みやすくしている。

読んでいて、二つのことを考え続けた。まず、下らない安倍晋三のマスターベーションに日本中が翻弄される中で、真に日本の未来への投資である「子どもの貧困」問題解決の取り組みが疎かにされていることへの怒りと、俺が今の仕事を退職するそう遠くはない未来、日本社会の貧富の格差は間違いなく今よりもひどいことになっているだろう。子どもの貧困率も6人に1人を超えて、5人、いや4人に1人になってるかもしれない。その時、残る人生を十分に学ぶ機会を得られなかった子どもたちのためにボランティアで読み・書きを教え、励ますことを仕事にしたいという思いである。さらに言えば、今の仕事の中で常に「子どもの貧困」問題を意識化しながら最後まで働き続けるようにしなければいけない、という思いもあった。
  次にもう一つ考え続けたことは、自民党参院議員の片山さつきに対する唾棄したい怒りがムラムラと起こって仕方なかった。せっかく的を得た形で世の中を改善しようとする動きがあるのに、それを分かった上で確信犯的に「生活保護」などに対する偏見・誤解を助長し、差別意識を扇動して世の中を間違った方向に捻じ曲げようとする<人間のクズ>がいる。せめて何もしなければいいのに、一線を越えて間違った理解・偏見に世間を引っ張り込もうとする片山さつきのような下衆がいるのが許せない。
来年の参院選挙で改選を迎える片山さつきに対して断固として「落選運動」を行おう! という思いである。

本書を見ても、政局と離れたその他の報道番組を観ても、「NHKの職員はやはり優秀なのだ」と思う。そのNHKが本当の意味での政治的中立を守れない政治状況はやはり異常であるとしか言えない。

【目次】はじめに
第1章  「子どもの貧困」対策の最前線──NPOによる生活保護世帯向け学習支援
取材の始まり/生活保護世帯の中学生に学習支援/1枚のミルクチョコレート/日本の子どもの6人に1人が貧困/相対的貧困とは/先進国でワースト4/報道されない子どもの貧困の実態/複雑な要因が絡み合う子どもの貧困/経済的な貧困が心の貧困へ/就学援助、過去最多の156万人/子どもの貧困対策法が成立/子どもの貧困は日本社会の損失/学習支援教室を初訪問/学級崩壊のような教室/多様な背景をもつ子どもたち/教室で出会った正樹くん/振り返りミーティング/学生にとっても貴重な体験/「無料」が大きな魅力/母子家庭の暮らし/母子家庭の現実/フルタイムで働きたくても働けない/子どもの貧困と闘う覚悟
第2章  奪われる日常生活──車上生活を強いられた中学生
取材の端緒をつかみたい/テレビ取材に立ちはだかる壁/ある少年との出会い/少年へのアプローチ/少年の父親との待ち合わせ/二度裏切られ、多重債務者に/逃亡の日々/餓死寸前で生活保護を受給/居所不明児童生徒/学校を休みがちに/親には語れない本音/故郷との突然の別れ/親を恨んだことはない/制服の上着/学校に行きづらい/当たり前の生活を奪う「子どもの貧困」/(以降は本編にてご確認ください)
第3章  いつまでも自立できない──母親を失ってひきこもった
19歳若者の居場所「たまり場」とは/祖母に連れられて来た女性/ひきこもりを克服できるか/ひきこもりのリスクとは/本心を隠す/幼いころから母親が大好きだった/明かされる母の死/高校中退からひきこもりへ/平穏な老後を襲った経済的不安/孫の将来が不安/NPOによる支援が唯一の拠り所/車内インタビュー/20歳へのカウントダウン
第4章  貧困から抜け出せない──ホームレスだった
25歳元ホームレス /25歳男性との出会い/親の借金と自己破産によって高校を中退/就職、そして親が原因で失業/草を食べて空腹をしのぐ/頼る先もなく自暴自棄に/あるホームレスとの出会い/イザワさんに習った食料の調達法/食料を保存し食いつなぐ/和らいでいった怒りや憎しみ/職探しの日々/自力での生活立て直し/10年のブランクを背負って/深刻化する「貧困の連鎖」/貧困から抜け出せない若者を増やさないために
第5章  学校現場の限界──教員へのアンケートから
疲弊する学校現場/定時制高校が「子どもの貧困」の受け皿に/アンケートから浮かび上がる貧困の実態/授業料無償化でも続く経済的な厳しさ/教員が家庭に踏み込んで見えること/学校現場だけでは対応に限界/心の相談では解決できない
第6章  始まった教育と福祉の連携──スクールソーシャルワーカーの取り組み
教育と福祉の架け橋/杉並区のスクールソーシャルワーカーの取り組み/両親の離婚がきっかけ/母親を支えたいけど……/学校とも疎遠に/経済的な困難から孤立化/スクールソーシャルワーカーによる支援/子どもに寄り添い続ける/前進のきっかけを探る/社会との接点を取り戻す/杉並中3勉強会とは/高校生になっても支援を続ける大切さ/高校3年生になった裕子さん/将来の夢/スクールソーシャルワーカーの課題
おわりに(結構読みごたえあり)

紹介文:2014年1月、「子どもの貧困対策法」施行!
二〇一四年一月、子どもの貧困対策法施行!大反響を呼んだNHK「特報首都圏」単行本化! 貧困にあえぐ小中学生156万人、その衝撃の実態を丹念に取材。「2年間の車上生活を強いられた中学生」「父親に騙され、18歳でホームレスに」「母親の自殺後、高校中退から引きこもりに」「1日の食事は給食1食のみ」……。いま、「貧困の現場」では何が起こっているのか? 300万人を越す声なき子どもたちを取り巻く貧困の実態に番組担当ディレクターが迫る。「見えない貧困問題」と言われ、広がり続ける“子どもの貧困”問題にいち早く切り込み、その実態と解決に向けた動きを描く。話題作!!


「 150810 一年前:140809 憲法で保障された「健康で文化的な生活」を解釈変更する違憲政治屋の片山さつき 」
                          2015年08月10日 15時12分12秒 | 一年前
8月10日(月):

片山さつきは、現代日本に棲息する生きた悪魔だ! 次回の参院選挙では絶対に落選させなければいけない! こいつのことを考えると正直心が汚れてくたびれる。うんざり。

140809 憲法で保障された「健康で文化的な生活」を解釈変更する違憲政治屋の片山さつきを全面糾弾する!
8月9日(土):「憲法第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」「健康で文化的な最低限度の生活」とは、<生きるか死ぬかのレベル>では断じて...


以下、Afternoon Cafeから引用:
“生活保護キラー”片山さつき氏の人となりを示すエピソードをメモ  2013/06/04 13:00
  自分のなかにある思い込みや願望を正当化するため、目も耳もふさいで事実を見ようともしない。憎悪にまみれた妄想がまるで現実であるかのように結論ありきでまくし立てる(前の記事参照)「生活保護キラー」の片山さつき氏はそういう人物の代表格に一人にあげられると思います。

  片山氏と安田浩一氏の生活保護に関する対談をまとめたtogetterがあります。(「生活保護 激論120分 蔓延する「不正受給」は本当か」週刊朝日 2012年07月20日号 122-125頁の内容の一部ツイートです)
そこからいくつかピックアップしてみましょう  http://togetter.com/li/511918#

「本当に困窮して三食食べられない人がどれくらいいると思う?ホームレスが糖尿病になる国ですよ」「ホームレスの血糖値を測ったら高かったと言うのは有名な話」安価な炭水化物を摂っているから血糖値が高いhttp://t.co/WkVfttcAAA

片山:大阪西成で65人の居住者のうち64人が受給者だというマンションを見てきましたが、一部屋が4畳半か6畳一間とか。私が82年に大蔵省に入省したときの寮なんてそれより狭かった
安田:そのことを生保の受給者と同列に語るのはおかしいですよ
片山:でも私は自力で大蔵省に入りましたよ

片山さつき、安田浩一の生活保護に関する対談より
片山「怠けている人が生保を受けて年収4百万の人より良い暮らしをしているんですよ」
安田「年収4百万どこから来た数字ですか?」
片山「税金も払わないでしょ」
ずっとこの調子話がかみ合わない

片山さつき「日本の生活保護受給者は旅行にも行くしお酒も飲んでいるでしょう。生活保護を受ける人は自立してないんだからある程度の不自由は(あるべき)」「私は自力で大蔵省に入りましたよ。問題は自力で頑張った人と頑張らなかった人に差がつかなかったら、誰も頑張らない」安田浩一との対談で

片山さつき:(話を聞いた医者が)受診する生活保護受給者の身なりや生活ぶりは決して困窮していないと言ってますよ
安田浩一:誰もが分かりやすく困窮状態であることを示さない限り受給できないというのでしょうか
片山:じゃ、見に行けば?
安田:見に行ってますよ。取材してますから

片山さつき 生活保護受給者は「税金医療費もNHK受信料もタダ。その他色んな公的料金がタダと考えると実質年収4百万円で色んな税金を払うよりいい暮らし。日本の生活保護のように何の義務もないのって仏で言えばチャリティー(慈善活動)。教会に駆け込めばパンとスープが食べられるという。」

片山さつき:逆に聞くけど生活保護を受けられなくて、困っていてよろよろ倒れそうな人がいっぱいだという調査結果はあるんですか
安田浩一:実際受給できずに餓死した人もいるじゃないですか。研究者もいろんな調査をやってますよ…略 
片山:あなた、派遣村に行きました?  安田:取材しました

安田浩一:生活保護受給者の大半が高齢者。傷病障害世帯の33%と母子世帯の7・7%を合わせ全体の8割
片山さつき:高齢者でも年金少ないし息子とも離れて住んでるからと生活保護をもらって毎日ゲートボールをしてる人はいる
安田:だから、それはどんな手法で調査をして出てきた結果なんですか。

片山さつき:外国人に支払われる生活保護費1200億円の内3分の2は朝鮮半島出身者向け。韓国なんて1人当たりの名目GDPが2万ドルを超えているんだから自国で面倒をみていただきたい
安田浩一:歴史的背景から在日コリアンの人数が多いのは当然、納税者としての側面も見ないとフェアじゃない

安田浩一:生保バッシングと在特会の思考様式は共通している。保守としての矜持をお持ちであれば、生保の議論を在日批判、レイシズム(排外主義)に回収するのはやめてほしい
片山さつき:私はレイシストではありませんし、国籍や参政権で区別することは、保守のオーソドックスな考え方ですから。

片山さつきの「韓国なんて1人当たりの名目GDPが2万ドルを超えているんだから自国で面倒をみていただきたい」が叶ったとして、在日コリアンの納税先はどこ?韓国に?まさか日本に納税だけして、社会保障は韓国で受けろと?大蔵省出身の政治家らしく具体的な政策を持って発言してほしい


  片山氏は生活保護受給者というものはおよそ怠惰な性格の持ち主であり、保護費で図々しくも左うちわの贅沢三昧をしている、そして不正受給が氾濫している、という都市伝説をまるで見てきたかの如くまくし立てます。こういう人はいくら生活保護の実態を突きつけてもそれを頑としてシャットアウト、なかったことにしてしまえるのが特徴です。働けるのに働かない怠け者ばかり、贅沢三昧な生活、というのは実態調査に基づいてはなく片山氏の想像に基づいているとしか言えません。貧困者は高カロリー低栄養の安価な食品しか口にできないため、アメリカでは低所得者層ほど肥満や糖尿病が多いというのは有名だというのに、不正受給件数が全体に占める率は1.8%、不正受給額は0.3%ほどしかないというのに、全てスルー。
  そして、何故か自分が大蔵省へ入ったときの話と生活保護を並べて話すという意味不明な比較をしたり、在日コリアンへの排外主義に誘導したりするのも怠りません。いかにも“片山さつきらしいお仕事”をきっちりこなしていますね。残念なことに片山氏のようにネームバリューがある政治家が行うこのような誹謗中傷・デマは、まことしやかに世間に浸透してしまいます。このようなデマを広めて憎悪を掻き立てるような人物は政治家になってはいけません。  



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151017 一年前:4 012 大岡昇平「野火」(新潮文庫;1951)感想 特5

2015年10月17日 21時31分08秒 | 一年前
10月17日(土):
4 012 大岡昇平「野火」(新潮文庫;1951)感想 特5
10月17日(木):189ページ  所要時間 3:30    ブックオフ50円著者42歳(1909~1988;79歳)大変な地雷を踏んでしまった。既に日付をまたいでしま...
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151017 一年前:141017日刊ゲンダイの主張に全く同感!産経の「言論の自由侵害」抗議はお門違いの笑止

2015年10月17日 21時30分54秒 | 一年前
10月17日(土):
141017 日刊ゲンダイの主張に全く同感! 産経の「言論の自由侵害」抗議はお門違いの笑止千万だ!
10月17日(金):本当に知りたい必要な記事は、マスメディアで得にくくなっている。新聞は、消費税の軽減税率適用を意識しているのか、当然、報道されるべき政府批判や原発事故関連情報...
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151017 一年前:4 011 高橋源一郎「一億三千万人のための小説教室」(岩波新書;2002) 感想4

2015年10月17日 21時30分39秒 | 一年前
10月17日(土):
4 011 高橋源一郎「一億三千万人のための小説教室」(岩波新書;2002) 感想4

10月15日(水):215ページ  所要時間 2:20  ブックオフ108円著者51歳(1951生まれ)。横浜国立大学除籍。作家。一度読みでは、しっくりこない。読み返せ...

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151014 東京新聞【社説】辺野古取り消し 県内移設は白紙に戻せ

2015年10月15日 00時26分51秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
10月14日(水):

東京新聞【社説】辺野古取り消し 県内移設は白紙に戻せ  2015年10月14日
  沖縄県の翁長雄志知事が辺野古沿岸部の埋め立て許可を取り消した。これ以上の米軍基地押し付けは認めない決意の表れである。政府は重く受け止め、普天間飛行場の県内移設は白紙に戻すべきだ。
  政府側に提出された通知書では「地理的に優位」とされている県内移設について、時間、距離などの根拠が示されておらず、県外移設でも抑止力は大きく低下しないと指摘。環境保全措置が適切、十分に講じられていないことも、仲井真弘多前知事による埋め立て承認に法的瑕疵(かし)(誤り)があった理由に挙げている。
  翁長知事の判断は妥当である。
  住宅地などが迫り、危険な米軍普天間飛行場(宜野湾市)返還は急務ではあるが、沖縄には在日米軍専用施設の約74%が集中する。
  米海兵隊の基地を置き続ける必要があるのなら、政府はその理由を説明しなければならないが、これまで県民が納得できるだけの明確な説明は聞いたことがない。
  そもそも沖縄の米軍基地は、戦後の米軍政下で住民の土地を「銃剣とブルドーザー」で強制的に収用したものであり、駐留する海兵隊は、反対運動の激化に伴って日本本土から移駐してきたものだ。
  こうした歴史的経緯を顧みず、駐留継続の合理的な理由も説明せず、米軍基地を引き続き押し付けるのであれば、沖縄県民に過重な米軍基地負担と犠牲を強いる「沖縄差別」でしかない。
  沖縄県民は、国政や地方自治体の選挙を通じて県内移設に反対する民意を示し続けてきたが、安倍政権は無視してきた。
  選挙で支持されたからと強弁して安全保障法制の成立を強行する一方で、沖縄の民意を無視するのは二重基準ではないのか。
  政府は八月から一カ月間、米軍基地問題について県側と集中的に協議し、その間、海底掘削調査を一時中断していたが、これも安保法制成立のために国民の反発を避ける手段にすぎなかったのか。
  埋め立て承認に法的瑕疵はないとする政府は、行政不服審査法に基づく不服審査請求を行うなど着工に向けた作業を継続する構えだが、そもそも政府が不服を申し立てられる立場にあるのか。法の趣旨を逸脱してはいないか。
  安倍政権が今なすべきは、選挙で示された沖縄県民の民意を謙虚に受け止め、普天間飛行場の県内移設を白紙に戻し、県外・国外移設を米側に提起することである。県側に法的に対抗することでは、決してないはずだ。

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151013 琉球新報:【号外】辺野古承認取り消し 知事、新基地建設を阻止&知事一問一答(全文)

2015年10月13日 23時04分37秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
10月13日(火):  

沖縄県を断然支持する!

琉球新報【号外】辺野古承認取り消し 知事、新基地建設を阻止 2015年10月13日 12:44

  米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設計画をめぐり、翁長雄志知事は13日午前10時、県庁で記者会見し、前知事による埋め立て承認を取り消したと発表した。辺野古新基地建設に対して県が法的権限を行使した阻止行動に踏み切るのは初めて。埋め立て承認の取り消しで、政府の新基地建設作業は法的根拠を失う異例の事態となった。このため沖縄防衛局は同日には法的な対抗措置の手続きに着手し、取り消しの無効化を求める不服審査請求と、その裁決まで取り消しの効果を止める執行停止を14日午前までには国土交通相に請求する。

琉球新報知事一問一答(全文)2015年10月13日 19:22

 翁長雄志知事は13日午前、仲井真弘多前知事が出した名護市辺野古沖の埋め立て承認を取り消した。翁長知事は同日午前10時に会見を開き「承認取り消しが相当であると判断し、沖縄防衛局長に対し、公有水面埋立承認取消通知書を発出した」と発表した。翁長知事の会見と記者団との一問一答全文は次の通り。

―埋め立て承認を正式に取り消した。率直な感想と受け止めを聞かせてほしい。
  「知事就任から約10カ月、この問題は多くの県民や国民に見ていただきながら今日まで来たような感じがしている。前半はなかなか交渉すらできなかったが、4月ごろから閣僚と意見交換できるようになって、なおかつ1カ月間、集中協議でいろんな閣僚と議論することもあった。なかなか意見が一致せず、集中協議が終わったら工事再開するということだったので、取り消しの手続きを開始して本日、承認に対する取り消しを行ったところだ」
  「思い返しても、なかなか沖縄の考え方、思い、そして今日までのいろんなことをご理解いただけるようなものがなかったような感じがしている。これからこういった裁判を意識したことが始まっていく。いろんな場面で私たちの考え方を申し上げて、多くの県民や国民、そして法的な意味でも政治的な意味でもご理解いただけるようなそういう努力をきょうからあらためて出発していこうという気持ちだ」

―承認の取り消しに至った理由について知事から説明してほしい。
  「4年前(の知事選で)、県外移設を公約して当選した知事が埋め立てを承認してしまった。私自身からすると、そのこと自体が容認できなかったわけだが、法律的な瑕疵(かし)があるのではないかと。それは客観的、中立的に判断していただいて、そういった方々がどのように判断していただけるかということで、環境面から3人、法律的な側面から3人の(計)6人の委員にことし1月26日、お願いした。そして、7月16日に法律的な瑕疵があったと報告された。大変詳しく説明があった。私どももそれを検証した結果、法律的な瑕疵があると、県としても判断した。そういったことをベースにしながら、このような形で取り消しに至った」

―政府は即座に対抗措置を取るとみられる。県としてどう対応するか。
  「法的な対応措置はいくつか考えられる。それを一つ一つ想定して説明するのは今この場所ではふさわしくないと思う。法律的な意味でも政治的な意味でも、県民国民がご理解いただけるようなことをしっかりと沖縄側の主張をしていきたい」

―沖縄防衛局は意見聴取には応じず、聴聞では陳述書を出したが、出席しなかった。あらためて今回の対応をどう思うか。
  「集中協議のころから、溝が埋まるようなものが全くない状況だった。その1カ月間の集中協議の中でも、私どものいろんな思いを話させていただいたが、一つ議論がちょっとかみ合ったのは、防衛大臣との抑止力の問題だけで、それ以外は、閣僚側から意見というか反論はなかった」
  「沖縄県民に寄り添い、県民の心を大切にしながらこの問題を解決する姿勢や気持ちがあの集中協議の中でもなかったわけだが、今回、取り消しの中で意見聴取あるいは聴聞の期日を設けてやったが、応じていただけなかった。陳述書は出してもらったが、聴聞には応じてもらえなかったことを考えると、防衛局の姿勢というより、やはり内閣の姿勢として、沖縄県民に寄り添ってこの問題を解決していきたいとの姿勢が大変薄いのではないかと感じるので、私どももあらためて協議の中から意見を申し上げたいとも思うし、あるいは広く県民、国民、あるいは米国や国際社会に訴える中でこの問題が解決していければいいと思う」

―取り消しの歴史的意義をどう考えるか。私人と同じ立場として審査請求しようとする政府の動きをどう捉えるか。
  「今回、承認取り消しに至るわけだが、これは沖縄県の歴史的な流れあるいは戦後70年の在り方、そして現在の沖縄の過重な基地負担、0・6%に74%という過重な基地負担、こういったことなどがまずしっかりと多くの県民や国民の前で議論されることに意義があると思う」
  「もう一つは日本国民全体からしても地方自治体が国に追い詰められると。私たちからすれば、日米両政府は大変大きな権力を持っているし、法律的な意味合いから言っても、大変大きな権力を相手にしているという感じがしている」
  「基地問題は沖縄が中心的な課題を背負っているわけだが、これから日本という国全体として一県またはある地域に、こういったことが起きた時の日本の将来の在り方について多くの国民に見てもらえるのではないかと思っている。一義的に沖縄の基地問題あるいは歴史等々を含めたことだが、日本の民主主義というものに対して、国民全体が考えているとなればいいのかなと思っている」
  「法律的な面は、私がここで答えると間違ってもいけないが、ただ、今日までよく言われていることに対する質問なのでお答えしたいと思う。私人として、国が訴えるというのは、私たちからすれば、条文上、それはできないだろうと思っている。それから、国が同じ国の中で、そういったものに判断を下すというものも、国と地方自治としても、いろんな意味合いからしても、多くの方が疑問に思うのだろうと思う」

―日米安保とその負担の在り方について、本土の多くの国民に何を分かってほしいか。
  「この1年といってもいいし、この数十年といってもいいが、0・6%の面積に74%という過重な負担を沖縄は負わされてきた。なおかつ、戦後の二十数年、日本国から切り離されて、日本人でもなくアメリカ人でもなく、法的に守られるものもなにもないまま過ごした時期もあった。そういった中で、沖縄は何を果たしてきたかというと。私が自負もあるし、無念さもあるというのは、日本の戦後の平和、あるいは高度経済成長、そういったこと等を、安全保障とともに、沖縄が保障をしてきたというような部分が大変多大だと思っている。その中で、沖縄県民の人権や自由や平等、民主主義が認められるようなところがなかったということがある」
  「これはひとえに、沖縄一県に抑止力を含め、基地の問題は閉じ込められて、本土の方々に理解してもらえなかったことがあるかと思うので、私は昨年の選挙では『日本国民全体で日本の安全保障は考えてもらいたい』ということを強く訴えた。そして一県だけに、安全保障を押し付けるということそのものが日本の安全保障にとっては大変に心もとない。やっぱり日本全体で安全保障を考えるという気概がなければ、日本という国が、おそらく他の国からも理解されないだろう、尊敬されないだろうという話もしてきた。大変国民の理解も得にくいところだったが、この1年間、多くの方がいろんな角度から、この問題を県民や国民に提示していただいたところ、世論調査のほとんどで『まずは辺野古には基地を造ってはいけない』と本土の方々の理解が進んできた。パーセンテージはまちまちだが、ほぼ10%近く、そういう方々が増えたのはこの1年間で私どもが主張してきたことが、理解いただけるような入り口に入ってきたなということで、大変心強い感じがしている」
  「きょうの記者会見もそうだが、これからもいろんな場所でお知らせして、沖縄問題もさることながら、地方自治の在り方、そして日本の国の民主主義あるいは最近、中央集権みたいな格好になってきたのでこういったことの危険性、日常から非日常に紙一重で変わる一瞬のものを、変わらないところで止めきれるかどうか。過去の歴史からいうと、変わってしまってからでは大変厳しいことになろうかと思うので、そういったことも含めてみんなで議論していけるような、沖縄の基地問題がそういったものに提示できればありがたいなと思っている」

―日本国全体で普天間をどうしてほしいと思っているか。
  「普天間飛行場の原点は、戦後、県民が収容所に入れられている間に、強制接収されたものだ。それ以外の基地も全て強制接収されたわけで、沖縄県民自ら差し出した基地は一つもありませんよという話を官房長官にさせていただいた。だから、一義的には普天間の危険性を除去するときに、辺野古に移すということは、自分で土地を奪っておきながら、また代わりのものも沖縄に差し出せという理不尽な話が通るかというのが、一つ大きなものがある。それからもう一つは、辺野古という大浦湾というこの美しいサンゴ礁の海、ジュゴン、ウミガメがいるようなところを、こうも簡単に埋めてよいのかということも含めて国民の皆さんにご理解いただきたいと思っている」

―島尻安伊子沖縄担当相は最初の会見で「辺野古移設をなんとしても進めなければならない」と言った。知事はどうコメントするか。
  「沖縄問題は大変言葉遣いに気を遣うところであり、一昨年の前知事の承認についても話をするのは大変はばかられるものがある。島尻安伊子参議院議員が今回、沖縄担当大臣になったのも、やっぱり県民にとってもいろんな思いがあろうかと思う。そして、沖縄県はこの基地問題も含めて、できるだけ多くの方々を包含して。よく私たちは日本政府と対立をしていると言われるが、意見を言うことそのものが対立と見られるところに、日本の民主主義の貧弱さがあると思う。ほかの都道府県で国に物申したときには対立とか、独立とか言われないのに、沖縄の場合にはそれも言われる」
  「私が去年の選挙で『オール沖縄』あるいは『イデオロギーよりもアイデンティティー』と、より多くの人が100%自分の考え方を主張すると言うよりも一定の水準というかあるいは一つの目的というか、そういうもので心を一つにしてやっていこうというようなものが今日の翁長県政のベースになっている。そういうことからしても、政府のやることに対して、私もいろんな思いはある。思いはあるが、就任された中から、またあらためて、沖縄の将来を目指して、一つ一つ頑張っていくというようなことで、また多くの県民国民に理解を得ていきたいなと思っている」

―法廷闘争は結論が出るまでに長い時間がかかり、工事が進んでしまえば施設自体の既成事実化が進む。法廷闘争の限界についてどう考えるか。
  「法廷闘争についても、政府を相手にするわけで、そう簡単じゃないということだけはよく分かる。そして工事を再開して、埋め立てをどういう状況で進めるかは分からないが、いずれにせよそういうことがあったとしても、新辺野古基地は造れないだろうと私は思っている。今回、国連でも訴えさせてもらった。本当に今、世界のメディアも注目してもらえるような状況になっている。国内で先ほど申し上げたように10ポイント程度、基地を造っちゃいかんという風な考え方に変わってきたところがある。これから、あそこの現場は、本当に戦争を体験した方か、それに近い世代があんな遠い所に、不自由な所に毎日、1年以上も通っている。そういった所で、理不尽な工事をすることの難しさは大変だと思う」
  「それから沖縄県と名護市も決意をもってこのことに当たっている。そういったことをもろもろ考えたら、(辺野古新基地は)10年間でできると言っているが、本当はできるまでの10年間、普天間をそのままにしておくこと自体がもう固定化だ。これはとんでもない話だ。あそこに順調に造った場合には普天間の危険性は除去していくというような話があるが、そうではなくて、普通に言っても10年間は固定化するという話。これを防ぐという意味では、5年間の運用停止を前知事に約束して、そして5年間では空を飛ぶものがないようなものの状態にするということが、いわゆる普天間の危険性の除去ということだと思うが、それすらもアメリカ政府から反対されて、なおかつ今一歩も動かないということからすると、多くの国民と県民の皆さん方にご理解いただきたいのは、10年間そのままにするというのは固定化ではないのかどうか。これもよく考えてほしい。万が一、15年に延びていったら15年間固定化だ。そして、それ(辺野古新基地)がもしできるようなことがあったら、200年間、沖縄のそこに国有地として、私たちの手の及ばないところで、縦横無尽にこの161ヘクタールを中心としたキャンプ・シュワブの基地が永久的に沖縄に国の権限として出てくるようなところがある。普天間の固定化を避けるということでも重要な意味があるが、今度はもう一つ、向こう200年にわたって、沖縄県民の意思とは関係なくそこに大きな基地ができあがり、それが自由自在に使われるようになる。中国の脅威が取り沙汰されているが、200年間、そういった脅威は取り除かれないというような認識で、そういうことをやっているのかどうか」
  「そして、今日までの70年間の基地の置かれ方について どのように反省しているのか。それから日本国民全体で考えることができなかったことについて、どのように考えているのか。中谷防衛大臣と話したときに、こういうことでおわびの言葉もありました。『今はまだ整っていないから、沖縄が受けるしかないんですよ』と。『よろしくお願いします』という話をされていたが、私はこう申し上げた。他にもたくさんの人が聞いている所で申し上げましたので、『おそらく20~30年後の防衛大臣も同じ話をしていると思う』と。私はそのように話をさせていただいた。こういったこと等を踏まえると、沖縄というものの置かれているものがよくご理解いただけるのではないかなと思っている」

―知事が移設阻止の手段を講じるたびに、東京では「移設は進まなくなる。責任は翁長知事にある」と吹聴される。責任の所在についてどう考えるか。
  「私はまさしくそれが日本の政治の堕落だと言っている。私に外交権があるわけじゃあるまいし。沖縄県知事は当選したら教育や福祉や環境は捨ておいて、年中、上京して、他の市町村や知事に『頼むから受けてちょうだいよ』と。『沖縄こんなに大変なんだよ』と言って歩くのが沖縄県知事の責務になるのかどうか。こういったことを踏まえて考えると、日本政府の方からこういう話をされるというのはまさしく日本の政治の堕落である上に、自分の意思で日本の政治を動かしているのかどうかということさえ、日本政府は試されている」
  「日米地位協定も日米安保も含めて、こういった基地の提供というものについて、日本政府が、本当に自主的に物事を判断しながらアジアのリーダーになろうとしているのか、世界のリーダーになろうとしているのか。あるいは日米安保が自由と平等と人権と民主主義を共通して持っている国々が連帯するようなものをつくり上げようとしているわけだから、そういったことについて自国の県民にさえできないような政府が、私はこの日米安保、もっと品格のあるようなものにしてもらいたいという風に思っているので、それから言うと、大変残念なことだ」
  「品格のある、民主主義国家としても成熟した日本になって初めて、アジア、世界に飛び出ていける。沖縄の役割も日本とアジアの懸け橋として、アジアの中心にある沖縄の特性を生かして、そういった意味での平和の緩衝地帯というようなことも数十年後には考えながら、沖縄の未来を語りたいにもかかわらず、ただの領土として、基地の要塞(ようさい)としてしか見ないようなものの中で、アジアの展開があるのかどうか。日本の展開があるのかということは、あれだけの権力を持っていながら、沖縄が邪魔するから(基地建設が)できないんだというような、姑息(こそく)な言葉を流すというのは、私からすると、やはり日本の政治の堕落だと言わざるを得ないと思う」

―来年は宜野湾市長選や参院選、県議選など普天間問題が争点になりそうな選挙が続く。取り消しが与える影響についてどう思うか。
  「今回の取り消しというよりは、これから節目節目でいろんなことが起きると思う。事の本質が県民にも理解いただけると思うし、国民あるいは世界の方々に、ご理解いただけると思うので、一つ一つの選挙の節目節目で、そういったものが、チェックされていくのではないかと思っている」
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151012 50万PV超:一年前 141013 映画「あなたへ」(降旗康男監督、高倉健主演;2012年) 感想5

2015年10月13日 22時31分13秒 | 閲覧数 記録
10月12日(月): 記録ですm(_ _)m。ブログの開設から1465日。

アクセス:閲覧 900PV/訪問者 186IP

トータル:閲覧 500,869PV/訪問者 154,323IP

ランキング:4,386位 / 2,295,029ブログ中 週別 5,328 位
141013 映画「あなたへ」(降旗康男監督、高倉健主演;2012年) 感想5   ※健さんの映画は特別!
10月13日(月)休日: 久しぶりに、録画してあった高倉健の映画を観た。若い時から健さんの映画には、強い憧れと尊敬を持っていた。俺にとって、健さんは特別に神聖な存在だった。健さ...

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5 020 伊勢崎賢治「日本人は人を殺しに行くのか 戦場からの集団的自衛権入門」(朝日新書:2014)感想5

2015年10月13日 02時48分52秒 | 一日一冊読書開始
10月12日(月):    

254ページ   所要時間 3:30    図書館

著者57歳(1957生まれ)。早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。東京外国語大学大学院「平和構築・紛争予防講座」担当教授。国際NGOでスラムの住民運動を組織した後、アフリカで開発援助に携わる。国連PKO上級幹部として東ティモール、シエラレオネの、日本政府特別代表としてアフガニスタンの武装解除を指揮

明日に備えて寝ないといけないので簡略に。大人の本なので少し読みにくかった。終盤日本の現状、日本国憲法の可能性を語るところは明快で「やっぱり護憲でいいんだよな」と思えて良かった。

自称「紛争屋」による観念的ではない超「現実的」な護憲・憲法九条活用論。美しい国と称するバカの姑息さを超具体的にとことん教えてくれる本である。ネット右翼のごみクズ諸君、今後は本書を読んでから寝言を言いなさい。言える者なら。

集団的安全保障と集団的自衛権は全く違うもの。国連の発動する集団的安全保障には時間がかかり、拒否権などの障害があるので、それまでの間にとりあえず行使されるのが、個別的自衛権と集団的自衛権である。

領土問題、北朝鮮拉致被害者問題についても、取るべき手段と見解をしっかり解説している。

安倍自民の集団的自衛権の論拠の事例は、ことごとく個別的自衛権や国連問題などで解決するものであり、まったく間違っている。

戦争・紛争及び戦場の厳しさが肌身に感じるように語られるが、そこで必要なのは平時の正論・正義ではない。目の前の非道な大量殺人を止めるための常識外れに現実的な取引であり、ありえない免罪であり、国連による住民を「保護する責任」による内政干渉である。

自衛隊海外派兵の最大の問題点は、「軍法」を持たないことである。計り知れないほどの欠陥を抱えたままで、今も自衛隊は海外活動をしている。特に、南スーダンは、第二のルワンダになると言われている。そんなところで戦闘を避けるための撤退などありえない状況で「軍法」のない自衛隊が活動するのは、あってはいけないことである。

著者は、アフガニスタンで北部同盟の軍閥たちを武装解除したとき憲法九条を盾にして成功した経験をもとに、「日本にとって憲法9条はイージスの盾(ギリシャ神話)であり、グンニグル(北欧神話の主神オーディーンが持つ槍)である」と言い、「9条を変える決定を下すその前に、日本がテロリストと対峙し、交渉していく際の「グンニグル」として、9条を使っていくというのはいかがでしょうか?247ページ」と語る。

【目次】 第1章 集団的自衛権とは、そもそも何か/第2章 集団的自衛権をめぐるアメリカと日本/第3章 なぜ安倍政権は集団的自衛権を欲するのか/第4章 「集団的自衛権」の正しい使い方/第5章 日本の領土問題は集団的自衛権で解決できるか/第6章 自衛隊は人を殺しに行くのか

【内容情報】あなたの払った「税金」で、自衛隊が人を殺すことを許容できますか?「憲法9条」も「日米同盟」も絶対ではない。国際紛争地に身を置き続ける“紛争処理のプロ”による集団的自衛権の「本質」がわかる決定的入門書!
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151011 ぜひ見て下さい!You tubeで「20151008 UPLAN AJPCオールジャパン:平和と共生決起大会」m(_ _)m

2015年10月12日 02時24分39秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
10月11日(日):

 偶然、ネットの記事で見つけた動画を観て「これは広めるべきだ」と思いました。You Tube「20151008 UPLAN AJPCオールジャパン:平和と共生決起大会」(2:16:25)をぜひぜひ見て下さいませ m(_ _)m。
 それにしてもどうしてこの集会が新聞・TVでまったく報道されていないのだろう。この国のマスコミは責任を果たしていない。この国の民主主義は死にかけている。この国は地獄への坂道を転がり続けている。ブレーキがない。

田中龍作ジャーナルオールジャパン発足 「イデオロギーや政策は神棚に置け」 2015年10月9日 02:01

鳩山元首相(手前)と植草元教授。二人ともアメリカに潰された。=8日、憲政記念館 写真:筆者= 
 小池・共産党副委員長(左)と二見・元公明党副委員長。かつての仏敵と政敵が手を組んだ。=8日、憲政記念館 写真:筆者=
 超満員。立ち見だけでなく通路に座り込む人も大勢いた。=8日、憲政記念館 写真:筆者=
 アメリカに食い尽くされてはならない。「打倒アベ政権」「反TPP」「反戦」「反原発」「格差縮小」で結束しよう―
 党派や組織を超えたリベラル勢力で作る「オールジャパン平和と共生」が8日、憲政記念館で総決起集会を開いた。
 憲政記念館の大ホールは通路まで人で埋まった。定員は500席だから、参加者は700人はいたはずだ。
 組織動員ではない。安倍政権を打倒したいと願う人々が、幅広くいるということだ。
 呼びかけ人は植草一秀・元早稲田大学大学院教授。TPPの先駆けだった郵政民営化に反対する論陣を張ったため、権力に陥れられた経済学者だ。
 賛同人の一人である鳩山由紀夫元首相がゲストスピーカーとして登壇した。
 「(安倍政権の)背後にアメリカがいる。アメリカの意を汲んだ政策を作る官僚に任せるのではなく・・・主権者が ど真ん中 にいる政治を起こそうじゃありませんか」。
 アメリカに首相の座を追われただけに鳩山氏の言葉には怨念が込められていた。
 アメリカに食い尽くされないようにするためには、まず自公政権を倒すしかない。それには野党が一つにまとまらなければならないのだが、野党第一党である民主党の腰は重い。
 憲法学者の小林節・慶大名誉教授は8日、民主党の代表に昼食に招かれたことを明かしたうえで、次のように説いた―
 「いくつかの政党の偉い方が したり顔 で基本政策の違う共産党とは一緒にやれないとヌカしている。万年野党にいるバカが政策政策と言ってどうするんだ?」
 二見伸明・元公明党副委員長は現状を一喝した。それは全野党議員に向けられていた。
 「本当に日本という国のことを考えているのなら、本当に安倍を打倒したいのなら、自分のイデオロギーや政策は神棚に置け」と。
 決起集会に共産党からは小池晃副委員長が出席したが、民主党からはヒラ議員が二人だけだった
 司会者は決して共産党支持ではないが、「(国民連合政府を作ろうという)志位さんの提案を重く受け止める」「まともに応えようとしない民主党は落選議員となる(=落選運動の対象となる)と強調した。
 もう後がないことを民主党の岡田代表はどこまで自覚しているのだろうか。   ~終わり~


オールジャパン平和と共生】=AJPaC 総決起集会「集会宣言」
10月8日に大成功裏に開催された
【オールジャパン平和と共生】=AJPaC総決起集会において、満場一致の拍手で集会宣言が採択されました。
以下に「集会宣言」を掲載させていただきます。
集会宣言
  日本は今安倍政権の下で、これまでの歴史・伝統・文化に根付いた国と社会のあり方を壊し、国民生活を塗炭の苦しみに沈めるという、極めて危険な政治が進行しています。
  本年9月19日の安保法案の強行採決は、一内閣による集団的自衛権容認という閣議決定を盾に、国会審議の中での論理破綻を数の力で押し切り、実質的な憲法改正を実現するという暴挙であり、安倍政治の本質の表れです。
  立憲主義に反し議会制民主主義を一顧だにしない政治手法は、一種のクーデターによる憲法体制の破壊と言っても過言ではありません。
  日本国民は安倍政権に対して心底から怒っています。8月30日の12万人による国会包囲をはじめ、これまでにない多くの人々が街頭に出て、安倍政権の打倒を求めて立ち上がっています。
  とりわけ若者や女性が行動の先頭に立ち、これに励まされる形で各世代の人々が声を挙げています。
  しかし、これらの声を議会に反映させ国政を揺り動かすには至っていません。
  僅か25%にも満たない支持によって発足した政権であるにも拘わらず、安倍政権は議会内の数の力で国民の声を押しつぶし、戦後一貫して平和主義を掲げてきた日本を戦争国家に転換させようとしているのです。
  本日の集会で私たちは、多数の方々から指摘があった以下の諸点を共通に確認しました。
  第一は憲法についてです。憲法破壊の安保法案は地球の裏側まで戦争しに出かけて行く戦争国家に日本を変えるものであり、憲法9条改正と日本の核武装化に進む第一歩であって、絶対に早期の廃止を実現しなければなりません。
  第二は原発についてです。原発は日本の国と社会の利権構造の象徴であり、東日本大震災の被害を受け、また唯一の被爆国である日本こそ、率先して原発廃止を世界に呼びかけるべきであり、原発稼働は絶対に許してはなりません。
  第三はTPPについてです。TPPはアメリカ主導のグローバル資本の利害の下に、日本の国と社会のシステムの変容を強要するものです。
  10月5日に大筋合意されたと喧伝されていますが、今後の協定署名や国会承認を絶対に阻止しなければなりません。
  この三点以外にも辺野古基地建設と格差拡大を許さない等様々な課題があり、私たちは、戦争と弱肉強食を許さず「平和と共生」を実現する社会運動と政治運動のうねりを作り出して行くことを決意しました。
  改憲と原発とTPPに反対する国民の多数意思が政治に反映出来るよう、政策基軸、超党派、主権者主導の原則に基づく主権者の連帯運動の輪を大きく拡散して、来るべき衆参国政選挙に何としても勝利し、主権者のための政治を実現することを決意します。
  私たちは、本日の集会を受け、「オールジャパン 平和と共生」の連帯運動を全面的に推進し、一日も早く安倍政権を打倒して日本政治を国民の手に取り戻すことを決意します。
  以上のとおり確認します。
  2015年10月8日
 「オールジャパン 平和と共生」総決起集会   参加者及び賛同者一同
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5 019  伊勢崎賢治「さよなら紛争 武装解除人が見た世界の現実 」(河出書房新社:2009)感想5

2015年10月11日 03時19分35秒 | 一日一冊読書開始
10月10日(土):    14歳の世渡り術シリーズ

198ページ  所要時間 2:30   図書館

著者52歳(1957生まれ)。

当初、図書館で借りた著者の『本当の戦争の話をしよう: 世界の「対立」を仕切る』(422ページ/朝日出版社:2015年)を読み始めたが、ページ毎の字数が多く、時間ばかりかかってページが進まず、112ページで挫折(2:35)した。その後、本書を読み始めた。本書の方が、内容がざっくりとまとめられていてずいぶん読みやすかった。

著者以外から得られない現在の戦争、戦場の実態を踏まえた机上でない現実的対応の議論が記されている。それは卓説などというものではなく、もっと切実で「そうするしかない」という現実が示されている。人間の最も醜い姿がさらされる殺し合いの戦争・紛争を終わらせるためには、正義も引っ込めて、きれいごとでない、全く納得できない解決策を選ばざるを得ないことがある。「やっぱり、そうか。そんなにひどいのか」と何度となくうならされた。

紛争解決請負人、武装解除人の立場から、戦争や紛争のどうしようもなさ、それらを扱う国連の不完全さ、仕方のなさを指摘する。一方で、著者は日本製品やODA等によって築かれた日本ブランドは世界の隅々に及んでいること、日本にしかできないことたくさんがあることを指摘しながら、まだ努力が足りないという。戦後日本が築き上げてきた平和国家の立場をもっと強く打ち出し宣伝すべきである。国内の議論だけでなく、もっと国際社会に目を広げて憲法9条の持つ意義を考えるべきである。9条をもっと活用すべきなのに、1%も生かせていない。

結局、戦争終結のプロの目から見ても、憲法9条をもっと活用して、日本独自の外交力を伸ばすのが賢いやり方であるとの結論なのだ。

自衛隊は、憲法9条内の個別的自衛権で存在を維持すればよい。世界はきれいごとで収まり切れないのだから、やはり一定の実力組織としての自衛隊は必要だ。しかし、現状の集団的自衛権にまで活動を広げれば、日本で間違いなくテロが起こる。

安倍晋三が、著者の論を都合のいいところだけねじ曲げて、つまみ食いしているのが判った。

【目次】はじめに
序章 「紛争屋」への道  :最初の夢は建築家だった /大学院への進学を決めた矢先に… /インドで住民組織のリーダーになる /帰国、そして国際協力NGOへの就職
第1章 シエラレオネの内戦 :世界最貧国の悲惨な内情 /破綻国家に家族とともに移り住む /シエラレオネの紛争ダイヤモンド /クーデター後の情けない結末 /反政府勢力の拡大 /泥沼化する革命
第2章 利用される少年兵  :銃を手にした子どもたち /夢も希望もない国で /RUFの魔の手が迫る /市民が自警団を結成 /後ろ髪を引かれつつ、次のミッションへ /PKOの現場で指揮をとる /アフリカ人の命の重さは「軽い」 /停戦の鍵、ロメ和平合意 /正義の基準が変わった瞬間 /テロリストとの妥協
第3章 武装解除の指揮をとる :武器を壊す儀式 /9年ぶりのシエラレオネで /DDRのプロセス /彼らが武器を放さない理由 /仲裁に入るタイミング /口説く相手を選び抜く /身の安全を保障する /大いなる矛盾のなかで /シングルスタンダードのない世界で
第4章 国連の「保護する責任」  :国連は万能ではない /ルワンダの民族対立 /憎悪の爆発 /中立ゆえに無力な国連平和維持軍 /見過ごされた大虐殺 /平和を守るために必要な「武力」がある /「保護する責任」という考え方 /保護する基準は死者の数? /不平等な現実
第5章 矛盾する人道主義  :テロリストへの先制攻撃 /アフガニスタン戦争の引き金 /世界の冷戦構造のなかで /ジハードの旗手、ビン・ラディン /反米に転ずる /悪循環するテロ戦争 /矛盾だらけの人道主義 /人心掌握のための復興作業 /戦争は巨大産業 /戦争をやめる最後の手段
第6章 平和を獲得する新しいメソッド  :平和をつくり出すためのアイデア /「広告力」で紛争を止める /「平和」で儲かる仕組みをつくる /ODAで世界平和に貢献してきた日本 /日本のブランド力を効果的に使う /日本の中立性を最大限に活かす /改憲の危険性 /日本が新たなテロの標的に? /9条を広告せよ /「平和」は願うだけではなく、獲得するもの
おわりに

紹介文:「平和」をもっと広告しなければ、戦争は終わらない。利用される少年兵、悲惨な虐殺、国家の破綻。泥沼化した現場で紛争解決を指揮してきた著者による、新しい平和構築法。

さらに、憲法9条をアピールするという戦略をとれば、日本の平和はさらに確固たるものになっていくと考えています。/敵というイメージが軽減されればされるほど警戒心がなくなる。警戒心がなくなれば、軍備を増強したいという人がいても、世論のサポートは得られなくなります。「軍事力でも守らなくても、別の手段で守ることができる」と気づく人が増えるほど、軍事力に頼らない日本の平和が保たれるのです。181ページ

「あんなものは占領国アメリカの押しつけ憲法なんだ」と主張する政治家にとっては、憲法9条のアピールなどとんでもないということなのでしょうか。しかし国内だけで憲法の議論を延々と繰り広げてみたところで、結局どうなるのでしょう。世界にアピールもすることなく、なんとなく内輪だけで議論して、そのあげく都合のいいように改定してしまうというのは、おかしいと思いませんか?/一度ぐらい、世界平和に貢献するために9条の考え方を広めようとチャレンジしてみてもいいはずです。チャレンジした結果、それがぜんぜん通用しないのであれば、憲法を改正する。そういう考え方であれば、まだ理解できます。チャレンジさえしていないのに、なぜいま改憲なのだというのが、僕のスタンスなのです。/日本は、憲法9条が持っている潜在能力を1%も生かしていません。戦略的に広告できてないのです。戦争や紛争というものは、すべて広告・宣伝によって世論をその方向に導いていくことで現実化していきます。世論が支持するから、戦争になるのです。「そんなことなら戦争するしかないよね」という世論を形成するために使われるのが広告業界であり、それは歴史が物語っています。/であれば、それを逆手にとって、広告の持つ力を戦争回避のために使えるのではないかと思うのです。190~191ページ

「平和とは、それを維持する努力を怠るとすぐに壊れるもの。壊れ始めるときにはなかなか気づかず、気づいたときにはもう壊れるのを止められない。平和とは、不断の闘いなのだ」197ページ
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151010 NHK「私が愛する日本人へ ~ドナルド・キーン 文豪との70年~」感想5 ノーベル賞は谷崎だった!

2015年10月10日 23時00分40秒 | 映画・映像
10月10日(土):  
NHKスペシャル「私が愛する日本人へ ~ドナルド・キーン 文豪との70年~」(午後9時00分~9時58分放映)を見るともなく見ていたが、意外なほど手厚く丁寧に作られていた。文化勲章受章者。録画してるので、もう一度ゆっくり見ようと思う。

【番組ナビゲーター】渡辺謙
【ドラマ出演】川平慈英、篠井英介、斉藤由貴、南野陽子、温水洋一、パトリック・ハーラン、木下隆行、蛭子能収(順不同)ほか


1963年(昭和38年)にドナルドキーンさんは、ノーベル文学賞委員会に1位谷崎潤一郎、2位川端康成、3位三島由紀夫で推薦をしていた。谷崎潤一郎(1886年(明治19年)7月24日 - 1965年(昭和40年)7月30日)が、あと少し長く生きていれば、1968年(昭和43年)のノーベル文学賞は川端康成ではなく、谷崎潤一郎が受賞していただろうことを再確認できた。

内容紹介:「日本人と共に生き、共に死にたい――」東日本大震災の直後、日本国籍を取得したアメリカ生まれの日本文学研究者、ドナルド・キーンさん(93歳)。キーンさんは戦後70年に渡って、日本の文学の魅力を世界に伝え続けた。吉田兼好から太宰治や三島由紀夫までを次々と英語に翻訳。キーンさんの功績なしに、日本文学が世界で読まれるようにはならなかったとも言われ、その見識の高さからノーベル文学賞の審査に影響を与えたほどだ。太平洋戦争の最中、敵国・日本の情報分析係として日本語を身につけたキーンさんは、戦場で出会った様々な日本兵の姿から日本人に深い興味を抱いた。そして戦後、文学者となったキーンさんは、幾度となく滞在した日本で、数多くの文豪たちとの交流を重ねながら「日本人とは何者なのか」という壮大な問いを考え続けてきた。番組では、ドラマとドキュメンタリーを交差させながらキーンさんの波乱に満ちた歩みを描き、キーンさんが長い時間をかけてたどり着いた日本人への暖かくて厳しいメッセージを伝えてゆく。

以下に、ドナルド・キーンさんの読書記録を再掲する。

「110冊目 ドナルド・キーン「日本の面影」(NHK人間大学4月-6月;1992) 評価5」
                         2011年12月27日 07時44分34秒 | 一日一冊読書開始
12月26日(月):
130ページ  所要時間:5:35
  著者70歳、コロンビア大学教授。速読どころか、お勉強をしてしまった。著者は先日89歳で、日本に骨を埋める意志で帰化(国籍取得)して、日本人となられた、<日本文学・文学史>の生き字引の碩学ドナルド・キーン大先生。
  非常にわかりやすい説明で、頭にすらすら入ってくる。本の帯文「日本文学のさまざまな流れや作家と作品などの話を中心に、日本人の論理と感性、日本人の伝統文化と現代社会など、キーン教授が愛する「私の日本」を語る。」     
目次:
  第1回 日本と私=最初の出会いは『源氏物語』の翻訳(18歳)。中国語の勉強から日本語へ。1942年、海軍の日本語学校入学、11ヶ月集中授業後、海外で軍務。書類・日記の翻訳。沖縄戦は一番悲劇的体験。京都大学留学(2年間)。
  第2回 「徒然草」の世界―日本人の美意識=随筆は、エッセイとは違い、東洋的な文学。徒然草243段は、ある家の壁に貼ってあった。今川了俊が発見、整理。暗示性(余情)、象徴主義。不規則性、いびつへの嗜好。偶数嫌い、7・5・3が好き。簡素(白木の美)。
  第3回 能と中世文学=京都今熊野社での17歳の義満と11歳の世阿弥の出会いが決定的事件。義満の庇護。舞台装置は影向(ようごう)の松のみ。能の象徴性。シテ(中心人物)、ワキ(観衆のためにシテに質問するだけの人)、ツレ、子方;囃子方(笛、小鼓、大鼓、太鼓)、地謡(誰でもない8人)。能の台本「謡い」は多層的で素晴らしい文章(一番翻訳しにくい)。題材は『平家物語』の悲劇が多い。夢幻能(幽霊)と現在能(現実の人間)。世阿弥の時代の能は今の2倍のスピード。遅くなったのは、徳川時代の権威付けによる。;狂言=太郎冠者(頭のいい召使い)、大名(威張って失敗する人)、女性(全部悪人)、僧侶(エラクない)。面白さは、話の筋と独特の発声法。
  第4回 芭蕉と俳句=芭蕉はキーン氏にとって最高の詩人。俳句は完成した詩型として世界で最も短い。芭蕉の俳句は、発句であって明治の俳句(正岡子規が発明)とは違う。紀行文もよい。非常に翻訳しにくい。俳句は、取り替えのできない言葉を用いるのが鉄則。ユーモア。俳句第二芸術論(桑原武夫)には反対。
  第5回 西鶴の面白さ=中世の憂き世から江戸の浮き世へ。西鶴の一番は「好色物」だが義務教育ではNG。西鶴は写実主義的、近松はロマンティック。「町人物」のテーマは、金持ちになること。「武家物」は失敗。
  第6回 近松と人形浄瑠璃=平安の傀儡子たちは、西アジアの外国人。クグツは外国語。近松は世界的な劇作家、世話物(普通の庶民の悲劇)が断然面白い。『曽根崎心中』の道行き「この世の名残り夜も名残り、死ににゆく身をたとふれば、仇しが原の道の霜、一足づつに消えてゆく、夢の夢こそ哀れなれ」は名文。万国共通でオというのは悲しい音。イは高い音で、むしろ華やか。
  第7回 近代文学1―漱石と鷗外=二葉亭四迷(ロシア語翻訳家)の言文一致は大きい。漱石の「道草」は私小説だが、読むと本当に暗くなるので要注意。
  第8回 近代文学2―谷崎と川端=谷崎は意地の悪いサディスティックな女性が好き。関東大震災で作風が変わる。「細雪」が最高峰。ノーベル賞を受賞すべき作家だった。川端はもともと前衛文学者、一番の傑作は「雪国」だが、何度も書き直している。男性をあまり書けない。キーン先生は谷崎・川端・三島と直接深く付き合っている。
  第9回 近代文学3―太宰と三島=大宰の「斜陽」は20世紀日本文学の最高傑作のひとつ。40歳自殺。太宰と三島の本質は同じ。逆に三島は太宰を毛嫌い、作風が重ならないようにした。最高峰は「金閣寺」、最大の作品は「豊饒の海」四部作。45歳自殺。おそらく神武天皇以来、外国で最も知られてる日本人は三島由紀夫である。それは自決事件のせいではない。
  第10回 日本人の日記から1―子規と一葉=日記文学というジャンルは日本だけ。「更級日記」「成尋阿闍梨母集」、阿仏尼「うたたね」、「とはずがたり」、芭蕉の紀行文。一葉の「たけくらべ」は傑作だが、日記も素晴らしい。23歳死去。子規は短歌・俳句よりも日記が最高にいい、「墨汁一滴」「病しょう六尺」、特に本音は「仰臥漫録」(自殺念慮まで記述)。
  第11回 日本人の日記2―啄木、荷風、有島武郎=啄木は天才だったという他ない。啄木が焼き捨てるように遺言した「ローマ字日記」は鷗外・漱石を凌駕する面白さ・傑作。日記の比較だと「子規は近代人、啄木は現代人」。27歳病死。戦争非協力を貫いた荷風の日記「断腸亭日乗」。有島武郎は学習院で大正天皇のご学友。札幌農学校進学は周囲を驚かせた。有島の日記「観想録」
  第12回 古典と現代―「源氏物語」を中心に=日本文学の際立った特徴①時間的継続性(時代的切れ目がない文学)、②源氏物語の影響力の巨大さex.源氏名。日本料理の席での美的宇宙の創造。手紙の料紙・墨の濃淡・字の形すべてにこだわる。<ますらおぶり>より<たおやめぶり>のほうが強い。
  第13回 日本文学の特質=余情の文学。主観の文学。座の文学。美術との密接な関係。特殊性より普遍性が強い。 
※12月27日(火)に見直して、追加・整理しました。参考になれば、うれしいです。
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151010 琉球新報、安倍改造内閣「失望」の二文字しかない/佐藤優、島尻新沖縄担当相は存在自体が日本の恥

2015年10月10日 22時04分57秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
10月10日(土):  
琉球新報【社説】安倍改造内閣 「失望」の二文字しかない  2015年10月8日 6:01
  新鮮味が薄いだけでなく、沖縄にとっては不安な布陣としか言いようがない。第3次安倍改造内閣の顔ぶれのことだ。
  政権運営の継続性を重視する首相の立場から、主要閣僚がほぼ留任した。中でも沖縄基地負担軽減担当を兼任する菅義偉官房長官、岸田文雄外相、中谷元・防衛相の留任には「失望」の二文字しか浮かばない。
  いずれも辺野古新基地建設を強引に推し進める人物ばかりだ。新内閣でも沖縄の民意と向き合うつもりはないと宣言したに等しい。
  沖縄担当相に島尻安伊子氏を起用したことも同様だ。

  県関係・選出議員では1991年の伊江朝雄氏、93年の上原康助氏、2012年の下地幹郎氏に次いで4人目となる。女性では初めての大臣就任となる。
  沖縄から中央に直接通じるパイプができたことは喜ばしい。ただ島尻氏の過去の発言を見ると、懸念も禁じ得ない。
  島尻氏は2010年参院選で普天間飛行場の「県外移設」を公約に掲げながら、13年には公約を翻して辺野古移設容認を表明した。
  辺野古移設阻止を掲げる稲嶺進名護市長に対して「権限の乱用」と中傷し、辺野古での市民の反対運動を弾圧するかのように政府に対策を促したこともある。

  基地問題だけでなく、国内外をターゲットにした経済・観光振興など沖縄には課題が山積している。
  沖縄にとって時代の転換点ともいえる重要な時期だけに、島尻氏は国の代弁者としてでなく、地元の視線で働いてもらいたい。
  沖縄は非正規雇用や待機児童の多さなど生活に密着した課題もある。かつて選挙戦で「台所から政治を変える」と宣言した島尻氏は、真に生活者の視点に立って課題解決に取り組んでもらいたい。
  一方で屋上屋を架すような人事も首をかしげる。
  首相肝いりの「1億総活躍」担当相は地方創生や経済再生など他の大臣と所管が重複する可能性もある。看板倒れにならないか見極めたい。
 「1億総活躍」にも通じるが、首相から「女性登用」など聞き心地のよい言葉を連ねる例が目立つ。内閣改造には安保関連法やTPPといった批判や疑問が多い政策から、国民の目をそらす政権の意図が見え隠れする。国民本位と言うならば、まずは国民、沖縄県民と向き合う姿勢を首相は示すべきだ。


リテラ島尻新沖縄担当相佐藤優が「存在自体が日本の恥」「吐き気をもよおす」と激怒! その理由とは?  2015.10.10.
  「いったいなぜこの人選なんだ?」。トンデモ議員だらけの面子に批判と疑問の声が絶えない内閣改造人事だが、とりわけ疑問視されているのが、沖縄北方担当相に抜擢された島尻安伊子氏だ。
  島尻氏は2004年の参院選沖縄選挙区に無所属(自公推薦)で出馬・初当選後、自民党に入党。安倍首相が目玉として掲げる「女性の活躍推進」のひとりとして当選2回でありながら起用された。
  中央メディアでは「地元選出の議員だから」という認識しかされていない島尻氏だが、県民の8割が普天間基地の辺野古移設反対と答えている沖縄では彼女への不信感はすこぶる根強い。
  たとえば2014年2月、島尻氏は国会質疑のなかで、稲嶺進名護市長が辺野古移設を阻止すると主張していることについて「政治目的から行政の権限を濫用することは地方自治法上問題だ」と批判。さらに、住民らの反対運動に対しては「危険な行為に先んじて対策を打つことが必要」などと“反対運動の予防拘禁”と取れる提言を行い、沖縄メディアは大きく問題視した。
  のちに島尻氏は沖縄紙の取材に対し「事前に反対運動を取り締まれという趣旨ではない。反対活動家、業者側の双方に不慮の事故が起こらないよう警備をしっかりすることが重要だ」と釈明したが、ようするに“沖縄県民は黙って国策に従えばよい”という考えを持っているのは明白だ。
  実は、こうした島尻氏の発言に対し、立て続けに苛烈な批判を行っていた人物がいる。元外務省主計分析官で作家の、佐藤優氏だ。
  佐藤氏は、前述の島尻発言の直後から、「アサヒ芸能」(徳間書店)での連載で、島尻氏が宮城県出身で沖縄にルーツをもたないこと、04年に民主党公認で那覇市議補選で初当選した翌年に離党し、自公推薦で参議院議員になったこと、そして、普天間に関しては10年参院選で「沖縄県外移設」を公約に掲げて再選したが、13年には公約破棄し辺野古移設容認へ転じたことなどを示したうえで、こうこき下ろしている。
  〈島尻氏の釈明は支離滅裂で説得力がまったくない。「危険な行為に先んじて対策を打つ」というのは、まさに「事前に反対運動を取り締まれ」ということだ。糞に「綺麗な」という形容詞をつけて「綺麗なウンコ」と言えば、世の中は納得すると思っているのだろうか? このような低レベルの釈明をする国会議員が存在すること自体、日本の恥だ〉(同誌2月27日号)
〈吐き気をもよおすような下品な政治屋だ〉(同3月6日号)

  かなり直接的で苛烈な言い回しだが、佐藤氏の“怒り”は論理的に“筋”がとおっている。最近発売された『沖縄と本土』(朝日新聞出版)に寄稿した文章のなかで、佐藤氏はこのように書いているのだ。
  〈日本本土と沖縄との米軍基地負担比率は、52年の時点で9対1。72年の沖縄返還前後で5対5。いまでは1対3になり、沖縄の基地負担が年を追うごとに重くなっていったことがわかる。その理由は、主権を回復した日本本土において反基地闘争が厳しくなったことで、日本国憲法下になく、アメリカが自由に振る舞える沖縄に基地を移していったからだ。普天間基地の海兵隊はもともと山梨と岐阜に駐留していた。
  日本本土に置かれた米軍基地という面倒な施設は沖縄にもっていく。そして日本本土は平和と繁栄を維持した。こうした戦後の歩みの違いが、沖縄と日本本土との間の「ねじれ」を生み、それが構造的な差別になった。構造化されているがゆえに、中央政府には沖縄に対する差別が見えないのだ〉

  しかし、佐藤氏が指摘する沖縄への構造的差別について、島尻氏は沖縄紙の取材でこう答えている。
  〈沖縄への米軍基地の集中について「構造的差別」との指摘があることに対しては、「差別には全く当たらない。本土と沖縄の間に誤解があれば解くべきだ」〉(琉球新報14年2月7日付「社説」)。
  ようするに島尻氏は沖縄にある構造的な差別をまったく意識できていないのだ。おそらくこうした島尻氏の政治的鈍感さが、佐藤氏は許せないのだろう。
  佐藤氏は我々が考えている以上に、沖縄の基地問題における政府と沖縄の断層を深刻に捉えている。
  〈中央政府が沖縄に対する構造的差別に気づかないまま、強圧的な対応を続けていると、いずれ沖縄は自己決定権に基づいて行動するようになるだろう。そうなると中央政府は、都道府県という形での日本国の統合を維持できなくなる。踏み込んで言えば、現時点で既に統合は崩れていると思う。国家統合が機能していれば、辺野古移設という中央政府の決定を、沖縄県という一自治体がここまで抵抗してサボタージュすることはないからだ〉(前述『沖縄と本土』)
  そうしたうえで、考えられるシナリオとして、“埋め立て強行後の本格的な不服従運動による沖縄人と日本人の関係の緊張”がもたらす“分離独立運動の蜂起”を予見する。そして「もし、沖縄が独立することになったら」として、こう記すのだ。
  〈日本全体が相当な混乱に陥るだろう。沖縄にある米軍基地は日本の抑止力維持のためには使えなくなる。日本は自前で抑止力を維持するのか、アメリカにさらに大きく安全保障を依存するのかの選択を迫られる。そのときの政治状況を想像してみてほしい。実は、事態はその一歩手前まで来ているように私には見える〉
  〈現在の沖縄と中央政府との緊張が孕む本質的なテーマは、日本の国家統合が維持できるかどうかということなのだ〉(同前)
  つまり、佐藤氏は、日本の統治の問題として、沖縄に対する中央政府のゴリ推しがもたらす弊害を冷静に述べているのだ。
ゆえに、島尻氏の問題発言にも敏感に反応し、徹底した批判を加えたのだろう。
  そしてあれから1年、島尻氏が沖縄担当相に就任したことで、佐藤氏が再び島尻批判を強めることは間違いない。メディア関係者の間では、佐藤氏が島尻氏の急所を握っていて、それを暴露するのではないか、といった観測も流れている。
  というのも、佐藤氏は「アサヒ芸能」14年4月17日号の連載で、こんな宣言をしていたからだ。
  〈東京では無名だが、沖縄では悪名高い島尻安伊子参議院議員(自民党)が、何を勘違いしたのか、「佐藤優氏は私に恨みがあるのか!」というメールを送っている(筆者は証拠をこの目で見た)。
  島尻さんよ、あんたも政治家だ。俺とは面識がある。何度か嫌々ながらあんたとメシを食ったこともある。文句があるなら裏で画策せずに正面から言ってこい。公の場で、いつでも討論に応じる。ちなみにあんたとあんたの周辺(心当たりがあるだろう)の種々の事案については、複数の友人を通じて調査を始めている。すでに興味深い情報が入っているので、公開討論の場で真相を聞いてみたいと思っているよ〉
  沖縄を“捨て石”にすることしか考えていない新大臣の正体が暴露される日は近いかもしれない。  (宮島みつや)
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151010 室井佑月「野党のみなさんへ」

2015年10月10日 21時42分04秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
10月10日(土):

週刊朝日室井佑月「野党のみなさんへ」  2015年10月16日号
  安全保障法案の成立により、批難の集まる野党。「安倍自民の暴走」を止められなかった彼らに本誌でコラム「しがみつく女」を連載する作家・室井佑月氏は、失望を表す。
*  *  *
  3週前のこのコラムで、この国の国民は売られていく子どもみたいなものじゃないか、という話を書いた。3週間経って、その思いはかなり深まった。嫌だけどさ。
  結局、この国のトップたちが心配し大事にしてるのは、もらわれていく先のご主人の下での、自分のこれからの生活だけかも。
  ご主人のお子様の遊び相手にされるのか、馬番にされるのか。うちら国民は、彼らが馬番になったらそれ以下確定ってことで。ちょっと古いけど、漫画のキャンディ・キャンディの出だしみたいだよ。
  あの漫画の主人公のキャンディはモテモテで、ラスト、大富豪のアルバートさんといい感じで終わる。彼女が愛され成功したのは、決してくじけず、確固たる自分を持った人間だったからだ。
  わかる? この嫌み。ま、自公の方々は屁とも感じないだろうし、民主の方々は気づかないんだろうな。
  これから先の展開について、あたしは怯えている。そして、岡田民主の鈍さにイラついている。
  なぜ、民主党は共産党の提案「国民連合政府」の呼びかけにすぐ乗らないのだ。安倍自民の暴走を止めてくれという国民の声がいちばん大切じゃないのか。
「どう?」と聞かれたら、「国民のために、こっちから呼びかけようと思っていたところ」ぐらいいってくれっつーの。
  心配だ。安倍政権の暴走を止めることを、国民が諦めてしまうのじゃないかと。諦めた国民は、国民同士でパイの奪い合いをはじめる。馬番の主人の下での、過酷な争いがはじまる。
  この国のトップたちは、その上の主人たちの下での身分や資産の争いだけど、そんな彼らの下にいるあたしたちは、食っていけるか生きていけるかどうかの争いになってしまうかも。そうなったらもう、誰も声をあげられっこない。毎日、誰が潰されるのかと震える家畜のようになる。自分や自分の家族の生き残りを図って、仲間を売るものも出てくるだろう。

  妄想が激しすぎる? けれどあたしは、そんなこともないと思う。安倍さんが安保法成立後に出してきた「アベノミクス新3本の矢」。スローガンだけでぜんぜん中身がないけれど、会見のとき記者は誰も突っ込まなかった。世の中の流れに目ざといメディア人は、大きな力には逆らっても無駄、そう諦めてしまったようで。そして、世の中の雰囲気が作られていく。
  あたしたち個人個人は弱いから、完全に雰囲気が作られたら、もう力には絶対に刃向かえない。だから、デモに出かけたり、SNSで意見をいったり、多勢がまだ声をあげられる今が肝心なんだと切実に思う。多勢が崩れたら、そこで終わりだ。

  野党議員のみなさんは、あたしたちへの声をダイレクトな自分たちの応援かなんかだと勘違いしてないか?
  それこそ今あたしたちは、我々と協力し合おう、そう呼びかけているのに。
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151008 「(終わりと始まり)難民としての我らと彼ら 開国の時期ではないか 池澤夏樹」(朝日デジタル)

2015年10月08日 23時21分42秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
10月8日(木):

「一億総活躍社会」と不毛で陳腐な取り組みをチャレンジと呼び、「難民支援」という真に必要な創造的困難に挑戦する知性も意欲もない愚か者を為政者に頂いている日本は<暗黒の時代>だ。

朝日デジタル:(終わりと始まり)難民としての我らと彼ら 開国の時期ではないか 池澤夏樹   2015年10月6日16時30分
  安保関連法が成立した。
  「戦い済んで日が暮れて……」思うことは多い。
  賛成票を投じた議員のみなさん、
  政府の説明が論理に沿って充分(じゅうぶん)なものであったと思われての賛成なら、あなたは論理的思考能力に欠ける。
  充分でないと知って賛成したのなら、あなたは倫理的判断力に欠ける。
  どちらかに○をつけてください。
  次回の選挙の参考にします。
  九月半ば、国会議事堂前のデモの中に身を置いて、みなの勇壮活発でどこか悲壮なシュプレヒコールに伍(ご)しているうちに、自分たちは日本国憲法から追放されて難民になるのだと覚った。
  この国の国土が戦場に直結する時、非戦・平和に固執する民の居所はなくなる。
  これからは臥薪嘗胆(がしんしょうたん)の覚悟で失地回復・捲土(けんど)重来に力を注がなければならない。(こういう話になると漢語が増えて肩に力が入る。もっとしなやかに考えて、したたかに動かなければ)。
      *
  シリアなど近東からの難民がヨーロッパに押し寄せてあちこちで混乱が起きている。ドイツなど富裕な国は受け入れに積極的だが、東ヨーロッパの貧しい国はできれば彼らを入れたくない。障壁を作ったり、あるいは通過するだけとして速やかに隣国へ送り出す。ハンガリーはとりわけ強硬で、他の国の顰蹙を買っている。
  ドイツにしたって重荷という思いはあるだろう。それでもドイツはこのところ景気がいい。その一方、経済政策で批判を浴びることが多かったから、ここは一肌脱ぐと決めたのか。
  これはいわば遠い親戚が災難に遭ってこちらを頼って来たという事態だ。住処(すみか)を奪われた人々は今ここまで来ている。とりあえずは彼らが生きていけるようにしなければならない。
  EUは16万の難民を加盟国に割り当てる案を発表した。各国への振り分けの基準はそれぞれの国の人口や経済規模。ドイツは3万1千人、フランスは2万4千人などなど。
  各国民にとって判断のポイントは、シリアなどの、アラビア語を話しイスラム教を信仰する人々を、「遠い親戚」として受け入れられるかどうかだ。具体的に言えば、自分の手の中のパンを二つに割って半分を差し出せるか。
  ヨーロッパは地続きだから(地中海経由もあるが)、難民が渡りやすい。ではこれはヨーロッパの問題としてしまっていいのか。
  はるかに遠いオーストラリアは1万2千人を受け入れると言った。ブラジルは「両腕を広げて難民を受け入れる」と宣言し、ベネズエラは2万人の受け入れを表明した。
  アメリカは二〇一七年までに10万人と言っている。フランシスコ法王は先日、アメリカ議会の演説で「アメリカ大陸の人々は外国人を恐れません。なぜなら我々の大半が、かつて外国人だったからです」と言って喝采を浴びた。彼は新大陸から出た初の法王。アルゼンチンの出身であり、イタリアからの移民の二世である。
      *
  ではシリアからオーストラリアと同じくらい遠い日本はどうするのか?
  安倍総理は先日、ニューヨークでの記者会見で「移民を受け入れるよりも前にやるべきことがある。女性、高齢者の活躍だ」と述べた。
  これはどういう論法だろう。彼の真意は、今後の労働力不足を移民で補うつもりはないということだ。「女性、高齢者」を「活用」したいと言いたかったのだろう。
  記者の質問は難民のことだったのに、それは無視。移民は自分の意思で来る人、難民は住処(すみか)を失ったよるべない人々。速やかな支援を必要とする人々。総理はこの二つを敢えてすり替えることで、難民は受け入れないと宣言したのだ。

  去年、この国に来たいと申請した難民は5千人、認可されたのは11人! 要するにぜったいに入れまいと頑なに拒んで、できれば拠金で済ませたいと言って、難民に対する鎖国を貫いてきた。同じような姿勢でいるサウジアラビアは(我が外務省の好きな言葉を使えば)「国際社会」で軽蔑の対象になっている。
  我々は異民族とのつきあいの経験が少なく、異文化を生活レベルで受け入れることに不器用かもしれない。しかしこの先のことを考えればずっと鎖国で済ませるわけにはいかないのは明らかだ。飛行機とインターネットの時代にここはもう島国ではない。
  東京・新大久保の「国際社会」はヘイトスピーチにも負けず元気だし、埼玉・蕨(わらび)に住むクルド人数百人も周囲と調和して暮らしている。
  他国に倣って、ある程度の摩擦と苦労を承知の上で、開国すべき時期ではないのか。人口比で言えば、ドイツの3万1千人に対してこちらは4万8千人ほどになるが、準備はよろしいか。
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150329 タガ外せば歯止め失う 長谷部恭男・早稲田大学教授/「未来志向」は現実逃避 杉田敦・法政大学教授

 杉田 先日ドイツのメルケル首相が来日しました。戦後ドイツも様々な問題を抱えていますが、過去への反省と謝罪という「建前」を大切にし続けることで、国際的に発言力を強めてきた経緯がある。「建前」がソフトパワーにつながることを安倍さんたちは理解しているのでしょうか。  / /長谷部 そもそも談話が扱っているのは、学問的な歴史の問題ではなく、人々の情念が絡まる記憶の問題です。記念碑や記念館、映画に結実するもので、証拠の有無や正確性をいくら詰めても、決着はつかない。厳密な歴史のレベルで、仮に日本側が中国や韓国の主張に反証できたとしても、問題はむしろこじれる。相手を論破して済む話ではないから、お互いがなんとか折り合いのつく範囲内に収めようと政治的な判断をした。それが河野談話です。  / /杉田 談話の方向性や近隣との外交について「未来志向」という言い方がよくされますが、意図はどうあれ、それが過去の軽視という「見かけ」をもってしまえば、負の効果は計り知れない。安倍さんたちは、未来を向いて過去を振り払えば、政治的な自由度が高まると思っているのかもしれません。しかし政治の存在意義は様々な制約を踏まえつつ、何とか解を見いだしていくところにあります。政治的な閉塞(へいそく)感が強まる中で、自らに課せられているタガを外そうという動きが出てくる。しかし、それで万事うまくいくというのは、一種の現実逃避では。  / /長谷部 合理的な自己拘束という概念が吹っ飛んでしまっている印象です。縛られることによってより力を発揮できることがある。俳句は5・7・5と型が決まっているからこそ発想力が鍛えられる。しかし安倍さんたちは選挙に勝った自分たちは何にも縛られない、「建前」も法律も憲法解釈もすべて操作できると考えているようです。  / /杉田 俳句は好きな字数でよめばいいのだと。  / /長谷部 あらゆるタガをはずせば、短期的には楽になるかもしれません。しかし、次に政権が交代したとき、自分たちが時の政府を踏みとどまらせる歯止めもなくなる。外国の要求を、憲法の拘束があるからと断ることもできない。最後の最後、ここぞという時のよりどころが失われてしまう。その怖さを、安倍さんたちは自覚すべきです。 =敬称略(構成・高橋純子)朝日新聞『考論』

0015 オルテガ「大衆の反逆 (桑名一博訳;久野収解説)」(白水社イデー選書;1930)評価5

以下は、オルテガ所論の久野収による抜粋の抜粋である:///  オルテガによれば、政治のなかで「共存」への意志を最強力に表明し、実行していく政治スタイルこそ、自由主義的デモクラシーである。共存は、強い多数者が弱い少数者に喜んで提供する自己主張、他者説得の権利である。敵、それも最も弱い敵とさえ、積極的に共存するという、ゆるがない決意である。/その意味で、人類の自然的傾向に逆行する深いパラドックス(逆説)であるから、共存を決意した人類が、困難に面してこの決意を投げ出すほうへ後退したとしても、それは大きな悲劇ではあっても、大きな不思議とするには当たらない。/「敵と共存し、反対者と共に政治をおこなう」という意志と制度に背を向ける国家と国民が、ますます多くなっていく1930年代、オルテガは、「均質」化された「大衆」人間の直接行動こそが、あらゆる支配権力をして、反対派を圧迫させ、消滅させていく動力になるのだという。なぜなら、「大衆」人間は、自分たちと異類の非大衆人間との共存を全然望んでいないからである。略。///  「大衆」人間は、自分たちの生存の容易さ、豊かさ,無限界さを疑わない実感をもち、自己肯定と自己満足の結果として、他人に耳を貸さず、自分の意見を疑わず、自閉的となって、他人の存在そのものを考慮しなくなってしまう。そして彼と彼の同類しかいないかのように振舞ってしまう。/彼らは、配慮も、内省も、手続きも、遠慮もなしに、「直接行動」の方式に従って、自分たちの低俗な画一的意見をだれかれの区別なく、押しつけて、しかも押しつけの自覚さえもっていない。/彼らは、未開人―未開人は宗教、タブー、伝統、習慣といった社会的法廷の従順な信者である―ではなく、まさに文明の洗礼を受けた野蛮人である。文明の生み出した余裕、すなわち、贅沢、快適、安全、便益の側面だけの継承者であり、正常な生存の様式から見れば、奇形としかいいようのないライフスタイルを営んでいる新人類である。略。///  「自分がしたいことをするためにこの世に生まれあわせて来た」とする傾向、だから「したいことは何でもできる」とする信仰は、自由主義の自由の裏面、義務と責任を免除してもらう自由にほかならない。/われわれは自由主義の生みだした、この「大衆」人間的自由、自己中心的自由に対し、他者と共存する義務と責任をもった自由を保全しなければならないが、一筋縄でいかないのは、この仕事である。(160626:イギリスEU離脱について思うところ=もみ=)